2006年3月27日 (月)

買えば、嫁がもらえます?

>>> 「これを買えば嫁がもらえる」・・ふとん店に業務改善指示-秋田
 「息子さんの嫁を世話します」「この帯を買えば嫁がもらえる」―。 嫁や婿の世話を口実に「縁結びの帯」と称し、訪問着や帯などを売りつけたとして、県は24日、由利本荘市、「塚本ふとん店」に対し、特定商取引法に基づく行政処分(業務改善の指示)を行った。同法に基づく行政処分は県内で2件目。(秋田魁新聞)2006/03/24

 本当にこのふとん店が、オマケといいますか、アフターサービスといいますか、商品の付加価値として「お見合いの仲介」までしてくれるというんであれば、そのこと自体に違法性はないと思われます。 どんな内容の契約を結ぼうが、自由であるのが原則ですから。

 多少値が張ろうが、商品にお見合いという特典が付いて、それでお相手を見繕ってくれるんなら、実質的には格安です。良心的な業者ですよ。 結婚相談所や紹介所などだと、ちゃんとしたところなら年会費で何十万円か取られるというご時世ですから。

 いいじゃないですか。テンション上がるじゃないですか。 紹介してくださいよ、素敵な秋田小町を。

  50歳代の女性は、娘の婿欲しさに一度着物を購入。実際に男性を紹介され、店からは「相手も来る気になった」などと言われ続けた。見合いまでに計121万円の着物などを買ったが、男性からは結局年齢差を理由に断わられたという。見合い相手との年の差が10歳以上だったり、「相手が体調を崩した」と中止になったりしたケースが多く、被害は数十件とみられる。

 県は「嫁不足、婿不足という地域事情と親の心情に乗じて違法な勧誘を繰り返し、悪質」として、業者名公表に踏み切った。(読売新聞)

 この記事を読むだけだと、「嫁不足・婿不足」という過酷な状況の中、なんとかお相手を探してきたけれども、結果として縁が無かった……という可能性も残るように思えてきます。

 県によると、塚本代表(83)の妻(80)らは2002年1月~05年11月、未婚の息子や娘がいることを知ったうえで、同市内の50~80歳代の男女6人の自宅を訪れ、着物など計約270万円を販売。(読売新聞)

 本件は、ご主人でなく、奥さん主導なんですか?  うーむ、そういう仲人的なことがお好きな、ご年配の女性っていらっしゃいますからね。 特に地方にはたくさんいそうな思い込みがあります。

 それでも、「お相手」として紹介された彼らは、ふとん店から幾ばくかの謝礼をもらっているサクラである、と断言できるだけの決め手になる証拠を、秋田県側はお持ちなのでしょう。だからこその行政処分のはずです。

 まだ、秋田に桜前線が到来するには早い季節でしょうけど。

 ただ、本件は「不実の告知」の疑いだけでなく、

  • 「縁結びの帯は断るものではない」などと勧める威迫的な勧誘行為
  • クーリングオフの申し立てに対して返金を拒否した債務不履行
  • 着物の販売目的であることを隠して、各家庭を訪問した

……などの不当な販売形態があったとされています。 なるほど、ここまで揃ってしまえば逃げられませんかね。

 店の経営に携わる塚本代表の長男(52)は「違反になるとは思わなかった。二度としない」と話している。(読売新聞)

 だから、塚本代表ご自身のコメントは?

 それとも、「代表」というのは名ばかりで、すでに隠居なさってるのかね。 それにしても、80歳の奥様はお元気そうで。 なんか気になります。

 

◆  特定商取引に関する法律 第3条(訪問販売における氏名等の明示)
 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称及び商品若しくは権利又は役務の種類を明らかにしなければならない。

◆ 特定商取引に関する法律 第6条(禁止行為)
1 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、当該売買契約又は当該役務提供契約に関する事項であつて、顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。 (※以下略)

◆ 特定商取引に関する法律 第7条(指示)
 主務大臣は、販売業者又は役務提供事業者が第三条から前条までの規定に違反し、又は次に掲げる行為をした場合において、訪問販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。

 1.  訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約に基づく債務又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の解除によつて生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
 2.  訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、当該売買契約又は当該役務提供契約に関する事項であつて、顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げないこと。
 3.  前二号に掲げるもののほか、訪問販売に関する行為であつて、訪問販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益を害するおそれがあるものとして経済産業省令で定めるもの。

◆ 特定商取引に関する法律 第68条(都道府県が処理する事務)
 この法律に規定する主務大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
 
◆ 特定商取引に関する法律 第70条(罰則)
 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 1.第6条第1項から第3項まで……の規定に違反した者 (※以下略)
 
◆ 特定商取引に関する法律 第74条(罰則)
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
 2.第70条第1号又は前3条  各本条の罰金刑
 
 
 
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 放送法第1条第2号「放送の不偏不党、真実および自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」……
 
 私が「放送禁止歌」と聞いて真っ先に連想してしまうのが、つぼいのりお氏の「金太の大冒険」だったりするのが恥ずかしいですが、たとえば「金太の大冒険」が、リリース後わずか2,3週間でラジオ放送禁止になったり、梅宮辰夫兄貴の「シンボルロック」も放送禁止扱いになった理由は、だいぶわかりやすいと思います。単純に、当時の価値観で「品が無かった」からです。
 
 この本は、「闘うエンターテイメント」が規制されていく様子を通して、同和や反体制という時代背景を浮き彫りにしようとする、非常に興味深い構成で展開されています。放送の世界にある「政治」が見えてきますね。
 
放送禁止歌
放送禁止歌 森 達也

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2005年11月12日 (土)

「男の家事大賞」への応募、わずか2件

 収納上手や料理名人など、家事が得意な男性を「家事の達人」として認定する仙台市の「男の家事大賞」への応募が集まらず、関係者が気をもんでいる。家事や育児に奮闘する男性のエッセーやアイデア、写真などを募集しているが、応募は10日現在で2件だけ。このため当初、18日だった締め切りを30日まで延長することにした。
 家事大賞の募集は昨年に続き2回目。男(ダン)性が家事(カジ)の早業・裏業・名人芸などを紹介する「ダンカジ部門」に加え、今回は男性の家事に関する写真に200字以内のエピソードを添えた「フォト・メッセージ部門」も新設した。
 来月中旬の大賞決定に向け、先月1日から申し込みを受け付けているが、ダンカジ部門に応募が2件あっただけで、フォト・メッセージ部門はいまだゼロ。両部門への問い合わせも数件しか寄せられていない。(河北新報)


 「応募が2件」という表現が曲者です。これが2名からの応募であれば、そう書くはずなのであって、「ある1人が2件応募してくれた」というのが事の真相である可能性も十分に考えられます。人気無いですねぇ。

 ただ、この出来事を指して、「そりゃそうだ。やっぱり『ジェンダーフリー』という考え方が間違っておるのだ。ザマーミロ」と、誇らしげに高笑いするのは、ちょっと違うかな、と思います。
 これは、「男らしさ」「女らしさ」の性差が、先天的・生物学的か、あるいは後天的・文化的なものか、とかいう難しい話は不要です。

 それ以前の問題で、たぶん、企画として面白くなかったから……ではないでしょうか。そんなこと、すでに2つの出版企画をボツらせている私から言われれば、腹も立つでしょうけれども。

 料理の早技・裏技、上手な収納の方法って、もう世間で腹いっぱい出尽くしてしまってますもん。手抜き料理・豪快料理だって、決して男の専売特許ではありません。そんな飽和状態の中で、どんなものを「大賞」として選出しようというのでしょう。

 昨年は28人、57件の応募があった。大賞には、仙台市泉区の小学校教諭米沢俊彦さんが、高校生だった長女と長男の弁当を6年間、毎朝作った体験をまとめた「高校に通う子どもの弁当を作る―6年で推定1500個の父親のお弁当」が選ばれた。
 市は昨年6月に策定した「男女共同参画せんだいプラン2004」で、男性の一日平均家事時間を5年間で30分増やすよう数値目標を掲げ、男性の家事参加を促すキャンペーンに取り組んでいる。(同上)

 

 どうして、数の大小のような、こういう定量的な物の見方しかできないのでしょうか。ガキの頃から、ノルマやボーダーラインに追われ続けてきた彼らの育ち方が目に浮かびます。可哀想で涙が止まりません。

 誰かに与えられた答えを詰め込んで試験に勝ち抜き、横並び・画一的な価値観を金科玉条とすることと引き替えに、公費でオマンマ食うことを許される役人たち。その画一化の薬が効きすぎて、「男らしさ」「女らしさ」という、たった2種類の多様性すら認められなくなってしまったのでしょうか。二元性にすぎないものを「多様性」と呼ぶのも、本来はおかしいのですが。
 社会環境が皆に押し付けているとされる性差を薄め、削ぎ落とし、この世から「セクシー」を無くそうと暗躍する彼らの試み。理解に苦しみます。

 それに、男の家事を推進することと、「らしさ」を撲滅させること、この2つがどうしても結びつかないのです。もともと自炊が好きな男、欲しい物があるので自炊して節約したい男、部屋で待ってくれる恋人も外食するカネも無い男たちは、放っておいても家でメシを作ります。だからといって、彼らが「男らしさから解放されている」とは言い切れないでしょう。逆に、毎晩コンビニ弁当を買って帰り、それを平らげた後には爪楊枝でシーシーやっとるニューハーフもいるでしょう。

 たしかに毎朝、育ち盛りの息子や娘の弁当をつくるのは大変なことだろうとお察しします。昨年の大賞を受賞なさった高校の先生による惜しみない努力には敬服するばかりです。ただ、そういった作業をこなす母親は、仙台じゅうにたくさんいるはずなのです。それと同等のことを、チ○コの付いている人間がやれば「男女共同参画の鏡だ」として特別に持ち上げるという、この失礼な逆差別。無理があります。

 こんなあからさまな矛盾にも気づかないお役所仕事とは何なのでしょうか。ここまで来ると、彼らはその異常性を十分にわかっていながらワザとやっているとしか思えないのですが。だとしたらナゼ? ねぇねぇ、「男女共同参画社会」って、どういうことなのっ? と、あえてカマ口調で。


 市男女共同参画課は「今回は昨年以上の参加者を期待していたのだが…。PR不足だったのか問い合わせも少ない。関心がないはずはないと思う。締め切りを延ばし、PR活動に努めるしかない」と頭を抱えている。

 問い合わせは、せんだい男女共同参画財団(※連絡先は略)。(同上)

 
 

 千葉市が作成した男女共同参画のチラシには、両性具有のカタツムリがマスコットとして使われており、「かたつむりがうらやましい」とまで書かれているそうです。仙台市の男女共同参画財団のメンバーも、同じようにカタツムリへ羨望の眼差しを向けているとまでは決めつけられませんが、こんな神をも恐れぬ発想に、どんな一般生活者が付いていけるというのでしょう。

 漫画「ドラゴンボール」で、神様やピッコロは、地球にドラゴンボールをもたらした両性具有のナメック星人でしたよね。宇宙船でナメック星を訪れたブルマが思わず「ねぇ、聞いた? 男も女も無いんだ。つまんない星よねー」と言ってのけた、あのセリフ。あれがフツーの人間の意識であろうと、私は強く思います。

 ジェンダーフリーの推進に躍起になっておられる皆さん、今一度、窓からベランダの外を覗いてみてください。そろそろナメック星からお迎えが来ている頃じゃないですか。
 
 
 
◆ 男女共同参画社会基本法  前文

 我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が、国際社会における取組とも連動しつつ、着実に進められてきたが、なお一層の努力が必要とされている。
 一方、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、緊要な課題となっている。
 このような状況にかんがみ、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。
 ここに、男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、将来に向かって国、地方公共団体及び国民の男女共同参画社会の形成に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。

◆ 同法 第2条(定義)
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
  一  男女共同参画社会の形成   男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。
  二  積極的改善措置   前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

 

 

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2005年7月11日 (月)

さよなら破壊王

 電子投票で大失敗を喫した「民主制度の破壊王」岐阜県可児市議選の再選挙は、8月21日投開票と決定しました。さすがに、今度は自書式のアナログ投票だそうです。

 名古屋高裁判決は、市選管の不手際を厳しく追及していましたが、本来は電子投票システムの構築を請け負った民間企業(ムサシ・富士通グループ)も同様に責められるべきです。プロの技術者としてあるまじき初歩的ミスを犯したにもかかわらず、世間の批判から隠れている感じになっているのが不可解なのです。
 電子投票よりもずっと複雑な金融ネットワークが、まがりなりにも稼働しているのは、そこに市場原理という「緊張感」があるからだと考えます。そのネットワークにエラーが出れば、最も痛い目に遭うのは信用が失墜した企業側です。それを思うと、市場原理という世間の常識を外れた「電子投票利権」のもとでは、彼らに専門家としてのプライドがなければ「やっつけ仕事でもいいか」と考えてしまうのは自然の流れです。システムを精巧に組もうが適当に作ろうが、どっちみち自分たちの立場は安泰なんですから。

 可児市側は、電子投票システムの請負企業に対して賠償請求も辞さないとコメントしているようですが、当然のことです。最低限の職業モラルを確保するためにも。

 アンディ・フグのときよりも寝耳に水でした。あまりにも早すぎる死ですよね。……やっぱり、これはステロイドの影響? あんまり憶測を書くのはよくありませんが。

 観客を楽しませることに人生を捧げたプロフェッショナル、橋本真也選手のご冥福をお祈り申し上げます。

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2005年7月10日 (日)

電子投票に明日はあるか?

電子投票普及協同組合
 (↑平成元年から過去16年にわたって、電子投票の普及・推進に尽力し、少しずつ信頼を構築してきた組織です。それだけに、電子投票に対する信用を1日で崩してくれた可児市や投票システム請負業者に向けられた底知れぬ怒りが、今回の判決に対するコメントの端々に感じられます)


 世界史上初の「電子投票無効判決」で、司法府から選挙やり直しを命じられてしまった岐阜県可児市。それを受けて、山田豊 市長が辞意をほのめかす発言。

 「自らの責任は再選挙後に、それなりの対処をしたい」

 3月の名古屋高裁判決の直後には、「(電子投票トラブルへの)苦情の手紙やメールなどまったく来ていない。なんの問題もない」と開き直っていた市長なのに、それにしては、お利口さんなコメントです。
 
 一方で、原告(被上告人)側だった市民団体「電子投票を問う会」の代表者は、おととし7月20日当日、トラブル続きでまったく前に進まない投票所の行列に嫌気がさして、投票をあきらめて帰ろうとした有権者170人以上に対して、直に「証人になってほしい」と頼み込み、うち20名ほどに、その場で陳述書を書いてもらっていたそうです。その努力が、「お粗末な電子投票のせいで、選挙結果に影響を与えた」という認定につながる一因となったのでしょう。
 しかも、この選挙無効訴訟に対して、「電子投票を問う会」は代理人を付けずに本人訴訟で臨んだとのことです。弁護士を依頼しなかったことに何か特別な理由があったのかどうかは定かではありません(経費削減?)が、こういう団体でも、ちゃんと地に足を付けて理不尽と闘っている人々もいるんだなと思いました。「市民団体」という存在に対する私の偏見が、2%ぐらい緩和されたかもしれません。

 選挙という民主政治の根幹にかかわる制度で、電子投票というものを「電子手帳」か何かと同じくらいの感覚で、軽々しく採用していいものかどうか。この機会にあらためて問われるべきです。
 電子投票のメリットとされているのは、おもに「開票速度」と「バリアフリー」ですが、そのメリットは、「投票の秘密への疑念」「厳密には再集計不可」といった、民主主義がさらされるリスクを凌駕して、なおありあまるものなのでしょうか。

 ・色覚障害の人のために画面の色合いを調整
 ・視覚障害の人のために音声案内を付ける
 ・お年寄りのために文字の大きさや台の高さを調整
 ・画面に指紋が付着して、投票の秘密が侵害されないよう、「タッチペン」を採用する
 ・画面上で候補者の顔写真やプロフィールを確認できるようにする

 ……などといったバリアフリー対策や投票秘密の確保は、従来の投票用紙に鉛筆で書く方法の領域でも、十分に実行できたことばかりです。それに、「開票結果がすぐにわかる」といった要素は、かならずしも有権者にとってのメリットとして直結しません。メルマガにも書きましたが、日曜日の晩、あの開票を待っているときのドキドキ感や、やきもき感、すっかり血の気の引いた候補者たちの表情だとか一面ピリピリムードで支配されている事務所の空気をテレビで眺めながら、それをつまみにのんびりビールを飲むのを楽しみにしている国民も少なくないんです。
 ああいう選挙特番で、時間とともに開票率や得票数が少しずつ動いていく様子が、かえって「選挙戦が争われている」という演出になって、民主主義を構成する一員としての実感がちょっとだけ湧く効果もある、……というふうに私は見ております。

 選挙管理委員会側にとっては、「開票作業の手間が省ける」といった類の意識でしょうが、有権者にとっては、その手間の削減が『人件費(公費支出)の削減』として目に見える形であらわれてこなければ腹が立つばかりです。その程度の動機だったら、わざわざ投票所に機械を持ち込むことなんかないし、田舎のジジイが「電子投票!電子電子!」なんて、無理して背伸びしてもらわなくてもいいんですよ。
 ちなみに、日本初の電子投票採用ケースとなった岡山県新見市では、電子投票ぶんの開票は、わずか2名で25分で終了したそうですが、不在者投票は従来どおりの投票用紙方式でした。なので、開票の手間としてはそれほど劇的に効果が表れたわけではなかった模様です。そのへんが、役人たちに一貫して抜けているコスト意識の低さでしょうかね。まぁ、クレジットカードで借金しとるような売れないライターに、コスト意識を問われたくないでしょうが。

 一方で、新見市の電子投票全体に投じられた予算は、約1億4620万円。前回のアナログ投票の実施よりも約2700万円増(電子投票がらみでの純増は約1280万円)という結果になったそうです。電子投票機を導入する計画に対しては、国から補助金がおりているはずなんですが、その具体的な額などについては明らかになっていません。なお、当年度に総務省は電子投票補助金の予算として約4億円を計上しています。だとしたら、かかった費用を全額補助金でまかなえたんでしょうかね……。

 ただ、新見市での電子投票のサポートは、前述の「電子投票普及協同組合」が行ったそうで、可児市のように民間企業(ムサシ・富士通・富士通フロンテック)がベンダーとなったケースでは、もっと費用がかかっていたとも考えられます。投票機はレンタルだそうですが、その機械を管理・維持するために、専門の技術者を派遣してもらって待機させていたら、開票で減らせたはずの人件費をまわしてきても足りないんじゃないでしょうか。

 ひきつづき、資料を探してみます。


 

【参考過去ログ】
 トラブル続発の電子投票 選挙無効判決が確定(7/7)

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2005年6月30日 (木)

残念!? 村民総会設置案が否決

>>> 王滝村会が村民総会と定数削減案を否決

 王滝村議会は6月定例会最終日の29日、議会に代えて「村民総会」を設置する条例案と、議員定数を10から6に削減する条例案を、総務文教委員長の報告通り否決した。議員定数削減を提案していた小谷洋子議員は議会終了後、抗議の意志を示す辞職願を提出した。(長野日報)

【参考過去ログ】
 現代の直接民主制「村民総会」(6/29)

 あぁ……、惜しいな。それにしても、村民総会どころか、定数削減という現実的な案まで通らないとは、なかなか強硬ですね。小谷議員は「それなら7への削減はどうだ」と、なおも食い下がったようですが、「急に出てきた案件なので議長預かりとしたい」と言われてしまい、けんもほろろだったそうです。

 一方で、総会設置条例案を提出した無所属2人のうち、三浦清吉議員は「官と民を近づける一つの方法で、議員の歳費など歳出削減にもつながる」「小村の生き残り策として、議会をなくす方法もあることを示したかった」と、作戦の意図を説明しています。

 村民総会が実現するなら、ぜひ王滝村まで行って取材したかったんですけどね。いや、実現しなくても「長野の山奥で、直接民主制の芽生え?」とでも題して、雑誌社に売り込めば、私の説得力次第では企画を通せるかもしれません。そうなれば、王滝村までの往復交通費は編集部持ちですしね。

 ただ、唯一の問題は、読者の求める記事になりうるという、その「説得力」をいかに演出するかなんですが……。そりゃ、唯一にして最大の問題です。ただ、自腹で長野まで行きよったら、また借金増えますので、どうにかこうにか企画を通すしかありません。頑張って悩んでみます。
 
 

地方分権ひとつの形―スイス:発言し、行動する直接民主制
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2005年6月29日 (水)

現代の直接民主制「村民総会」

>>> 議会廃止し村民総会に 王滝村(長野県)で異例の議員提案

 木曽郡王滝村議会の6月定例会は23日開会し、議員定数を現在の10から6に削減する条例改正案と、村議会を廃止し代わりに「村民総会」を設置する条例案が、いずれも議員提案された。総会設置条例案は、町村議会を置かずに、有権者の「総会」を設けることができるとした地方自治法の規定に基づくが、提案されるのは異例。王滝村は近隣町村と合併できず、村営スキー場関連の多額債務を抱えて財政再建団体への転落も予想される状況。定数を削減せず、チェック機能も果たしていない、として、住民グループが村議会解散を請求している。(信濃毎日新聞)6/24

◆ 地方自治法 第76条(リコール)
 選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の3分の1(※中略)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の議会の解散の請求をすることができる。

◆地方自治法 第94条(町村総会)
 町村は、条例で、第89条の規定(※普通地方公共団体の議会設置)にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。

 いわゆる「平成の大合併」によって、地方自治体は中規模のものばかりになり、過疎地域の財政難は解消されると思われていました。しかし、このように「大合併」の流れに取り残されてしまった小さな村もあるわけです。

 長野県王滝村は、2000年の国勢調査によると1,205人。その中に10人いる村議会議員を6人に削減しようと2議員(共産1無所属1)が提案し、また、村議会そのものをつぶして、住民みんなでつくる「村民総会」を置こうという案が別の2議員(いずれも無所属)から提起されています。このまま読むと、既得権を失うことを恐れない議員さんの英断のようにも思えます。おそらく、その通りなのでしょう。

 「条例案は、村民総会は18歳以上の全村民を構成員とし、定例会を年1回開催、半数以上を定足数とし、報酬は支給しない」……これが、画期的な王滝村の総会設置案です。

 だいたい、選挙にも議会の維持にも、とにかく金がかかるんです。そして、人口が少なく、社会的構成もそれほど複雑ではない地域では、住民が一堂に会して議論をすることにも、それほど支障はないはずで、むしろメリットのほうが大きいと思われるんですね。自分たちの住む故郷の方針を自分たちで決められたら、少なくとも地方政治に対して不満やグチを言い合う必要はなくなります。 まぁ、その代わりに小泉さんに向けて、倍の集中砲火が浴びせられることになるのかもしれませんが。

 しかし、現在、町村総会が設けられている自治体は存在しません。戦前には、神奈川県の足柄下郡芦之湯村(※現在の箱根町の一部)に町村総会が設けられていたことはあったようですが、昭和22年4月に議会が設置されました。戦前には、地方自治体が、なんと7万以上あったらしいので、現在では考えられないほど規模が小さい町村が多数散在していたのでしょうが、それでも設置例はただ1つでした。また、戦後の地方自治法施行後ですと、東京都八丈支庁管内の宇津木村(人口61人、有権者数30人前後)に総会が設置されたことがありましたが、やがて合併によって八丈町の一部とされたようです。

 地方自治法94条の規定を読むと、間接民主制のもとに村議会を設置するのが原則で、それができない場合に例外的に直接民主制の町村議会を開くというふうな印象を受けがちかもしれません。それに、司法試験受験生にとっては「たしか大昔の憲法過去問で1回だけ聞かれとったな。でも、今の出題傾向なら無視無視……」という程度の認識だと思うんです。町村総会。

 しかし、あらためて考えてみたら、間接民主制の権化である議会制と、地域の将来に利害のある住民たちが直接話し合って決める総会との間に、理論的には原則例外の関係や優劣の差は無いように感じるんです。むしろ、住民が集まって議論する町村総会こそ、地方自治が理想とする本来の姿で、それができないほど膨れ上がった自治体では、しょうがないので代表者を選出して政治を任せようというふうな構成ではなかろうかと考えています。私に言わせりゃ、議会のほうが地方自治の「仮の姿」です。ちなみに、スイスには「コンミューン」という制度があって、地域住民が全員参加で、まさに町村総会さながらに物事を決めていくようですが。

 たしかに、憲法が制定している地方自治の形は首長議会制で、町村総会については明文を置いていません。とはいえ、住民の意思によって地方自治が行われるべきという「住民自治」、憲法用語でいえば「地方自治の本旨」に、より近いのは、果たしてどちらでしょうか。

 とはいうものの、直接民主的な町村総会は、戦前の「町村制」の遺物で原始的だ、という捉え方をされがちなのも確かです。なにせ、これから都道府県が「道州制」に切り替わろうとし、自治体がどんどん肥大化する流れになっていますので、町村総会の精神は、今にも消えそうな風前の灯火にも見えます。
 ただ、一方で並行してブロードバンドや多チャンネルの技術も急速に広がりを見せているのです。家で自由に議会を傍聴でき、掲示板や音声などでリアルタイムに議員に質問できたり、長ったらしいヨタ話にツッコミを入れられるような仕組みができれば、われわれの政治離れも少しは解消されるのかな、と思っています。

 野党の皆さん、投票率を上げて、政権を勝ち取りたいんでしょ? だったら、世間からの批判を直接耳に入れる勇気も振り絞って、「直接民主制」のエッセンスを取り入れてみるのも、ひとつかもしれませんよ。

 今日は、新生「会社法」が国会で成立した日でもありますが、時代を切り開くのは、そんな耳目を集める最先端の新法だけではないのかもしれません。



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2005年6月23日 (木)

ワシが名誉町民じゃ

>>> 町長が名誉町民を自己推薦

 佐賀県北方町の松本和夫町長(73)が、町議会で自分自身を名誉町民に推薦する議案を提案、賛成多数で可決されていたことが23日、分かった。同町の条例で名誉町民は町長からの推薦しか認めないとする規定に基づくものだが、異例の「自己推薦」に疑問の声も上がっている。

 同町は来年3月に武雄市、山内町との合併が決まっている。そのため複数の議員が「町長を名誉町民に」と検討していたが、条例の規定で議員提案はできないことが判明。22日の議会で異例の本人提案となった。

 議会では、助役が提案理由を説明。議員からは「町長の功績は認めるが、在任中に名誉町民の称号を贈るのはどうか」などとの反対意見も出たものの、賛成13、反対1で可決した。

 松本町長は1974年に初当選し、現在8期目。政府税制調査会委員や全国町村会副会長などを歴任した。同町の名誉町民は、同町出身で文相や最高裁長官などを歴任した故田中耕太郎氏に次いで2人目。(東京新聞)

 名誉町民からのメッセージ

 8期目31年というのはスゴいですね。町長選において無敵じゃないですか。ムテキング町長じゃないですか。もし来年の合併がなく、このままいってれば、たぶん450戦無敗だろうと思います。

 31年……。 先日、佐賀地裁で被告人に無罪判決が出された「北方事件」は、1987年から89年にかけて、3人の女性が殺害された事件です。殺人事件の時効直前に被告人が逮捕され、話題を呼びましたが、その時効期間の倍以上にもわたって町長を務められたとは驚異的です。 比較するものを間違えていますが。

 合併で「北方町」の名が無くなったりだとか、条例の規定という事情もわかります。わかりますけど、町長はどんな顔して「ワシば名誉町民にせんばバイ」と言ったのでしょうか。そのずうずうしさが、ある意味名誉に値しますね。

 たしかに報道で紹介されているような経歴も素晴らしいです。ここは、5期目か6期目ぐらいで「ここらがワシの引き際じゃ」と立候補を辞退していただきたかったですね。そうしていたのなら、次の町長さんが松本氏を名誉町民に推薦してくださって、皆から素直に祝福されたでしょうに。
 結局、町長選における彼の無敵の強さがアダとなって、町長人生の最期をこんなこっぱずかしい形で締めくくることになってしまったのです。強すぎる人間は、その強さゆえに苦しまねばならぬときもあるのですね。

 個人的には、町長の自己推薦に抵抗し、正論を吐いて最後まで反対しつづけた1人の議員さんに、その勇気をたたえ名誉町民の称号を贈りたいと思います。私は、この議員さんの今後が、ちょっぴり心配です。


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2005年6月20日 (月)

私立大学が民事再生法を申請

萩国際大学ホームページ

>>> 萩国際大が民事再生法申請へ~定員割れ原因で初


 民事再生法の適用を申請する萩国際大(20日、山口県萩市で、本社ヘリから) 大幅な定員割れで経営危機に陥っている山口県萩市の萩国際大を運営する学校法人萩学園(安部一成理事長)が民事再生法の適用を申請することが20日明らかになった。負債総額は三十数億円にのぼるとみられ、同日午後、理事会を開いて正式決定し、21日にも東京地裁に申請する。文部科学省によると、私立大を運営する学校法人が定員割れが原因で同法適用を申請するのは初めて。(読売新聞)

 設立7年目の申請です。前身は萩女子短大。地方都市が「街おこし」の一環でつくった4年制大学ですが、市内のゴルフ場を買い取って「ゴルファー養成コース」を新設するなど、かなり大胆な手法で学生を集めようとしたのです。どうやら、なかなか集まらなかったようですね。

 学生の側にしたら「なんでゴルファー目指して大学に通わにゃならんのか」と、あまり魅力や必要性を感じなかったということだったのかもしれません。
 地に足の付いた対策を採れず、地元が浮き足立っているのも、学生が都会に出たがる消極的理由のひとつです。残念ながら、「国際」の2文字を出しておけば、世界的な広い視野を演出できた時代は、とっくに終わっていると思います。

 萩国際大学は、2年後を目処に名称も変更し、福祉をベースにした教育環境づくりに励んでいくとのこと。ただ、この萩国際大学がたまたま全国で最初に法的支援を求めたということであって、「明日は我が身」と戦々恐々としている破綻予備軍の大学は各地に存在するものと思われます。少子化社会の副産物「大学全入時代」は、もうすぐそこです。

 「すべり止めの利益を享受した」などとして、入学を辞退した合格者が前もって納めた入学金や授業料を返そうとしない私学を相手取った「ぼったくり訴訟」が、関西を中心にここ数年で増加しています。大学は、ひとりひとりの学生を社会に通用する人材に育成する役割も担っています。なのに、大学組織を延命させる金づるとしてしか学生を見ないのでは、裁判所に違法だと認定ても仕方がないでしょう。「授業料は講義の対価」……当たり前のことです。

 10年前、金融機関や私立大学も倒産するということを、理屈では大学で勉強しましたが、本当に山一証券が破綻したときは衝撃でした。しかし、破綻すべきところが破綻せずに体裁を保っていただけだったのでしょうけれども。そういう意味ではゴマカシが効かない、本物だけが生き残る、厳しくも良い時代に入りはじめたのかもしれません。

 ただ、多様性を無意味に愛する私は、マジメでマトモな大学ばっかりでもつまらないな、とも思っとるんですけど。 たとえば、会計士を目指す学生と、漁師になりたい学生と、フライトアテンダントに憧れる学生と、占い師を夢見る学生が交流し、同じ学食で談笑する風景というのも、なかなかステキかなと思いますし。……しかし、資本主義という現実は、そんな呑気な空想を許してはくれないのでしょう。

 なお、私立大学が民事再生法を申請することは、これが初めてではなく、東北文化学園大(仙台市)に次いで2例目。この大学は、大学設置認可申請の虚偽記載から経営難に陥ったとのことです。

 なるほど、一度失った信用を取り戻すのは、並大抵のことではありませんよね。ねぇ、信州大学法科大学院 首脳陣の方々。
……どさくさにまぎれて言ってみました。

【参考過去ログ】信州大学法科大学院の誤算


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2004年9月 7日 (火)

誰のための景観か

<景観条例>札幌市自ら違反垂れ幕 6年間お目こぼし - 毎日新聞

 垂れ幕掲示を担当した観光文化局は「市の掲示物は条例適用外と思った」と釈明。しかし、企画調整局は「数年前から指摘はしていたが、徹底していなかった」と話し、事実上の黙認だったことを認めている。

 縦割り行政も「地方の時代」なんですかね。

 市は主催するライラックまつりや雪まつりを知らせる垂れ幕(縦30.8メートル、横2.4メートル)を中央区大通西4の北海道銀行本店ビルの壁面に毎年出している。98年に制定された同条例で、大通地区で広告物を掲示する場合は市への届け出と、大きさを壁面の4分の1以下かつ25平方メートル以下に抑えることが義務づけられた。

 私も学生時代、夏に札幌大通りへ行ったことがありますが、独特の直線道路や直線公園の奥行き感が、「北海道に来たなぁ」という気分を高揚させてくれているようで、スカッと心地よかったのを憶えています。あの都市景観をぶちこわせるほどの垂れ幕って、どんな大きさのものをイメージすればいいんだろうかと、ネットで探してみたところ、さっそく見つかりました。

 さっぽろ雪祭りレポート「WORLD MASTER WEB」様 ※リンク事後報告…)

 いかがでしょうか。観光都市以外なら、何のことはない普通の広告です。むしろ広告として遠慮がちな印象すら受けます。この程度の大きさの広告につき、そこに書かれている文字が、観光誘致の「まつり」だったら見過ごして、「金融機関の経営統合のおしらせ」だと、景観を損なうとして足を引っ張る。
 これでは表現の内容規制じゃないか、と目くじらを立てて怒るつもりはございませんが、この騒動は、いかに「よい景観」「よくない景観」というものが人間の直感に基づくものかを如実に物語っている気がいたします。

 個人的には住宅地にもかかわらず、ベランダに洗濯物ひとつ干されていない地域について、逆に居心地の悪さのようなものを感じてしまうのですが、それはきっと、自分にとっての生活空間(日常)だからなんでしょうね。一方で、雑然さの排除されている札幌大通りに私が心地よさを感じたのは、そこに新鮮な刺激としての「非日常」があるからです。
 もっとも、多様性の混在や雑然さに、その都市や住人の持つ、蒸し返すほどのエネルギッシュさを感じ取ることもあります。私の29年間の人生唯一の海外旅行経験である、韓国・釜山(プサン)とか。

 「さっぽろ雪まつり」「北銀の北陸銀行との経営統合」、いずれの垂れ幕も、少なくとも北海道に住む生活者にとって必要な情報です。それが一時旅行者にとってどうかといえば、たしかに「経営統合」は直接有用なお知らせではありません。しかし、「おぉ、ここが北海道銀行の本店かぁ」と、自分が「北の大地」にいることを改めて実感する人もいるでしょうし、ふと地元企業の名前を目にして、その名の通りっぷりに誇らしげになっている富山県からのツアー客もいらっしゃるでしょう。それ以上に、大多数の旅行者にしてみたら、視野に入っていても視覚刺激として意識していないぐらいの、そんな垂れ幕ではないかと思われます。

 私たちは、それくらいの情報の楽しみ方やかわし方を、ちゃんと心得ています。おそらく、札幌市職員の皆さんも、仕事を離れれば同様のことを無意識になさっているのではないかと思います。それだけに、もう少し一般市民としての想像力をもって、ご自分の「公務員としての職務エネルギー」を適切に振り分けていただきたいと願うものであります。


 


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