2007年9月27日 (木)

「裁判員」制度は、もう始まっている!

 裁判員制度が、いよいよ再来年から始まりますねぇ?

 ……って、いえいえ、何をおっしゃいますやら。

 もう始まってますよ。 裁判員の制度なら。

 

 裁判官を裁く「弾劾裁判所」ってありますよね。 裁判官が何か不祥事を起こしても、裁判官という職業には手厚い身分保障がありますから、裁判所の内部で懲戒免職を決めることは許されません。

 代わりに14人の国会議員が、この裁判官を強制的に辞めさせるべきか判断するのです。 そして、

 
 

◆ 裁判官弾劾法 第16条(裁判員・予備員)
1 裁判員の員数は、衆議院議員及び参議院議員各7人とし、その予備員の員数は、衆議院議員及び参議院議員各4人とする。

 
 

 弾劾裁判所で、裁判官を裁く国会議員のことを「裁判員」と呼ぶそうです。 だから、とっくの昔に裁判員制度はスタート…… あぁ、あっ! 痛い痛い! 殴らないでください! せめてグーでなく平手でぇ!

 

 ……えー、この小ネタは、ただいま書いている「最高裁判所」の本(年内刊行予定)の原稿で、追加の調べものをしている際に見つけました。ちょっと嬉しかったです。

 いい加減に原稿を仕上げないといけませんけどねー。光文社の担当編集者さんが「面白い」と褒めてくださったので、今までにない司法系の本になる手ごたえはありますが…… 書けども書けども書き終わる気がしねぇ。

 次回作は国民審査に関する本でもありますので、福田政権が10月とか11月にいきなり衆議院解散なんか決めたら、リリースのタイミングを思いっきり外してしまいます。国民審査の時期は、解散総選挙と運命共同体ですからね。

 なので、ちょっとビクビクしながら政治ニュースを監視している、今日このごろでございます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年3月12日 (月)

「評議の秘密」って何だろう?

>>> 袴田事件支援団体の集会「無罪の心証」と元裁判官
 静岡県で1966年、みそ会社専務一家4人が殺害された「袴田事件」で、袴田巌死刑囚(71)(再審請求中)に対する1審・静岡地裁の死刑判決にかかわった元裁判官の熊本典道氏(69)が9日、東京都内で開かれた支援団体の集会に参加し、「自分は無罪の心証だったが、裁判長ともう1人の裁判官を説得できず、2対1の多数決で死刑判決を出してしまった」と明かした。
 熊本氏が、「評議の内容」を公の場で話したのは初めてで、再審支援に協力する意向も示した。
 裁判官が、判決に至るまでの議論の内容など評議の中身を明かすのは裁判所法に違反するが、熊本氏は「高裁や最高裁が間違いに気づいてくれることを願っていたが、かなわなかった。人の命を救うための緊急避難的な措置」と話した。 (読売新聞)2007年3月10日

 

 司法試験受験生にとって、袴田事件といわれたら「共産党袴田事件」でしょうが、そっちじゃないんですよ。

 あえていうなら「ボクサー袴田事件」です。

 じつは、この事件について、私もよく知らなかったんです。 最初に詳しく知ったのは、秋山賢三著「裁判官はなぜ誤るのか」や、浜田寿美男著「自白の心理学」(ともに岩波新書)がきっかけでした。

 ↓ 簡潔にまとまっています。
 袴田事件(事件史探訪)

 だいぶ昔の事件ですよ。

 今は、確定した死刑判決をもう一度見なおして欲しいという「再審」の請求(申請手続き)を、最高裁が受けつけるかどうかが待たれている段階です。

 なお、この手続きに30年近くかかっています。 もし最高裁が再審開始を決めたとしても、再審の裁判はこれから始まるんです。 地裁から。

 袴田死刑囚は今月、71歳の誕生日を迎えられました。

 

 熊本弁護士が裁判官時代、袴田事件の一審で死刑判決を書いたのは29歳のころ。

 殺人の罪で起訴された場合は、その事件を裁判官3人で審理することが義務づけられていまして(合議事件)、一番キャリアの浅い左陪席裁判官が、主任裁判官として判決文の案を書くならわしになっているようです。

 その若手裁判官の起案に、先輩の裁判長(部総括判事)や右陪席判事がツッコミを入れたりして、世に出す判決文を仕上げていくんです。 ときには、原型をとどめないほどの「修正」が行われることもあるとか。
 

 袴田事件法廷の左陪席に座って審理にあたった熊本さんは、検察側の立証をもとに袴田さんを有罪を導くのはムリがあると考え、「(検察官の主張が)疑わしきは罰せず」の鉄則を念頭に、主任裁判官として350ページの無罪判決文を起案なさったといいます。 

 しかし、すでに裁判長や右陪席が「死刑」の心証を固めていたため、2対1の多数決により、熊本さんは主文を死刑に書きなおして判決理由を導かざるをえませんでした。

 「高裁や最高裁が、この判決の間違いにきっと気づいてくれる」と信じつつ。
 

 判決前の評議で、たとえ裁判官3人の意見が分かれていたとしても、判決は、まるで何事もなかったかのように「全員一致」のものとして公判廷で出されなければなりません。

 この判決が出された後、熊本さんは裁判官をお辞めになっています。

 

◆ 裁判所法 第75条(評議の秘密)
1 合議体でする裁判の評議は、これを公行しない。但し、司法修習生の傍聴を許すことができる。
2 評議は、裁判長が、これを開き、且つこれを整理する。その評議の経過並びに各裁判官の意見及びその多少の数については、この法律に特別の定がない限り、秘密を守らなければならない。

 

 国民審査の対象である最高裁を除いては、評議の中での各裁判官の意見だけでなく、「何対何で有罪だったのか(or無罪だったのか)」との事実すら明かされません。 すべての合議判決・決定が「全員一致」ということになっています。

 「この結論が裁判所の意思だ」とする一貫した舞台演出によって、ギリギリの権威を保とうとなさっているのでしょう。 その気持ち、わからなくはありません。

 

 要するに、「ぶれない男のダンディズム」ってことでしょうか。

 今は女性の裁判官も少なくありませんが。

 

 ある裁判官が「評議の秘密」を破って、アノ裁判の裏側というものを世間に向けて語ったとしても、罰則が無いので犯罪になるわけではありません。

 ちなみに、再来年以降、裁判員が「評議の秘密」を破って、どんな話題が出てきたか、裁判長はどんな態度だったかなどを、日常会話やブログなどで明らかにした場合、こうなります。
 

◆ 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律 第79条(裁判員等による秘密漏示罪)
 裁判員又は補充裁判員が、評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 

 うーむ、この扱いの差は、いったい何なのでしょうか。

 ♪教えてぇー  おじぃーさんーー
 

 裁判員はともかくとして、裁判官は評議の内容をぶっちゃけても犯罪にはなりません。

 現職の裁判官であれば、「職務上の義務に著しく違反」したということで、弾劾裁判にかけられて強制的に辞めさせられる対象にもなりかねませんが、熊本さんはすでに辞めてますので、この点では関係ありません。

 ただ、「神聖」であるべき評議の中身を公表したことは、裁判官やその経験者などから職業倫理的に責められることは仕方がないところでしょう。

 もちろん、熊本弁護士としても、その覚悟を決めた上での発言だったはずです。

 40年間、誰にも真実を打ち明けられず、「王様の耳はロバの耳」だと言えず、じっと耐えてこられたのでしょう。 しかし、70歳を前にして、冥土まで持っていくべき秘密ではない、と腹をすえての決断だったのかもしれません。

 氏は「人の命を救うための緊急避難的な措置」とおっしゃってますが、先ほども説明いたしましたとおり、評議の内容をバラすことは刑事処罰の対象ではありません。 「的」と付いていますとおり、緊急避難そのものではないんですよ。

 ただ、今回の熊本さんの発言が特別に許されるものだとしたら、どんな法律構成が考えられますかねぇ。
 

 んーと…… 

 んーーーと…………

 

 超法規的措置。

 どこが法律構成だか。

 

 たとえば内閣の構成は「一体性」というものを確保しなければならないとされています。 総理大臣の意向と違うことを言っているナントカ大臣は、国会で野党から腹いっぱいツッコまれて辞めさせられ、別の人が入って来たりね。

……まぁ、いろいろです。(←興味ないのがミエミエ)

 
 日本国民の総意の「反映」「統合」だということにされている国会議員の先生方が出す「不信任決議」によって、内閣は、いつ総辞職の憂き目にあうか知れないリスクを負いつつ存在していますから、もちろんそれなりに必死です。

 ただ、裁判所の合議はどうでしょう。 いくら個別の事件に限ったこととはいえ、裁判官らの意見が分かれているものを「みんなこう言ってますよ」として世に出すとは。
 

 これを、一般庶民の素朴な感覚で「ウソ」と呼びます。
 

 個別意見を明かさないのは、まぁ理解はできます。 特に裁判員制度が始まれば、一般人の身が危険にさらされるおそれがあります。

 それでも、せめて結論が何人対何人で分かれたのか、という最低限の情報ぐらいは知らさせてもいいはずです。

 

 「評議の秘密」は、誤判の責任をあいまいにするための隠れミノですか? 違うでしょう。

 世間で政治家の皆さんは「汚い」ものの代名詞みたいな言われようですが、彼らは仕事上の間違いをおかせば政治責任を取らされます。 裁判官はいかがでしょうか?

 

>>>>>>> みそしるオススメ本
 

自白の心理学
自白の心理学 浜田 寿美男

おすすめ平均
starsなぜ被疑者は虚偽自白するのか
stars冤罪は誰の責任なのか?
stars難しい専門知識不要の冤罪メカニズム解説書

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 

裁判官はなぜ誤るのか

裁判官はなぜ誤るのか 秋山 賢三

おすすめ平均
stars裁判は絶対に正しいか?
stars解決しない問題
stars裁判官が語る「裁判官」の危険な一面
stars恐るべき現状
stars良書です

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年2月28日 (水)

裁判員制度のメールマガジンができたみたいです

裁判員制度メールマガジン (裁判員制度 公式サイト)

 

 まだ先の話かと思っていたら、いつの間にか再来年に迫っていました。 いよいよ裁判員制度が動き始めようとしています。 もう、全国各地の裁判所で9人掛けの法壇が続々と出来ています。 いまさら後戻りはできないのでしょう。

 国民から総スカンを食いつつある同制度ですが、少しでも味方を増やそうと、最高裁がメールマガジンを創刊しました。

 2ヶ月に1度の配信ペースを予定しているということで、うちの「東京地裁つまみぐい」とドッコイドッコイですね……。 果たして読んで面白いものになるのかどうか、これからに期待します。

 私も、裁判員制度が始まると何がどうなるのか、いろいろ考えたり調べたりしています。 どこかで裁判員を想定した模擬裁判が開かれる予定がありましたら、そういった情報もぜひお寄せください。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年12月14日 (木)

裁判員制度タウンミーティング「やらせ質問」の中身

>>> タウンミーティング:「官が筋書き」裏付け 最終報告書

■世論誘導

 TMで最も悪質なのが「やらせ質問」。計15回のやらせが判明したが、最多は司法制度改革の6回だった。メーンテーマの裁判員制度の導入で、こんなやり取りがあった。

 ▽質問者 「裁判員制度で専門的知識もない人間が、罪の有無や刑の内容まで判断するのは荷が重いし、負担と考えてしまう」

 ▽南野知恵子法相(当時) 「我々が持つ常識や人生観で裁くことに、大きな役割が見いだせるのではないか。直接裁判をご覧になれば、もっと身近に感じていただけると思う」

 法務省によると、やらせは内閣府タウンミーティング室の担当者が、同省に「あらかじめ質問を用意して発言を依頼するやり方がある」と助言。同省の出先機関の職員が知人ら計23人に質問を依頼したという。裁判員制度のほか「日本司法支援センターを利用したいが、無料で相談できるのか」などの質問もしてもらった。(毎日新聞 2006年12月14日 1時20分)

 

 法務省や最高裁は、庶民の「常識や人生観で裁く」陪審制に猛反対していたんじゃありませんか。 裁判員制度は、その妥協の産物です。

 これ、台本がヒドすぎますね。 セリフを作るなら、もうちょっと骨のあることを書きなさいよ。

 

 この回答には、もうワンクッション必要なんです。
 

 皆さんの常識や人生観をもって「物的証拠を見て」「証言を聞いて」「被告人の供述を聞いて」、

 そのうえで、検察官の主張が少しでも信じられないときは、無罪の評決をしてください。

 そのルールだけ守っていただければ結構です、と。

 本当は、常識だけで証人や被告人の話を吟味するのは、かなり危険なことのようなのですが、そのへんは、浜田寿美男氏「自白の心理学」や、高木光太郎氏「証言の心理学」を、ぜひご参照ください。

 

 いずれにせよ、常識や人生観で、いきなり「裁く」までいってしまうのはムチャです。 私たちは日常の世界で生きています。 その日常感覚で、非日常の現象である凶悪犯行を断罪することは許されません。

 それは単なる「お茶の間裁判」「居酒屋判決」です。 そんな雑談をもとに権力が発動されてはたまりません。

 誰かの直感や都合で動く世の中を、私たちは「人治国家」と呼びます。 歴史の上で、もう人治国家はこりごりだと、ノーセンキューと、人類は思い知っています。

 大げさな話を持ち出してきてすみませんが。

 

 やらせ質問の背景には、看護師出身で司法制度改革に必ずしも詳しくない南野参院議員が法相だったという事情もあった。ある法務省幹部は「あらかじめ綿密なシナリオを作っておく必要があった」と話し、南野氏が出席した5回のTMでは、質問順まで事前に決まっており、回答案も用意されていたという。(同)

 
 これ、南野前大臣は腹を立てて怒鳴ってもおかしくない場面のはずなんですよ。 「バカにすんな」と。

 でも、どこかのセーラー服を着た受験生のごとく、「回答案」を熟読しては、ときどき目を離したりして、ゴニョゴニョと暗唱している様子が目に浮かんでくるのは哀しいです。

 「南野さんは厚生労働大臣になってたら、もっと堂々と良い仕事ができたかも」との声があったのも確かなようです。 しかし、内閣の大臣と関係省庁の官僚は、馴れ合いを厳に慎むべき、一種の「緊張関係」にあるわけですから、出身業界の大臣にそのまま据えるのは、あんまりいただけません。

 小泉前首相の「改革路線」からは、むしろ門外漢の大臣のほうが思いきった改革ができるはず、という期待も働いたのかもしれません。

 それならなおのこと、与えられたことをこなすのも満足にできない、まるで司法浪人時代の私のような学習能力の低い人物に、一国家の大臣を務めていただくわけにはいかないのです。

 この「やらせ質問」は、たとえば国会の委員会質問で、官僚が作成した「想定問答集」を大臣が読み上げるのとはワケが違います。 相手方の質問からして、自分たちの都合のいい内容で作っておくのですから。

 少なくとも法務省は、国民の意見を吸い上げる気がなかっただけでなく、むしろ世の中をだましてまで、意見の吸い上げを積極的に拒むつもりだったことがわかりました。

 あとは、裁判員制度が実際に動き始めたときの、裁判所の心意気に注目ですね。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2006年12月13日 (水)

タウンミーティング「やらせ」 が、司法改革関連でも!

>>> タウンミーティングやらせ質問で首相含め処分へ
 安倍首相は、小泉内閣時代に開いたタウンミーティング(TM)での「やらせ」質問などに関する政府の調査委員会(委員長・林芳正内閣府副大臣)の最終報告書が13日にまとまるのを受け、首相自身を含む関係者を処分する方針を固めた。首相がTMの責任者である官房長官を務めていた期間にも「やらせ」が判明しており、自ら「けじめ」をつける必要があると判断した。
 計174回開いたタウンミーティング(TM)で、これまで教育改革TM8回のうち5回で同様の「やらせ」質問が発覚している。今回の政府の調査では、さらに複数回の司法制度改革TMを含む10回程度が新たに確認された。
(朝日新聞)2006年12月12日23時42分

 
>>> 司法制度改革TMでもやらせ
 政府のタウンミーティング(TM)調査委員会(委員長・林芳正内閣府副大臣)は13日、政府が2001年6月以降主催した計174回のTMのうち、計15回で発言内容を事前に依頼する「やらせ質問」があったことなどを柱とする最終報告書を公表する。教育改革TMに加え、裁判員制度をテーマとした司法制度改革TMでも「やらせ質問」が行われていたことが新たに判明した。[2006年12月12日22時42分]ニッカンスポーツ

 
 なるほど。 よりによって裁判員制度のヤツでしたか。 どんな捏造質問があったのか、具体的な続報が待たれます。

 TMやらせネットワーク。

 すいません。書いてみたかっただけです。

 私は、裁判員制度はおかしい、よしたほうがいい、と当初から言っております。 「主権者意識の喚起」などという説教くさい目的など、余計なお世話だと吐き捨ててやりたい気持ちで一杯です。

 ですが、むやみな反対意見というわけでもありません。 運用の工夫次第では「遠慮の無い、素朴で多様な意見」がもたらされ、「できるだけ誤判をなくす」強力なインパクトを、硬直化した司法に与えることができるのではないかと。

 判決内容が出世に影響しない一般人なら、検察官の疑わしい主張を疑わしいと、「王様は裸だ」と率直に言え、無罪の評決を出していただけるのではと。

 その可能性に賭けつつ、私はムチャを承知の上で、あえて裁判員制度を活かす方向で無い知恵を絞っているのです。

 今回の「やらせ」が行われた疑いをもって、“裁判員制度反対”という考えを補強するのは簡単です。 しかし、「やらせ」があったとされる事実と、「司法判断への一般庶民関与の是非」は、まるで次元の違う話であるはずでしょう。

 その違いをごまかして、「それ見たことか。やっぱり裁判員制度はダメだ」と強引に結びつけるのでは、「やらせ」を決行するような人間と、あんまり発想は変わらない気もいたしますね。 それこそ余計なお世話ですが。

 にしてもですよ。 「やらせ」という言葉に改めて注目すると、なんだか変な気持ちになってきますね。 「やらせ」という文字に、条件反射でやらしい連想をしてしまう私は、「やらせ」を行う政府よりも悪い子です。 誰か叱ってください。

 

>>>>>>> 翼の折れたエンジェル <<<<<<<

 ご存知、呉智英「以費塾」のプロデューサーである著者の最新刊です。呉氏の著作は、教養の中に潜む抜群のギャグセンスが売りですが、浅羽さんの文章は、じつに「上手い」。私などが上手いと言ったら怒られるでしょうが、上手いものは上手いのです。

 「右翼と左翼は、対立概念というより、同じ穴のむじな」……そこまでは気づいている人も多いでしょうが、本当に頭の切れる方が説明に乗り出すと、こうなります。このテーマについて、もっと知りたくなる一冊です。
 傍目には「難しいテーマを易しく語る難しさ」を、やすやすと乗り越えておられるように見えますね。 うらやましいな。

右翼と左翼
右翼と左翼 浅羽 通明

幻冬舎 2006-11
売り上げランキング : 1424

おすすめ平均 star
star満艦飾の固有名詞:広く浅くの最高レベル
star二項対立解体の後先

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2006年10月31日 (火)

【裁判員広告】今度は仲間由紀恵だ!

Dsc00011 【参考過去ログ】
 ハセキョーは裁判員制度を救う女神なのか(2005/10/13)

 

 「おまえらの犯行は、まるっとお見通しだ!」 (ドラマ「トリック」風に)

 いやぁ、驚きましたね。 この由紀恵ちゃんの右手に、チキンラーメンどんぶりが乗っかっていても決して違和感のない出来映えですが、まぎれもない裁判員制度PR第2弾なのです。

 また6億円使っちゃったんでしょうか。

 朝日新聞10月26日付朝刊よりの引用です。 最初は縦撮りをしていたんですが、どうやら私のパソコンが古すぎて、デジカメ画像の縦撮り情報が反映されないようですので、こんな不細工な形となりました。 ま、あんまりキレイに撮ったら撮ったで、著作権うんぬんを理由にオトナの人たちから怒られそうですし、これでイイのです。

 私が勝手に決めた「若手売れっこ女優 四天王」のうち、これでふたりが裁判員PRのモデルとして起用されたことになりますね。

 キョウコユキエときて……、もしかしたら来年はミサキあたりでしょうか。 オレの女たちがどんどん自分のもとを離れていき、最高裁というオジサマの胸の中へ飛び込んでいくことを、心の底から悔しく思いますが、その悔しさは案の定 気のせいでした。 秋は哀しい季節ですね。

 

 法律の素人が裁判員として審理に参加することに対して、疑問を抱き心配しておられる方が、まだまだ少なくないようですね。

 以前も書きましたとおり、皆さんにやっていただくのは、被告人や証人、鑑定人が言っていることに、おかしいところや矛盾は無いか、その点検作業に終始するものと思われます。 刑事事件で刑事法規の解釈が正面から問題になるケースというのは稀です。

 皆さんの日常生活なり職業なりで獲得してきた経験に照らしながら、証拠を目で見て、証言を耳で聞き、被告人・証人のしぐさや口調を法廷の場で感じて、そのうえで「検察官の主張(公訴事実)に少しでも疑わしい点があれば、無罪の評決をする」という鉄則さえ守っていただければいいのです。

 なので、裁判員をやりたくない人たちに、無理にやっていただく必要はありません。 気の進まなさや、やる気のなさが、証拠への認知に影響すれば台なしですので、そういった方々の参加を強制するのは、かえって有害だといえます。 意欲のある人たちだけを選んで、司法権の内部に入りこんでいただけばいいのです。

 そういった意欲を喚起するのは、「地域で起こる犯罪は他人事ではなく、自分たちの問題として考えろ」といった類の説教くさい啓蒙活動ではありませんし、ましてや国庫から支払われる日当でもありません。

 「裁判所が私のために、こんなに丁寧に対応してくれた。 こんなに懸命に動いてくれた。 ここまでしてくれた!」という、素朴な驚きや感動にこそカギがあるのではないか、と私は考えています。

 そうして一人ひとりの心が満たされた経験が、裁判員としての真摯な任務遂行につながるのでしょうし、良い評判が口コミで広がっていくことで、制度の成功にもつながるはずです。 「人を味方に付ける」とは、そういうことだと思います。
 なので、場合によっては、「接客のプロ」を招いて裁判員裁判の運営に携わっていただくことだって、アリかもしれません。

 現段階では「仕事が忙しくて参加できない」と敬遠していても、裁判所がそこまで心を尽くせば、万難を排してでも参加を表明する国民は少なくありませんよ。 日本人って基本的にお人好しですから。

 なお、長谷川さんや仲間さんの新聞広告が、そうした驚きや感動のカギになりうるかどうかに関しましては、ここではあえて問いません。 ただ、来年の第3弾広告として、伊東美咲を起用することについては、個人的に期待しております。 エビちゃんでもいいけど。

 

>>>>> いよいよ明後日に一斉発売ですね <<<<<
 

 中2のクリスマスプレゼントで、親父から「イミダス」を買い与えてもらい、「世の中には、こんな便利な本があったのかぁぁ!」との感動を覚えてから、はや幾とせ。 捨てるのが面倒なほどデカくて、毎年どんどん表紙が派手になっていく現代用語辞典です。

 来年の手帳は、もう買ってしまいましたので、手帳がおまけで付く「イミダス」や「知恵蔵」は、残念ながら選択肢から外そうかな、と。 たったそれだけの理由で選んでたら、自由国民社に失礼ですが。

 『現代用語の基礎知識』は、なんといっても項目のマニアックさとコンパクトサイズが特徴。 大ベストセラーとなった「経済のニュースがよくわかる本」の著者が、「参考資料は『現代用語の基礎知識』だけ」と語ったほど(その是非は別にして)、経済関係の解説にも定評があります。
 ただ、付録がなんとも中途半端なような気がして困ります。 今年は「生活スタイル事典」「マナーと常識事典」…… 読んでみないと判断できませんが、なんとか期待に応えていただきたい。

 ビジュアル面が充実しており一番人気の『イミダス』は、別冊付録の「国際比較『日本力』」に魅力を感じて、なんだか気になります。手帳は別に要らんけど、うーん、やっぱり迷いますね。 こうなったら、来年の手帳が2冊あってもいいか?

 政治に関連する項目にめっぽう強く、最近「現代用語の…」の収録項目数を超え始めたといわれる(4万語?)、今年の『知恵蔵』は、「一目でわかる裁判員制度」の特集が組まれているそうです。一方では「知恵蔵裁判」の行方も気になりますね。

 重たいものなので、ネットで買うのが吉かと思います。

 

現代用語の基礎知識2007
現代用語の基礎知識2007 現代用語編集部

自由国民社 2006-11-02


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

イミダス2007
イミダス2007
集英社 2006-11-02


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 

朝日現代用語 知恵蔵 2006
朝日現代用語 知恵蔵 2006 朝日新聞社

おすすめ平均
stars迷った挙句、知恵蔵に決定
stars今年こそ、日常の疑問を解決!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

※ この期におよんで、なぜか来年版「知恵蔵」だけはアマゾンで予約できないようです。 あしからずご了承ください。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006年8月 5日 (土)

これからの ふくびき (4コマ)

060805fukubiki

 

◆ 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律 第21条(裁判員候補者予定者名簿の調製)
1 市町村の選挙管理委員会は、前条第1項の通知を受けたときは、選挙人名簿に登録されている者の中から裁判員候補者の予定者として当該通知に係る員数の者(※中略)くじで選定しなければならない。

 

>>>>>>>>>> みそしるオススメ本 <<<<<<<<<<

 冒頭にいきなり載っている著者の写真を見て、思わず噴き出してしまいそうになりますが(すいません)、そこはグッとこらえて、「まじめに法を考えてみよう」という著者の呼びかけに、耳を傾けてみましょう。
 

 アメリカでうまくいったネット規制を、日本に直輸入してはいけないワケとは?

 ネット上の言論は、政治に消極的であるべきか。

 ネット時代の、「著作権」と「コピー」。 その微妙な関係とは。
 

 ちょっと面倒ですけど、「法とは何か」という大上段から、あらためて、ネット社会の取り決めについて思いを馳せてみませんか。

 法的な整備があいまいなままでは、インターネットは「金儲けの道具」以上のものにはなれないかもしれません。

 

インターネットの法と慣習  かなり奇妙な法学入門
インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 白田 秀彰

おすすめ平均
stars軽やかに、でも本気でネットワーカを挑発する書
stars法が何のためにあるのか分かる書
starsブログで法律を論じる前に

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年7月23日 (日)

こんな事件でも、裁判員が呼ばれることになります

 15日午前0時55分ごろ、埼玉県春日部市緑町の東武伊勢崎線一ノ割駅近くの自転車置き場で、男が同市の女性会社員(28)の顔を殴り、はいていた下着を奪い走って逃げた。女性は顔に軽傷を負い、春日部署は強盗致傷事件として調べている。
 調べでは、男は30歳ぐらい。自転車で帰宅しようとした女性に近づいて「パンツよこしな」と声を掛けた。女性が断ると殴りかかって押し倒し、スカートの中に手を入れ下着を奪ったという。 (産経新聞)2006/07/15

 皆さん、「強盗」と聞いたときに、銀行強盗やコンビニ強盗など、一定のイメージというものが浮かぶと思うのですが、こういうパターンもありうるんですね。 下着ドロも、行きつくトコまで行ってしまえば、こんなタチの悪い重大事件になってしまうのです。

 洗濯してベランダに干してあるものでは飽き足らず、1日 直に着用し続けていたものを求める「こだわり」をお持ちだったのでしょうか。

 被害を受けた女性も、怖かったろうと思いますよ。 深夜の自転車置き場には、管理者がいない場合がほとんどですから、状況としては、道端で襲われたのとあまり変わりません。 

 同年代の男として、少しでも犯人の心情を理解したいところなのですが、やっぱりここまでくると気持ち悪いですね。

 

 

◆ 刑法 第240条(強盗致死傷)
 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

 
 
 下着泥棒には、まるで似つかわしくないほどの重い刑罰が用意されています。 しかも、強盗致傷罪は2009年以降、「裁判員が召集される対象の事件」となります。

 一般の私たちにとって、ただでさえ気乗りしない裁判員の務めなのに、こんな事件に当たってしまったら……。 「ケガ人の出た強盗事件っていうことで、ある程度の覚悟はしてきたが、コレのこと?」と、拍子抜けするやら、うんざりするやらで、ダブルの衝撃を食らってしまうかもしれません。

 でも、こういう事件を放置するわけにもいかないんですよね。 性犯罪には強い常習性がありますので、新たな被害が続いたり、態様がますますエスカレートしたりする前に検挙し、誰かが裁かなければならないのでしょう。
 

>>> ジュース1本万引し逃走 … “強盗致傷”現行犯で逮捕
 1日午後4時25分ごろ、京都府宇治市木幡西中のコンビニ「ショップ99京阪木幡駅前店」で、男がジュースを万引したのを男性店長(31)が見つけた。
 男は乗用車に乗り込み発車。止めようとしがみついた店長を引きずって約50メートル走ったが、 対向車に店長の体が接触したのに驚いて止まり、110番で駆け付けた警察官が 強盗致傷の現行犯で逮捕した。 店長は肩の打撲など軽傷。
 宇治署の調べでは、宇治市の無職の男(24)。現金を持っておらず「捕まりたくなかったので逃げた」と供述したという。 店長は運転席の窓から上半身を入れ、ドアにしがみついていた。 (夕刊フジ)2006/05/02

 
 本件のように、最初は万引き、窃盗のつもりでも、追いかけてきた店の関係者にケガをさせたなら、たちまち「強盗致傷事件」がひとつ完成するのです。

 

◆ 刑法 第238条(事後強盗)
 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

 

 クルマ持ってて、どうして103円のジュースを買う金すら無いの? よくわからない事件です。 まさか……、そのクルマも、どっかから盗んだ、ということではないですよね。 まさかねぇ。

 一方、ジュース1本で、ここまで捨て身の勇気を見せる店長さんに脱帽です。 こういう均一ショップは、「薄利多売」で成り立っていますので、値段のほとんどは仕入れや人件費で消えてしまうんです。

 「ふざけんな。安いんだから買えよ!」と、身体を張って犯行を止めたくなる店長さんの気持ちには共感できます。

 

>>>>>>>>>> みそしるオススメ本 <<<<<<<<<<

 たとえば、整然と区画された治安の良い街の中に、ある日、フロントガラスの割られた1台のクルマが放置されたとします。 すると、そこから街の平和はほころびを見せ始め、たちまち治安は悪化していくのだといいます。

 なぜなら、ガラスの割られたクルマがそのままになっている状態は、「監視や管理がなされていない社会」の象徴だからです。

 今回のエントリでご紹介したような万引きや、壁の落書きなど、比較的小さな犯罪こそを逃さず、徹底して取り締まる「ゼロ・トレランス・ポリシング」(容赦なき警察活動)が、欧米で功を奏しているといいます。

 ただ、なにも、警官がそこらじゅうを歩いていたり、小型カメラがそこらじゅうからニラみつけていることばかりが「監視」ではないのです。

 私たち住人ひとりひとりが、ご近所と交流を持つ、地域の出来事に関心を持つ、というのが、防犯の始まりなのかもしれません。 なかなか一歩踏み出すのが難しいですけどね。
 

 犯罪は、「入りやすく見えにくい場所」で起こる。 とすれば、犯罪の原因を追及するより、「犯罪をあきらめさせる空間デザイン」を追求すべき。 そのほうが実践的で、より防犯の効果は上がる。 それが著者の主張です。

 犯人の心理状態・境遇や、犯行に至った動機ばかりに近視眼的な目を向ける、日本の司法や報道に警鐘を鳴らす一冊。 文章での説明だけでなく、国内外で撮影された写真がたくさん載っていて、わかりやすいです。
 

犯罪は「この場所」で起こる
犯罪は「この場所」で起こる 小宮 信夫

おすすめ平均
stars「場所」だけが犯罪を起こすのか?−−犯罪は、脳と「場所」が起こす。
stars犯罪対策のパラダイム・シフト
stars終わりなき「原因論」から抜け出すために
stars新しい犯罪学
stars保護者、行政は必読

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年7月13日 (木)

都道府県別! あなたが1年間に裁判員候補として呼び出される確率

 こんな重大なデータを知らずに見過ごしていたとは……、まったく不覚です。

 他のどこにもない、あたしの手作りランキング。

 どうぞ め・し・あ・が・れ 

 

※ 2004年データは、最高裁作成の裁判員制度ハンドブックに掲載されていたデータに依拠し、ランキング形式にして改変しております。

※ 2003年データは、2004年7月23日 日経新聞夕刊に掲載されていたデータを、ランキング形式にして改変しております。 当時、最高裁が出した試算です。 ( )内は、2003年当時の順位です。

※ 1件につき、何人が裁判員の候補として裁判所に呼び出されるのかは、まだ未定ですが、有力な数字として「50人程度」というのがあります。 仮に「50人」が呼び出される場合の確率です。

※ うち、6人の裁判員として選出され、実際に審理にたずさわる確率は、さらに、その8分の1以下ということになります。

 

                    2004年  前年比 2003年

第1位 滋賀県(大津地裁)   0.28%     (3) 0.22%

第2位 栃木県(宇都宮地裁)  0.27%     (4) 0.20%

第3位 福岡県(福岡地裁)   0.25%     (6) 0.19%

第4位 千葉県(千葉地裁)   0.24%     (14) 0.17%

第4位 大阪府(大阪地裁)   0.24%     (1) 0.25%

第6位 香川県(高松地裁)   0.23%     (11) 0.18%

第6位 高知県(高知地裁)   0.23%     (45) 0.09%

第8位 千葉県(千葉地裁)   0.21%     (14) 0.17%

第8位 愛知県(名古屋地裁)  0.21%     (26) 0.14%

第8位 和歌山県(和歌山地裁) 0.21%    (4) 0.20%

第11位 徳島県(徳島地裁)   0.20%     (6) 0.19%

第12位 東京都(東京地裁)   0.19%     (6) 0.19%

第13位 群馬県(前橋地裁)   0.17%     (6) 0.19%

第14位 神奈川県(横浜地裁) 0.15%     (29) 0.13%

第14位 京都府(京都地裁)   0.15%     (29) 0.13%

第14位 奈良県(奈良地裁)   0.15%     (45) 0.09%

第14位 長崎県(長崎地裁)   0.15%     (19) 0.15%

第14位 宮崎県(宮崎地裁)   0.15%     (2) 0.24%

第19位 山形県(山形地裁)   0.14%     (6) 0.19%

第19位 埼玉県(さいたま地裁) 0.14%     (36) 0.11%

第19位 兵庫県(神戸地裁)   0.14%     (29) 0.13%

第19位 広島県(広島地裁)   0.14%     (29) 0.13%

第19位 島根県(松江地裁)   0.14%     (36) 0.11%

第19位 沖縄県(那覇地裁)   0.14%     (14) 0.17%

第25位 北海道(函館地裁)   0.13%     (19) 0.15%

第25位 三重県(津地裁)    0.13%     (11) 0.18%

第25位 富山県(富山地裁)   0.13%     (47) 0.08%   

第28位 北海道(旭川地裁)   0.12%     (17) 0.16%

第28位 静岡県(静岡地裁)   0.12%     (29) 0.13%

第28位 岡山県(岡山地裁)   0.12%     (17) 0.16%

第31位 北海道(釧路地裁)   0.11%     (48) 0.07%

第31位 青森県(青森地裁)   0.11%     (40) 0.10%

第31位 山梨県(甲府地裁)   0.11%     (11) 0.18%

第31位 新潟県(新潟地裁)   0.11%     (36) 0.11%

第31位 愛媛県(松山地裁)   0.11%     (40) 0.10%

第31位 大分県(大分地裁)   0.11%     (34) 0.12%

第37位 福島県(福島地裁)   0.10%     (19) 0.15%

第37位 長野県(長野地裁)   0.10%     (34) 0.12%

第37位 岐阜県(岐阜地裁)   0.10%     (19) 0.15%

第37位 福井県(福井地裁)   0.10%     (19) 0.15%

第37位 鳥取県(鳥取地裁)   0.10%     (14) 0.17%

第42位 宮城県(仙台地裁)   0.09%     (40) 0.10%

第42位 秋田県(秋田地裁)   0.09%     (50) 0.04%

第42位 石川県(金沢地裁)   0.09%     (48) 0.07%

第42位 山口県(山口地裁)   0.09%     (19) 0.15%

第42位 熊本県(熊本地裁)   0.09%     (26) 0.14%

第47位 北海道(札幌地裁)   0.08%     (17) 0.16%

第47位 鹿児島県(鹿児島地裁) 0.08%    (40) 0.10%

第49位 岩手県(盛岡地裁)   0.07%     (40) 0.10%

第50位 佐賀県(佐賀地裁)   0.05%     (19) 0.15%

 

……この確率を、あなたは高いととるか、低いととるか。

 高知県や奈良県エリアの、赤丸急上昇っぷりが気になりますね。 「騒音おばさん裁判」の陰に隠れて、ひそかに裁判員対象の凶悪事件が増えてしまったようです。

 ま、統計上の数値はどうあれ、実際に裁判員候補に選ばれた、その人にとっては、確率100%なわけでして。

 ……それを言っちゃあ、おしめぇよ。

 

※ 裁判員は、原則として20歳から70歳までの日本国民から選ばれますので、「一生のうちに」裁判員候補として選ばれる確率は、以上に掲げた各数値を約50倍したものになると考えられます。(重大犯罪件数や人口の増減などの不確定要素を抜きにして)

※ 地方裁判所は、各都府県に1つずつ設置されていますが、北海道には、札幌・函館・旭川・釧路の4地裁があります。

 

>>>>>>>>>> みそしるオススメ本 <<<<<<<<<<

 
 今の段階で、世に出ている裁判員制度関連の本は、意外と多くて20冊前後あるんですが、一通り目を通してみまして、一番面白かったのはコレ。

 三択の女王(古っ)竹下景子さんを迎えての特別対談や、皆さんの熱演が光る 実写版(?)裁判員シミュレーションなど、他にない企画が盛りだくさんです。

 でも、まだ説明文が難しくて読みにくい。 もっとわかりやすく書けるはずです。 私が仮に裁判員制度の本を出すことになったとしたら、とりあえず、この本の完成度を超えることが最初の目標になるでしょう。

 

裁判員制度がやってくる―あなたが有罪、無罪を決める
裁判員制度がやってくる―あなたが有罪、無罪を決める 新倉 修

おすすめ平均
stars面白い!!
stars理想の裁判員制度が何かを問う本
stars日本で一番詳しい裁判員本

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年6月29日 (木)

裁判員制度 それぞれの温度差

>>> 評議の感想は裁判員の「守秘義務」外 … 最高裁長官
 最高裁の町田顕長官は23日、東京・千代田区の日本記者クラブで記者会見し、2009年に始まる裁判員制度で裁判員に課せられる守秘義務について、「評議の進行に関する感想程度なら外で話しても構わない」との考え方を示した。
 被告が有罪かどうかや量刑は、非公開の評議で話し合われるが、裁判員に守秘義務があるため、裁判官が強引に評議を進めた場合でも問題が表面化しない恐れが指摘されている。町田長官は、この点について、「評議で出た意見の内容は守秘義務の対象だが、『言いたいことを言えない雰囲気だった』といった感想は、秘密ではない」と述べた。(読売新聞) - 6月23日

 

(( 参考過去ログ ))

長官 「私の好みで選んだわけではありません(笑)」 (2005/10/19)

 

 すっかり「隠れ長谷川京子ファン」としておなじみ(ウソ)町田長官の談話です。 憲法記念日以外の機会に談話を発表するのは異例とのことですから、司法改革に占める裁判員制度の重要性が見えてくるというものです。

 でもねぇ、長官。 「感想なら言っていいよ」って、そんなこと、言うまでも無く当然のことでしょう。 問題は、評議の内容について外へ持ち出すことは許されない、というところです。

 なんだか「守秘義務ありき」で、話がどんどん進んでますけど、それでいいんですかね。仕事や育児・介護をなんとかヤリクリさせて休み、裁判員として審理に参加して、いろいろ考えて意見を出したのに判決理由には盛り込まれず、でも、審議の内容は「口外するな。墓場まで持っていけ」なんて……

 どれだけ裁判員にプレッシャーを与えれば気が済むんでしょうか。

 そんなもん、罰則科されたって誰も来ませんよ。 裁判所まで行って、そんなヒドい目に遭わされるんなら、最高10万払ってサボったほうがマシですもん。

 裁判員に関する意識調査で、6割から7割が「参加したくない」と答えていますが、当たり前ですよ。 「ぜひ参加したい」という層が2割近く占めていることのほうが、むしろ私には驚きです。

 この私だって、裁判員には「あまり参加したくない」にマルを付けたいですからね。

 

 まず、裁判員に守秘義務を課す「目的」「理由」は何なのでしょうか。

 担当の裁判官が、いかなるキャラや思想を持っているかを、世間に知られたくないのでしょうか。 どんだけ「ミステリアスな司法」でいたいんでしょうか。

 自分たちの「素」の部分を見せないようにしてミステリアスな雰囲気をかもし出すのって、今どき流行りませんよ。 残念ながら、バブル時代の売りだし手法です。

 

 
 裁判長 : WANDS判事  「法を語るより、口づけをかわそう」

 右陪席 : DEEN判事    「証拠物件から、瞳そらさないで」

 左陪席 : ZARD判事補  「負けないで、検察側」
 

 

 それぞれの裁判員は、危害が及ばないよう、名前を伏せて、番号で呼ばれる予定なんでしょ? そのこと自体の良し悪しは置いておくとして、裁判員の匿名性が維持されているんなら、どこに住んでる誰が、どんな意見を出したのかは特定できないわけじゃないですか。

 だったら、「評議の場に、こういう意見が出ていたよ」「裁判長に、こんな失礼なこと言われたよ」という事実そのものは、裁判所の外に公開しても問題はないと思うんですけどね。

 まぁ、いくら名前を伏せたところで、たとえば芸能人やスポーツ選手などが裁判員として参加した場合は、はじめから面が割れているわけですが。

 「あのコケティッシュなグラビアアイドルが、裁判員として死刑相当との意見を!!」という、妙な情報でも明るみに出たら、たしかに、そのタレントさんのイメージに影響しそうなもんです。
 そういう情報に限って、カネに糸目を付けないメディアもいるんだろうなぁ。 でも、そのへんはもう、各裁判員の良心に委ねましょうよ。

 

 ちなみに、アメリカの陪審員に、評議内容を守秘する義務は課されていません。 もちろん、職業裁判官が噛んでいない陪審の評議と、裁判員制度とは、当然に同じようには論じられませんけど、やっぱり、よけいな義務を課されるのは、ゴメンこうむりたいわけです。

 まぁ、同じ評議に携わっているのに、裁判官に守秘義務があって、裁判員に守秘義務が無いのでは、整合性が保てないじゃないか、という考えもありえますかね。

 ありえますが、そんなに裁判官と同等の義務を裁判員に課したければ、裁判官に保障されると同等の報酬も、裁判員に支払われるべきです。 日割り計算で。

 
 

>>> 裁判員に選ばれたら、6割「自分の意見伝える」・民間調査
 2009年までに始まる裁判員制度について、もし裁判員に選ばれたら裁判官とどのような評議をするか尋ねたところ、6割以上が「異なる意見に対して、自分の意見をきちんと伝える」と回答していたことが、富士通総研が実施したアンケート調査で分かった。(日経新聞)2006/06/28

 

 もちろん、この6割の中には、「ええかっこしい」の回答者が含まれていることを忘れてはなりません。 誰だって「自分の意見をきちんと伝えるべき」とは思っているんですから。

 アンケートでの模範的回答と、実際に裁判員として参加したときの振る舞いが、必ずしも一致するとは限りません。 ですが、そのあたりの事情を差し引いても、「6割以上」というのは、かなり高い数値に違いありません。

 

 共同調査した日本メディエーションセンターの田中圭子代表理事は「『裁判員制度は日本になじまない』と思われがちだが、環境を整えれば、むしろ向いているのではないか」と話している。(同)

 

 同感です。 誰が言い出したか知りませんが、「ディベート好きのアメリカ人に司法参加は向いているが、“お上” “親方日の丸”を伝統的にあがめたてまつるクセが染み付いた日本人には向いていない」とは、なんと乱暴な議論なのでしょう。

 一般の方が参加する、裁判員に良く似た制度で、検察官の起訴・不起訴を監視する「検察審査会」があります。 「お上に逆らえない日本人」が運営しているにもかかわらず、しっかりと機能しておりますよ。

 まぁ、検察審査会は、一般の皆さんのみで構成されてますから、裁判員裁判とは、少し事情が違うんですが、まぁ、そう心配するほどのことでもないでしょう。 日本人の精神的なクセの問題は。

 また、私は、裁判員制度に反対の意見を唱えている方々こそ、いちばん裁判員の適性があると確信しています。 それだけ、政府や裁判所に対して、ご自分の意見を迷わずハッキリと言えるんですからね。

 

 近日中に、私なりの「裁判員制度に対する提言」を偉そうにまとめて、このブログにアップします。 モノ申したいことが、溜まりに溜まってますんで。
 

 人間にとって、知識も大事ですが、知識は詰め込みすぎると、勘が鈍ります。

 ですから、決まりきった型にハマることに慣れた、「押し寿司」のごとき裁判所の中に、普通の人々が蓄積してきた知恵や経験を持ち寄ることは、非常に意義のあることだと思います。

 それどころか、司法機能に市民が関与することによって、裁判の間違いを減らすことも可能だ、とすら、私は考えています。 われながら、能天気です。

 なので、私は裁判員制度の理念に逆らうものではありません。 ただ、やり方がムチャクチャ悪い。 とにかく、主権者であらせられる国民さまに対して、失礼きわまりないんですよね。

 今のようにイイ加減なままで、裁判員制度が動き出すとすれば、国民の間に「司法不信」の世論が確実に噴出します。

 なにしろ裁判員制度は、ゼニカネの話を通り越して、人々の「行動の自由」を制限する仕組み。 ですから、「司法不信」の潮流は、他の「マスコミ不信」や「年金不信」なんて、問題にならないぐらいの痛烈なインパクトで裁判所に襲いかかってくるはずです。

 批判に慣れていない裁判所の皆さん、覚悟はできていますか?

 

 
 

>>>>>>> みそしるオススメ本 <<<<<<<
 

 個人的には、陪審制がそんなにイイものだとも思いませんが、実際に日本にも「陪審法」が存在しますし(「あった」じゃなく、今も「ある」のです)、避けては通れない話題です。

 裁判員制度は、刑事裁判を変えられるか……?

 変えてほしいなぁ。 それだけの潜在能力はあるはず。

 

裁判員制度は刑事裁判を変えるか ― 陪審制度を求める理由
裁判員制度は刑事裁判を変えるか ― 陪審制度を求める理由 伊佐 千尋


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年5月 7日 (日)

あなた色には染まりません

>>> 裁判員も黒い法服 最高裁前向き検討
 2009年にスタートする裁判員制度の本格準備を進める最高裁に「裁判員をやると、被告らからの仕返しが怖い」と脅迫や報復を恐れる市民の声が多く寄せられ、担当者を悩ませている。外見上の個性を消すため、裁判官と同じ「法服」を着用させる案も浮上。裁判員の不安解消は、円滑な制度導入に不可欠な重要課題になりそうだ。
 市民が黒い法服を羽織るアイデアは、最高裁が全国で開いた裁判員制度フォーラムの会場で提案された。
 被告らと向き合う裁判員6人が中央の裁判官3人と同じ服を着ることによって、法廷外で特定されにくくする一方、裁判員に自覚を与える効果も期待できるという。最高裁刑事局も「十分検討に値する」と前向きだ。(共同通信) - 5月6日

 
 戦隊ヒーローものとは逆の発想ですね。 服装を黒で統一して、区別を付けられないようにするとは。
 

 いくぞぉっ!  トォォォォーー!

 「裁判長ブラーック!」

 「右陪席ブラーック!」

 「左陪席ブラーック!」

 「裁判員ブラーック!」

 「裁判員ブラーック!」

 「裁判員ブラーック!」

 「裁判員ブラーック!」

 「裁判員ブラーック!」

 「裁判員ブラーック!」
 

 『9人合わせて、合議体!!』
 

 やかましいわ!

 「おのれ、 怪人ヒコクニンめ! 今日がオマエの命日だ!」
 

 こんな葬列みたいな色味の戦隊ヒーローもの。 テレビ朝日が日曜の朝に放送しても、子どもはまったく食いつかないでしょうね。 もちろん、死刑判決という「必殺ワザ」だって、たまに炸裂するのですが、

 「えー、ぜんぶ黒だー。 おもしろ