2005年10月18日 (火)

鳥取県人権条例の「危険性」

報道規制、容認できず/鳥取人権条例で15社(共同通信)


 今月12日、松平健さんの再婚サンバにまぎれて、鳥取県で、とある条例が可決、成立したというニュースが入ってきました。「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」です。その条例に基づいて、人権委員会が「人権侵害だ」と思った被害について、いろいろと調査することができて、その調査を拒めば5万円以下の過料に処されるという、全国初の内容です。

 現在国会で、提出されては廃案という一進一退を繰り返しつつある「人権擁護法案」というものがありますが、この条例は、その人権擁護法案を下敷きにして作成されているようです。ただ、この法案が悪名高いもので、各方面から危険性が指摘されています。それもあって、推進派と反対派の綱引きが繰り広げられてるんですよね。なになに団体や、どこどこ同盟の陰謀らしいという話も浮上してきています。

 陰謀なら陰謀で結構なんです。ただ、皆が皆「危険だ」と騒ぎ立てると、「マジでそこまで危険なんかいな?」と思ってしまうのが私の面倒くさい思考回路でして、きのう、試しに鳥取の人権条例の全文を写経してみたんです。写経とはいっても、キーボードを使って打ちこんでおるわけですが。
 それでわかったことは、この人権条例の中で、乱用的な運用がなされる危険性が予想される部分は、文字にしてみると、ごくわずかだということなんですね。私はBSE騒動を連想してしまいました。この異常プリオンがたまりやすい「危険部位」さえ丁寧に取り除いてやれば、そう騒ぐほどのものではないのかもしれないし、結構おいしく食べられるものかもしれません。

 まだ発足してもいない人権委員会による、まだ起こってもいない乱用的運用をオカルト的に心配するよりも、今そこにある、いわれなき不平等な扱いや、個人的ストレス解消策でしかない差別的表現に対して、何も手を出せない現状こそを憂うべきではないでしょうか。これまで、さんざん差別に苦しめられてきた人々は、この人権条例を待ち望んでいるのです。

 そもそも、乱用される危険のない法律なんかありえません。良いように使えるモノは、悪くも使えるのが世の常です。もしも何かを悪用されたくなかったら、善用すらもできないような意味のないモノにするしかないじゃありませんか。わかったような顔して、たとえば「包丁」や「ガソリン」の危険性を挙げてみたところで、そんな揚げ足取りはキリがないでしょう。それじゃ何も始まりませんし、そんな発想からは有益なものは何ひとつ生まれません。危険なら、いかにその危険性を封じ込めるのかに悩みを見せるのが人間です。

 この鳥取人権条例は、来年6月に施行されます。ですから、その後の鳥取県の動きに注視し、万一、ありえないような無茶な運用がなされたときにこそ、ここぞとばかりに腹いっぱい叩きのめせばいいじゃありませんか。そうなったらば、当ブログでも、マンガやパロディ、論理的ツッコミなど、あらゆる表現手段を使って、鳥取の人権委員会に向けて警告を発する用意がございます。

 もちろん、今の段階から条例の問題点を浮かび上がらせて攻撃し、その危険性を可能な限り削ぎ落としておく作業は有意義です。以上をふまえて、本条例の「危険部位」や、人権擁護法案との相違などについて、これから合間をぬって徹底分析してまいります。

 

放送禁止歌
4759254102森 達也

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