2007年12月26日 (水)

仕事と犯罪の、ビミョーな関係

>>> 道交法違反:会社遅れると速度超過 容疑で男を現行犯逮捕

 西条西署は21日、通勤時に危険なスピードで乗用車を走らせたとして西条市の造船溶接工(23)を道交法違反(速度超過)の疑いで現行犯逮捕した。動機について「朝早く起きられなくて、(今治市内の勤務先の)仕事の時間に間に合うスピードで走った」と話しているという。 (毎日新聞・愛媛) 2007年12月22日


 これって、けっこう身につまされる方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。 「遅れそうなので、タクシー拾って急がせた」ことがある方も多いでしょう。 気をつけてください。

 
 朝の5分間って、とても貴重です。  「約束の定刻」という存在が、体感時間を早く仕向けさせるのかもしれません。 逆に夜は、5分間の大切さを見過ごしがちです。

 私は、朝起きるのがそれほど苦手なほうでなく、わりと目覚まし時計が鳴る3分前とか5分前に先回りして起きたりしてしまうほうなんですが、とにかく、朝の「過ごし方」が大の苦手なんですね。

 ふとんのなかで、少しモゾモゾしてしまったり、着替えながら考え事をしてしまったり、気になる新聞記事に見入ったりしているうちに、あっという間に寝坊したのと同じような結果になり、あわてて息を切らしながら学校へ駆け足で向かったり、高校だと自転車を飛ばしたりするハメになってたわけです。

 このクセだけは、本当に治りませんでしたね。 自慢じゃないですが、あわてすぎてランドセルを忘れたことがあります。

 小学校の低学年のうちは、近所の同級生と一緒に登校するようにしていたんです。

 しっかり者の彼が必ず先に準備を済ませて迎えにきてくれるのに、「ゴメンばってん、先に行っとって……」と、私や母が謝るという、ダメダメパターンの固定された毎日が繰り返され、そのうち、一緒に行く約束もなし崩しになってしまいました。 悪かったなぁと思います。

  この、お寝坊さん被疑者ですが、不特定多数のスピード違反を取り締まるネズミ取りに捕まったわけではないようです。 「毎朝、猛スピードで走っていくクルマが危ない」という近所の苦情を聞きつけた警察が、彼を狙い打ちしていたそうですね。

 「まさか捕まらないだろう」という油断が命取りに。 くわばらくわばら。

 

>>> 虚偽申告:「強盗に襲われた」実はウソ、本当は出勤したくなかっただけ

 会社に行きたくないため「強盗に襲われた」とうその届け出をしたとして、南署は15日までに、東大阪市の男性会社員(22)を軽犯罪法違反(虚偽申告)容疑で取り調べた。近く書類送検する方針。

(中略)

 会社員は節電器を電話販売する会社に勤めているが、「営業成績が悪く、けがをすれば出勤せずに済むと思い、拾ったカミソリで切った」などと話している。 (毎日新聞・大阪) 2006年11月16日

 

 あぁー、追い込まれちゃったんでしょうね……。

 見る人が見れば、たとえば優秀な営業マンの目には「甘えたマヌケニュース」みたいな感じに映るのかもしれませんが、与えられたノルマをこなす仕事なんて、この私にだって絶対に務まりません。

 そこまでの強靱な精神力を持ち合わせてないため、この彼をとても責められませんね。 むしろ、気の毒だなと同情してしまいます。

 営業って、「相手ありき」の職種だと思いますので、向いてない人にとっては、結果を残すことが過酷な道のりになるかと思います。 恋愛と一緒です。


……えーと、なんか引きずってますかぁ?  自分。


 次は、似ているように見えて、だいぶ事情の違うニュース。

 

>>> 虚偽申告:高岡の強盗未遂、実はうそでした バイトに行きたくなくて

 高岡市横田本町の会社員男性方から8月23日午後、「泥棒に入られた」という110番通報があった事件で、高岡署は10日、「虚偽の申告で、犯罪の事実はなかった」と発表した。

 同署によると、会社員の三男(17)が「留守番をしていたら刃物を持った男が入ってきた」などと話し、母親が通報したという。三男は「アルバイトに行きたくなくて、うそをついた。大事になるとは思わなかった」と話しているという。同署は強盗未遂容疑で捜査していた。 (毎日新聞・富山) 2007年10月11日

 

 おととしの六本木ヒルズだったか、バイト先で金を盗んだのをごまかすために、「強盗に襲われた」とウソを申告し、自傷行為までしてウソを裏づけようとした男がいました。 今はお休み中のメールマガジンでご紹介した覚えがあります。

 ほかにも今月、大阪で、生活保護のお金をもう一度もらうために、「生活費を盗られた」とウソをついた人が逮捕されています。

 お金がらみなら、まだ理解の範囲内なのですが、「だらしなさ」が引き起こした虚偽申告というのは驚きです。 まだまだ、私のだらしなさなど甘っチョロいものだと思い知りました。

 んーと、たぶんねぇ…… 犯罪おかさなくても、休ませてくれると思いますよ。 バイトって。

 
 

◆ 軽犯罪法 第1条 (軽犯罪)
 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

  十六.虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者

 
 拘留 … いわば「1日~29日の禁固」のこと
 科料 … いわば「1,000円~9,999円の罰金」のこと

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2006年12月14日 (木)

「クルマのプロ」が、立て続けに道交法違反

>>> 大阪・堺 自動車教習所教官が飲酒運転

 大阪府堺市で、自動車教習所の教官が飲酒運転で事故を起こして逮捕されました。

 逮捕されたのは、泉南自動車教習所の教官・野上登志夫容疑者(45)です。

 11日午前0時すぎ、堺市南区の府道で野上容疑者が運転する普通乗用車が、隣の車線を走っていた車に接触しました。

 野上容疑者はそのまま現場から走り去ろうとしましたが、被害にあった車が追いかけ1キロほど走ったあと停車したということです。

 そして呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上のアルコールが検出されたため、酒気帯び運転で現行犯逮捕されました。

 調べに対して、野上容疑者は「知人とビールとブランデーを飲んだ」と容疑を認めているということで、警察は当て逃げの疑いでも調べています。 (大阪MBS)2006/12/11

 

>>> レーサー、スピード違反で逮捕=出頭要請応ぜず-静岡県警

 スピード違反をしたのに、度重なる出頭要請に応じなかったとして、静岡県警御殿場署は5日、道交法違反(最高速度違反)の疑いで横浜市青葉区新石川、会社役員桂伸一容疑者(47)を逮捕した。
 同容疑者はレーシングドライバーやモータージャーナリストとして雑誌などで知られており、容疑を認め「自動車雑誌に携わっているのでメンツがあった」などと話しているという。(時事通信) - 2006年12月5日

 両者とも、クルマの運転がお好きで、しかも相当な自信がおありなのでしょう。 でなければ、飲酒運転やらスピード違反やら、そんな乱暴なことできますかね。

 クルマのプロが飲酒運転してみたりとか、違法な運転をしておきながら警察署に出頭しないとか。 そういう態度は、自分の職業、ひいては、自分が好きでたまらないものに対する冒涜ではないでしょうか。

 ま、自分で自分にツバを吐きかけているようなものですから、世話ないわけですが。

 たとえば、私がビールや缶チューハイ片手に文章を書けるかというと、絶対にそんなことできませんもん。 怖すぎますよ。 たしかに現行法で「酒気帯び執筆」は処罰されませんし、アルコールが入ったほうが調子いいと豪語するほどの文章力をお持ちの方なら、それはそれで構わないのかもしれません。

 いや、私の場合、酒をチビチビ飲みながら書いたとしたら、理性の歯止めが効かなくなって、ここは単なるエログロブログ「○○○○つまみぐい」にしかなりませんから、ある意味捕まっちゃうのかも。 なお、○○○○の中身は、皆様のご想像にお任せします。 ただいま自主規制中です。

 ただでさえ、好き勝手に書き散らかしたい気持ちを、ギリギリの理性で抑えこんどるのに。
 

 好きなことは、ヘタクソなぐらいがちょうどいいのかもしれませんね。 たぶん。 気軽に思いきり楽しめて。

 「冒涜」とか「自分で自分にツバを」だとか、まるで偉そうに訓示を垂れるかような退屈ヘタッピ文しか出てこない私ですから、これからもシラフで、安全執筆でまいります。

 モータージャーナリストの桂伸一さぁーん、さっそくファンサイトが閉鎖されてますよ。 ファンは大切にっ!

 

◆ 道路交通法 第65条(酒気帯び運転等の禁止)
1 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

◆ 道路交通法 第117条の2(罰則)
 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  一 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
 (※以下略)

 
◆ 道路交通法 第22条(最高速度)
1 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

◆ 道路交通法 第118条(罰則)
1 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
  一 第22条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者
 (※以下略)
2  過失により前項第一号の罪を犯した者は、3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する。

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2006年7月 3日 (月)

青春とは…… 恥だ

>>> 嵐電レール上 同大生が飲食 堀川署 容疑で4人書類送検
 京福電鉄の線路内に深夜に侵入したとして、堀川署は13日、鉄道営業法違反(鉄道地内立ち入り)と軽犯罪法違反(禁止場所立ち入り)の疑いで、京都市上京区などに住む20、21歳の同志社大3年の男子学生4人を書類送検した。4人は線路内で飲食をしていたといい「(少年が線路上を歩く場面のある)青春映画『スタンド・バイ・ミー』を思い出し、青春の一ページとして線路に入った。軽率だった」と話しているという。
 調べでは、4人は5月23日午前1時すぎ、中京区壬生賀陽御所町で京福嵐山線の線路内に終電後に立ち入った疑い。4人は元サークル仲間で、四条大宮駅近くの踏切から侵入。レールの上に座り込み、30分ほど菓子やジュースを飲食していたという。住民の通報で署員が確認した。
 京福電鉄運輸課は「終電後も補修の工事車両が走る時もあり、線路内の立ち入りは危険。大学生としての自覚を持ってほしい」とあきれている。(京都新聞) - 6月13日

 

 今ごろ古いニュースを持ち出して、すみません。

 朝日新聞の記事も加えて読んでみますと、どうやら彼らはコンビニでカップラーメンも買いこんでいたようですね。

 日清食品は「NO BORDER」というキャッチコピーで、自社のカップ麺シリーズを売り出しています。 そのコピーに感化されて、名門大学の学生たちは、道端と線路の境界線を飛び越えてしまったのでしょう。

 たぶん、英語の勉強し過ぎなんだと思います。  NO BORDER!

 まぁ、深夜に騒ぐんなら、ワールドカップの日本戦があった日を選べば、なんとかドサクサに紛れて通報を免れることができたのかなぁ。 どうかな。
 

 でも、アホなことを楽しんでやれるのって、良くも悪くも、人一倍あふれる生命エネルギーの発露なんです。 病気やストレス、社会の枠組みの中で悩み苦しんでいたり、守るべき家族や名誉があったりする人は、なかなかアホなことって、できやしませんしね。

 そんなところから、犯罪などの社会的な不利益が生じたりもします。

 そんな若者の鬱積したフラストレーションをぶち破る機会として位置づけられていたのが、伝統的には、年に数回行われる地域社会の「お祭り」だったわけです。 しかし、そういった祭りの中にも、成熟した「枠組み」や「上下関係」ができあがるなどしており、こういった濃密な組織的運営が、皮肉にも若い衆から窮屈だと敬遠されるようになってきています。

 思いきりアホになって、若者たちのエネルギーを発散させる機会が、だんだん限られてきているのも事実です。

 

 たしかに、彼らがやったのはイケナイことですが、なんだか、大学生の彼らがアホっぽい供述をしているかのような、警察やマスコミの仕向け方も気になりますね。

 『スタンド・バイ・ミー』とか『青春の一ページ』というキーワードは、彼ら自身の口から出たのかもしれませんけど、それらを要領よくつなぎ合わせて調書に仕上げて、さらに記者がキーワードの断片を拾って、愉快に要約したのでしょう。三面記事の作り方が見えてきます。
 

 いつも私が法廷を覗いている中でも、しばしば被告人から「そんなことは取り調べで言ってない」とか「机を蹴られた」「ペンで突つかれた」「調書の最後のページしか見せてもらわずにサインした」など、かなりリアルな話が出てきます。

 そんなことを言い出す被告人がひとりだけなら、個人的な言い訳と取るべきなのかもしれません。 しかし、互いに無関係な複数の事件で、被告人が取り調べ時の扱いについて似たような状況を語っているのを見ると、やはり密室の中でおかしなことが行われているのではないか、訴追側に都合のいい調書が大量生産されて裁判所に納品されているんじゃないか、と勘ぐらざるをえません。

 また、社会部の記者は、検察官や弁護人が法廷で主張を撤回したはずのことでも、平気で記事に書いてしまいますからね。 そのオキテ破りっぷりにはビックリしますよ。 被告人のイメージを下げるためなら、お構いなしなのでしょう。 こういった事実は、裁判を直接傍聴してみないとわからないことです。
 

 でもねぇ、この大学生たちのやったことを、あんまりフォローするのも本意ではないんですけどね。 だいたい「スタンド・バイ・ミー」って、線路の上を歩いていたのは小学生のガキンチョでしょ? そんなガキの「冒険」を、ただ猿マネしてなぞるだけで満足だというんじゃ、ホトホト情けないですよね。

 つまらない私に言われているんですから、相当つまらん冒険ですよ。 そのへん、自覚してくださいね。

 
 

◆ 軽犯罪法 第1条〔軽犯罪〕
 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
  三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

 
◆ 鉄道営業法 第37条
 停車場其ノ他鉄道地内ニ妄ニ立入リタル者ハ10円以下ノ科料ニ処ス

 
◆ 罰金等臨時措置法 第2条
1 刑法(※中略)、暴力行為等処罰に関する法律(※中略)及び経済関係罰則の整備に関する法律(※中略)の罪以外の罪(※中略)
3 第一項の罪につき定めた科料で特にその額の定めのあるものについては、その定めがないもの(※つまり、鉄道営業法の科料は、刑法17条により『1000円以上1万円未満』と読み替え)とする。(※以下略)

 
 

(( 過去の関連ニュース ))

>>> 「のぞみ」ドア開け線路逃走の男逮捕 岡山の山陽新幹線
 30日午後1時35分ごろ、岡山市中島の山陽新幹線下り線で、東京発広島行き「のぞみ49号」の運転士がドアの開閉ランプの異常に気付き、緊急停車したところ、3号車左前方のドアが開き、若い男が線路に降りているのを車掌が見つけた。男は線路上を東へ約2キロ逃走したが、約50分後、岡山県警鉄道警察隊員が新幹線特例法違反(線路内への立ち入り)で現行犯逮捕した。
 調べでは、男は愛知県岩倉市の大学4年生(24)。のぞみ49号が1時間9分遅れたほか、後続の上下23本が最大1時間11分遅れ、約1万1000人に影響が出た。 (読売新聞)2005/10/31

 
 

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2006年5月 5日 (金)

ホントに詐欺で立件できる? 耐震偽装 <2>

>>> 強度偽装 : 米で6人逮捕 トンネル工事で低品質コンクリ
 米連邦捜査局(FBI)は4日、マサチューセッツ州ボストン中心部の大規模トンネル工事で、水分の多い低品質のコンクリートを使った上、記録を偽造し強度を偽装していたとして、詐欺などの疑いで大手土木資材会社アグリゲート・インダストリーズの幹部6人を逮捕した。
 AP通信などによると、6人は担当した工事で、古くなったコンクリートを再利用して過度の水分を混ぜた、トラック5000台分以上のコンクリートを使うなどした疑い。
 トンネルは1991年着工。当初予算を大幅に上回る146億ドル(約1兆6600億円)を費やして、今年ほぼ開通した。当初、内部での水漏れが指摘されていたが、当局は使用に問題ないとしている。(ニューヨーク共同) 毎日新聞 2006年5月5日 11時26分

 なるほど。 アメリカでは、トンネルの強度偽装の疑いで、詐欺罪での立件がされています。 気になったので取り上げてみました。

 
 もちろん、日本の問題と直結して、パラレルに考えるのは、ちと強引で安易な気もします。
  •  日本の詐欺罪と、要件がどれだけ似ていて、どれだけ違うのか。
  •  アメリカの逮捕の要件は、日本よりだいぶゆるいらしい。
  •  日本の事件のように、複数の会社間にまたがった問題ではない。

 どうやら、ひとつの土木会社で計画・実行された偽装のようですからね。 この記事を読んだだけで断定はできませんが、日本の法律だと、「組織的詐欺罪」を適用して、最高懲役20年までいけそうです。

 

 鉄筋を減らして安くあげるという「経済設計」は、総研はもちろん、ヒューザー・木村建設・姉歯事務所、皆が念頭においていたはず。 その想念(?)を「スピード審査」のイーホームズが見逃していた。
 
 では、おのおのがどれだけ「連携」し、どこまで強度偽装プロジェクトの「分担」を意識していたのか。 裏を返すなら、どこまで自分のことしか考えていなかったか……。
 
 売り主のヒューザーについては、マンション引渡しの段階で強度が極端に足りないことを認識できていれば、わりかしナチュラルな詐欺罪が成立しそうです。 しかし、本当に無邪気で知らなかったのなら、社長がおっしゃるとおり「第一の被害者」なのかもしれません。
 
 その他は…… 難しいですね。
 
  もう少し考えさせてください。 (←へたれ)
 
 
 

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2006年4月29日 (土)

ホントに詐欺で立件できる? 耐震偽装 <1>

 昨日はたまたま、裁判所で詐欺事件ばっかり立て続けに4件を傍聴してきましたけどね。 キャバクラの無銭飲食から、交通事故を偽装しての保険金詐欺まで。 人生いろいろ、騙しもバリエーションに富んでいます。

 昨年、マンションに関する耐震強度の偽装問題が発覚したとき、たしかに「えらいこっちゃ」とは思いましたが、私の頭に「詐欺」という文字は浮かんできませんでした。 なので、「詐欺での立件を目指す方針」なんて言われても、あんまりピンと来てなかったんですけどね。

 もちろん、本当に耐震強度の不足を心得たうえで売ってたら別ですよ。

 

◆ 刑法 第246条(詐欺)
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

◆ 刑法 第60条(共同正犯)
 2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

◆ 組織的犯罪処罰法 第3条(組織的な殺人等)
 次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動(団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。以下同じ。)として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、当該各号に定める刑に処する。
 9. 刑法第246条(詐欺)の罪 1年以上の有期懲役(※最高20年)

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◆ 建築基準法 第20条(構造耐力)
 建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次に定める基準に適合するものでなければならない。
  1.建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
  2.次に掲げる建築物にあつては、前号に定めるもののほか、政令で定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること。
   イ 第6条第1項第2号又は第3号に掲げる建築物
   ロ イに掲げるもののほか、高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超える建築物で、その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造造としたもの

◆ 建築基準法 第101条(罰則)
 次の各号のいずれかに該当するものは、50万円以下の罰金に処する。
6.(※中略)第20条(※中略)の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(※以下略)

◆ 建築基準法施行令 第36条の2(構造設計の原則)
 建築物の構造設計に当たつては、その用途、規模及び構造の種別並びに土地の状況に応じて柱、はり、床、壁等を有効に配置して、建築物全体が、これに作用する自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して、一様に構造耐力上安全であるようにすべきものとする。
2 構造耐力上主要な部分は、建築物に作用する水平力に耐えるように、つりあいよく配置すべきものとする。
3 建築物の構造耐力上主要な部分には、使用上の支障となる変形又は振動が生じないような剛性及び瞬間的破壊が生じないような靭性をもたすべきものとする。

◆ 建築基準法施行令 第77条(柱の構造)
 構造耐力上主要な部分である柱は、次に定める構造としなければならない。ただし、第2号から第6号までの規定は、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、適用しない。
  1.主筋は、4本以上とすること。
  2.主筋は、帯筋と緊結すること。
  3.帯筋の径は、6ミリメートル以上とし、その間隔は、15センチメートル(柱に接着する壁、はりその他の横架材から上方又は下方に柱の小径の2倍以内の距離にある部分においては、10センチメートル)以下で、かつ、最も細い主筋の径の15倍以下とすること。
  4.帯筋比(柱の軸を含むコンクリートの断面の面積に対する帯筋の断面積の和の割合として国土交通大臣が定める方法により算出した数値をいう。)は、0.2パーセント以上とすること。
  5.柱の小径は、その構造耐力上主要な支点間の距離の15分の1以上とすること。
  6.主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の0.8パーセント以上とすること。

◆ 建築基準法施行令 第79条の4(鉄骨鉄筋コンクリート造に対する第5節及び第6節の規定の準用)
 鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分については、前2節(第65条、第70条及び第77条第4号を除く。)の規定を準用する。この場合において、第72条第2号中「鉄骨相互間及び鉄筋とせき板」とあるのは「鉄骨及び鉄筋の間並びにこれらとせき板」と、第77条第6号中「主筋」とあるのは「鉄骨及び主筋」と読み替えるものとする。

 

 ……たぶん、以上の引用でおおかた合っていると思います。 この建築基準法の政令を読んでいたらですね、後半は数式が連続して載っとって、軽いじんましんが出てきそうでしたので、戦意喪失して早々に引き上げざるをえませんでした。 無念。

 それにしても、インチキの構造計算書を作る罪に設定された法定刑が「50万円以下の罰金」というのは、いかがなものでしょう。 この「地震大国」で、建築の専門家が、建物の耐震強度を偽る、という行為の潜在的にして現実的な危険性の高さを、立法者は軽く見すぎていたのではないか、と思えます。
 中規模程度の地震で、あっさり倒壊してしまうかもしれない。 そんな決定的な欠陥のある建物を、長期ローンを組んで購入し、実際に生活の拠点とする人たちの顔や気持ちを、立法者は数秒間でも意識できていたのかどうか。

 そもそも、ホリエモンの被疑事実(証券取引法違反)ですら、最高刑は懲役5年なんですから。

 ま、罰則がたくさんありすぎて、ワケわかんなくなってる事情はわかりますよ。 あんまり、わかりたくもありませんけど。

 

<最高刑が罰金50万円の犯罪 あれこれ(※ごく一部)

  •  失火罪(刑法116条)
     
  •  賭博罪(刑法185条)
     
  •  過失致死罪(刑法210条)
     
  •  (森林法) 過失によって、他人の森林を焼失させてしまった者。
     
  •  (航空法) 滑走路に立ち入った者。 航空機から物を投げた者。 航空機から落下傘で降下した者。
     
  •  (高速自動車国道法) 過失によって、高速道路を損壊したり、高速道路の附属物を移転・損壊した者。
     
  •  (道路運送車両法) 認証を受けず勝手に自動車解体整備業を営んだ者。指定を受けず勝手にナンバープレートを登録自動車の所有者に交付する業を営んだ者。
     
  •  (医師法) 医師でもないのに、医師と紛らわしい名前を使った者。 厚生労働省への2年ごとの届出を怠った医師。
     
  •  (競馬法) 相手が未成年者や競馬関係者であることを知りながら、馬券を販売したり譲り渡したりした者。
     
  •  (郵便法) 詐欺、恐喝又は脅迫の目的で、真実に反する住所や氏名などを記載した郵便物を差し出し、又は他人にこれを差し出させた者。
     
  •  (鍼灸マッサージ業法) 免許もなしに、あんまや針灸指圧マッサージを業として営んだ者。
     
  •  (景観法) 景観計画区域に、災害などで緊急に仮設の建造物をつくったが、市町村長の許可を得ずに不当に存続させ、景観のジャマをした者。
     
  •  (鳥獣保護法) 柵などで囲まれた土地や作物のある土地で、土地の占有者の承諾なしに鳥獣の捕獲等や鳥類の卵の採取等をした者。
     
  •  (武力攻撃事態法) 放射性物質等による汚染の拡大を防止するため、国民に向けて発せられた、人や物、資源の移動・使用などの禁止命令や廃棄命令に違反した者。
     
  •  (人クローン技術規制法) 文部科学省に届け出た「特定胚」について、作成日などの記録をしなかった者。
     
  •  (家畜排せつ物適正化法) 家畜排せつ物の管理基準に従わないために発せられた、都道府県知事の基準遵守勧告に従わなかった畜産業者。
     
  •  (感染症予防法) 感染症に感染した患者や動物を診たのに、保健所等に届けなかった医師や獣医師。
     
  •  (臓器移植法) 移植に使用しなかった臓器を、政令にしたがって適正に廃棄しなかった者。
     
  •  (鉄道事業法) 届出せずに、あるいは虚偽の届出をして、鉄道施設やその工事計画を変更した者。
     
  •  (暴力団対策法) 対立抗争中の指定暴力団につき、公安委員会が「事務所使用禁止命令」を出す際、事務所施設に目印として貼った標章を損壊したり取り除いたりした者。
     
  •  (救急救命士法) 守秘義務に違反した救急救命士。
     
  •  (著作権法) 著作物の出所を明らかにせずに、引用したり教育目的等の複製をしたりした者。
     
  •  (駐車場法) 届出をせずに駐車場の経営を始めたり廃業したりした者。
     
  •  (原子炉等規制法) 国や都道府県の立ち入り検査を拒み、または質問に答えなかったり、虚偽の陳述をしたりした原子力事業者。
     
  •  (特定外来生物 被害防止法) 外国政府の許可証なく、生きている特定外来生物を輸入し、わが国の生態系の多様性をジャマした者。
     
  •  (気象業務法) 気象庁でもないのに勝手に警報を出した者。
     
  •  (公職選挙法) 制限に違反して選挙の街頭演説に関する立て札やポスターを掲示したり、街頭演説が終わったのになかなか撤去しない政党。
     
  •  (温泉法) 都道府県知事が、温泉の成分や注意事項などの表示内容を変更するよう命令したのに従わない者。
     
  •  (計量法) 「非法定計量単位」を使った計量器を販売目的で陳列したり、「非法定計量単位」を証明や取引に用いた者。
     
  •  (南極地域環境保護法) 環境大臣の確認を受けた南極活動地域へ、届出せずに勝手に立ち入った者。

 

 内閣が提出する予定の法案は、すべて「内閣法制局」というお役所のお目通しをさせられることになっています。 そのチェックした法案に不備があれば、担当官庁にすかさずツッコミを入れ、書きなおしを命じるといいます。

 というわけで、内閣法制局の皆さんは、自分たちがどれだけ高度で緻密な調整をしているかは、事あるたびに喧伝しておられます。 現に、内閣が提出して成立した法律に、違憲無効の最高裁判決が出たことはありません。 少なくとも、私が司法試験を受けていたころまでは。 最近の法令違憲判決はわかりませんけど。

 ただ、以上に並べた、日本国の法律上「50万円以下の罰金」とされている、それぞれの犯罪行為。 これらは姉歯氏のやってきたことと本当に釣り合うの? ……とも思えます。 また、これら相互間でも、なんとなくバランスを失しているような気がしないでもありません。
 「これで50万も取られるのか?」と思いたくなる構成要件もある一方で、「これが罰金で済むのか?」と、心配になってくるものもチラホラ。

 「刑事上は、この程度の扱いで済むのか」 ……そんな素朴な驚きは、もちろん、構造計算書の改ざん行為にも向けられるわけです。

 

 「姉歯が罰金では、国民が納得するまい」

 そこで訴追側は、懲役刑の設定された めぼしい罪名を探します。  ……詐欺か。なるほど。 しかし、本件は、従来から一般的に認識されているような詐欺のイメージとは違うようです。

 いや、固定観念にとらわれるな。 「詐欺」「懲役刑」という結論ありきで、柔らか頭で考えろ。 法理論を駆使するとともに、都合のいい事実関係を探し出せ。

 新たな事実関係を見いだすためにはどうするか?

 そんなもん、ヤツらを取り調べて吐かせりゃいいに決まっとるだろ。 愚問である。
 

 「世論が腑に落ちる結論」を目指して、懸命に詐欺罪での立件を目指す。 そんなふうに、国民の目を気にしているのは誰でしょう。 当然、警察や検察であるわけがございません。 それは、背後にいる政治家の先生たちですよね。

 大きな罪名で立件し、それをマスコミが大声で全国に伝えることで、国土交通省等の失政を覆い隠す目くらましにしようとしておる、と。 なかなか出来た作戦です。

 

<次回の更新につづく>

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 考える時間ほしさの、引き延ばし政策です

 

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 岩波新書ですので、やはり四角四面のマジメな中身なんですけどね。

 しかし、裁判官経験者の弁護士さんが、あえて本書で「なぜ誤判や冤罪が起こる?」と問う。その真意は。

 現状での支配的な裁判官像を、筆者は「ペーパー的優秀性」「働き蟻」「沈黙という名の保身」といった言葉で痛烈に批判します。 ただ、それは同時に、司法権の真ん中にいた時代のご自身をも叩いていることになりますよね。

 肉を斬らせて骨を断つ。 その覚悟あるご意見は、さすがに重みが違います。

 特に、ラストの『職業裁判官に対する十戒 ─ ささやかなる提言』は必読です。

裁判官はなぜ誤るのか
裁判官はなぜ誤るのか 秋山 賢三

おすすめ平均
stars良書です
stars冤罪が生まれる現場
stars刑事司法の理解を深めるために
stars第1章 裁判所と裁判官の生活
stars

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2006年3月10日 (金)

だって、なりたかったんだもん!

>>> 愛知でニセ建築士を逮捕…43歳男、無免許で設計

1級建築士の免許がないのに住宅の工事監理をしていたとして、愛知県警生活経済課と瑞穂署は7日、建築士法違反の疑いで、住所不定の貨物配送業、奈良村元久容疑者(43)を逮捕した。

奈良村容疑者は「これまで愛知と三重両県で計15棟の個人住宅の設計や工事監理にかかわった」と供述。「1級建築士になりたかったが、5、6回受験しても受からなかった」と話し、容疑を認めているという。奈良村容疑者は、昭和60年に大学の建築学科を卒業し、平成9年に事務所を開設。17年に閉鎖するまで、架空の建築士番号を使うなどして、建築確認申請や設計・監理をしていた。テレビ出演もしていたという。(サンケイスポーツ)

 なんでも地元では「カリスマ建築士」で通っていたらしいですね。建築士の協会にも加盟していたとのこと。どうやったんだろう……。それとも協会の審査がスカスカなのか?

 「5,6回受験しても受からなかった」「1級建築士になりたかった」……泣けます。泣かせます。心の叫びですよね。 私だって7回受験しても受からなかったしぃ、ムカつくから、なりすましちゃおっかなぁ。 だって、なりたかったもーん。弁護士ぃ。

 奈良村さんの手がけた物件で、後に「雨漏りがする」とのクレームが入り、それがきっかけで、本件の無免許が明らかになったんだとのこと。あーあ。

 資格試験の勉強って、続けているとだんだんバカらしくなってくるんですよね。「なんでこんな気持ち悪い出題のしかたをするんだよ」と、文句のひとつも言いたくなってくるわけです。
 ただ、それはやっぱりねぇ、ワナですよ。 なんだかんだで、国家試験というのは、ちゃんと受験者の才覚や能力を、的確に測定しているものなんですよ。悔しいですけどね。だって、現に雨漏りさせちゃったじゃないですか。

 昨年逮捕されて公判中の、東京 江戸川のニセ医者ですけれども、ちゃんと内科のお医者さんとして、患者さんからの評判も上々。診療や投薬だけでなく、縫合や抜糸なども、しっかりこなしていたそうです。ヤクルトスワローズのクラブハウスに出入りして、選手にニンニク注射などを施していたことも発覚して話題になりました。

 でも、この人、医師国家試験なんか受けたこともないんですよね。 中国かどこかの「伝統医学」みたいなものを大学で履修していたそうですが、在籍は確認できず、しかも「伝統医学」を勉強したところで、中国でも医者にはなれないんだと。

 なのに、見よう見まねでキッチリ結果を出してきたという……。ある患者さんは「難しい医学用語を使わずに、やさしい言葉で説明してくれた」と話していたそうですけど、ま、そりゃそうですよね。
 

 悲しいですねぇ、奈良村さん。 受験勉強、あんなに頑張ったのに ……って知りませんけど。

 個人的には、同じズルなら、浪人・挫折組の奈良村容疑者のほうに、つい同情を寄せてしまいますかねぇ。

 

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 昨年他界された法廷画家の第一人者、大橋さんによる著書。冒頭にカラーで掲載された法廷画は圧巻です。

 オウムの尊師からカレーの真須美さんまで。早稲田サークルの大学8年生から手鏡エコノミストまで。これはまさに“大物”被告人たちの想い出アルバム。少女買春裁判官の弾劾裁判といったマニアックな法廷もあまさず収録されています。

 TBSの専属画家という立場だからこそ、これだけ話題の裁判をすべて傍聴することもかなうわけですが、それでも大橋さんは、まず一般傍聴希望者の列に並ぶようにしていたそうです。

 法廷記録も、著者の価値観や思いがストレートにぶつけられており、読んでいて爽快です。

法廷絵師は見た!
法廷絵師は見た! 大橋 伸一

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2006年1月24日 (火)

ライブドア弁護団「最初の一手」

 皆さんご存じの通り、堀江前社長はじめ、ライブドア社の幹部4名が昨夜逮捕され、まもなく勾留手続きに切り替わります。「逮捕」から「勾留」と呼び名が変わっても、結局は東京拘置所の中に閉じこめていることには変わりありません。

 このニュースに対し、世論は「同情・がんばって派」と「爽快・ザマーミロ派」に、大きく二分されているようですね。私は、既存の価値観をひっかきまわすライブドアの勇気は大好きですし、何も価値を生み出さずに儲けようとするライブドアの姿勢は大嫌いです。

 氷点下の独居房で寝泊まり。広さは3畳といいますから、我が住まいの半分ということになります。この「ヒルズ貴族」たちの見事なまでの転落ぶりに「ザマーミロ派」はカタルシスを覚えるわけです。しかし、決して忘れてはならないのは、「逮捕・勾留は刑罰ではない」という厳然たる事実です。当たり前ですよね。判決が確定するまでは、彼らはあくまで「疑いを掛けられた者」にすぎません。東京地検に刑罰権があってたまるもんですか。

◆ 刑事訴訟法 第60条(勾留の要件)
 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一(※ひとつ)にあたるときは、これを勾留することができる。
  一  被告人が定まつた住居を有しないとき。
  二  被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  三  被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

 

 お分かりでしょうか。逮捕や勾留は、被疑者に対するオシオキではありません。以上の3つの条件にあてはまらなければ、身柄を拘束する必要なしとして、誰が何と言おうと釈放されるルールです。

 世間的には、逮捕・起訴・裁判がセットのように捉えられているかもしれません。しかし、あくまで無罪が推定されている身なのですから、本来は自由であるべきです。マスコミは犯人を決めつけなければ商売にならんのでしょうが、法律上は決めつけちゃマズいのです。

 あくまで、書類送検・在宅起訴が本来の姿で、逮捕は「証拠を隠すおそれ」「逃げるおそれ」などがある場合に、仕方なく行う例外的措置です。

 堀江さんは、六本木の家賃225万円の部屋にお住まいなのが明らかですし、すでに家宅捜索で物的証拠をゴッソリ持って行かれた後なので、罪証隠滅したくてもできない。どこかに逃げたくても、全国の子供からお年寄りにまで面が割れているのだから、逃亡しようがありません。勾留の要件は満たしませんね。

 とすれば、ライブドア弁護団が講ずるべき措置で、もっとも現実的なものとしてあがるのが「保釈請求」でしょう。保釈とは、被疑者が「取られたら痛いなぁ」と感じる額を裁判所が設定して、それを保証金として預かり、もし逃亡や証拠隠滅をしたら保証金を没収する、という条件で釈放する制度です。

 そのうち、裁判所が、堀江氏はじめ被疑者たちに要求する保釈保証金の額に注目が集まりそうです。いちおう「月収の3ヶ月ぶん」という結婚指輪の宣伝みたいな目安があるようですが、どうなりますやら。ちなみに、保釈保証金の日本記録は、住専事件がらみでの15億円とのこと。さて、ライブドアは日本一になれるのでしょうか。


(注)コメント欄でご指摘いただきましたが、まず保釈よりも先に「準抗告」で、逮捕・勾留に異議を申し立てることが考えられます。保釈は起訴された後(マスコミが「容疑者」から「被告」と言い換える頃)ですから、あと1ヶ月ぐらい先の話でしょうか。ウソを書いてすみませんでした。 ……でも、準抗告よりは保釈のほうが「現実的」なのは確かかも(見苦しいイイワケ)。



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2006年1月16日 (月)

平成18年 六本木ヒルズの変

 ライブドア家宅捜索関連のニュース(Googleニュース)

 ホリエモンの まばたきの回数がますます増えてしまいそうな、衝撃的で、でもライブドアらしいニュースが飛び込んでまいりましたねぇ。

 おととし、ライブドアの関連会社が、ある出版社を株式交換(※買収したい企業の株主たちから株式をもらって、代わりに自社の株式をあげること。当座の現金が無くても企業買収が可能になる便利な制度で、1999年商法改正で日本に導入)によって傘下に入れたと発表されたのですが、実際には、その半年も前に、出版社の株主へ現金を渡しており、すでに「事実上の買収」が行われていたようなのです。

 とすれば、その買収した時期をズラし、事実と異なる内容を発表したことになります。

◆ 証券取引法 第158条(風説の流布、偽計、暴行、脅迫等の禁止)
 何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくは有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。

◆ 証券取引法 第197条(罰則)
1 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 七 第157条、第158条、第159条第1項若しくは第2項(これらの規定を同条第4項及び第5項において準用する場合を含む。)又は同条第3項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

2 財産上の利益を得る目的で、前項第7号の罪を犯して有価証券等の相場を変動させ、又はくぎ付けし、固定し、若しくは安定させ、当該変動させ、又はくぎ付けし、固定し、若しくは安定させた相場により当該有価証券等に係る有価証券の売買その他の取引又は有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等を行つた者は、5年以下の懲役及び3000万円以下の罰金に処する。

 

 たしか、産業廃棄物を勝手に山奥へ捨てる行為が、懲役5年以下 罰金1000万円以下ですから、そのような環境破壊に匹敵するほど重大な犯罪だと位置づけられているようです。

 この風説流布罪は、ただ単にウソの事実を世間に流しただけでは足りません。 158条をごらんください。たとえば株式は、ここにいう「有価証券」にあてはまるのですが、風説流布罪成立のためには、ウソ情報をアナウンスすることによって、そういう株式取引などで得をしよう、誰かを儲けさせようとする「目的」も必要なのです。これを「目的犯」といいます。

 ライブドア側が「ウソ」を発表したとき、ホリエモンたちに、そのような利益を得ようとする「目的」があったのかどうか、当時の心理状態を直接証明するのは極めて難しいことです。なので、物的証拠や証人などを集めて、客観的事実をもとに「目的」があったのかどうかを類推する作業が必要となるのです。おそらく、そのための家宅捜索なのだろうと思われます。

 ニュースによると「現金を渡していた」とは言ってますが、そのときに株券と引き替えにされたということは報じられていませんね。だとすれば、ライブドア側は、まだその出版社の新株主にはなっていなかった。簡単にいえば、「会社を“先払い”で買おうとした」ということになるのでしょうか……?

 民法の原則では、売り手の「売りたい」という気持ちと、買い手の「買いたい」という気持ちが合致した瞬間、早々に売買契約が成立し、商品の所有権も買い手に移ってしまいます。商品を実際に手渡すことも、現金を払うことも契約成立・所有権移転のためには不要です。
 ただし、株式は、ちょっと例外的な扱いになっています。

◆ 会社法 第128条(※現行)
1 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。(以下略)

◆ 商法 第205条(※2004年当時)
1 株式を譲渡すには株券を交付することを要す

 つまり、ライブドア側が出版社の株主となるには、つまり、出版社の持ち主としての地位を引き継ぎ、買収が完了するには、株主に現金を渡しただけでは足りず、株券を彼らから譲り受けることが必要なのです。(もっとも、「われわれライブドアグループが新しい株主だ」と出版社側に主張するためには、株主名簿の書き換えも求められますが)

 だから、少なくとも法律上、まだ買収は終わっていなかった。これはライブドア側の反論のひとつとしては成り立ちそうです。ただ、相手方企業の株主に現金を渡しているということは、「これから、この会社を買うぜぇ。そこんとこヨロシク」というアピールには違いないでしょう。それが「事実上」というキーワードが示す意味だと考えられます。
 まさか、ライブドアが恵まれない株主に愛の手を差し伸べたわけではなかろうと思いますから。そもそも、タダであげたんなら贈与税かかるでしょうし。

 私は証券取引法やM&Aに関しては、まるっきり素人でして、以上に書いたことは、あくまで基礎的な法律論から導いた推測にすぎません。間違いがありましたら、遠慮なくご指摘ください。私まで「風説の流布」をしていたら困りますから。

 そもそも、水面下で実質的な買収が進んでいた事実をあえて隠すことによって、株式相場にはどんな影響が出てくるんでしょうか。ライブドアになにか得があるんでしょうか。なかなかイメージが持ちにくいところではあります。

 むしろ、ライブドア得意の忍法「株式分身の術」など、風説流布以外の要因が複合的にからむことによって株価が高騰したようにも思えます。なので、この強制捜査は、ヒルズ住人の虚業体質にメスを入れる点で歓迎したい一方、なんとなく違和感もあるんです。

 昨年騒がれた、ライブドア社によるニッポン放送株の大量取得ですが、あれも「法律上」と「事実上」の食い違いが争点でした。法の抜け道を見つけたければ、そういう「法律と現実のズレ」を意識的に観察していくのが基本中の基本です。

 株式をたくさん買い付けるときは、不平等な結果にならないよう、みんなに公開しながら行うことになっています。これを株式公開買い付け(TOB)と呼びます。ニッポン放送との主従関係を逆転させるために、証券取引法にのっとり、同社の株式をオープンに買い付けていた最中だったフジテレビ。
 しかし、ホリエモンはTOB期間中、朝ちょっと早起きして、午前9時より前に、東京証券取引所の時間外買い付けシステム(トストネット1)をコンピュータ上で行い、数百億円を注ぎ込んでニッポン放送株を大量取得しました。

 トストネットは、株主ひとりひとりと交渉して契約を結ぶわけではなく、公共の株式市場を介して行われる取り引きには違いありません。ただ、「時間外」にコソッと買い付けたという印象は否定できず、当時、世間の非難を浴びました。
 たしかに、法律上はギリギリセーフなのかもしれませんが、証券取引法の立法趣旨に反していた。つまり、このTOB制度をつくった人たちの「フェアで気持ちのいい資本主義社会を実現させたい」という願い・祈りに背く行為だったのではないでしょうか。
 



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2005年11月 9日 (水)

相手との気持ちが合わなければ、契約は成立しない

>>> “ワンクリック詐欺”容疑で、ネット犯罪ジャーナリストを逮捕

 岩手県警察は7日、“ワンクリック詐欺”で現金を騙し取ったとして、東京都中野区のインターネットジャーナリストの男性(35歳)ら5人を詐欺の疑いで同日までに逮捕したと発表した。

 男性は、「事件簿ネット」というサイトを運営。インターネット関連事件を取材してレポートしていたほか、被害者からの相談も受け付けていた。インターネット犯罪の専門家としてテレビや新聞、雑誌などに多数出演・執筆するとともに、「インターネット犯罪 だます人・だまされる人」「ケータイトラブル完全撃退マニュアル」などの著書もある。国民生活センターが発行する月刊誌にも「ネット社会の落とし穴」という連載を持っていた。(インターネット・ウォッチ)2005/11/08

 なるほど。詐欺の被害者だけでなく、世間までをも欺いた正義ぶりっこ。 こいつは罪深いですねぇ。

 被疑者は、犯罪の被害相談も受け付けていたとのことですが、ひょっとしたら、だまされた被害者たちは、あろうことか犯人自身に事件解決の相談を持ちかけていたのかもしれませんよ。自分が放った火を自分で消す。マッチポンプ以外の何物でもない、不毛なスパイラルです。

 「インターネット関連事件を取材して……」といいますけど、誰のどんな事件を取材したんだか。そんなもん、貴様の実体験レポートなんじゃないのか?


 本日の「とくダネ」(フジ系8:00-)では、「それでは“ワンクリック詐欺”とは、どんな犯罪なのか。容疑者ご本人に解説していただきましょう」と、過去のインタビューVTRを流していました。あの構成は良かったです。素晴らしく皮肉っぽくて。

 どうでもいいですけど、物書きの中でも「ジャーナリスト」を名乗りたがる人って、異常に多いですよね。まぁ、響きがカッチョイイのは認めますけどね。それだけですけど。

 

岩手県警の調べによると、5人は共謀して虚偽の携帯電話向けサイトを開設した上で、2004年11月16日ごろ、同サイトへのリンクを記載したショートメールを携帯電話会社を装って神奈川県内の女性(33歳)に送信。リンク先のページには有料の利用契約が表示されるようになっており、このページにアクセスした女性に対して「登録料×万円が未納です。支払わなければ裁判にします」といった内容のメールを送信し、銀行口座に現金を振り込ませて騙し取った疑いが持たれている。(インターネット・ウォッチ)同上


 困りましたねぇ。昨年、架空請求詐欺を「振り込め詐欺」と命名して以来、警察庁は「口座にカネを振り込め、などという申し出は、まず疑ってかかれ!」と庶民を懸命に啓蒙してきたわけです。が、被害者が架空請求詐欺だと気づかずに、こちらに支払い義務があるものと勘違いしてしまえば、そんな警告も空しく響くばかりであります。

 アダルトや出会い系サイトなどの宣伝メールに書かれたURLを、なんとなくクリックしてしまった後ろめたさに加え、「裁判」という面倒くさそうな脅し文句も手伝って、つい向こうの言い値を振り込んでしまうんでしょうか。

 よろしいですか。迷惑メールに書かれてあるサイトを訪問しただけで、なんらかの契約が成立するなんてことは、ありえません。仮にあるとすれば、2クリック以上の操作があった場合でしょうかね。
 
 

◆ 電子消費者契約に関する民法特例法

 第2条(定義)
1 この法律において「電子消費者契約」とは、消費者と事業者との間で電磁的方法により電子計算機の映像面を介して締結される契約であって、事業者又はその委託を受けた者が当該映像面に表示する手続に従って消費者がその使用する電子計算機を用いて送信することによってその申込み又はその承諾の意思表示を行うものをいう。
2 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいい、「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3 この法律において「電磁的方法」とは、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。

 第3条(電子消費者契約に関する民法の特例)
 民法第95条ただし書(※意思表示をしたことに重大な落ち度があった場合、その人から「やっぱり勘違いでした」とは主張できない)の規定は、消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について、その電子消費者契約の要素に錯誤(※内容の主要部分に重大な勘違い)があった場合であって、当該錯誤が次のいずれかに該当するときは、適用しない。
 ただし、当該電子消費者契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。以下同じ。)が、当該申込み又はその承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでない。
(※以下略)
 
 

 なんだかややこしくて、できれば読みたくない文面(実際、ややこしいです)の条文ですけれども、要は、「ネット上で契約を成立させたかったら、契約を成立させてよいかどうか、その確認画面を相手方のために用意しろ」ということです。

 そもそも、契約とは何か。契約とは「(法律上のことがらで)自分と相手との気持ちが合わさった状態」です。

 たとえば、コンビニの売場に在庫の食パンが置かれた、という事実をもって、そのコンビニにおいて「この食パンを売ります」という気持ちが表れているわけです。そして、客がその食パンを欲しくてレジに持っていけば、この時点で売買契約が成立します。この場合、お金を払うどころか、声を交わすことすら、契約締結のためには必要ありません。
 それは、ヒゲ面の店長の「売りたい」という熱い気持ちと、ヒゲ面のあなたの「買いたい」という気持ちが、お互いの間で通じ合い、重なり合い、渾然一体となっておるからです。……気持ち悪いですか? そこは少しガマンしてください。

 もし、あなたが「やっぱり食パンやめた。イチゴ大福にしよう」という気まぐれを出せば、その瞬間、いったん成立した契約が合意解除(あるいは契約の錯誤無効)され、イチゴ大福の新しい売買契約が締結されたことになります。小売店ではよくある場面ですが、法律上はちょっと面倒なことになっているというわけです。

 一方で、このクリック詐欺。メールを受け取った側には、冷やかしでサイトを訪問してみる気持ちしかないのに、いきなり一方的に「有料契約が締結されています」と言われてしまっている。このスカスカした気持ちのすれ違い。一体、どこに契約が成立する余地があるというのでしょう。まるで、1回一緒にメシを食いに行っただけで「オレの女」扱いするパッパラパー野郎を見ているようです。

 架空請求の通知が来ても「無視するのが一番」というのは、そういうことです。法律上、なんらの関係も生まれていないのに、そんな無関係の人間にカネを払わにゃいかん義理など、どこにもありゃしません。なのにカネが動いたのだとしたら、それは民法上の「不当利得」ですので、ただちに利息を付けて返還する義務が生じます。
 

 社会科の公民で、中学生たちに三権分立やら戦争放棄といった抽象理念を吹き込むのも結構かもしれませんが、むしろ、「契約とは何か」とか「クーリングオフの使い方」「連帯保証って、何がどういうふうに恐ろしいのか」などを義務教育の段階で教えておくのも有意義だと思います。

 だって、そういった知識のほうが、よっぽど大事でしょ? そんな実践的な法律教育をカリキュラムに組み込むことに、なにか障害でもあるのでしょうか。

インターネットよろず法律相談所
4839918759牧野 二郎 吉岡 祥子 酒井 広志


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2005年11月 5日 (土)

泥棒たちの「ジャイアン的発想」

>>> 110番通報を切ったつもりの強盗が御用 (茨城)

 石岡署は4日、千葉県松戸市、パチンコ店店員(29)を強盗の現行犯で逮捕した。

 調べでは、容疑者は午前7時15分ごろ、石岡市の無職女性(47)方に玄関の鍵を開けて侵入、居間にいた女性の首を締めつけ、「財布はどこにあるんだ」と脅し、財布から3万9000円とコードレス電話の子機(3000円相当)を奪った。

 侵入に気づいた女性が子機で110番通報。馬乗りで押さえつけられ、「助けて」と叫んだだけで会話は途切れた。容疑者は子機を奪ったが回線は維持されており、異状を感じた県警本部からの指令で署員が7分後に到着し、玄関から逃走しようとしていた容疑者を取り押さえた。調べに、容疑者は「人がいるとは思わなかった」などと話しているという。

 県警通信指令課では「110番通報すると、電話帳に住所が載っていれば表示される。かけた側が切っても回線は維持されるので、緊急の時は迷わずかけて欲しい」と話している。(読売新聞)2005/11/05


 初めは窃盗のつもりだったが、被害者に見つかってしまったので手をかけて、その後も盗みを継続しています。「居直り強盗」ってヤツです。

 「電話を切っても回線が維持される」などと言われても、一体どういうことなのか、文系の人間にはピンと来ませんが、とにかくスゴいシステムのようです。民間警備会社と契約していない庶民も、緊急時には迷わず110番を。

 逆に採れば、警察にイタズラ電話をかけて、すぐに切ったとしても、あっさり身元は割れるということですよね。お気を付けくださいまし。
 

◆ 刑法 第236条(強盗)
1 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役(※20年以下)に処する。
 
 

 では、ここでクエスチョンです。本件で、犯人の暴行や脅迫によって被害者女性が奪われた「財物」は、現金と電話の子機ということになりますが、その両方につき強盗罪が成立するのでしょうか。

 これは、犯人に「不法領得の意思」があったのかどうか、という問題になります。「不