注目の判決スケジュール 【7月第2・3週】
※ 判決期日等は、直前になって変更される場合があります。 また、すでに期日の変更がされているにもかかわらず、私自身がフォローできていない場合もございますので、その点はご了承ください。
([ ]は、原審の結果や、関連する別件の裁判です)
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【7月4日(火)/広島地裁】
■刑事 殺人、強制わいせつ致死、死体遺棄など
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<広島 小1女児殺害事件>
2004年4月、偽のパスポートで日本に入国した被告人は、2005年11月、広島市安芸区の自宅アパートやその付近で、7歳の女児の首を絞めて殺害。遺体を段ボール箱に入れて近くの空き地に放置した疑い。
(検察側 冒頭陳述)
小学校の通学路沿いの自宅アパート前で、一人で下校中の女児に「オーラ!」(やあ!)とスペイン語で声を掛け、次は日本語で「あなたのお名前は?」と尋ね、持っていた携帯電話の画面を見せて女児の気を引き自室に連れ込んだ。部屋に入る前に殺害を決意。自室では女児の首を数分間絞めて殺害、衣服を脱がせるなど、わいせつな行為をした。
なお、審理の中で、弁護側が犯行場所を「屋外」と強調してきたことから、検察側は公訴事実に書かれた犯行場所を「被告人のアパート自室」から「アパートおよびその付近」へと訴因変更している。
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(被告人)ペルー国籍の男(34) ※無罪主張 「殺意なし、心神喪失or耗弱状態」
(求刑)死刑 「人間性のかけらなく、矯正困難。最初からわいせつ目的あった」
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(裁判長)岩倉広修
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[備考] 公判前整理手続きを適用して、わずか1ヶ月弱で結審。
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【7月7日(金)/神戸地裁】
■刑事 業務上過失致死
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<人工海浜の陥没死亡事故>
兵庫県明石市の人工海浜・大蔵海岸で2001年12月、東京都中野区の金月美帆ちゃん=当時(5つ)=が陥没した砂浜に生き埋めとなり、5ヶ月後に死亡した事故。
起訴状によると、大蔵海岸では2001年1月ごろから砂防板の破損で砂が海に流出し、砂浜一帯で陥没が発生。被告らは原因や発生範囲が確定するまでの間、砂浜の一部をバリケード封鎖しただけで、全面立ち入り禁止にするなどの安全対策を怠ったとしている。
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(被告人)国土交通省 姫路河川国道事務所 元 第一課長(62) ※無罪主張
国土交通省 姫路河川国道事務所 東播海岸出張所長(58) ※無罪主張
明石市 元 土木部参事(61) ※無罪主張
明石市 元 海岸・治水課長(54) ※無罪主張
(求刑)全員に禁固1年「4被告とも責任は同列で、遺族から見れば泥仕合」
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(裁判長)佐野哲生
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[民事] 国と明石市が約8840万円を支払うことで和解成立(2005/08)
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http://www.city.akashi.hyogo.jp/seisaku/kouhou_ka/b_interview/040311.html
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【7月7日(金)/東京地裁】
●行政 国家賠償請求
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<トンネル工事じん肺訴訟(東京第1次)>
原告らは、国が発注したトンネル建設工事で作業した結果、じん肺になった。原告は、「国は発注者として、労働安全衛生法に基づいて安全に配慮する義務があった」と主張。
厚生労働省によると、療養を必要とするじん肺患者は1979年から2001年までに約3万4千人。このうちトンネルと鉱山で働いた人たちが4分の1ずつを占めているという。
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(原告)じん肺患者46名
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↓請求額:一人あたり約330万円
↓
(被告)国
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(裁判長)佐久間邦夫
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[和解] 大手ゼネコンなど私企業側とは、すでに和解が成立。
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[全国の同種判決予定] 熊本地裁(第1次):7月中旬
仙台地裁(第1次):9月までに
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[東京第2次提訴] 元作業員計60人が、新たに国とゼネコン74社に、総額約19億8000万円の損害賠償を求めて。(2006/06/08)
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【7月10日(月)/神戸地裁 姫路支部】
●民事 損害賠償等
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<私立高校の寮内集団暴行事件>
原告は、被告高校(岡山県津山市)に入学後まもない1991年5~7月、同校の男子寮で連日、先輩ら他の寮生から殴る、ける、腕をねじるなど集団暴行を受けた。このために、左ひじが曲がったまま動かせなくなる後遺症のほか、今も悪夢を見たり眠れないなどPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状に悩まされていると主張。
【原告側主張】
事件について反省せず、利益優先型の経営を続けている。 寮の運営をスタッフに丸投げした結果、生徒への暴行が常習的に行われた。
【被告側反論】
暴行の一部は認める。 しかし、恒常的ないじめはなかった。 原告への暴行を予見、回避することはできなかった。また、後遺症やPTSDと暴行との因果関係はない。
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(原告)元 生徒の大学院生(30・兵庫県姫路市)
↓請求額:約5600万円
(被告)学校法人 作陽学園
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(裁判長)田中澄夫
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http://www.sakuyo-h.ed.jp/
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【7月14日(金)/最高裁 第2小法廷】
●行政 条例の無効確認、値上げ分の返還
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<別荘を対象にした水道料金の急激な値上げ>
旧 高根町(山梨県)は98年4月に簡易水道事業給水条例を改正し、月額基本料金を町の一般家庭は100円上げて1400円に、別荘所有者は2000円上げて5000円とした。この結果、年間の基本料金は、一般家庭が1万6800円に対し、別荘所有者は6万円と大幅な格差が生じた。
原告は、「憲法14条(法の下の平等)などに違反する」として、町を相手取り給水条例の無効などを求める訴訟を起こした。
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(原告)清里高原の別荘所有者111名(提訴当時142名)
↓
(被告)旧 高根町(現 北杜市)
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(裁判長)滝井繁男
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[甲府地裁] 原告敗訴「料金格差は合理的範囲内で不当な差別には当たらない」
[東京高裁] 原告勝訴「値上げ幅に20倍の格差があり、法の下の平等を定めた憲法などに違反する」
[最高裁口頭弁論] 2006/06/17 … 原告勝訴の原審判決が見直される見とおし。
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