
>>> 「本当に勝ったんだ」 笑顔広がる報告集会
「布川事件」(※[管理人注] 1967年 茨城 62歳の大工が殺害された強盗殺人事件)の再審開始決定(※[管理人注]水戸地裁土浦支部 彦坂孝孔裁判長)を受け、桜井昌司さん(58)と杉山卓男さん(59)=いずれも無期懲役が確定、仮釈放=と弁護団が21日午後、茨城県土浦市の文化施設で報告集会を開いた。
集会には支援者ら約130人が参加。はじめに、2人の支援を続けながら亡くなった弁護士らに黙とうをささげた。
桜井さんは「皆さんが喜んでくれたことが私の喜び。皆さんの力添えがなければ途中で挫折していた」と笑顔であいさつ。杉山さんは「決定が出た時は夢の中だったが、女房からメールが来て本当に勝ったんだと思った」と喜びをかみしめた。
中田直人弁護士は「一つの闘いが勝ち取った勝利への第一歩」と話した。各地から訪れた支援者からも「うれしい」「素晴らしい決定」と喜びの声が上がった。(共同通信) - 9月21日
再審、つまりすでに判決が確定してしまっている裁判のやり直しです。まだ、「これから裁判をやり直します」と決まっただけの段階ですが、無期懲役以上が確定した日本の刑事裁判で再審がなされた場合に、今まで逆転無罪判決が出されなかった例はございません。なので、このように結論を先取りした、事実上の「勝利宣言」となったのでしょう。
おふたりの当事者のうち、杉山さんは仮釈放後にご結婚、たしかお子さんもいらっしゃったと思いますが(違ってたらすみません)、ここでも「人生のやり直し」も果たそうとしておられます。
>>>再審決定への異議に反論 毒ぶどう酒事件で弁護団
三重県名張市で1961年、ぶどう酒に農薬が混入され女性5人が死亡した名張毒ぶどう酒事件で、死刑が確定した奥西勝元被告(79)の弁護団は15日、再審開始決定(※[管理人注]今年4月5日 名古屋高裁 小出■一裁判長…■は金へんに"享")に異議を申し立てた名古屋高検の主張に反論する意見書を名古屋高裁に提出した。弁護側は「検察側の異議は抽象的で再審開始決定を曲解した」と批判した。
再審開始決定が、死刑判決を覆す新証拠と認めた弁護側のぶどう酒瓶の複製を使った開栓実験について、検察側は「証拠物と条件が異なる可能性が高く、再現の正確性に疑問がある」などと異議を唱えたが、弁護側は新たに事件当時と同じ封印から71日目の条件を設定した実験を実施。「(検察側の主張は)いかなる観点からも理由がない」と反論した。(共同通信) - 9月15日
この毒ぶどう酒事件判決に関する再審までにも、おそろしいほどの時間がかかっています。確定判決を覆すことに対して、慎重に慎重を期したい裁判所の気持ちはわかりますが、生存中に名誉回復の叶わなかった無辜の受刑者が続出している事実も直視する必要があります。
ここで勘違いしてはならないのは、「自白をただ鵜呑みにするような、こんな誤審は前時代的な裁判が行われていたせいで起こったのだ。あぁ、お気の毒に」というわけではない、ということです。
弁護人の監視すらなく、密室で行われる取り調べ。その密室で、検察官が被疑者の供述を書きとめた文書の内容を、裁判官は自動的に信用して遠慮なしにバンバン証拠採用していきます。そんな「伝聞例外」という名の原則的取り扱いも含め、誤審の温床ともなりかねない刑事手続の仕組みそのものは、40年前と何も変わっていません。つまり、「無罪の推定」「疑わしきは被告人の利益に」というのは、今も昔も、司法試験の論文で答案の点数を上げてくれる便利な呪文、という意味合いのほうが色濃いのです。
「人が、今日という日を過ごせたのは、確率が高いだけの偶然にすぎない」という言葉があります。私は明日、クルマに轢かれて、独身のままあの世へ旅立つかもしれません。明日の朝に乗る予定の電車がカーブで脱線して、その犠牲になるかもしれません。また、私は明日、目撃者なき強盗殺人事件のぬれぎぬを着せられて逮捕されるかもしれません。「こやつには、アリバイはあるが金はない。金銭目的の凶行に及ぶ動機は十分だ」と決めつけられれば、刑事訴訟の適正手続きに乗せられて、いずれ死刑判決を受けるでしょう。
人間が社会的な存在として生きる以上は、その社会から生じるリスクも引き受けなければなりませんね。もちろん司法も、そういったリスクのひとつなのです。
◆ 日本国憲法 第38条(自白の証拠能力・証明力)
1 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
◆ 日本国憲法 第40条(刑事補償)
何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
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