2008年2月 8日 (金)

拘置所では、「お守り」を差し入れできないらしいゾ

 映画「陰日向に咲く」を観てまいりました。じつは原作をまだ読んでおらず、「短編集のような小説」だという予備知識だけで行ったのでした。失礼な話です。

 最初のほうでトイレに行きたくなって、途中で一時退席するなど、さらに観客として失礼な行為を繰り返していたのですが、物語が進むにつれ……

 泣かされたっ! くっそー、劇団ひとりに泣かされた!!

 全体としては、とても人情味あふれる話なのですが、その裏ではかなり緻密な計算が尽くされています。よくもまぁ、あんな話をつくったなぁ。 逆にあきれました。いい意味で。

 おすすめです。

 

 (( 参考過去ログ ))

 疑わしきは、被告人の利益に (2007.12.17)

 

 今日は、葛飾区小菅の東京拘置所に行ってきました。 昨年末、東京高裁で有罪判決を支持され、最高裁に上告中の韓国人男性に会いに行くためです。 ひとりで向かうのは初めて。 ちょっとドキドキです。

 私の出した1通の年賀状に対して、便せん6枚のお返事が来て、かなりビックリ。 「日本を嫌いにならないでください」とのお願いに答えて、「嫌いというより怖いです」と。

 そりゃ怖いわよ。 犠牲者にとって一番近くにいた存在だったばっかりに。

 外の景色どころか、動くモノすらない閉鎖空間のなかでジッとしながら、有罪判決の確定を待っているかと思えば、これは私が話をしに行かねば!

 

 差し入れは、あの問題作「サイコーですか? 最高裁!」1冊。 この原稿を書いているときは、まさか彼が最高裁のお世話になるとは思ってなかったですし、「いかに最高裁は、多くの上告を門前払いにするか」を説明した本ですので、心境は複雑というか……。

 ただ、少しでも参考になればと。

 

 あのねぇ……、面会時間8分て! 足りるかーい!

 不法滞在していた外国人の立場で言うことではないが……と前置きしたうえで、彼は言ってましたよ。

 日本は世界有数の先進国だと思っていたが、人権に対する配慮は足りないと。

 事件の前は、埼玉の韓国人コミュニティのなかだけで生活し、日本人とふれあう機会など無かったが、今は、こうして日本人と話すことができると。

 皮肉やなぁ。

 私も、外国人が暮らす板橋のゲストハウスで3年間暮らしてましたけど、そこで外国人と積極的に会話を交わしたのって、最初の1カ月ぐらいですから……。 「恥ずかしがり屋の国民性」では済まされません。

 冷たくしているつもりはないけど、この高度国際化時代には、どうしても相対的にみて「外国人に冷たい国」という位置に甘んじてるのかなぁ。

 日本人が被害にあった冤罪事件は積極的に報道されるけれども、こういう外国人がからむ事件の大半は無視ないし軽視されていることは象徴的です。 というより、外国人に対して無罪判決をどれくらい出してるの? この国の裁判所は。

 彼はすごく知的な人だと思いますよ。 しかも、エネルギッシュなほど筆まめ。 こういう人が、同居女性から「セックスがへたくそ」と言われたぐらいで短絡的に殺すの? ホントなの?

 控訴審判決の前に、私が安易に告げてしまった「原田國男裁判長には期待してもいいのでは」という気休めに対して、目を赤くしてうなずいてくれたり。

 有罪判決が維持された事実を知って、我を忘れて怒りをあらわにしたり。

 ああいう振る舞いは、自分が犯した重罪をヒタ隠すために見せている、彼なりの迫真の演技なんでしょうか。

 

 きっと「そうだ、追いつめられたら感情的に反発するのが、韓国人の文化的側面なんだ」という人もいるんでしょうけど、どうなんですか? その思索を節約した単純な切り口。

 人種的・文化的偏見を乗り越えるだけの個人的差異は、必ず見られるものです。 女性に対してシャイなイタリアおやじもいるでしょう。 サッカーが苦手でサンバを踊れないブラジル人もいます。 集団に溶け込めない日本人も、ここにいます。

 だったら、ヒステリックな演技でアピールしたりするのを慎む韓国人だって……

 ……そうですね。 こんなもん、合理的な論拠ではありませんね。

 

 でも、裁判を通じて彼と知り合えたのも、なにかの縁でしょう。 裁判を通じないと知り合えないのも情けないけど。

 来週から、しばらく東京を離れますし、近いうち、取材旅行先でまた手紙を書こうと思います。 だって、向こうから「また手紙書きます」って言われちゃったもん。

 

 あまりにも、私が彼に対して力になれることが無さ過ぎて、「次は、お守りを差し入れしましょうか。日本の神様」と言ってみると、過去に同じことを考えた面会者がいたらしく、結果としてお守りは差し入れが許されなかったとのこと。 拘置所が預かってるんだそうです。

 その理由は「お守りに付いているヒモの部分が問題だから」……なんですって! 奥様!

 あんなオマケみたいな頼りないヒモ使って、どうやって自分を殺めるの? たくさん集めてつなげるんですか?

 ふーん、  そこまで面倒くさいことをやる情熱があるんなら、 生きろ!

 強度的にも不可能じゃないですかねぇ。 実験はしませんけど。

 

 じゃ、じゃあ、お守りのヒモの部分を切って持ってけばいいのかね?

 差し入れはできても、バチ当たりそうやな。


◆ 刑事施設及び被収容者等の処遇に関する法律 第44条 (金品の検査)
 刑事施設の職員は、次に掲げる金品について、検査を行うことができる。
 三 被収容者に交付するため当該被収容者以外の者が刑事施設に持参し、又は送付した現金及び物品

◆ 同 第46条(差入物の引取り等)
 刑事施設の長は、第四十四条第三号に掲げる現金又は物品が次の各号のいずれかに該当するときは、その現金又は物品を持参し、又は送付した者(以下「差入人」という。)に対し、その引取りを求めるものとする。
 一 被収容者に交付することにより、刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるものであるとき。
(※以下略)

◆ 同 第47条(物品の引渡し及び領置)
2 次に掲げる金品は、刑事施設の長が領置する。
 一 前項各号に掲げる物品のうち、この法律の規定により被収容者が使用し、又は摂取することができるもの以外のもの
(※以下略)

◆ 同 第52条(領置物の引渡し)
 刑事施設の長は、被収容者の釈放の際、領置している金品をその者に引き渡すものとする。

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2007年9月15日 (土)

笑って許して?

>>> <長野県警>防犯メールに和田アキ子風の髪…不適切とおわび

 子供を対象にした犯罪の発生状況を電子メールで知らせる長野県警の防犯情報配信システム「ライポくん安心メール」に、同県警が不審者の特徴を歌手の和田アキ子さんに例えて配信したところ、利用者から「不適切ではないか」との指摘があり、同県警は13日、「適切な表現ではなかった」とするおわびのメールを登録者約5600人に送信した。
 指摘を受けたのは今月3日付のメール。同県箕輪町内で目撃された不審な男の髪形について「和田アキ子風の黒色短髪」と表現した。男は8月31日夜、ワンピースを着て女装し、下校途中の女子高校生に下半身を露出したという。
 県警地域安全推進室は「目撃者の証言をそのまま使ってしまった。今後、表現には十分に注意を払いたい」としている。和田さん所属の事務所「ホリプロ」は「防犯を第一に考えてのことだと思うが、コメントすることはない」と静観の構え。
 「ライポくん安心メール」は、希望者の携帯電話やパソコンにメール配信するサービス。昨年8月にスタートし、これまで370件以上の情報提供を行っている。(毎日新聞)2007年9月13日


 たしかに不適切です。 「夜、ワンピースを着て、下半身を露出」なんて、想像しただけで気持ち悪い。 (←わざわざ想像すんなよ)

 そんな露出癖のある女装男のことを、女性シンガーである和田アキ子さんの特徴で例えるのは、やっぱり失礼ですよね。

 ……が、芸能人としては、ある種の栄誉ではないでしょうか。

 和田アキ子さんの髪型というのは、昔から変わらずに維持されていて、ほぼトレードマークと化しています。 彼女のヘアスタイルを基本的人権用語で言うなら「人類普遍の原理」なわけです。 それぐらい頑固に貫かれているポリシー。

 有名人、有名人といいますが、名前を聞いて、その人の特徴を世間で即座に思い浮かべてもらおうとすれば、生半可な有名っぷりでは通用しません。

 こういう防犯関係で、不特定多数の住人に伝えて警戒を求めるような場面では、きっと限りなく100%に近い知名度の有名人を採用する必要があるでしょう。

 

・ 「タモリのようなグラサン」← これはわかる

・ 「松山千春のような短髪」 ← 短髪どころじゃないけど 

・ 「キダタローのような髪型」← うーん、アンタッチャブル

・ 「なかやまきんに君のような上腕二頭筋」 ← 知らんがな 

・ 「ナガミネのような受け口」← 特徴として中途半端。もっとシャクレろ

・ 「ナガミネのような鼻毛」 ← すぐ伸びる 

・ 「東国原知事のようなメガネ」 ← 他に特徴あるやろ

・ 「舛添厚労相のようなメガネ」 ← 他に特徴あるやろ 

・ 「小島よしおのような握りこぶし」← そんなのカンケーネー

・ 「小島よしおのような、脇毛が抜けた脇の下」 ← 仕事がんばりすぎ (握りこぶしを突きすぎて) 

 

 ね、適切な伝達方法とはいえないでしょ。 長野県警の防犯メール担当者は、文面を配信するときに「いやいや、和田アキ子はないだろう」と、ちゅうちょしなかったんでしょうか。

 こういう文章は「どういうふうに読まれるか」、配信の前に自分自身でツッコミ(客観視)しておかなければいけません。 ……私が偉そうに言えるこっちゃありませんけど。 こんなふざけた文章を書き散らかす私が。

 

 手元に適当な統計データが見あたらず、あいにく詳しくは書けませんが、子どもを狙った犯行の報道が目立ちます。 防犯メールのシステムは、これからも推進していくべきでしょう。

 ただ、情報の伝え方についても、もう少し研究を進めていただきたいものですね。 ことの性質上、臨機応変な判断も必要でしょうから、全国的な統一マニュアルを設けろとはいいませんが、ある程度はパターン化する工夫が必要かもしれません。

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2007年1月21日 (日)

今年はいっそ、ジャーナリスティックに

>>> 2.5日に1回遅刻、厚労省職員処分 実家に戻ると止む
 2.5日に1回のペースで遅刻していたとして厚生労働省は26日、同省の男性職員(32)を国家公務員法に基づく職務専念義務違反で戒告処分にしたと発表した。男性は数年前から遅刻を重ねていたが、今年4月から7月にかけては81の出勤日のうち32回にのぼった。特に理由はなく「気を付けます」と言うばかり。親に知らせたところ、8月に一人暮らしの官舎から実家に引っ越し、その後は遅刻しなくなった。
 処分されたのは大臣官房統計情報部の主任。4カ月間の遅刻時間は計1481分間。平均46分、最長は225分だった。
 人事課では「遅刻が理由の懲戒処分は極めて珍しい」としている。 (2006年12月26日19時15分・朝日新聞)

 

 あけまして 今さらでございます。 今年もよろしくおねがいします。

 こんなに長い間ブログを更新できなかったのには、ワケがございまして。

 わたし、何を隠そう、 この遅刻魔のお役人にインタヴュー取材を決行してきたのです。えぇ。

 でも、アポをとるのが大変で、なかなか骨の折れる任務でした。

 
 

――――― えー、よろしくお願いします。

 遅刻役人「よろしくお願いします」

――――― さっそくですが。

 遅刻役人「ハイ」

――――― 今日も、この場に遅れて来ましたよね。

 遅刻役人「あー、すいませんでした。 気をつけます」

――――― もう今は、ご両親が起こしてくれるんじゃなかったんですか。

 遅刻役人「いや、起こしてくれたんですけど」

――――― じゃあ、なんで遅れるんですか。

 遅刻役人「トイレで用をたしてたら、間違えて流されてしまいまして」

――――― ……下水にですか?

 遅刻役人「ハイ。 ものすごい水圧で流されまして」

――――― トイレの水圧に押されてたら、かえって早く着きそうですけどね。

 遅刻役人「でも、今日はあいにく、下水道ルートの運が悪くてですね。 全然違うところに着いてしまいまして」

――――― あの…… いちおうイヤミのつもりなんですけど。

 遅刻役人「地上にあがったら寒くて寒くて。 全身タオルでふいてたら遅れてしまいました。 本当に申し訳ありませんっ」

――――― ……なんか怒るのもバカバカしくなりますよ。

 遅刻役人「下水管の中は暗いし、どこに行きつくかわからず不安で不安で」

――――― はぁ。

 遅刻役人「怖いですよぉ。 わかりますか。そんな気持ち」

――――― いえ。 わかりたくないです。

 遅刻役人「もう、流れに身をまかせて……。気持ち良かったです」

――――― どないやねん。

 遅刻役人「いろんなものにまみれて流されてました」

――――― ……そういえば、なんかニオいますよね。

 遅刻役人「あ、さっき、すかしっぺしちゃいました」

――――― おいおい! 勘弁してくれよ! くっせぇなぁ。

 遅刻役人「すいません。 今までのは全部冗談で」

――――― 冗談……? すかしっぺも?

 遅刻役人「それはマジです」

――――― それを最も冗談にしていただきたかった。

 遅刻役人「断固としてマジです」

――――― 本当は? 遅れた理由。

 遅刻役人「本当は今朝、来る途中に、ウィッキーさんに呼びとめられたんです」

――――― また古典的な言い訳を……。

 遅刻役人「新橋でウロウロしながら『エクスキューズミー』と連呼してましたけど、誰も立ち止まらないので、そんなウィッキーさんが哀れになって私が率先して英会話に協力することを決意したのです。 『わざわざスリランカから来日したのに、仕事あがったりだよな』と同情を寄せつつ」

――――― ……あなた、最近ズームイン観てないでしょう。 ウィッキーさんのコーナーは、とっくの昔に無くなってますよ。

 遅刻役人「えっ、無くなったんですか? そうですかぁ」

――――― 遅刻の言い訳がひとつ無くなって寂しいですか。

 遅刻役人「いやぁ、諸行無常ですね」

――――― やかましいわ。

 遅刻役人「ホントは今朝、めざましテレビの八木亜希子が……」

――――― あなた、さては近ごろ、7時台に目を覚ましてないですね。

 遅刻役人「覚ましてますよぉ。 日曜はいつも『おはようサンデー』のちびっこマラソンを……」

――――― そこまでいくと、逆に懐かしくてたまらんけど。

 遅刻役人「私の早起きモットーは、『飼い犬の遠吠えとともに目を覚ます』です。

――――― それじゃ、起きたら真っ暗ですよ。 

 遅刻役人「夜行性公務員と呼んでください」

――――― 余計なコメントしないでください。それを言うなら『ニワトリの鳴き声とともに……』でしょう。

 遅刻役人「近ごろは、そんな遠吠えするほど野生に目覚めた犬も珍しいですけどね」

――――― だから、余計なコメントは控えてください。 テープのムダなので。

 遅刻役人「えぇっ、今どきカセットテープですかぁ? レトロぉぉ」

――――― だから余計なコメン……

 遅刻役人「失敬。 本当のことを告白しますと……」

――――― はい。

 遅刻役人「今日は別に遅れてもいいかなぁ、と」

――――― ほぉ。 それはまたどうして。

 遅刻役人「売れないへっぽこライターなんかいくら待たせても、特に人生にダメージ無いし」

――――― ハハハハハ……。

 遅刻役人「今日は起きたくなかったんです。 いつものように、すごいイイ夢見てましたから」

――――― どんな?

 遅刻役人「不二家のショートケーキを腹いっぱい食う夢」

――――― なるほど。 いっそのこと、それを正夢にしてみます?

 遅刻役人「だいたいねぇ。 そこまで責められる筋合い無いんですよ。 遅刻ごときで」

――――― おっ。逆ギレ。

 遅刻役人「弁護士だって、法廷に遅刻してるじゃないですか」

 

>>> 奈良地裁:弁護士が遅刻、結審が来月16日に延期 /奈良
 ◇裁判に遅刻しちゃいました 弁護士さん、電車乗り遅れ
 ◇奈良地裁、法廷やきもき 論告求刑できず、結審延期
 奈良地裁で19日、刑事裁判の開廷時間に弁護士が遅刻。検察側の論告求刑など予定を時間内に消化出来ず、結審が来月16日に延期された。弁護士は「事務が立て込み、電車にタッチの差で乗り遅れた」と反省しきりだった。
 地裁によると、裁判は午後3時に開廷後、被告人質問、検察官の論告求刑、弁護人の最終弁論を行い、同4時10分閉廷の予定だった。ところが予定時間になっても弁護士が現れない。12分が経過し、書記官が弁護士に連絡をしようとした直後、「すいません。遅れました」と弁護士が法廷に飛び込んできた。
 裁判は16分遅れで開廷。被告人質問が長引き、次の裁判の予定も立て込んでいたため、裁判長は被告人質問を途中で切り上げ、予定時間通りに閉廷した。(毎日新聞)2007年1月20日18時0分配信

 

――――― 弁護士が裁判に遅刻するのなんか、東京地裁で私しょっちゅう見てますよ。 期日を勘違いしてたとか渋滞に巻き込まれたとか。 ……論点を反らさないでください。あなたの話をしてるんです。

 遅刻役人「すいません」

  

◆ 国家公務員法 第101条(職務に専念する義務)
1 職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。
2 前項の規定は、地震、火災、水害その他重大な災害に際し、当該官庁が職員を本職以外の業務に従事させることを妨げない。

 

――――― いいですか。 勤務時間に不二家ブランドのショートケーキをたらふく食う夢を見てるなどは、職務専念義務の規定に反するんです。

 遅刻役人「でも、これって違反しても、罰則規定は無いですよね」

――――― いや、ありますよ。

 遅刻役人「ないですよ」

――――― 今からあなたの鼻毛を全部抜きますから。

 遅刻役人「いたたたたた! いってぇ! オマエふざけんな! 単なる私刑じゃねえか」

――――― まだ終わってませんよ。 常習犯は、わき毛も抜くことになっとるんだから。

 遅刻役人「オマエ調子に乗るなよ。 ただのライター風情が国家公務員に逆らうとどうなるか……」

――――― どうなります?

 遅刻役人「こうなったら…… 国民年金を値上げしてやる」

――――― ぬぁあぁぁ…… やめてくれぇぇえぇ!

 遅刻役人「どうだ。 まいったか」

――――― お、オマエも勤務遅刻した時間ぶんぐらい、給料を返納したらどうなんだ。 

 遅刻役人「むっ」

――――― むちゃくちゃもらっとるんだろ、高給取りが。

 遅刻役人「そうでもないよ」

――――― 月に6兆ぐらいもらっとるんだろ。

 遅刻役人「そこまではいかんが、まぁ、そんなもんか」

――――― 遅刻したぶんだけでも返納すれば、だいぶ私が潤うよ。

 遅刻役人「お、おいコラ……。 財布返せ」

――――― ほら、国民とペコちゃんに謝りたまえ。

 遅刻役人「オレが遅刻して、なんで愚民どもに謝る筋合いがあるんだよ」

――――― よーし。 そんなにまつ毛も抜かれたいか。

 遅刻役人「どうもすみませんでした。ペコ」

 

 

 ……なんだこれ。

 

 頑張ってください、厚生労働省。

 
 

>>>>>>>>> みそしるオススメ本 <<<<<<<<<
 

 視聴率至上主義。

 ニュース番組のバラエティ化。

 「CMの後、衝撃の展開が!」の仰々しい煽り。

 

 おなじみ、近年着実につまらなくなってきているテレビであります。 「これが面白いんだ」「これが真実だ」というテレビ局のポリシーを打ち出すより先に、ビジネスの論理が優先されてしまう現状。

 しかし、そもそも「民放局は、番組でなく、CMを放送する目的で設立されたのだ」と考えれば、すべてがスッキリ見えてきます。それで納得できるかどうかは別問題ですが。

 今や、番組の中身まで「タイアップ」という名のCMで駆逐されてしまい、マーケティングの論理でがんじがらめです。番組の流れの中にどれだけの割合で「隠れた宣伝」が組みこまれているのかを探り出してしまう……など、ゆがんだ視点で見始める副作用にご注意。

 本当は、しっかり凝ったつくりの骨太な番組で視聴率をとれないということは、視聴者である私たちにも大きな責任があるんですけどね。

 

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2006年12月15日 (金)

呪いの給付金

>>> 目黒社保事務所、出産書類に「埋葬料」ゴム印し送付
 東京社会保険事務局は13日、目黒社会保険事務所(東京都目黒区)で、出産育児一時金の給付金振込通知書に「埋葬料」のゴム印を押して、親の被保険者7人に送付するミスがあったと発表した。同事務所は全員に謝罪した。
 同局によると、通知書は同事務所の担当者が先月27日に作成して今月1日に送付。受け取った被保険者から今月4日に問い合わせがありミスが発覚した。
 同局では「担当者が埋葬料の通知書作成に続いて事務処理したためゴム印を押し間違えたうっかりミスで他意はないが、不快な思いをさせて申し訳なかった」と釈明し、今後は複数の職員で確認するよう徹底するとしている。(2006年12月14日0時37分  読売新聞)

 

 おいおい、他意があってたまるか。

 どんな考えごとをしながら仕事していたか知りませんが、ハンコぐらいちゃんと押してくださいね。 公務員の方。

 確かに釈明の通り、うっかりミスだったのかもしれませんが、偶然って恐ろしいものですね。 思わずひいてしまうぐらいの間違いです。 涙声の親御さんが事務所に殴りこんで来られたとしても文句は言えませんよ。

 そういえば、心理学の基礎を築いたことで著名なフロイトは、「言い間違いや書き間違いの中には、その人間の無意識の願望が現れている」っておっしゃってませんでしたっけ?

 ……すいません。 ちょっとイジワルを言ってみたくなっただけです。 おそらく、「押し間違い」は、言い間違い書き間違いなどとはまた別なんでしょう。

 
 

◆ 健康保険法 第100条(埋葬料)
1 被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、被保険者の標準報酬月額に相当する金額(その金額が政令で定める金額に満たないときは、当該政令で定める金額)を支給する。
2 前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、同項の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。

◆ 健康保険法 施行令 第35条(埋葬料の最低保障金額)
 法第100条第1項の政令で定める金額は、10万円とする。
 

◆ 健康保険法 第101条(出産育児一時金)
 被保険者が出産したときは、出産育児一時金として、政令で定める金額を支給する。

◆ 健康保険法 施行令 第36条(出産育児一時金の金額)
 法第101条の政令で定める金額は、30万円とする。

 

>>>>>>>> みそしるオススメ本 <<<<<<<<

 最近、新書ばっかり買っている私です。 物書きたる者、どんなにカネが無くても書籍代だけはケチってはいけないのでしょうが、「別にケチってるわけじゃない。新書というジャンルの研究をしているのだ」と、自分に言い訳しておるところです。

 知ったかぶり禁止! 裁判における「精神鑑定」に関する現状や、現役精神科医師のホンネがわかりやすく語られています。 「精神鑑定ケーススタディ」という具体的事案につき書かれた章が、この著作の本編という位置付けなのでしょうが、個人的には冒頭部分が興味深く読めました。 著者は鹿児島生まれの九州男児。

 

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2006年12月14日 (木)

裁判員制度タウンミーティング「やらせ質問」の中身

>>> タウンミーティング:「官が筋書き」裏付け 最終報告書

■世論誘導

 TMで最も悪質なのが「やらせ質問」。計15回のやらせが判明したが、最多は司法制度改革の6回だった。メーンテーマの裁判員制度の導入で、こんなやり取りがあった。

 ▽質問者 「裁判員制度で専門的知識もない人間が、罪の有無や刑の内容まで判断するのは荷が重いし、負担と考えてしまう」

 ▽南野知恵子法相(当時) 「我々が持つ常識や人生観で裁くことに、大きな役割が見いだせるのではないか。直接裁判をご覧になれば、もっと身近に感じていただけると思う」

 法務省によると、やらせは内閣府タウンミーティング室の担当者が、同省に「あらかじめ質問を用意して発言を依頼するやり方がある」と助言。同省の出先機関の職員が知人ら計23人に質問を依頼したという。裁判員制度のほか「日本司法支援センターを利用したいが、無料で相談できるのか」などの質問もしてもらった。(毎日新聞 2006年12月14日 1時20分)

 

 法務省や最高裁は、庶民の「常識や人生観で裁く」陪審制に猛反対していたんじゃありませんか。 裁判員制度は、その妥協の産物です。

 これ、台本がヒドすぎますね。 セリフを作るなら、もうちょっと骨のあることを書きなさいよ。

 

 この回答には、もうワンクッション必要なんです。
 

 皆さんの常識や人生観をもって「物的証拠を見て」「証言を聞いて」「被告人の供述を聞いて」、

 そのうえで、検察官の主張が少しでも信じられないときは、無罪の評決をしてください。

 そのルールだけ守っていただければ結構です、と。

 本当は、常識だけで証人や被告人の話を吟味するのは、かなり危険なことのようなのですが、そのへんは、浜田寿美男氏「自白の心理学」や、高木光太郎氏「証言の心理学」を、ぜひご参照ください。

 

 いずれにせよ、常識や人生観で、いきなり「裁く」までいってしまうのはムチャです。 私たちは日常の世界で生きています。 その日常感覚で、非日常の現象である凶悪犯行を断罪することは許されません。

 それは単なる「お茶の間裁判」「居酒屋判決」です。 そんな雑談をもとに権力が発動されてはたまりません。

 誰かの直感や都合で動く世の中を、私たちは「人治国家」と呼びます。 歴史の上で、もう人治国家はこりごりだと、ノーセンキューと、人類は思い知っています。

 大げさな話を持ち出してきてすみませんが。

 

 やらせ質問の背景には、看護師出身で司法制度改革に必ずしも詳しくない南野参院議員が法相だったという事情もあった。ある法務省幹部は「あらかじめ綿密なシナリオを作っておく必要があった」と話し、南野氏が出席した5回のTMでは、質問順まで事前に決まっており、回答案も用意されていたという。(同)

 
 これ、南野前大臣は腹を立てて怒鳴ってもおかしくない場面のはずなんですよ。 「バカにすんな」と。

 でも、どこかのセーラー服を着た受験生のごとく、「回答案」を熟読しては、ときどき目を離したりして、ゴニョゴニョと暗唱している様子が目に浮かんでくるのは哀しいです。

 「南野さんは厚生労働大臣になってたら、もっと堂々と良い仕事ができたかも」との声があったのも確かなようです。 しかし、内閣の大臣と関係省庁の官僚は、馴れ合いを厳に慎むべき、一種の「緊張関係」にあるわけですから、出身業界の大臣にそのまま据えるのは、あんまりいただけません。

 小泉前首相の「改革路線」からは、むしろ門外漢の大臣のほうが思いきった改革ができるはず、という期待も働いたのかもしれません。

 それならなおのこと、与えられたことをこなすのも満足にできない、まるで司法浪人時代の私のような学習能力の低い人物に、一国家の大臣を務めていただくわけにはいかないのです。

 この「やらせ質問」は、たとえば国会の委員会質問で、官僚が作成した「想定問答集」を大臣が読み上げるのとはワケが違います。 相手方の質問からして、自分たちの都合のいい内容で作っておくのですから。

 少なくとも法務省は、国民の意見を吸い上げる気がなかっただけでなく、むしろ世の中をだましてまで、意見の吸い上げを積極的に拒むつもりだったことがわかりました。

 あとは、裁判員制度が実際に動き始めたときの、裁判所の心意気に注目ですね。

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2006年12月13日 (水)

タウンミーティング「やらせ」 が、司法改革関連でも!

>>> タウンミーティングやらせ質問で首相含め処分へ
 安倍首相は、小泉内閣時代に開いたタウンミーティング(TM)での「やらせ」質問などに関する政府の調査委員会(委員長・林芳正内閣府副大臣)の最終報告書が13日にまとまるのを受け、首相自身を含む関係者を処分する方針を固めた。首相がTMの責任者である官房長官を務めていた期間にも「やらせ」が判明しており、自ら「けじめ」をつける必要があると判断した。
 計174回開いたタウンミーティング(TM)で、これまで教育改革TM8回のうち5回で同様の「やらせ」質問が発覚している。今回の政府の調査では、さらに複数回の司法制度改革TMを含む10回程度が新たに確認された。
(朝日新聞)2006年12月12日23時42分

 
>>> 司法制度改革TMでもやらせ
 政府のタウンミーティング(TM)調査委員会(委員長・林芳正内閣府副大臣)は13日、政府が2001年6月以降主催した計174回のTMのうち、計15回で発言内容を事前に依頼する「やらせ質問」があったことなどを柱とする最終報告書を公表する。教育改革TMに加え、裁判員制度をテーマとした司法制度改革TMでも「やらせ質問」が行われていたことが新たに判明した。[2006年12月12日22時42分]ニッカンスポーツ

 
 なるほど。 よりによって裁判員制度のヤツでしたか。 どんな捏造質問があったのか、具体的な続報が待たれます。

 TMやらせネットワーク。

 すいません。書いてみたかっただけです。

 私は、裁判員制度はおかしい、よしたほうがいい、と当初から言っております。 「主権者意識の喚起」などという説教くさい目的など、余計なお世話だと吐き捨ててやりたい気持ちで一杯です。

 ですが、むやみな反対意見というわけでもありません。 運用の工夫次第では「遠慮の無い、素朴で多様な意見」がもたらされ、「できるだけ誤判をなくす」強力なインパクトを、硬直化した司法に与えることができるのではないかと。

 判決内容が出世に影響しない一般人なら、検察官の疑わしい主張を疑わしいと、「王様は裸だ」と率直に言え、無罪の評決を出していただけるのではと。

 その可能性に賭けつつ、私はムチャを承知の上で、あえて裁判員制度を活かす方向で無い知恵を絞っているのです。

 今回の「やらせ」が行われた疑いをもって、“裁判員制度反対”という考えを補強するのは簡単です。 しかし、「やらせ」があったとされる事実と、「司法判断への一般庶民関与の是非」は、まるで次元の違う話であるはずでしょう。

 その違いをごまかして、「それ見たことか。やっぱり裁判員制度はダメだ」と強引に結びつけるのでは、「やらせ」を決行するような人間と、あんまり発想は変わらない気もいたしますね。 それこそ余計なお世話ですが。

 にしてもですよ。 「やらせ」という言葉に改めて注目すると、なんだか変な気持ちになってきますね。 「やらせ」という文字に、条件反射でやらしい連想をしてしまう私は、「やらせ」を行う政府よりも悪い子です。 誰か叱ってください。

 

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2006年8月 3日 (木)

この問題にはフタをするな ― 埼玉ふじみ野市営プール死亡事故

>>> 埼玉プール事故「合うボルトがない」
 小2女児が死亡した埼玉県ふじみ野市の市営プール事故で、脱落した吸水口のふたは4隅とも針金で固定されていたことが2日、埼玉県警の調べで分かった。下請けとして実際にプールを管理していた「京明プランニング」も、6、7年前から針金で固定していたことを認めた。県警は、不透明な下請け発注などで管理がずさんになった可能性があるとみて、管理業務委託契約を市と結んでいた「太陽管財」や「京明-」などを業務上過失致死容疑で近く家宅捜索する。
 県警によると、京明の現場責任者(36)は脱落したふたについて「4カ所の固定穴全部を針金だけで固定していた。プール開きの7月15日前に、古くなった針金を新品に交換した」と説明。ふたはボルトで固定する構造だが、実況見分では、切れた状態の針金が1カ所に残っていた。プールには、事故があった吸水口のほかに2カ所の吸水口があるが、いずれも一部をボルトの代わりに針金で固定。針金使用は常態化していた。
 京明の佐藤昇社長(48)も現場から6、7年前に「吸水口のねじ穴の位置がずれており、合うボルトがないので針金で留めた」と報告があったことを明らかにした。社長は「うまく対応したと信じていた。針金はボルトの補強として使っていると思っていた」と弁明。針金だけによる固定というずさんな管理を事実上、黙認していた。 (ニッカンスポーツ)

 

 プールの吸水口は、ふつう、人の手足が吸いこまれないよう、奥からプロペラで水を押し出す流れをつくりだしているといいます。

 そんな水流のなんともいえない感触から、吸水口は、しばしば子供の遊び道具になります。 ふざけて手だとか尻を当てて、「ふひゃひゃ、気持ちいい」やら「うえー、気持ち悪い」などと言い合うのがガキってもんです。

 だったらなおのこと、プール吸水口の安全性は、しっかりと確保されなければなりません。

 流れるプールの吸水口は特殊で、効率の良い吸水を実現させるためには、プールに面するほうに向かってラッパ状に太くする必要があるそうです。 なので、フタがなければ、近くにいる人の手足を、排水と一緒に引き込んでしまう危険性があります。

 ただ、だからといって、この不幸な事故をきっかけに、吸水口の周りを厳重に囲ってしまえば、大人の都合で子供の遊びを1つ減らすことになり、あまりいい措置とも思えません。 ふじみ野の市営プールの営業が今後も続くかはわかりませんが、3ヶ所あるという吸水口に優先的に監視員を配置するようにすべきでしょう。

 それにしても、プール監視員の仕事は、いつから「楽勝バイト」のひとつになったんでしょうか。 私など、泳ぎが苦手な金づちの人間は、プール監視員の仕事を自主的に選択肢から外す。 それが、われわれ運動神経がブチ切れている者の務めであるべきです。

 また、水流のものすごい負荷がかかっているフタ(重さ約8キロ)を、針金のみで固定していた、なんちゅうのは論外です。 今まで脱落事故が起こらなかったのが不思議なくらいで、この点は、長年にわたる針金のたゆまぬ努力に敬意を表するべきでしょう。 「京明プランニング」と「太陽管財」の関係者は、針金に足を向けて寝られません。

 事故が起こった直後、プールの担当スタッフは、「フタはボルトで固定されており、その上から針金で補強して、安全性には万全を……」って言ってませんでしたっけ? これと同様の言い逃れを社長も聞かされて、信用していたみたいですね。

 

 2年前の夏にも、新潟で同様の事故が起こっています。 つい先日、刑事事件としての一審判決が出ています。

 

>>> 旧横越町民プール死亡事故:2職員、過失認め罰金刑--地裁 /新潟
 旧横越町(新潟市)の町民プールで04年7月、町立横越小6年の男児が排水口に足を吸い込まれておぼれ、死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた元同市横越支所総務課副主幹、神田勝利(60)、同支所副参事、田中十二男(58)両被告に対する判決公判が3日、新潟地裁であった。 斎藤千恵裁判官は両被告に罰金50万円(求刑・神田被告に禁固1年6月、田中被告に同1年)の有罪判決を言い渡した。
 判決によると、両被告は事故当時、町内の体育施設の安全管理を担当。県教委などからプールの排水口のふたをボルトなどで固定するよう指導されていたにもかかわらず放置し、プールを開放していた。男児は04年7月29日、遊泳中にふたが外れた排水口に両足を吸い込まれ、2日後に死亡した。
 斎藤裁判官は、両被告に対し「対策を講じることなく漫然とプールの開放を続けてきた過失は重い」としながらも、「事件の偶発性は否定しがたく、両被告だけに全責任を負わせるのは酷」などとして禁固刑は重いと判断した。
 男児の父親は判決について「罰金刑は納得できない」と悔しさをにじませた。(毎日新聞) 2006年7月4日

 
◆ 刑法 第211条(業務上過失致死傷等)

1 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下(※事故当時。 今年5月以降は100万円以下)の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

 

 わが子の命を突然奪い去ったことの刑事責任が、なぜ50万円納めれば果たされるのか、ご両親は、到底納得することはできないでしょう。 無理もありません。

 では、民事での不法行為責任はどうなるでしょうか。

 この新潟の件は、プールの管理を外注せず、公務員の皆さんだけで行っていたようです。 こういう場合は、公務員個人の法的責任は、おおっぴらには問われません。 その地方自治体としての「町」が、遺族に対して損害賠償義務を負うことになるでしょう。

 
 
◆ 国家賠償法 第1条
1 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

 プールの安全管理って「公権力の行使」なのか? とも思った方もいらっしゃるでしょう。 ここにいう「公権力の行使」が意味するところは相当に広いらしいんです。 公立学校の部活動で教諭がする指導監督や、役所で住民票の原本にいろいろ書き入れる行為なども、判例によると「公権力の行使」なのだそうですし。

 ということは、多くの場合に国家賠償法が適用され、公務員の誰かの不法行為を、国や公共団体が民事上、肩代わりすることになります。

 
 この社会にある組織というのは、誰かの責任を分散させ、うやむやにするために存在するのでしょうか。 組織の意思に付き従うのと引き換えに、なにかあったときには組織がガッチリと守ってくれる。 最高の人生だと思います。
 

>>> プール管理会社 15年間に13回落札
 埼玉県ふじみ野市の市営ふじみ野市大井プールで同県所沢市の小学校に通う女児(7つ)が吸水口に吸い込まれて死亡した事故で、プール管理業務を請け負っていた施設管理会社「太陽管財」(さいたま市北区)が1992年の初受注以降、15年間で13回受注していたことが、2日分かった。こうした連続受注や同社が施設管理会社「京明プランニング」(同市見沼区)に“丸投げ”していたことが、安全対策の不備につながったとの指摘もあり、埼玉県警も受注や丸投げの経緯について調べを進める。(東京新聞)

 
 「太陽管財」が、ふじみ野市からプール管理業務を“請け負い”、さらに“孫請け”という形で「京明プランニング」が、実際の管理をしていたと、各マスメディアは報じておられるようですね。

 しかし、本件で、“孫請け”や“下請け”という表現を持ち出すのは、厳密には誤用です。

 この場合は、ふじみ野市と太陽管財とが結んでいたのは、民法上、請負契約ではなく、準委任契約であると考えられます。 そして、受任者である太陽管財が、京明プランニングに復委任していたという関係になります。

 孫請け・下請け契約と違い、復委任は、原則として許されません。

 

◆ 民法 第643条(委任)
 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

◆ 民法 第656条(準委任)
 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

◆ 民法 第104条(任意代理人による復代理人の選任)
 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

 

 
 準委任契約は、委任者(ふじみ野市)と受任者(太陽管財)との信頼関係に基づいています。 なので、同じく当事者の信頼関係に基づく「代理」の考え方を借りて、『(1)その委任者の許可があったとき』か、『(2)やむを得ない事情がある』かしないと、受任者は、他の人に仕事をさせることはできないことになっております。

 もちろん、「京明プランニングと仲がイイから」などという私的な理由により、ふじみ野市に無断で業務委託するような契約は無効となります。 そして、そんな勝手な復委任をした太陽管財に対して、ふじみ野市は契約の解除を主張したうえで損害賠償を求めることができるのでしょう。 理論上は。

 でも、ふじみ野市が空気を読める自治体なら、そんな請求はしないでしょうけどね。 経費節減・合理化という名のもとに「他人まかせ」としていたふじみ野市にも、責任の一端があることは否定できませんから。

 

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 そう考えると、独身者だって、決して他人事ではありませんよ。

 子どもと過ごすときに起こりうる事態を前もって知っておくことで、法律の出る幕のない、楽しいひとときを送れますように。
 

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2006年5月30日 (火)

「忘れられた一票」の粗末な扱い

 あぁぁ、私としたことが。 こんな重大ニュースを今ごろ知るなんて。

 

>>> 国民審査 「そのまま投票箱に入れて」

 佐賀県鳥栖市の牟田秀敏市長が、衆院佐賀1区の候補の応援演説の際、最高裁判所裁判官の国民審査について「(国民審査の)白い紙はそのまま投票箱に入れて帰るように。 何か書くといろいろ問題になるから」と発言していたことが10日、分かった。
 牟田市長はこの候補の選対本部長。 7日夜、鳥栖市と上峰町で行われた同候補の総決起大会の応援演説で、小選挙区は候補名、比例代表は政党名を挙げて投票を呼びかけた後、この発言をしたという。 国民審査は、罷免したい裁判官には「×」印を書き、何も書かなければ、信任となる。
 牟田市長は「小選挙区、比例代表、国民審査と色の違う投票用紙で3回投票するので、間違えないように強調したかっただけ。裁判官を信任してほしいとの趣旨ではなかった」と弁明。同県選管は「何も考えずに投票して、という意味だとすれば不適切」としている。 (西日本新聞) 2005/09/10

 
 こういうことこそ、マスメディアが大々的に報じていただきたいのに。 やっぱりメディアも、国民審査の形骸化計画に荷担してるんじゃないかと、勘ぐりたくもなります。

 間違えないように「何も書くな」と指示するんじゃ、あなたがたを支えている有権者をアホ扱いしてるだけじゃないですか。 恩をアダで返しますか。

 ただ、仮に、「国民審査で何か書け」と言われても、書けない有権者が大部分であることも悲しい現実。 私たちみたいな、よっぽどマニアックな人間でない限り、「どの最高裁判事が良くて、誰がダメなのか」わかりゃしません。

 私ゃ、まがりなりにも「国民審査のオカズ」を書いて、昨年9月に皆さまからご支持や応援をいただいた人間です。 「国民審査で何か書いたら問題になる」なんて、根拠の欠けた「市長命令」を気軽に口走られたんじゃ、今さらながら言いたいことだってあります。

 今度の国民審査こそ、私たち一人ひとりが司法権を監視する、活きた制度となるように息をプープー吹き込んでやりますよっ。 たとえ、この私ひとりだけでも。 肺活量には、あんまり自信ないですが。

 

■ 次回の国民審査対象である最高裁判事
   
那須弘平先生の就任コメント 2006/05/25

 「依頼者の話に耳を傾けて法廷で主張するのが弁護士の仕事。 弁護士時代に培った技術や能力を生かしたい」

 「裁判員制度については大変よい制度だと思っている。 義務ではなく権利を実現するチャンスとして国民に分かってもらうことが大切」

「言葉だけでなく結論も含め、周囲の関心が薄れないうちに、分かりやすい裁判をすることが大切だと思う。そうした裁判を心掛ければ、国民の関心も高まり、支援も得られるのでは」

 

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 「ねぇ、パパぁ、あのさいばんかんのひとは、なんでさいばんやらないの?」

 『裁判をする裁判官より、裁判しない裁判官のほうが、偉い裁判官なんだよ』

 「ふーん、へんなの」

 
 一人ひとりが独立しているはずの裁判官を「統制」し、裁判官の中でも選び抜かれた者のみが召集される最高裁判所事務総局。 その現状と問題点を、緻密かつ膨大なデータ分析で斬る!
 

日本司法の逆説 ― 最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち
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2006年5月 4日 (木)

定期点検で危険性を見ぬけたはず → 敗訴 → そんなら点検しねぇよ

>>>「奥入瀬落木訴訟への影響懸念」 林野庁、安全点検に不参加
 青森県十和田市の奥入瀬渓流で2003年8月に起きた落木事故をめぐって、4月7日に出た東京地裁判決を受け、林野庁が急きょ安全点検パトロールへの参加を見送った。同庁が毎年点検に参加していたことをとらえ「危険性を認識していた」との地裁判断に対し、裁判闘争を重視した対応とみられている。関係者からは「本末転倒」「大人げない」との声が上がっている。
 (※中略)落木被害に遭った女性(41)の弁護を担当した御器谷修弁護士は「林野庁の対応は非常識で許せない。国民の安全を第一に考える視点が欠落している。次に被害者が出たら、どう責任をとるのだろう」と憤っている。(河北新報) - 5月1日

((参考過去ログ))
注目の判決スケジュール 【4月第2週】

 

 「もっと努力していれば、制限時間内に答えられたはず」

  ↓

 [不合格]

  ↓

 「もう2度とやるか! 試験と名のつくものは一生受けん!」

 

 林野庁の態度は、まるで司法試験に7回失敗して、ヤケを起こしたときの私みたいです。 オトナげないですね。

 

 青森・秋田・岩手の3県にまたがる「十和田八幡平」国立公園。 その中でも「奥入瀬(おいらせ)渓流」は、年間50万人が訪れる人気の観光スポットとして知られます。 そのような大切な観光資源について“安全点検パトロール”が実施されるのは、冬は積雪のため通行禁止ということもあってか、毎年、この大型連休直前の時期なのだそうです。
 

参加メンバーは、

  • 林野庁の森林管理署
  • 環境省
  • 青森県
  • 十和田市の教育委員会
     

 どうして、各方面からお役人が集結してくるのか。 その原因は、責任関係の複雑さにあるようですね。
 

  •  奥入瀬渓流周辺  … 林野庁の所有
  •  うち遊歩道部分  … 青森県が林野庁から借り受け
  •  うち特別保護地区 … 環境省
  •  うち重要文化財や天然記念物 … 地元の教育委員会

 

 なので、行政機関が一堂に会する年1度のパトロールは、公園に関する各方面の情報を共有する上で重要な機会だといえます。

 かといって、これらの保護地域について、法律は何と言っているかというと、国民に向けて「いじるな触るな近寄るな」の一辺倒なんですよね。
 管理者による実地調査というのも「ちゃんと形状が維持されているかどうか」をみる目的でして、安全性の点検については、法律で義務づけられているわけではないようです。 少なくとも私は、そういった規定を見つけることはできませんでした。
 

 この自主的な合同パトロール、今年は4月26日に行われることが決まっていたようなのです。 しかし、先の国家賠償訴訟での、1億4000万円支払い命令を受けて、林野庁がいきなりの「ドタキャン」。

 仕方なく、当日に残りのメンバーで点検したわけですが、人通りの多い遊歩道の周辺に限っただけでも、倒木や落枝が13カ所で確認されたそうです。 中には、根元から折れ、道をふさいでいる倒木も。

 どう見たって不可欠ですよ、この安全点検は。 しっかりやってもらわないと困ります。
 

 いつもは、林野庁の指示に従って、青森県の職員が協力して倒木などを撤去するのですが、林野庁不在の今年は、自分たちの判断で、自力で動かせるものをすでに撤去してしまったのだそう。
 また、青森県は、毎年5月の中旬から下旬にかけても、独自に「危険木調査」を行っているそうで、その姿勢には敬意を表します。 県は「危険木調査には、ぜひ林野庁にも同行してほしい」とコメントしているそうです。

 「今度こそ来いよ、待ってるぞ」と。 まるで、最高裁のアノ弁論期日を見ているようです。 彼らが訴訟戦略(のつもり)で姿を現さなかったところも似てますし。

 林野庁の担当者さん、あの判決で、東京地裁は「安全性を点検するな」と言ったわけではないんですよ。 「もっとしっかり点検してくれ」「点検結果を尊重してくれ」と行政にお願いしたのです。

 まぁ、そんなことは知ったうえでドタキャンしたんでしょうけど。

 

 そういえば、東京都心の「都立 林試の森公園」をめぐる行政訴訟で、7月に最高裁弁論が行われるそうです。 この「林試」とは、何を隠そう、林野庁の林業試験場の略。

 かつて、この林試の森公園の敷地を拡張する計画が持ち上がったそうなのです。 それは結構なのですが、官舎のある周辺の国有地は見て見ぬフリしておきながら、先に民有地に立ち退きを求めてきたということで、怒った住民が司法に訴えました。 上告審の弁論があるということは、住民側の逆転勝訴の可能性も高まります。

 ザ・林野庁…… なかなか人騒がせな存在みたいですね。覚えておきます。

 

◆ 自然公園法 第14条(特別保護地区)
1 環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の景観を維持するため、特に必要があるときは、公園計画に基づいて、特別地域内に特別保護地区を指定することができる。
3 特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。(※中略)
  一  前条第3項第1号から第6号まで、第8号、第9号、第12号及び第13号に掲げる行為(※工作物の新設や増築、木竹の伐採、鉱物の掘採、川や湖の水位改変や排水、広告物の設置、埋め立てや干拓、土地の開墾、設備の色彩変更、指定区域内の立ち入り)
  二  木竹を損傷すること。
  三  木竹を植栽すること。
  四  家畜を放牧すること。
  五  屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。
  六  火入れ又はたき火をすること。
  七  木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。
  八  動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
  九  道路及び広場以外の地域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
  十  前各号に掲げるもののほか、特別保護地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの

◆ 自然公園法 第50条(実地調査)
1  環境大臣は国立公園若しくは国定公園の指定、公園計画の決定若しくは公園事業の執行又は国立公園の公園事業の決定に関し、(※中略)実地調査のため必要があるときは、それぞれ当該職員をして、他人の土地に立ち入らせ、標識を設置させ、測量させ、又は実地調査の障害となる木竹若しくは垣、さく等を伐採させ、若しくは除去させることができる。ただし、道路法 その他他の法律に実地調査に関する規定があるときは、当該規定の定めるところによる。

◆ 文化財保護法 第55条(保存のための調査)
 文化庁長官は、次の各号の一に該当する場合において、前条の報告によつてもなお重要文化財に関する状況を確認することができず、かつ、その確認のため他に方法がないと認めるときは、調査に当たる者を定め、その所在する場所に立ち入つてその現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況につき実地調査をさせることができる。

  1.重要文化財に関し現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為につき許可の申請があつたとき。
  2.重要文化財がき損しているとき又はその現状若しくは所在の場所につき変更があつたとき。
  3.重要文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られる虞のあるとき。
  4.特別の事情によりあらためて国宝又は重要文化財としての価値を鑑査する必要があるとき。

◆ 文化財保護法 第131条(保存のための調査)
 文化庁長官は、次の各号のいずれかに該当する場合において、前条の報告によつてもなお史跡名勝天然記念物に関する状況を確認することができず、かつ、その確認のため他に方法がないと認めるときは、調査に当たる者を定め、その所在する土地又はその隣接地に立ち入つてその現状又は管理、復旧若しくは環境保全の状況につき実地調査及び土地の発掘、障害物の除却その他調査のため必要な措置をさせることができる。ただし、当該土地の所有者、占有者その他の関係者に対し、著しい損害を及ぼすおそれのある措置は、させてはならない。
  1.史跡名勝天然記念物に関する現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可の申請があつたとき。
  2.史跡名勝天然記念物がき損し、又は衰亡しているとき。
  3.史跡名勝天然記念物が滅失し、き損し、衰亡し、又は盗み取られるおそれのあるとき。
  4.特別の事情によりあらためて特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物としての価値を調査する必要があるとき。

◆ 文化財保護法 第184条(都道府県又は市の教育委員会が処理する事務)
 次に掲げる文化庁長官の権限に属する事務の全部又は一部は、政令で定めるところにより、都道府県又は市の教育委員会が行うこととすることができる。
  5.第54条(第86条及び第172条第5項で準用する場合を含む。)、第55条、第130条(第172条第5項で準用する場合を含む。)又は第131条の規定による調査又は調査のため必要な措置の施行

 

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 特に司法試験は、受験生の持つ本来の実力を100%発揮させてくれるような、甘い試験ではありません。あらゆる側面から考え抜かれたさまざまな“トラップ”が、しかるべき位置に仕掛けられているのです。そこをかいくぐっても、なお余りある実力を出題者に見せつけた者だけが、合格の栄冠を勝ち取れることになっています。

 だとすれば、教科書に書かれた情報を暗記したり、暗記したことを素早く出力する練習をこなすだけでは、態度として不充分です。隠れたトラップを分析し、そのトラップ群をつまづかずにクリアするための作戦を練って、その作戦を制限時間内に遂行する訓練まで、すべて受験勉強に含まれます。

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