2007年11月29日 (木)

解散総選挙に間に合った! 『サイコーですか? 最高裁!』 12月13日発売決定!

 わたくし、ただいま岡山市内におります。

 きびだんごを食べに来たというのもありますが、一番の理由は、日本裁判官ネットワークの方から「講演をしてくれないか」と打診があったからです。

 http://www.j-j-n.com/

 
 ウソみたいでしょう。 じつは本当の話なんです。 『長嶺超輝氏をお招きして,トークとディスカッション』と書いていただいてます。

 12月1日、午後2時からです。 本当は土曜日の昼間に岡山入りしていれば十分なのですが、ちょっと明日、岡山地裁へ傍聴に行ってみようと企んでまして。

 生まれて初めての講演が、裁判官の皆さんを前にして、というのは…… 順番を間違ってますよね。 わかっておりますよ。 私自身が痛いほど感じております。

 7回落ちた司法試験挫折者が、あろうことか合格者のなかでも、さらに選ばれし方々に向けて、どのツラ下げて何を話すのか…… 決めてません。 たぶん、緊張のしっぱなしで、気づいたら、いつの間にか全てが終わってるんだろうなぁと思います。

 いちおう塾講師の経験がありますので、人前で話すことは、それなりにできますが、中学生相手では「授業の構成を工夫しないと、こっちの話を聞いてくれない」という悩みがありました。

 たぶん明後日は、違う悩みがおそってくるのではないでしょうか。 「あまりに真剣に話を聞いてくださるので、ウケを狙っても効かない」という悩みが。 それが一番おそろしいな。

 

068


 ところで、この写真に写っているものが、何だかおわかりでしょうか。

 ピンぼけ写真で失礼します。 ピンぼけだと気づいたときには、この装丁案を出版社へ送り返した後でしたので、ご勘弁ください。

 まぁ、発売前の本ですので、ピンぼけぐらいでちょうどいいのかもしれません。 ミステリアスで。

 「法律の本らしからぬ、明るいイメージで」とだけお願いして、あとはお任せしていたのですが、想像以上の素晴らしい出来映えに感激いたしました。

 

 肝心の中身のほうも、本日をもって校了となり、すでに私の手からは離れております。

 気になるお値段ですが、340ページぐらいあるボリュームたっぷりの本にもかかわらず、破格の1300円(+税)となっております。 なんとなく「1500円以下におさえてください」とは担当編集の方に告げてましたけど、まさかここまでとは。

 

 「面白そう」と思ってくださった方は、どうぞ12月13日(木曜日)をお待ちください。 次回作では、どんなご感想、いかなる反応を頂戴できるのか、私も今から楽しみです。

 「裁判官の爆笑お言葉集」に見向きもせず、あるいは「買うまでもない」と立ち読みで済ませていたあなた。 さて、今度の著作「サイコーですか? 最高裁!」も、レジまで持って行かずに平気でいられますかな? いざ尋常に勝負!

 

<< も く じ  >>
 (※もしかしたら、完成品とは一部異なっている箇所があるかもしれません)

 

■■■ はじめに
 
■ 間違えて報道されてしまった「次の最高裁判所長官」
 
■ 司法が目立たず「非民主的」なワケ
 
■ 日本人は、最高裁のメンバーを知らなさすぎ?
 
■ 最高裁判所の裁判官 15人 (2007年11月現在)
 
■ 私たちが、最高裁と関わり合いになるとき
 
■ 裁判官は独立している、けれども……
 
 

■■■ PART1  サイコーですか? 最高裁!
 
       “憲法の番人”について、もっと知りたい
 
■ 広いぞ! 敷地面積1万1千坪
 
■ 重いぞ! 御影石1万トン
 
■ 最高裁が生まれたよ
 
■ 「居場所」に恵まれなかった最高裁メンバー
 
■ 最高裁は、どのへんが「サイコー」なのか
 
 < サイコーな 法廷の仕組み >
 
 < サイコーな 傍聴人のあつかい >
 
 < 最高裁の「長官」と「判事」は、似て非なるもの >
 
 < 指名する人、任命する人 >
 
 < ここで判例が生まれる ― 最高裁判事の執務室 >
 
 < どれほどの好待遇が保証されるか >
 
 < 全国の裁判所を取りしきる コントロールタワー ― 最高裁判所 事務総局>
 
 < 独立しているはずの裁判官を「管理」 >
 
■ 上告を受けつけて、判断をくだすまで
 
 < 最高裁は、オールマイティ集団 >
 
 < 静かな激務 >
 
 < 読んで読んで読みまくって裁く ― 書面審理 >
 
 < 判決文の「ゴーストライター」? ― 最高裁判所調査官 >
 
 < 判例って、なんだろう >
 
 < 判例は法律を超えることもある >
 
 < ほら、あなたのそばに最高裁判決 >
 
 < 個別意見システム >
 
 

■■■  PART2  現代日本に潜む サイコーのミステリー
 
      ―― 最高裁判所 七不思議
 
 ふしぎ その1
【 誰が座るのか? 大ホールのベンチ 】
 
 ふしぎ その2
【 目隠しを忘れたテミス像 】
 
 ふしぎ3
【 最高裁の地下に コンビニがあるらしい 】
 
 ふしぎ4
【 「宝の持ち腐れ」の大法廷 】
 
 < 大法廷が、満を持して本領を発揮するとき >
 
 < 最高裁の大法廷が使われた裁判(判決期日) > 過去5年間
 
 ふしぎ5
【 裁判をしない最高裁長官 】
 
 < 長官の「お住まい」まで行ってみた >
 
 ふしぎ6
【 裁判官の「出身母体」によって、結論が見える? 】
 
 < いわゆる「寺西判事補事件」 >
 
 < 合い言葉は「6・4・5」 >
 
 < もっと幅広い登用を >
 
 ふしぎ7
【 判決の内容が、先にバレるとき ― 弁論 】
 
 < 最高裁の弁論 ― そこでは何が行われるか >
 
 < 最高裁の弁論をトンズラしてしまった弁護団 >
 
 

■■■  PART3  「三審制」という幻想
 
     ―― 最高裁の重い腰をあげる難しさ
 
■ 最高裁は「ナンバーワンで、オンリーワン」
 
■ 「まだ最高裁がある」……か!?
 
■ 最高裁は、法の上の問題しか見てくれない
 
■ どっちが勝ちなんだ? 最高裁の「棄却判決」と「破棄判決」
 
 < 著者オリジナルのゴロ合わせ >
 
■ 2種類の上告棄却
 
 <上告棄却 決定>
 
 <上告棄却 判決>
 
■ 原審破棄にも、さらに2種類ある
 
 <破棄 差し戻し>
 
 <破棄 自判>
 
■ 上告理由に該当しないとわかっていて、あえて上告?
 
■ たとえば
 
 < 憲法とは、国家が従う法 >
 
 < 憲法は、国民を保護する法 >
 
 < 人権は、最高裁を動かすための「呪文」である >
 
■ 憲法違反とされた法律はどうなるのか
 
■ 違憲判決は、最高裁の「珍事」である
 
■ なぜ、違憲の判断が出にくいのか
 
 < 政治部門に対する遠慮 >
 
 < 内閣法制局の存在 >
 
■ そこまでやるか? 憲法(違憲)判断を、あの手この手で避ける術
 
< 上告の門前払い決定 >
 
< 統治行為論 >
 
< 憲法判断そのものの回避ルール >
 
< 合憲限定解釈 >
 
< 個別意見・傍論における違憲判断 >
 
< 事情判決の法理 >
 
 

■■■  PART4 解散・総選挙のかげで「忘れられた一票」
 
     ―― 最高裁判所裁判官 国民審査
 
■ 裁判官を辞めさせる方法
 
■ まずは「基本ルール」から
 
 < いつ、どこでやってるのか? >
 
 < 誰ができるのか? >
 
 < 何をどうすりゃいいのか? >
 
 < どういう裁判官を審査するのか? >
 
■ ほとんどの人が、ノーマークで投票
 
■ 書き入れる有権者は、裁判官全員に×を付ける傾向
 
■ 最も右側の裁判官へ、×が集まりがちになる現象
 
■ どういうタイプの人が「×」を投じたがるか?
 
 < 男性の有権者 >
 
 < 若い有権者 >
 
 < 日本社会党(今の社民党)や日本共産党の支持者 >

■ 「×」票の割合が、最も高い県
 
■ 国民審査を「骨抜き」にするための、これだけの努力
 
 < 少なすぎる判断材料 >
 
 < 白票が有効、しかも「信任票」にされてしまうシステム >
 
 < 国民審査を1回だけ受けて辞めていく判事たち >
 
 < 期日前投票できる期間が、衆院選の総選挙より短い >
 
 < 国民審査の運営をグダグダにする、一部の投票所の存在 >
 
■ 国民審査は、どこから来たのか?
 
■ 「押しつけ」「たなぼた」は、憲法9条だけか?
 
■ 裁判官の国民審査 フロムUSA
 
■ 国民審査は「火遊び」か?
 
 

■■■ (資料1) 「憲法の番人」に興味がなかった、ニッポンの皆さんへ
 
     ―― 最高裁の現役裁判官 15名をご紹介!
 
 < ご意見の早見表 >
 
 < ほかに参考にしたい国民審査資料 >
 
 < 現役裁判官の定年退官年月日 >
 
 

■■■ (資料2) 過去の国民審査結果クロニクル
 
    ―― 歴代最高裁長官・判事の人柄と、有権者の戸惑い
 
 

■■■ おわりに
 

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2006年10月15日 (日)

【最高裁】新長官&新判事2名

>>> 町田最高裁長官、15日の退官を前に会見
 町田顕最高裁長官は11日、15日の定年退官を前に記者会見した。一般市民が重大事件の刑事裁判に参加する裁判員制度の開始を2009年に控え「司法制度改革の目玉。国民の期待に応えられるかどうか、司法全体の鼎(かなえ)の軽重が問われる。裁判所、弁護士会、検察庁の法曹三者が緊密に協力してほしい」と述べた。
 02年11月に長官就任。8件の大法廷判決で裁判長を務め、思い出に残る判決として、公職選挙法の規定を違憲とした在外投票訴訟(05年9月)、周辺住民の原告適格を認めた小田急線高架化訴訟(05年12月)などを挙げた。
 今月の参院選定数訴訟大法廷判決の際は「最後の法服と思うと感慨がわいた」と話し、「改革が順調に進む中で定年を迎えられ、ほっとしている。しばらくはのんびりしたい」と45年余の裁判官生活を振り返った。 2006/10/11 (21:00) 日本経済新聞

 

 隠れ長谷川京子ファンの(まだ言うか)町田長官。 どうもお疲れさまでした。

 次期長官。もう少し「若手」にいくのかと思いきや、島田判事かぁ。 ふーん、意外でしたね。 残りの任期は2年しかないんですけど。裁判員制度の開始を待たずに定年退官となりますが、頑張っていただきましょう。

 

  

【 第16代 最高裁判所長官 】
 2006/10/16~2008/11/21 

 島 田 仁 郎  (しまだ・にろう)

 昭和13(1938)年11月22日生  16期

 (出身)東京都・東京大学

 
 '64.4 東京地家裁 判事補

 '68.7 名古屋地家裁 判事補

 '71.4 <最高裁事務総局 刑事局付>

 '74.4 大阪地裁 判事

 '77.4 <司法研修所 教官>

 '81.4 東京地裁 判事

 '82.4 <最高裁 調査官>

 '83.4 <最高裁事務総局 刑事局1・3課長>

 '86.4 東京地裁 部総括判事

 '89.8 <最高裁事務総局 刑事局長 兼 図書館長>

 '94.3 <宇都宮地裁 所長>

 '96.11 <浦和地裁 所長>

 '98.9 東京高裁 部総括判事

 '99.4 <司法研修所 所長>

 '01.2 <仙台高裁 長官>

 '02.2 <大阪高裁 長官>

 '02.11 最高裁 判事

 

 ちなみに、先月下旬の段階で、全国紙、通信社がいっせいに「堀籠幸男判事、16代長官に内定」というニュースを報じていました。しかし、読売新聞だけは何も触れていません。スクープを逃したのかと思いました。

 しかし、今月2日になって、急に話が変わったんですよね。最初に「島田長官」の一報を打ち出したのは読売新聞でした。なるほど、読売の社会部記者は状況を静観していたんですね。

 なかなかやりますねぇ。読売。 野球チーム以外は。

 
 かつて、13代長官に関する人事で、当初は千種秀夫判事に内定していたのが、12代草場長官の退官3日前という段階になって、急遽、三好達判事に変更されたことがありました。ちなみに、三好長官の在任期間も2年足らずでした。

 なお、当時の事情を論ずる上では結果論になりますが、1997年愛媛玉串料訴訟(護国神社に公費を支出するのは政教分離原則に反しないか)最高裁判決で、千種判事は「違憲」、三好長官は「合憲」という意見を出されてます。

 ということは! と思い、今月4日に出されたてホヤホヤの参議院選挙「一票の格差」最高裁判決(15名中、違憲判断5名)をひもとくと…… うーむ、島田判事も堀籠判事も「合憲」の判断でした。

 あれれれ、今回は特に関係ありませんでしたね。 そりゃ、お二人とも特にリベラルだとは思えませんし。 だとすると、いったい何があったのでしょうか。

 民主的手続きゼロで、ひっそりと進められる最高裁長官人事。このあたりの事情は、なかなか生々しくて面白そうですね。まぁ、どうやって取材したらいいのか、さっぱりわからんですけど。

 あ、今から読売新聞社に入ればいいのかな?(無理)
 

 

【 就任なさる新判事 】
 2006/10/16~2012/02/10

 (※10月15日、町田顕長官退官に伴い)
 

 涌 井 紀 夫  (わくい・のりお)

 昭和17(1942)年2月11日生 18期

 (出身)兵庫県・京都大学

 
 '66.4 東京地裁 判事補

 '69.4 <最高裁 刑事局付>

 '72.4 旭川地家裁 判事補

 '75.4 東京地裁

 '76.4 <最高裁事務総局 行政局参事官>

 '77.5 <同 行政局2課長>

 '79.7 <同 行政局1・3課長>

 '83.4 東京高裁判事 職務代行

 '84.4 <最高裁事務総局 給与課長>

 '88.4 東京高裁 部総括判事

 '92.6 <最高裁 上席調査官>

 '93.11 <最高裁事務総局 総務局長>

 '98.1 <前橋地裁 所長>

 '99.2 東京高裁 部総括判事

 '01.2 <司法研修所 所長>

 '02.9 <福岡高裁 長官>

 '03.5 <大阪高裁 長官>

 

【 就任なさる新判事 】
 2006/10/31~2013/04/22

 (※10月30日、滝井繁男判事退官に伴い)
 

 田 原 睦 夫  (たはら・むつお)

 昭和18(1943)年4月23日生  21期

 大阪弁護士会 はばたき綜合法律事務所

 (出身) 京都府・京都大学

 (趣味) 山歩き・囲碁

 
 1969 弁護士登録

 1988 近畿弁護士会連合会 理事

 1990-96 法制審議会 民事訴訟法部会 幹事

 1993 近畿弁護士会連合会 理事

 1995- 最高裁 民事規則制定諮問委員会 幹事・委員

 1996- 法制審議会 倒産法部会 委員

 1997-99 京都大学大学院 法学研究科 講師・客員教授

 

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2006年5月30日 (火)

「忘れられた一票」の粗末な扱い

 あぁぁ、私としたことが。 こんな重大ニュースを今ごろ知るなんて。

 

>>> 国民審査 「そのまま投票箱に入れて」

 佐賀県鳥栖市の牟田秀敏市長が、衆院佐賀1区の候補の応援演説の際、最高裁判所裁判官の国民審査について「(国民審査の)白い紙はそのまま投票箱に入れて帰るように。 何か書くといろいろ問題になるから」と発言していたことが10日、分かった。
 牟田市長はこの候補の選対本部長。 7日夜、鳥栖市と上峰町で行われた同候補の総決起大会の応援演説で、小選挙区は候補名、比例代表は政党名を挙げて投票を呼びかけた後、この発言をしたという。 国民審査は、罷免したい裁判官には「×」印を書き、何も書かなければ、信任となる。
 牟田市長は「小選挙区、比例代表、国民審査と色の違う投票用紙で3回投票するので、間違えないように強調したかっただけ。裁判官を信任してほしいとの趣旨ではなかった」と弁明。同県選管は「何も考えずに投票して、という意味だとすれば不適切」としている。 (西日本新聞) 2005/09/10

 
 こういうことこそ、マスメディアが大々的に報じていただきたいのに。 やっぱりメディアも、国民審査の形骸化計画に荷担してるんじゃないかと、勘ぐりたくもなります。

 間違えないように「何も書くな」と指示するんじゃ、あなたがたを支えている有権者をアホ扱いしてるだけじゃないですか。 恩をアダで返しますか。

 ただ、仮に、「国民審査で何か書け」と言われても、書けない有権者が大部分であることも悲しい現実。 私たちみたいな、よっぽどマニアックな人間でない限り、「どの最高裁判事が良くて、誰がダメなのか」わかりゃしません。

 私ゃ、まがりなりにも「国民審査のオカズ」を書いて、昨年9月に皆さまからご支持や応援をいただいた人間です。 「国民審査で何か書いたら問題になる」なんて、根拠の欠けた「市長命令」を気軽に口走られたんじゃ、今さらながら言いたいことだってあります。

 今度の国民審査こそ、私たち一人ひとりが司法権を監視する、活きた制度となるように息をプープー吹き込んでやりますよっ。 たとえ、この私ひとりだけでも。 肺活量には、あんまり自信ないですが。

 

■ 次回の国民審査対象である最高裁判事
   
那須弘平先生の就任コメント 2006/05/25

 「依頼者の話に耳を傾けて法廷で主張するのが弁護士の仕事。 弁護士時代に培った技術や能力を生かしたい」

 「裁判員制度については大変よい制度だと思っている。 義務ではなく権利を実現するチャンスとして国民に分かってもらうことが大切」

「言葉だけでなく結論も含め、周囲の関心が薄れないうちに、分かりやすい裁判をすることが大切だと思う。そうした裁判を心掛ければ、国民の関心も高まり、支援も得られるのでは」

 

>>>>>>> みそしるオススメ本 <<<<<<<
 

 「ねぇ、パパぁ、あのさいばんかんのひとは、なんでさいばんやらないの?」

 『裁判をする裁判官より、裁判しない裁判官のほうが、偉い裁判官なんだよ』

 「ふーん、へんなの」

 
 一人ひとりが独立しているはずの裁判官を「統制」し、裁判官の中でも選び抜かれた者のみが召集される最高裁判所事務総局。 その現状と問題点を、緻密かつ膨大なデータ分析で斬る!
 

日本司法の逆説 ― 最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち
日本司法の逆説―最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち 西川 伸一


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2006年5月 2日 (火)

【最高裁】元 国際派弁護士 濱田判事の後任は?

060502nasu_1 那須弘平(なす・こうへい)

昭和17(1942)年2月11日(満64歳)

長野県出身

那須・井口法律事務所

第二東京弁護士会 所属

平成18年5月25日 最高裁判事 就任内定

 

1964(S39) 東京大学法学部卒

1969(S44) 司法修習修了(21期)

同年    弁護士登録

1987(S62) 第二東京弁護士会 副会長

1988(S63) 民事訴訟改善委員会 委員長

1993(H5)  研修委員会 委員長

1995(H7)  仲裁センター運営委員会 委員長

その他役職 : 日本弁護士連合会 常務理事、 花王(株)監査役、 東大法科大学院 客員教授

得意分野 : 民事・商事

 

 この方の似顔絵は難しかったです。 3回描きなおしたのに、結局うまくいってませんからね。

 それに、この写真、若すぎません? たぶん、20年か30年前のものが、ずっと「弁護士大観」に載せられたままになっている可能性もあります。 ちょっとだけ、大昔のウチの親父に似てますもんね……。

 45歳にして、第二東京弁護士会の副会長を務めた実績もお持ちです。 ただねぇ、「二弁」所属の弁護士さんって……、なんと表現したらよろしいのか…………、あのー、何か意見を主張したいときには、常に「○○権」とか「△△の自由」といった、憲法に載ってるスローガンから説き起こすよう心がけてらっしゃる方々ですよね。

 もちろん、それだって自由ですが。
 

 だがしかし! 那須先生は、ちと違うようです。

 そりゃ、たしかにリベラルはリベラルなんですけど、ありきたりのリベラルとは一線を画している、といった勝手な印象です。

 すべての弁護士が、自分の仕事を常に『基本的人権の擁護』や『社会正義の実現』に直結させて考えているかといえば、そんなことはない。 そのように考える弁護士もいるであろうが、いずれの考え方に立つかで、弁護の質に優劣が生じるとも思われない。
 外部の者から見て、弁護士の日常の業務(その中には、貸し金の回収や、家賃を払えない人に対する家屋明渡請求等も含まれている。公害の加害者である企業側に付いて弁護することもある)が、すべて基本的人権の擁護、社会正義の実現を目指しているという説明は納得しがたいだろう。
 むしろ、一つひとつの弁護士業務の実践は、依頼人の個人的利益を擁護することを目的としているのであって、ただ、それらの集積が『基本的人権の擁護』や『社会正義の実現』に結びつくと説明するほうが説得力がある。 (「民事訴訟と弁護士」(信山社・初版2001年)より)

◆ 弁護士法 第1条(弁護士の使命)
1 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
 

 てっきり「二弁」とは、カッチョイイ弁護士法1条のファンクラブなのだとばかり思っておりました。 それは偏見だったんですね。 すみませんでした。

 弁護士さんが『人権擁護』だとか『社会正義』だとかいう、裸のキーワードを声高に叫べば叫ぶほど、普通に生活する人々との間に厳然としてある「溝」は、ますます深まっていく、と考えます。

 ですから私は、そういう便利で美しい言葉の威光に頼って、いろんなものをごまかしたがる連中を、マユにツバを付けつつ見ております。 やっぱり、言葉よりも態度で示したいもんです。

 ひとりひとりが、毎日の仕事で粛々と、依頼人の利益につながると信じることを遂行していく。 その少しずつの積み重ねが、全体として私たちの笑顔を少し増やす方向に作用する。 そういうことでしょう。

 そんな那須先生のご指摘によって、「人権派」などと自称する一部の弁護士や、それを持ち上げて讃えたがる一部の人たちの、恥ずかしい独善っぷりが浮き彫りになっているような気がします。

 アンタたちだけが偉いんじゃないですよ。 勘違いしないでください。 弁護士は全員「人権派」なんです。

 もちろん、個々の弁護士活動が、全体として真に『社会正義』へ寄与しているかどうかについては、常に検証を怠らない姿勢が必要なのでしょう。 先日の「最高裁ドタキャン騒動」もございますしね。

 我々は、弁護士法の中に弁護士の統合理念を求めるならば、弁護士法3条1項『弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。』に行き着かざるを得ない。
 弁護士の統合理念としては、あまりに平凡に過ぎて面白味がないという欠点を持つのであるが、実際のところ、弁護士はこれ以上のものでもなければ、これ以下のものでもない、と私は考える。 (前掲書)

 この軽く抜いてみせた感じ。 「二弁」に、ここまで柔軟な感性をお持ちの方がいらっしゃったとは、本当にお見それしました。 やっぱり、最高裁判事にまでなる人は違うんだな。

 これから「那須裁判官」の出すであろう判断を、個人的にはとっても注目しながら追ってみようと思います。 期待しておりますよ。

 他にも、出来合いの枠組みにとらわれないご意見を、数々お持ちのようですね。 楽しみです。

 

<弁護士人口の大幅増員論>
 (※年間5000人合格も視野?)

<法科大学院構想の『二弁案』に対し、あろうことか「批判的検討」を加える>
 (※「二弁案」=「司法研修所の廃止」)

 ダイナミックな自然科学の進歩に力負けしない弁護士や裁判官を養成することは、どうすれば可能になるのだろうか。それとも、そのようなことを望むこと自体無謀な企てなのであろうか。それにしても、せめて講義の進め方ぐらいは、自然科学の手法を応用できそうなものだ。司法試験の受験予備校では、かなり進んだ手法が採用されていると聞くが、大学の講義の実態はどうなっているのだろうか。 (法律のひろば 2000年9月号「『法曹』と弁護士」より)

<民事訴訟の「口頭主義の復活」を主張>

 だいたい弁護士は尋問にさいし、証人や当事者本人に対し「聞かれたことだけに答えなさい」という助言ないし指導を長年やってきたわけだけれども、よくよく考えると、きわめて非人間的ですよね。やっぱり、しゃべりたいことをしゃべらせろという欲求があるわけです。 (「民事訴訟の過去・現在・未来」(日本評論社)…山本和彦 一橋大教授との対談より)

<謙抑的和解論>
 (※和解という解決方法を、必要以上にもてはやすべきではない。和解ばかりが、当事者にとって妥当で迅速で円満な解決として役立つとは限らない、というスタンス)

 和解は、裁判所が考えるほどには当事者に歓迎されていない、と言ってよい。勝訴が見込める場合でも、遅滞した審理にしびれを切らして、やむを得ず和解を受け入れることは、よく経験することである。また、敗訴の可能性が強い場合に、判決まで粘るという姿勢を示すことによって、相手方(すなわち勝訴を期待できる当事者)に、なお相当の日時と労力を必要とすることの無言の圧力をかけて和解に応じさせることも無いではない。このような場合、和解は、判決に比べて、正義の量をそれだけ目減りさせて紛争を解決していることになる。 (前掲「民事訴訟と弁護士」より)

<たとえ話が好きっぽい??>

 病院の改革に患者がイニシアティブを取るかというと、それは期待できない。…………それは民事訴訟でも同じで、訴訟になる前は、誰も自分が訴訟事件に遭うとは思っていないし、訴訟手続きに巻き込まれたときは、それに対処するのが精一杯で、終わったらなるべく早く忘れようとする。だから、利用者が自ら改革に立ちあがることは期待できない分野である。そうすると、誰が改革をやらなければいけないかというと、当事者に一番近いのは弁護士であって、弁護士が訴訟手続を改革しなければならない。 (前掲「民事訴訟の過去・現在・未来」より)

 

 そういえば、明日は5月3日の憲法記念日。 町田長官の談話に注目です。

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