しずかちゃんの入浴シーンは児童ポルノ!? 東京都条例案の反対イベントを観覧
ちょっとご無沙汰してました。
ここ10日ぐらい、いろんな〆切りが集中していて、テンヤワンヤでしたが、なんとか無事に山を越えることができました。
今さら感のある話題ですが、先週の火曜日(20日)の19:30より開かれたイベント
月刊「創」プレゼンツ / LOFT/PLUS ONE 15th Anniversary 「非実在青少年」とは?「マンガの性表現規制問題徹底討論」
に、顔を出してきたことをご報告します。
お笑い好きなので、芸人のトークライブが多い「ネイキッドロフト」のほうへは何度も足を運んだことがあるんですが、ロフトプラスワンは初めて。
ということで、ちょっと道に迷いました。 間違えて、音楽ライブハウスの「ロフト」のほうに入ってしまって、店員さんに尋ねる始末。
このイベント、堅苦しいシンポジウムとは違って、ビールや軽食などもサービスされ(というより、必ず1品以上は注文しなきゃいけないんですが)飲み食いしながら気楽に聴けるイベントです。
気づけば、ひとりで3800円も使ってました。 店の思うツボ……。
問題の「架空キャラ児童ポルノ規制」改正案ですが、
漫画やアニメなどで登場する18歳未満という設定の架空キャラクター(改正案では「非実在青少年」という特殊な呼び方をしています)の、
性交や性交類似行為(フェラチオやAFなど)を「みだりに性的対象として肯定的に描写」することで「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」を、
不健全図書(18禁)として指定できるというものです。
(改正案条文)
【業界による自主規制対象】(改正案7条2号)
年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交又は性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの【都による不健全図書指定対象】(改正案8条2号)
販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの
しずかちゃんの入浴(シャワー)シーン」は、非実在青少年の性的な描写だから、ドラえもんは成人漫画になるのか? ……という疑問がよくいわれますが、
改正案条文中の「性交又は性交類似行為に係る」という部分を強調すれば、ここでいう規制には引っかからないように読めますけどね。
さすがに、シャワー浴びるのが性交類似行為ということにはならないでしょう。 普通に考えて。
ただ、この世界には「拡張解釈」という(ゴリ押しにも使える)テクニックがありますので、「シャワーを浴びるのは、性交の準備を連想させるのでダメ」とかいう言い分で、規制をねじ込むことも、いちおう可能になってしまいます。
今回のイベントの話し手ですが、以下のようなメンバー。
【出演】
山本直樹(マンガ家)
藤本由香里(明治大学准教授)
永山薫(評論家)
長岡義幸(インディペンデント記者)
谷雅志(日本雑誌協会編集倫理委員会副委員長)
西沢けいた(民主党都議)
兼光ダニエル真(翻訳家)
大野修一(『COMICリュウ』編集長)
揖斐憲(『サイゾー』編集長)、他。
【司会】
篠田博之(月刊『創』編集長)
この中の長岡さんとは面識があるので、ご挨拶しようかと思ったのですが、皆さんのエロ漫画談義が白熱して、終了予定時刻より1時間以上もオーバーし、終電に間に合わなくなりそうだったので、中座しました(そもそも終了すべき時刻を過ぎてるんだから、中座とはいわないかも)。
◆ イベント内で、印象的だった話
(4時間以上も観て、これだけかい……↓ と自分でも思いますが、全般的には面白かったです)
・ 男だけで改正案に反対していると、「自分がエロ漫画を読み続けたいだけだろ」という偏見が避けられないから、女性メンバー(特に子を持つ母親)に、反対側に加わってもらうことは重要。
・ 秋葉原などでアピールするのも大事だが、そのへんの爺さん婆さんや女子大生などに対して説得力のあることをどうやって伝えていくかが課題。
・ 「反対だ」とたくさん言えばいいってもんじゃない。相手に合わせて、反論のスキルアップをしていかなければならない。
・ 大阪府では「BL(やおい)規制」も検討されている。 東京都でも議論が始まった模様。
・ 欧米諸国では、この性的表現の類の規制は、どの出版物でも一律に行われる。 日本では、一般誌には厳しいが、専門誌(美術誌やアングラ誌など)には比較的寛容というダブルスタンダード(二枚舌の基準)がみられる。
・ 「非実在青少年」は、本来はゾーニングの問題(仮に規制が加わっても子どもに読ませないだけで、18歳以上なら問題なく読める)なのだが、未成年が登場人物のエロ漫画をそもそも取り扱わない大手書店やネット書店も多い。だとしたら表現の自由などの問題とも衝突しうる。
・ 東京弁護士会は、改正案の条文を挙げて、さまざまな問題点を指摘しているが、東京都側は「誤解がある」などと反論している。法律家が誤解するような条文というのは、いかがなものか。
・ 石原慎太郎東京都知事は、「非実在青少年」のことを「非現実青少年」と言い間違えていた。
・ 刑法学者の前田雅英教授(東京都青少年健全育成審議会委員)は、参考人聴取でため息混じりに「他の問題も、これくらい真剣に議論してくれたらいいのに」とこぼしていた。
・ アメリカの子どもにとって、アルコールを手に入れるより、規制図書や成人漫画を手に入れるほうが難しくなっている。
・ アメリカの統計によると、エロ本を読まない人に性犯罪者が多いとか!? 子どもの頃に、エロ本をたくさん読んでも、みんな立派な大人になっている。
◇◆ お知らせ ◆◇
先日、詐欺被害に遭った友人ですが、警察と消費生活センターに届け出た結果、相手方弁護士を通じて、振り込んだ金はすべて返ってきたそうです。めでたしめでたし。
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