2012年6月 9日 (土)

仙台市太白区長嶺

201206090958000

 仙台からの帰り道にたまたま見つけたバス停なんですけど、こういう地名があると、仙台に(私だけ)親しみが持てますね。

 日頃から「長嶺さんって、沖縄の人ですか?」と、よく尋ねられます。 「○嶺」という苗字は沖縄に多いようですし。

 でも、以前も書きましたが、沖縄に親戚はいませんし、32歳の頃にようやく初めて沖縄に上陸したぐらいのもので。

 ゴーヤは好きですけどね。

 熊本市内にも長嶺町というところがあり、小学校時分には友人らから、よくイジられたもんです。

 で、仙台にも「長嶺」を発見したということで、写メをパシャリ。

 

 うちのおふくろは、佐竹という旧姓でして、その昔、今でいう茨城とか秋田にいた大名、佐竹氏の遠い末裔なのだと、事あるごとに言っていたもんです。

 家系図的なものは見せてもらったことないのですが、とにかく遠い遠い末裔なのだと。

 なんで佐竹氏の末裔が九州の端っこである長崎・平戸で生まれ育ったのやら、よくわからんのですが……。 よっぽど遠いんでしょうかね。

 でも、「長嶺」という地名が仙台にあることがわかり、東北地方とのほのかな結びつきを感じます。
 東北の人の温かさって、なんとなく九州の人間のそれに近い気がするので。

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2011年2月 1日 (火)

みんなが忘れたころに「タイガーマスク」登場

>>> 無効票に「タイガーマスク」 知事選と甲府市長開票

 30日投開票された知事選と甲府市長選で、複数の市町村選管の開票作業で「タイガーマスク」やタイガーマスクの主人公「伊達直人」と書かれた無効票が複数あったことが、同日分かった。全国各地の児童養護施設などにランドセルなどの贈り物が届いた「タイガーマスク現象」に共感した有権者の行動との見方もある。(2011年01月31日(月) 山梨日日新聞)

 ((参考記事))
 私の知らない 疑問票の世界 (2006/11/13)
  
 

 一時期はすごい勢いで全国に広がっていった「タイガーマスク運動」ですが、あまりに広がりすぎて、毎日ありふれた出来事になってしまうと、ニュース価値が無くなる。マスメディアが取り上げなくなる。運動そのものも下火になる…… という悪循環におちいってしまうのが残念です。

 経済的に余裕のある人、情に篤い人が寄付をすることを、責めたてる筋合いは誰にもありません。なのに、身銭を切って寄付をすると、「偽善」だの「売名行為」だの「ええかっこしい」だの、心無いことを言われてしまう世の中です。

 そこで勇気を出して、身寄りのない子供たちへの手助けに一歩踏み出す「覆面」として、世の篤志家たちは、タイガーマスク・伊達直人の名を借りるのでしょう。

 ただ、投票用紙に「タイガーマスク」「伊達直人」と書くのは……?

 いや、熱い思いが託されているのは、わかりますよ。

 それはわかるんですが、熱い思いの方向性が、いまいちよくわかりません。 「誰でもいいから、山梨を救う正義の味方、出て来いや!」ってなことでしょうか。

 
 

◆ 公職選挙法 第68条(無効投票)
 衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙の投票については、次の各号のいずれかに該当するものは、無効とする。
  2. 公職の候補者でない者[※中略]の氏名を記載したもの

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2010年10月20日 (水)

京都弁護士会が生んだ、「地デジカ」の対抗キャラ

 昨晩、とあるシンポジウムに行ってきました。

Photo

 

 各界の著名な方々が、ステージ上にも観客席にも勢揃い。

 今回の「凛の会事件」無罪判決の裏話や、オーストラリアにおける「取り調べの可視化(録音録画)」の現状など、とても興味深い話をたくさん聞けたんですが……

 そんな難しい話はともかく、

 

Photo_2

 

 出た カシカシカ

 

 地デジカは、目的を達成する2011年7月に「お役御免」で「サヨウナラ」となるでしょうけど、

 カシカシカが目的を達成してお役御免となる日など、果たして来るんだろうか……?

 
 

 ん? なんだい、カシカシカくん?

 
 カシカシカ 「まずは『自分で可視化』してみることから始めてみよう! ちょっと前に話題になったよね。 大阪府警の警官が取調べ室で、被疑者に暴言吐いたり頭叩いたり脅迫したりしてた音声が、ボイスレコーダーに残ってたやつ。 あれ、カシカシカもニュースで聞いてて、す~んげぇ怖かったんだ。 だけど、警察や検察には結構なプレッシャーになった。 だからさ、逮捕された後だと難しいけど、もし、重要参考人としてとか任意同行とかで取り調べを受けるときは、ダメモトでボイスレコーダーを持って行ってみようね。 動かぬデジタル記録が、君をきっと助けてくれるよ」

 

 

 ちなみに、カシカシカの独り言 「ないな、可視化しかないな」は、逆さから読んでも同じだそうです。なるほど。

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2010年3月31日 (水)

全国で唯一、「コンドーム販売規制」を続ける長崎県

◆ 長崎県 少年保護育成条例 第9条 (自動販売機等による販売等の自主規制)
2 避妊用品自動販売機業者及び避妊用品に係る自動販売機管理責任者(以下「避妊用品自動販売機業者等」という。)並びに自動販売機によらず避妊用品を販売することを業とする者は、避妊用品を少年に販売し、又は贈与しないように努めるものとする

◆ 長崎県 少年保護育成条例 第10条 (自動販売機等による販売等の制限)
3 避妊用品自動販売機業者等は、当該自動販売機を常時監視できる屋内に設置し、かつ、屋外から購入できないような措置をとらなければならない。ただし、自動販売機が法令により少年の立入りが禁止されている場所に設置されている場合又は少年が自動販売機から購入することができない措置が講じられている場合は、この限りでない。

 9条2項のほうは、コンドームなどを18歳に満たない子どもに販売しないよう努めるという「自主規制」を定めています。

 10条3項では、コンドームなどの自販機を屋外に置いちゃいけないと定めています。
 こちらは、違反した業者に最高30万円の罰金刑も。

 

 それにしても、

 「明るい家族計画」って何だろう?

 ……と、小学生のうちは誰しも疑問に思うものです。

 私も小学校低学年のときに、テレビCMを観ながら

 「ロリエって、どうやって使うと?」

 ……と母親に尋ねて、「なんて説明すればよかっちゃろね~~」と困らせた記憶があります。

 

 その後、耳年増となる思春期にいろんな情報を仕入れるうち、ふとしたタイミングで、あらゆる記憶がつながり、全ての真相に気づく。

 そうしてみんな大人になっていくのでしょう。

 

 この程度の違和感については、みな各自で勝手に真相を学びながら、折り合いを付けていけるのです。

 「明るい家族計画」の自販機が、青少年の健全育成の観点から、何の問題があるというのか。

 むしろ、避妊するだけマトモじゃないのか?

 本当に愛し合っている男女なら。

 いや、仮に愛し合ってなくてもだ。(←語弊あり?)

 

 婚前交渉を連想させる避妊具を青少年に買わせるなど言語道断、という教育委員会の発想が背後にあるとすれば、その発想自体、すでに時代に沿うものではなくなっています。

 むしろ、HIVなどに代表される性感染症の心配もありますしね。 むしろ「やるなら付けろ」と推奨するのがスジです。

 

 ホントに長崎だけは、コンドームの自販機が道ばたに置いてないんですかね。 今度、気にしながら街を歩いてみようかな。

 私は長崎県の出身で、本籍地も長崎県内。 親戚も多い地ですが、3歳からは親の転勤で熊本県へ引っ越しているので、あんまり深い想い出がないんですよね。長崎に。

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2010年3月11日 (木)

竹富島の文化景勝 vs リゾート界のカリスマ

 先日、沖縄の竹富島出身の司法試験(旧)受験生と知り合いました。

 本試験は5月なのに、こんな時期に酒飲んでて大丈夫なのかい?

 と、初対面ながら余計な心配をしましたが、そんな些細なことより、彼には力強く訴えたいことがありました。

 地元住民が自主的に観光事業に力を入れてきた竹富島が、ここにきて、大規模なリゾート開発の波に呑み込まれようとしているのだと!

 なのに、開発者サイドは、質問状を何度も送っているにもかかわらず、返答すらない。

 なんと不埒な悪行三昧。

 リゾート開発は是か非か、住民投票を実施し、民意を問うべきだ!

 そう言って、彼は、数十枚にわたるリポートを私に手渡してくれました。

 

 20100311005202

 

 熱心だなぁ。 いつも持ち歩いてるんでしょうかね。

 その竹富島のリゾート開発予定地を管理運営しようとしているのが、いろんなドキュメント番組でおなじみ、星野リゾートだそうです。

 今話題のゴールデンウィーク分散化法案に賛同したり、喫煙者は従業員として採用されなかったり……
 その程度しか私にはイメージが湧かない企業ですが、この星野リゾートが大金にモノを言わせて、われわれが後生に伝え継ぐべき文化景勝を破壊しようとしている! というのです。

 星野リゾートは、開発者ではなく、リゾート地が完成した後の運営担当事業者ですから、今の段階で何らかのアクションを起こされても困るのかもしれませんが……。

 何もやましいことがないなら、星野リゾート側も一方的な説明会を開くだけでなく、双方向の意思疎通が前提の話し合いに応じてもいいですよね。

 

 ↓ 竹富島のリゾート開発に警鐘を鳴らしているサイト
 Photo

 

 住民票ひとつ取るにも、船に乗って石垣島まで行かなければならない、不便極まりない竹富島。

 しかし、彼はその竹富島を心から愛しているのです。

 私だって田舎モノの九州人。

 とはいえ、故郷の熊本や福岡すら、現在、子どもの頃に見た街の風景なんか、ほとんど消えてなくなっています。 激変しています。

 あのドブ川、埋め立てられたんかなぁ……。

 小5のとき、初めて500円を貯金した郵便局が移転したなぁ。

 ウワ、こんなトコにホームセンターができとる……。 電器屋も。

 そうした変化も期待半分(違和感半分)で受け入れ、それなりに便利さに慣れ親しんだ私だと、「新しいリゾート地が新しい観光客を呼んでくれるんなら、それを狡猾に利用してやればいいじゃないか」と単純に考えてしまいますが、

 それでも、竹富の民には「島はかけがえのない遺産だ」「我々が守るのだ」という誇りがあるようです。

 もっとも、竹富島は「西表石垣国立公園」の中に含まれるということですしね。 熊本平野みたいなありふれた場所とは違います。

 司法試験に最終合格して、法律家として具体的な力を掌握したほうが、愛する故郷のためにも動きやすいと思いますので、彼にはぜひ頑張っていただきたいと願います。

 
 

【 おしらせ 】

 よみうりテレビ 『 かんさい情報ネット ten! 』 の、本日の放送分で、拙著『47都道府県 これマジ!?条例集』(幻冬舎新書)を紹介していただける運びとなりました。

 残念ながら私は視聴できませんが、可視聴エリア(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)←結構広いですね…! にお住まいの方は、ぜひ両眼の網膜に焼き付けてください。

 17時25分から5分間ぐらいだそうですよ。

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2009年10月28日 (水)

世界初! ペットボトル禁止条例

 オーストラリア・シドニー(Sydney)南部の町バンダヌーン(Bundanoon)で26日、ペットボトル入り飲料水の販売禁止条例が施行され、店頭から一斉にペットボトル水が撤去された。

 施行初日を記念して数百人が町中を行進したほか、町の各所に設置された公共の水飲み場も公開された。店ではペットボトルの代わりに繰り返し利用できるボトルを販売。住民は店内の給水用蛇口や路上に設置された給水所で、自由に水を補充できる仕組みだ。こうした試みは世界初とみられる。

 バンダヌーンでは7月、住民投票でペットボトル入り飲料水の販売禁止を決めていた。(2009年9月28日 (c)AFP


 

 人口2000人の小さな街だから可能な、あくまで例外的な規制なのか。

 それとも、

 10年先、20年先の近未来の世界情勢を見越した、先見の明に長けた条例なのか。

 

 重くて割れやすい「瓶」という従来の容器に代わり、

 その弱点を克服したペットボトルが爆発的に普及したのは、きっと必然的な出来事だったのでしょう。

 たしかに便利です。

 今年で34歳の私など、まさに瓶からペットボトルへの移行期に沿って、生まれ育ったようなものですし。

 

 しかし、ペットボトルは「使い捨て」「石油が原料」「捨て方が、ようわからん(結局、ラベルは剥がすの? 剥がさないの?)」ということで……

 環境保護の「敵」として扱われてきたことも事実でしょう。 (ちょっと大げさ?)

 ペットボトルの再利用といっても、色とりどりのフリースを展開するのを材料面で後押しし、ユニクロが全国進出するのに貢献したほどのこと。

 使い捨てのペットボトルに代わって、繰り返し何度も使いたおす「リターナブル・ボトル」が注目を集めていますが、これはこれで洗浄時や輸送時に余計なエネルギーや環境負荷を要するというワケで……

 八方ふさがりですな。

 
 

◆ 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法) 第1条(目的)
 この法律は、容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及びこれにより得られた分別基準適合物の再商品化を促進するための措置を講ずること等により、一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じて、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

◆ 容器包装リサイクル法 第11条 (特定容器利用事業者の再商品化義務)
1 特定容器利用事業者は、毎年度、主務省令で定めるところにより、その事業において用いる特定容器(第十八条第一項の認定に係る特定容器及び本邦から輸出される商品に係る特定容器を除く。次項第二号ロを除き、以下この条において同じ。)が属する容器包装区分に係る特定分別基準適合物について、再商品化義務量の再商品化をしなければならない。

 
 

 ちなみに、この容器包装リサイクル法でいう「特定容器」のなかには、もちろんペットボトルも含まれます。 ほとんど、ペットボトルのリサイクルを推進するのが目的で作られたような法律ですからね。

 

 

◆ 容器包装リサイクル法 第2条(定義)
2  この法律において「特定容器」とは、容器包装のうち、商品の容器(商品の容器自体が有償である場合を含む。)であるものとして主務省令で定めるものをいう。

◆ 容器包装リサイクル法施行規則 第1条(特定容器)
 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律 (平成七年法律第百十二号。以下「法」という。)第二条第二項 の主務省令で定めるものは、別表第一に掲げる商品の容器とする。

別表第一
 七     商品の容器のうち、主としてポリエチレンテレフタレート製のものであって次に掲げるもののうち、飲料、しょうゆその他主務大臣が定める商品を充てんするためのもの
 (一) 瓶
 (二) (一)に掲げるものに準ずる構造、形状等を有する容器

 
 
 

 そして、ペットボトルの普及とともに、ミネラルウォーターが市販される動きも加速していき、今では当たり前のようになっています。

 ミネラルウォーターは、大半がペットボトルに入れて売られていますよね。 紙パックや缶に入ったミネラルウォーターなんて、聞いたことない。

 だから、ミネラルウォーターとペットボトル、両者は運命共同体なのかもしれません。

 私が最初にミネラルウォーターを、スーパーマーケットの店頭で見かけた(存在に気づいた)のは、たしか小学高学年ぐらいのころかなと思いますが、ハッキリ言って、意味がわかりませんでした。

 「わざわざ、水を買って持って帰る人がいるのか?」と。

 水道水が100%地下水でまかなわれている熊本市で育ったからかもしれませんが、飲み水は水道から汲めば十分だったのです。

 しかし、今では風呂のお湯までミネラルウォーターだという家庭が一部にあるそうで、ビックリですよね。 そんなもん、都市伝説だと信じたいです。

 ただ、水道水がミネラルウォーターである熊本市にいたころは、知らないうちに、そういう家庭と同じことをしていたんだなぁと、水問題では極めて恵まれた境遇にいた自分の子供時代にビックリ仰天させられます。

 

 

 日本国内だって、公害対策、環境アセスメント、犯罪被害者保護、個人情報保護、情報公開、ストーカー規制など、今では当然のように国の法律で規制されているカテゴリも、

 最初は、地方の一自治体がチャレンジングな規制条例を設けたことから始まったのです。

 そういうことを、来月末に刊行される次回作『47都道府県 これマジ!?条例集』(幻冬舎新書)でも書かせていただいています。

 中央政府を拠点に全国へ規制を及ぼすだけでなく、いわば、国内で「ボトムアップ」的に、新しい政策が広がっていく可能性が見えてきますね。

 もちろん、このオーストラリアの小さな街で産声を上げた「ペットボトル禁止」という条例も、全世界に広がっていくだけの潜在性は秘めていると思います。

 既存のペットボトル製造業者はどういう手を打つのか?

 これから、ペットボトルに代わるどんな素材の容器が開発されるのか?

 私は缶コーヒーでも飲みながら見守っていこうと思います。

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2006年3月27日 (月)

買えば、嫁がもらえます?

>>> 「これを買えば嫁がもらえる」・・ふとん店に業務改善指示-秋田
 「息子さんの嫁を世話します」「この帯を買えば嫁がもらえる」―。 嫁や婿の世話を口実に「縁結びの帯」と称し、訪問着や帯などを売りつけたとして、県は24日、由利本荘市、「塚本ふとん店」に対し、特定商取引法に基づく行政処分(業務改善の指示)を行った。同法に基づく行政処分は県内で2件目。(秋田魁新聞)2006/03/24

 本当にこのふとん店が、オマケといいますか、アフターサービスといいますか、商品の付加価値として「お見合いの仲介」までしてくれるというんであれば、そのこと自体に違法性はないと思われます。 どんな内容の契約を結ぼうが、自由であるのが原則ですから。

 多少値が張ろうが、商品にお見合いという特典が付いて、それでお相手を見繕ってくれるんなら、実質的には格安です。良心的な業者ですよ。 結婚相談所や紹介所などだと、ちゃんとしたところなら年会費で何十万円か取られるというご時世ですから。

 いいじゃないですか。テンション上がるじゃないですか。 紹介してくださいよ、素敵な秋田小町を。

  50歳代の女性は、娘の婿欲しさに一度着物を購入。実際に男性を紹介され、店からは「相手も来る気になった」などと言われ続けた。見合いまでに計121万円の着物などを買ったが、男性からは結局年齢差を理由に断わられたという。見合い相手との年の差が10歳以上だったり、「相手が体調を崩した」と中止になったりしたケースが多く、被害は数十件とみられる。

 県は「嫁不足、婿不足という地域事情と親の心情に乗じて違法な勧誘を繰り返し、悪質」として、業者名公表に踏み切った。(読売新聞)

 この記事を読むだけだと、「嫁不足・婿不足」という過酷な状況の中、なんとかお相手を探してきたけれども、結果として縁が無かった……という可能性も残るように思えてきます。

 県によると、塚本代表(83)の妻(80)らは2002年1月~05年11月、未婚の息子や娘がいることを知ったうえで、同市内の50~80歳代の男女6人の自宅を訪れ、着物など計約270万円を販売。(読売新聞)

 本件は、ご主人でなく、奥さん主導なんですか?  うーむ、そういう仲人的なことがお好きな、ご年配の女性っていらっしゃいますからね。 特に地方にはたくさんいそうな思い込みがあります。

 それでも、「お相手」として紹介された彼らは、ふとん店から幾ばくかの謝礼をもらっているサクラである、と断言できるだけの決め手になる証拠を、秋田県側はお持ちなのでしょう。だからこその行政処分のはずです。

 まだ、秋田に桜前線が到来するには早い季節でしょうけど。

 ただ、本件は「不実の告知」の疑いだけでなく、

  • 「縁結びの帯は断るものではない」などと勧める威迫的な勧誘行為
  • クーリングオフの申し立てに対して返金を拒否した債務不履行
  • 着物の販売目的であることを隠して、各家庭を訪問した

……などの不当な販売形態があったとされています。 なるほど、ここまで揃ってしまえば逃げられませんかね。

 店の経営に携わる塚本代表の長男(52)は「違反になるとは思わなかった。二度としない」と話している。(読売新聞)

 だから、塚本代表ご自身のコメントは?

 それとも、「代表」というのは名ばかりで、すでに隠居なさってるのかね。 それにしても、80歳の奥様はお元気そうで。 なんか気になります。

 

◆  特定商取引に関する法律 第3条(訪問販売における氏名等の明示)
 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称及び商品若しくは権利又は役務の種類を明らかにしなければならない。

◆ 特定商取引に関する法律 第6条(禁止行為)
1 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、当該売買契約又は当該役務提供契約に関する事項であつて、顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。 (※以下略)

◆ 特定商取引に関する法律 第7条(指示)
 主務大臣は、販売業者又は役務提供事業者が第三条から前条までの規定に違反し、又は次に掲げる行為をした場合において、訪問販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。

 1.  訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約に基づく債務又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の解除によつて生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
 2.  訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、当該売買契約又は当該役務提供契約に関する事項であつて、顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げないこと。
 3.  前二号に掲げるもののほか、訪問販売に関する行為であつて、訪問販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益を害するおそれがあるものとして経済産業省令で定めるもの。

◆ 特定商取引に関する法律 第68条(都道府県が処理する事務)
 この法律に規定する主務大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
 
◆ 特定商取引に関する法律 第70条(罰則)
 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 1.第6条第1項から第3項まで……の規定に違反した者 (※以下略)
 
◆ 特定商取引に関する法律 第74条(罰則)
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
 2.第70条第1号又は前3条  各本条の罰金刑
 
 
 
>>>>>>> みそしるのオススメ本 <<<<<<<
 
 放送法第1条第2号「放送の不偏不党、真実および自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」……
 
 私が「放送禁止歌」と聞いて真っ先に連想してしまうのが、つぼいのりお氏の「金太の大冒険」だったりするのが恥ずかしいですが、たとえば「金太の大冒険」が、リリース後わずか2,3週間でラジオ放送禁止になったり、梅宮辰夫兄貴の「シンボルロック」も放送禁止扱いになった理由は、だいぶわかりやすいと思います。単純に、当時の価値観で「品が無かった」からです。
 
 この本は、「闘うエンターテイメント」が規制されていく様子を通して、同和や反体制という時代背景を浮き彫りにしようとする、非常に興味深い構成で展開されています。放送の世界にある「政治」が見えてきますね。
 
放送禁止歌
放送禁止歌 森 達也

おすすめ平均
stars幾重もの<驚き>が織り込まれて
starsまだ大丈夫
stars規制するのは誰?
stars哀悼 山平和彦さま
starsいったい、誰が?

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2005年11月12日 (土)

「男の家事大賞」への応募、わずか2件

 収納上手や料理名人など、家事が得意な男性を「家事の達人」として認定する仙台市の「男の家事大賞」への応募が集まらず、関係者が気をもんでいる。家事や育児に奮闘する男性のエッセーやアイデア、写真などを募集しているが、応募は10日現在で2件だけ。このため当初、18日だった締め切りを30日まで延長することにした。
 家事大賞の募集は昨年に続き2回目。男(ダン)性が家事(カジ)の早業・裏業・名人芸などを紹介する「ダンカジ部門」に加え、今回は男性の家事に関する写真に200字以内のエピソードを添えた「フォト・メッセージ部門」も新設した。
 来月中旬の大賞決定に向け、先月1日から申し込みを受け付けているが、ダンカジ部門に応募が2件あっただけで、フォト・メッセージ部門はいまだゼロ。両部門への問い合わせも数件しか寄せられていない。(河北新報)


 「応募が2件」という表現が曲者です。これが2名からの応募であれば、そう書くはずなのであって、「ある1人が2件応募してくれた」というのが事の真相である可能性も十分に考えられます。人気無いですねぇ。

 ただ、この出来事を指して、「そりゃそうだ。やっぱり『ジェンダーフリー』という考え方が間違っておるのだ。ザマーミロ」と、誇らしげに高笑いするのは、ちょっと違うかな、と思います。
 これは、「男らしさ」「女らしさ」の性差が、先天的・生物学的か、あるいは後天的・文化的なものか、とかいう難しい話は不要です。

 それ以前の問題で、たぶん、企画として面白くなかったから……ではないでしょうか。そんなこと、すでに2つの出版企画をボツらせている私から言われれば、腹も立つでしょうけれども。

 料理の早技・裏技、上手な収納の方法って、もう世間で腹いっぱい出尽くしてしまってますもん。手抜き料理・豪快料理だって、決して男の専売特許ではありません。そんな飽和状態の中で、どんなものを「大賞」として選出しようというのでしょう。

 昨年は28人、57件の応募があった。大賞には、仙台市泉区の小学校教諭米沢俊彦さんが、高校生だった長女と長男の弁当を6年間、毎朝作った体験をまとめた「高校に通う子どもの弁当を作る―6年で推定1500個の父親のお弁当」が選ばれた。
 市は昨年6月に策定した「男女共同参画せんだいプラン2004」で、男性の一日平均家事時間を5年間で30分増やすよう数値目標を掲げ、男性の家事参加を促すキャンペーンに取り組んでいる。(同上)

 

 どうして、数の大小のような、こういう定量的な物の見方しかできないのでしょうか。ガキの頃から、ノルマやボーダーラインに追われ続けてきた彼らの育ち方が目に浮かびます。可哀想で涙が止まりません。

 誰かに与えられた答えを詰め込んで試験に勝ち抜き、横並び・画一的な価値観を金科玉条とすることと引き替えに、公費でオマンマ食うことを許される役人たち。その画一化の薬が効きすぎて、「男らしさ」「女らしさ」という、たった2種類の多様性すら認められなくなってしまったのでしょうか。二元性にすぎないものを「多様性」と呼ぶのも、本来はおかしいのですが。
 社会環境が皆に押し付けているとされる性差を薄め、削ぎ落とし、この世から「セクシー」を無くそうと暗躍する彼らの試み。理解に苦しみます。

 それに、男の家事を推進することと、「らしさ」を撲滅させること、この2つがどうしても結びつかないのです。もともと自炊が好きな男、欲しい物があるので自炊して節約したい男、部屋で待ってくれる恋人も外食するカネも無い男たちは、放っておいても家でメシを作ります。だからといって、彼らが「男らしさから解放されている」とは言い切れないでしょう。逆に、毎晩コンビニ弁当を買って帰り、それを平らげた後には爪楊枝でシーシーやっとるニューハーフもいるでしょう。

 たしかに毎朝、育ち盛りの息子や娘の弁当をつくるのは大変なことだろうとお察しします。昨年の大賞を受賞なさった高校の先生による惜しみない努力には敬服するばかりです。ただ、そういった作業をこなす母親は、仙台じゅうにたくさんいるはずなのです。それと同等のことを、チ○コの付いている人間がやれば「男女共同参画の鏡だ」として特別に持ち上げるという、この失礼な逆差別。無理があります。

 こんなあからさまな矛盾にも気づかないお役所仕事とは何なのでしょうか。ここまで来ると、彼らはその異常性を十分にわかっていながらワザとやっているとしか思えないのですが。だとしたらナゼ? ねぇねぇ、「男女共同参画社会」って、どういうことなのっ? と、あえてカマ口調で。


 市男女共同参画課は「今回は昨年以上の参加者を期待していたのだが…。PR不足だったのか問い合わせも少ない。関心がないはずはないと思う。締め切りを延ばし、PR活動に努めるしかない」と頭を抱えている。

 問い合わせは、せんだい男女共同参画財団(※連絡先は略)。(同上)

 
 

 千葉市が作成した男女共同参画のチラシには、両性具有のカタツムリがマスコットとして使われており、「かたつむりがうらやましい」とまで書かれているそうです。仙台市の男女共同参画財団のメンバーも、同じようにカタツムリへ羨望の眼差しを向けているとまでは決めつけられませんが、こんな神をも恐れぬ発想に、どんな一般生活者が付いていけるというのでしょう。

 漫画「ドラゴンボール」で、神様やピッコロは、地球にドラゴンボールをもたらした両性具有のナメック星人でしたよね。宇宙船でナメック星を訪れたブルマが思わず「ねぇ、聞いた? 男も女も無いんだ。つまんない星よねー」と言ってのけた、あのセリフ。あれがフツーの人間の意識であろうと、私は強く思います。

 ジェンダーフリーの推進に躍起になっておられる皆さん、今一度、窓からベランダの外を覗いてみてください。そろそろナメック星からお迎えが来ている頃じゃないですか。
 
 
 
◆ 男女共同参画社会基本法  前文

 我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が、国際社会における取組とも連動しつつ、着実に進められてきたが、なお一層の努力が必要とされている。
 一方、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、緊要な課題となっている。
 このような状況にかんがみ、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。
 ここに、男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、将来に向かって国、地方公共団体及び国民の男女共同参画社会の形成に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。

◆ 同法 第2条(定義)
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
  一  男女共同参画社会の形成   男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。
  二  積極的改善措置   前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

 

 

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2005年7月11日 (月)

さよなら破壊王

 電子投票で大失敗を喫した「民主制度の破壊王」岐阜県可児市議選の再選挙は、8月21日投開票と決定しました。さすがに、今度は自書式のアナログ投票だそうです。

 名古屋高裁判決は、市選管の不手際を厳しく追及していましたが、本来は電子投票システムの構築を請け負った民間企業(ムサシ・富士通グループ)も同様に責められるべきです。プロの技術者としてあるまじき初歩的ミスを犯したにもかかわらず、世間の批判から隠れている感じになっているのが不可解なのです。
 電子投票よりもずっと複雑な金融ネットワークが、まがりなりにも稼働しているのは、そこに市場原理という「緊張感」があるからだと考えます。そのネットワークにエラーが出れば、最も痛い目に遭うのは信用が失墜した企業側です。それを思うと、市場原理という世間の常識を外れた「電子投票利権」のもとでは、彼らに専門家としてのプライドがなければ「やっつけ仕事でもいいか」と考えてしまうのは自然の流れです。システムを精巧に組もうが適当に作ろうが、どっちみち自分たちの立場は安泰なんですから。

 可児市側は、電子投票システムの請負企業に対して賠償請求も辞さないとコメントしているようですが、当然のことです。最低限の職業モラルを確保するためにも。

 アンディ・フグのときよりも寝耳に水でした。あまりにも早すぎる死ですよね。……やっぱり、これはステロイドの影響? あんまり憶測を書くのはよくありませんが。

 観客を楽しませることに人生を捧げたプロフェッショナル、橋本真也選手のご冥福をお祈り申し上げます。

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2005年7月10日 (日)

電子投票に明日はあるか?

電子投票普及協同組合
 (↑平成元年から過去16年にわたって、電子投票の普及・推進に尽力し、少しずつ信頼を構築してきた組織です。それだけに、電子投票に対する信用を1日で崩してくれた可児市や投票システム請負業者に向けられた底知れぬ怒りが、今回の判決に対するコメントの端々に感じられます)


 世界史上初の「電子投票無効判決」で、司法府から選挙やり直しを命じられてしまった岐阜県可児市。それを受けて、山田豊 市長が辞意をほのめかす発言。

 「自らの責任は再選挙後に、それなりの対処をしたい」

 3月の名古屋高裁判決の直後には、「(電子投票トラブルへの)苦情の手紙やメールなどまったく来ていない。なんの問題もない」と開き直っていた市長なのに、それにしては、お利口さんなコメントです。
 
 一方で、原告(被上告人)側だった市民団体「電子投票を問う会」の代表者は、おととし7月20日当日、トラブル続きでまったく前に進まない投票所の行列に嫌気がさして、投票をあきらめて帰ろうとした有権者170人以上に対して、直に「証人になってほしい」と頼み込み、うち20名ほどに、その場で陳述書を書いてもらっていたそうです。その努力が、「お粗末な電子投票のせいで、選挙結果に影響を与えた」という認定につながる一因となったのでしょう。
 しかも、この選挙無効訴訟に対して、「電子投票を問う会」は代理人を付けずに本人訴訟で臨んだとのことです。弁護士を依頼しなかったことに何か特別な理由があったのかどうかは定かではありません(経費削減?)が、こういう団体でも、ちゃんと地に足を付けて理不尽と闘っている人々もいるんだなと思いました。「市民団体」という存在に対する私の偏見が、2%ぐらい緩和されたかもしれません。

 選挙という民主政治の根幹にかかわる制度で、電子投票というものを「電子手帳」か何かと同じくらいの感覚で、軽々しく採用していいものかどうか。この機会にあらためて問われるべきです。
 電子投票のメリットとされているのは、おもに「開票速度」と「バリアフリー」ですが、そのメリットは、「投票の秘密への疑念」「厳密には再集計不可」といった、民主主義がさらされるリスクを凌駕して、なおありあまるものなのでしょうか。

 ・色覚障害の人のために画面の色合いを調整
 ・視覚障害の人のために音声案内を付ける
 ・お年寄りのために文字の大きさや台の高さを調整
 ・画面に指紋が付着して、投票の秘密が侵害されないよう、「タッチペン」を採用する
 ・画面上で候補者の顔写真やプロフィールを確認できるようにする

 ……などといったバリアフリー対策や投票秘密の確保は、従来の投票用紙に鉛筆で書く方法の領域でも、十分に実行できたことばかりです。それに、「開票結果がすぐにわかる」といった要素は、かならずしも有権者にとってのメリットとして直結しません。メルマガにも書きましたが、日曜日の晩、あの開票を待っているときのドキドキ感や、やきもき感、すっかり血の気の引いた候補者たちの表情だとか一面ピリピリムードで支配されている事務所の空気をテレビで眺めながら、それをつまみにのんびりビールを飲むのを楽しみにしている国民も少なくないんです。
 ああいう選挙特番で、時間とともに開票率や得票数が少しずつ動いていく様子が、かえって「選挙戦が争われている」という演出になって、民主主義を構成する一員としての実感がちょっとだけ湧く効果もある、……というふうに私は見ております。

 選挙管理委員会側にとっては、「開票作業の手間が省ける」といった類の意識でしょうが、有権者にとっては、その手間の削減が『人件費(公費支出)の削減』として目に見える形であらわれてこなければ腹が立つばかりです。その程度の動機だったら、わざわざ投票所に機械を持ち込むことなんかないし、田舎のジジイが「電子投票!電子電子!」なんて、無理して背伸びしてもらわなくてもいいんですよ。
 ちなみに、日本初の電子投票採用ケースとなった岡山県新見市では、電子投票ぶんの開票は、わずか2名で25分で終了したそうですが、不在者投票は従来どおりの投票用紙方式でした。なので、開票の手間としてはそれほど劇的に効果が表れたわけではなかった模様です。そのへんが、役人たちに一貫して抜けているコスト意識の低さでしょうかね。まぁ、クレジットカードで借金しとるような売れないライターに、コスト意識を問われたくないでしょうが。

 一方で、新見市の電子投票全体に投じられた予算は、約1億4620万円。前回のアナログ投票の実施よりも約2700万円増(電子投票がらみでの純増は約1280万円)という結果になったそうです。電子投票機を導入する計画に対しては、国から補助金がおりているはずなんですが、その具体的な額などについては明らかになっていません。なお、当年度に総務省は電子投票補助金の予算として約4億円を計上しています。だとしたら、かかった費用を全額補助金でまかなえたんでしょうかね……。

 ただ、新見市での電子投票のサポートは、前述の「電子投票普及協同組合」が行ったそうで、可児市のように民間企業(ムサシ・富士通・富士通フロンテック)がベンダーとなったケースでは、もっと費用がかかっていたとも考えられます。投票機はレンタルだそうですが、その機械を管理・維持するために、専門の技術者を派遣してもらって待機させていたら、開票で減らせたはずの人件費をまわしてきても足りないんじゃないでしょうか。

 ひきつづき、資料を探してみます。


 

【参考過去ログ】
 トラブル続発の電子投票 選挙無効判決が確定(7/7)

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