オーストラリア・シドニー(Sydney)南部の町バンダヌーン(Bundanoon)で26日、ペットボトル入り飲料水の販売禁止条例が施行され、店頭から一斉にペットボトル水が撤去された。
施行初日を記念して数百人が町中を行進したほか、町の各所に設置された公共の水飲み場も公開された。店ではペットボトルの代わりに繰り返し利用できるボトルを販売。住民は店内の給水用蛇口や路上に設置された給水所で、自由に水を補充できる仕組みだ。こうした試みは世界初とみられる。
バンダヌーンでは7月、住民投票でペットボトル入り飲料水の販売禁止を決めていた。(2009年9月28日 (c)AFP)
人口2000人の小さな街だから可能な、あくまで例外的な規制なのか。
それとも、
10年先、20年先の近未来の世界情勢を見越した、先見の明に長けた条例なのか。
重くて割れやすい「瓶」という従来の容器に代わり、
その弱点を克服したペットボトルが爆発的に普及したのは、きっと必然的な出来事だったのでしょう。
たしかに便利です。
今年で34歳の私など、まさに瓶からペットボトルへの移行期に沿って、生まれ育ったようなものですし。
しかし、ペットボトルは「使い捨て」「石油が原料」「捨て方が、ようわからん(結局、ラベルは剥がすの? 剥がさないの?)」ということで……
環境保護の「敵」として扱われてきたことも事実でしょう。 (ちょっと大げさ?)
ペットボトルの再利用といっても、色とりどりのフリースを展開するのを材料面で後押しし、ユニクロが全国進出するのに貢献したほどのこと。
使い捨てのペットボトルに代わって、繰り返し何度も使いたおす「リターナブル・ボトル」が注目を集めていますが、これはこれで洗浄時や輸送時に余計なエネルギーや環境負荷を要するというワケで……
八方ふさがりですな。
◆ 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法) 第1条(目的)
この法律は、容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及びこれにより得られた分別基準適合物の再商品化を促進するための措置を講ずること等により、一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じて、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
◆ 容器包装リサイクル法 第11条 (特定容器利用事業者の再商品化義務)
1 特定容器利用事業者は、毎年度、主務省令で定めるところにより、その事業において用いる特定容器(第十八条第一項の認定に係る特定容器及び本邦から輸出される商品に係る特定容器を除く。次項第二号ロを除き、以下この条において同じ。)が属する容器包装区分に係る特定分別基準適合物について、再商品化義務量の再商品化をしなければならない。
ちなみに、この容器包装リサイクル法でいう「特定容器」のなかには、もちろんペットボトルも含まれます。 ほとんど、ペットボトルのリサイクルを推進するのが目的で作られたような法律ですからね。
◆ 容器包装リサイクル法 第2条(定義)
2 この法律において「特定容器」とは、容器包装のうち、商品の容器(商品の容器自体が有償である場合を含む。)であるものとして主務省令で定めるものをいう。
◆ 容器包装リサイクル法施行規則 第1条(特定容器)
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律 (平成七年法律第百十二号。以下「法」という。)第二条第二項 の主務省令で定めるものは、別表第一に掲げる商品の容器とする。
別表第一
七 商品の容器のうち、主としてポリエチレンテレフタレート製のものであって次に掲げるもののうち、飲料、しょうゆその他主務大臣が定める商品を充てんするためのもの
(一) 瓶
(二) (一)に掲げるものに準ずる構造、形状等を有する容器
そして、ペットボトルの普及とともに、ミネラルウォーターが市販される動きも加速していき、今では当たり前のようになっています。
ミネラルウォーターは、大半がペットボトルに入れて売られていますよね。 紙パックや缶に入ったミネラルウォーターなんて、聞いたことない。
だから、ミネラルウォーターとペットボトル、両者は運命共同体なのかもしれません。
私が最初にミネラルウォーターを、スーパーマーケットの店頭で見かけた(存在に気づいた)のは、たしか小学高学年ぐらいのころかなと思いますが、ハッキリ言って、意味がわかりませんでした。
「わざわざ、水を買って持って帰る人がいるのか?」と。
水道水が100%地下水でまかなわれている熊本市で育ったからかもしれませんが、飲み水は水道から汲めば十分だったのです。
しかし、今では風呂のお湯までミネラルウォーターだという家庭が一部にあるそうで、ビックリですよね。 そんなもん、都市伝説だと信じたいです。
ただ、水道水がミネラルウォーターである熊本市にいたころは、知らないうちに、そういう家庭と同じことをしていたんだなぁと、水問題では極めて恵まれた境遇にいた自分の子供時代にビックリ仰天させられます。
日本国内だって、公害対策、環境アセスメント、犯罪被害者保護、個人情報保護、情報公開、ストーカー規制など、今では当然のように国の法律で規制されているカテゴリも、
最初は、地方の一自治体がチャレンジングな規制条例を設けたことから始まったのです。
そういうことを、来月末に刊行される次回作『47都道府県 これマジ!?条例集』(幻冬舎新書)でも書かせていただいています。
中央政府を拠点に全国へ規制を及ぼすだけでなく、いわば、国内で「ボトムアップ」的に、新しい政策が広がっていく可能性が見えてきますね。
もちろん、このオーストラリアの小さな街で産声を上げた「ペットボトル禁止」という条例も、全世界に広がっていくだけの潜在性は秘めていると思います。
既存のペットボトル製造業者はどういう手を打つのか?
これから、ペットボトルに代わるどんな素材の容器が開発されるのか?
私は缶コーヒーでも飲みながら見守っていこうと思います。
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