2010年9月14日 (火)

畑中鐵丸弁護士の著書に、なんと推薦コメントを!

 

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 私なんぞが推薦文を書いてしまって、本当に大丈夫なのか?

 むしろ足を引っぱっちゃうのではないかと心配だったのですが、なんとか微力を尽くして売り上げに貢献させていただきたいと願い、ひねってみました。

 月刊『会社法務A2Z』では、連載コーナーのページがおトナリ同士というご縁もありますし。

 
  

 最初は、キャッチコピーっぽく

「イマドキの漢方薬は、飲みやすくて即効性だってあるんです。テツマル先生の調合した“明快答”は、疲れきった経済大国にヨク効きます」

 という案を出したんですが、

 編集の方から「もう少しシンプルな感じで……」とのお返事。
 

 じつは、私自身、若干ピンと来ないなーと、薄々は感じていたので、即座に納得。

 漢方薬だから、「明快」とかにしときゃよかったんかなー?

 ……って、ますます意味不明な推薦文になりますけどね。
 

 さらに「“経済大国”ってのが、大風呂敷ひろげすぎ」という趣旨の、的確なアドバイスを頂戴しまして、それを受けてバシッと修正いたしました。

 

 この鐵丸弁護士の最新著、ありきたりな法務指南本とは一線を画してますよ。

 個性豊かすぎる数々の相談者(架空ですけど)の抱える問題に対し、法律的な建て前とともに、ベテラン法律家ならではのホンネアドバイスも打ち出し、一刀両断しておられます。

 

『鐵丸先生の こんな法務じゃ会社がつぶれる』
最新ビジネスロー問題を5分で解決

(畑中鐵丸 著 / 定価1000円 / 9月30日発売)

   第一法規出版・公式サイトへ

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2010年1月20日 (水)

コンビニ「サンクス」限定の法律本!

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 仕事上のゴタゴタを、ワンコインで解決!

 

「仕事のトラブル 法律Q&A」
 (発行:アントレックス 編集:株式会社G.B. 監修:戸塚美砂弁護士)
 定価:500円(税込)

 第1章 業務関連トラブル
 第2章 社外営業トラブル
 第3章 社則のトラブル
 第4章 社内対人トラブル
 第5章 ネット・個人情報トラブル
 第6章 対会社のお金のトラブル

 何を隠そう、第2,3,4,6章は、私が書きました。

 初めて、自分の名前を表に出さず、裏方に徹する、「いかにもライター」っぽい仕事をさせていただきましたよ。

 けっこう読みやすい仕上がりになっていますので、サンクスにお立ち寄りの際は、ぜひお手にとってみてください。

 

 明日からは、足利事件再審2days。 菅家さんの無罪判決に向け、いよいよ大詰めです。

 早朝5時に愛車で宇都宮へ向かう一泊旅行。 暗闇の高速は、ちょっとおっかないので、今回はゆっくり下の道を行こうと思ってます。

 今度こそ餃子食えるかな?

 ……ってなワケですので、午後8時半、眠くないけど、ムリヤリ寝ます。

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2009年10月 8日 (木)

「○○君を殺して何になる」を、世に送り出して何になる

 差し戻し控訴審で、ついに死刑判決が出て、第2次の最高裁判断が注目されている光母子殺害事件。

 その悲惨な事件について丹念に取材してまとめたという、「○○君を殺して何になる」と題されたノンフィクション本が、一部の書店で発売され、話題になっているそうですね。

 というより、少年法61条違反という「ルール破り」の書名(タイトル)ですから、この書名が会議で決まった時点で、世間の話題をさらうのは最初から運命づけられています。

 そもそも「よく会議を通ったなぁ」という驚きのほうが大きいです。 インシデンツという出版社の。

 

◆ 少年法 第61条(記事等の掲載の禁止)
 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

 
 

 各種犯罪を始め、法律違反というのは、通常の枠からハミ出している行いですから、マスメディアやインターネットが採り上げるネタとして乗っかりやすい。

 なので、世間にたくさん採り上げてもらえ、人の目に触れる機会も多くなるのです。

 私もその例外ではありません。ついついブログで採り上げてしまいました。

 

 露出度が上がると、世間から「注目されているもの」だと認知されます。

 そして、世間から注目されている事実は、それだけで「面白いんじゃないか」「すごいんじゃないか」「何か価値があるんじゃないか」と思わせるパワーを帯びます。

 CDや映画などの「トップチャート」、ラーメンやスイーツなどの「人気ランキング」は、その好例です。

 

 なので、職業として何かモノを作り、世に送り出す以上は、「露出度を上げる」ための策を考えるのが第一。

 その方法として、営業努力を尽くしたり、広告・広報(PR)・マーケティング戦略などを練るのもひとつですが、モノそれ自体に話題性が加わるような仕掛けを講じることも大切ですね。

 

 私も物書きですから、職業柄、「インパクトの強い書名」「世間の話題に乗せてもらえるような内容」を、年がら年中考えている人間です。 出版社の編集者は、もっと考えています。

 おととしの「裁判官の爆笑お言葉集」だって、裁判官の語録に“爆笑”という冠を付すのは、ある種の“タブー破り”なのかもしれません。 著者の私もビックリした、出版元の挑戦です。

 消費者の皆さんの予想や思い込みを裏切り、心のバランスを崩させたところに「インパクト」は潜んでいるのです。

 大なり小なり、世間様に影響を与える職業である以上、何でも許されるわけではありません。

 たとえ悪役のプロレスラーでも、プロである以上、決して「一線」は越えちゃいけないのです。

 「平凡」と「極端」の間を絶妙に突いていく、大胆かつ洗練されたセンスが求められますし、常にその領域を目指して鍛錬を重ねなければなりません。

 だから、タブー破りを超えた「ルール(法律)破り」は、つまらないのです。

 「あーあ、やっちゃったね」と思うだけです。

 

 私も、最高裁で、この光母子殺害事件の弁論を傍聴しましたから、被告人である「元少年」のフルネームは知っていました。

 そして、少年法61条も知っていますから、そのフルネームを公にすることは慎んでいます。 この事件の概要と法廷での弁論の様子を伝えるのに、被告人のフルネームは不要だからです。

 

 著者は少年法を破ってまで、確信犯的にどんなメッセージを伝えようとしているのか存じませんが、書名において被告人の実名を掲げてしまったことから、「本の話題づくりに利用した」と思わせるのに十分な外観をさらしてしまいました。

 もちろん、少年法を破る点において、本文の中で破ろうがタイトルの中で破ろうが変わりはないのですが、書籍の顔であるタイトルであえて破る以上は、「ある殺人事件の高い知名度を、書籍の売り上げに利用した」という、著者にとって不利な推定をされても仕方ありません。

 目立つタイトルを付ける以上、中身を一切読まずに、タイトルから受ける先入観だけで、反射的にアレコレ口を出す人が出てくるのは避けられません。 この私のように。

 

 「○○君を殺して何になる」というのなら、○○君は生かして更生させるべきだというご主張なのでしょう。

 だとしたら、○○君の前科という重大なプライバシーを踏みにじってどうするんですか? 基本的人権を共有しているはずの被告人の更生、逆に足を引っぱっているだけにしか見えません。

 仮に、実名を載せることにつき「元少年の許可が取れている」として、書名の一部に利用する許可は取れているのでしょうか?


 私は、神戸のいわゆる「酒鬼薔薇事件」を裁いた元裁判官の弁護士にお話を伺ったのですが、少年の犯した殺人事件を裁いたのは、40年以上の裁判官生活で、たった3回だけなのだそうです。

 少年事件の全貌を構成する罪名のうち、ほぼすべては (おそらく「~~何になる」の著者にとっては、ネタとしてつまらない)、万引きや違法薬物がらみ、ケンカや共同暴走行為などで占められています。

 本気で少年犯罪の問題を考えるのであれば、ただでさえ目立つ光事件だけを、さらに過剰に強調して採り上げるべきではないと考えます。

 そんなことでは、世間の認知をゆがめ、「人を殺して、大きなルールを破れば、世間に注目され、自分は特別な存在になれるのだ」と、勘違いする連中を生むリスクが高まるだけでしょう。

 せめて、同種罪名の少年事件を複数採り上げて、共通項や相違点などを洗い出し、分析すべきです。 それこそ、ノンフィクション作家・ジャーナリストの仕事でしょう。

 著者は、被告人をはじめ、関係者100人以上に取材したそうで、その「足で稼ぐ」労力には頭が下がります。

 が、もし、取材した人数の多さを「水戸黄門の印籠」のような目くらましにして、「何を書いても、自分の努力に免じて大目に見てもらえる」と誤解しているのなら、非常に残念です。

 ただ、書名はつまらなくても、中身は興味深く、あえて被告人が少年法を破った覚悟に感銘を受けるのかもしれません。

 とりあえず、この本を「読みたい」という気分になるまで、自分自身、気長に待ってみようと思います。

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2009年5月13日 (水)

ロースクールへ行く前に

モアセレクションズ」という会社をご存知でしょうか。

 司法試験に挫折した人の就職先をあっせんしてくれたりするところです。

 素晴らしい!

 今、熱いジャンルである「社会起業家」の一種ではないかと、私は認識しております。

 

 まだ会社ができる前、私がインタビュー取材を受けたことがありまして、そのとき以来、社長や役員、従業員の皆さんとは、何回か飲みに行ったり(1回は徹夜)、忘年会や開業1周年パーティに招いてもらったり、ときには一部メンバーと合○ンしたり、クリスマスパーティに足を運んだりして、仲良くさせてもらっています。

 で、そんなモアセレクションズから、書籍が出版されました!

 

ロースクールへ行く前に ― 司法試験合格後のキャリア不合格後のキャリア
ロースクールへ行く前に ― 司法試験合格後のキャリア不合格後のキャリア 株式会社More-Selections


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 社長から、「書評を書いてくれ」とお願いされちゃったので、バカ正直に書いてみます。

 素晴らしいところは、司法試験の「不合格後」のことが書かれていること。

 もちろん、モアセレクションズの事業内容を広めるために書かれているわけですが、そのへんの事情を差し引いても、きれいごとを並べてお茶を濁さない、知的誠実さが見て取れますね。

 合格のためには、こうしたらいい、撤退するときは、こうしたらいい、というアドバイスが記されている本です。

 

 ただ、惜しいところは、アドバイスの「根拠」がほとんど書かれていないこと。

 こういう場面で、こうすべきなのは「なぜなのか?」

 世の中が、こういう現状なのは「どうしてなのか?」

 ……その視点が抜けてしまっていると、読み手にとっては一方的な印象を受けてしまって、内容に説得力を持たせるうえでは不利じゃないかな、と心配します。

 残念ながら、司法試験受験生は、アドバイスをすれば耳を傾けてくれる、素直な人ばかりではありません。

 私みたいな、理屈っぽいひねくれ者もたくさん混ざっている世界なのですから。

 それでも、著者の論拠を想像・補足しながら読み進めていけば、有用な内容であることは、私が保障いたします。

 

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2005年6月11日 (土)

おすすめ本「放送禁止歌」

放送禁止歌
4759254102森 達也

おすすめ平均
starsノンフィクションの星
starsいい本だけど せつないね
stars最近の大収穫
stars哀悼 山平和彦さま
stars放送禁止歌

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 放送法第1条第2号「放送の不偏不党、真実および自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」……

 私が「放送禁止歌」と聞いて真っ先に連想してしまうのが、つぼいのりお氏の「金太の大冒険」だったりするのが恥ずかしいですが、たとえば「金太の大冒険」が、リリース後わずか2,3週間でラジオ放送禁止になったり、梅宮辰夫兄貴の「シンボルロック」も放送禁止扱いになった理由は、だいぶわかりやすいと思います。単純に、当時の価値観で「品が無かった」からです。
 この本は、「闘うエンターテイメント」が規制されていく様子を通して、同和や反体制という時代背景を浮き彫りにしようとする、非常に興味深い構成で展開されています。放送の世界にある「政治」が見えてきます。

 それに、意外な曲が民放連によって「要注意歌謡曲」に指定されているのも目を引きます。ピンクレディーの「SOS」も、「不適当な箇所を削除・改訂すれば可」という取り扱いだったらしいです。それは「♪男は狼なのっよー」の歌詞が眉をひそめられたわけではなく、イントロ部分にあるSOSを表すモールス信号が、災害や緊急事態が発生したとの誤解を生みかねないからだとのウワサ。
 ただ、モロに公共の電波に乗せられなかった「イムジン河」や「自衛隊に入ろう」は、要注意歌謡曲としてリストアップされていないのが不思議です。こちらは本当に自主規制で、現場の判断だということなんでしょうね。きっと。
 

放送禁止歌
4334782256森 達也

おすすめ平均
starsノンフィクションの星
starsいい本だけど せつないね
stars最近の大収穫
stars哀悼 山平和彦さま
stars放送禁止歌

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2005年5月23日 (月)

5月のオススメ本

詭弁論理学
4121004485野崎 昭弘

おすすめ平均
starsだまされないために、そしてだまさないために
stars強弁・詭弁を弄すること
starsどんな本か一度は見ておくべき本ですが
stars新書とはこうあるべし
stars時代を超えるロングセラー

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 ご存じの方も多いかと思いますが、たしか40万部の売り上げを誇る本書。論理記号が出てこず、具体例がふんだんに盛り込まれています。文科系に優しい論理学の解説が素晴らしいですね。個人的に興味深いのは「本質的」という言葉の怪しさについての記述です。説得的な文章を書きたいときに、私もつい「本質的」を多用してしまいますので、気を付けたいものです。


逆説論理学
4121005937野崎 昭弘

おすすめ平均
stars読んで楽しむ、パラドックス。
starsトートロジーの面白さ!!

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 「男の子を欲しがる家庭が多いと仮定したとき、女の子が産まれれば、もう一人、またもう一人と、男の子が産まれるまで頑張るため、必然的に女の子の人口が多くなる」……この文章を読んで、「そりゃそうだ」と思ってしまった方は、ぜひ「逆説論理学」をお手に取ってみてください。

 巻末の「マイナスとマイナスをかけたら、なぜプラスになるか」を解説した部分は、中学1年次に、まさしくその疑問でつまづいた私としては、すごく興味深いものでした。それでも、まだ半分ぐらいは釈然としないままですが。
 「そういうものとして憶えればいい」と割り切れる人たちを、今でもうらやましく思う私です。

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2005年4月29日 (金)

4月のオススメ本

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
山田 真哉

おすすめ平均
さおだけ屋は商売になる
入門書の入門書としては良書だと思う。
お薦めしない
入門書として。
痛快で愉快、納得でお得なベストセラー。

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 会計という分野の面白さを感じるというより、『読ませ方』の巧さが際だっている本だと思います。章の最初に「ミステリー」を持ってきて、「謎解き」をしながら、経済の仕組みを説明していく。
 この手法は、法律本でも十分に使えそうですよね。私に書けるかどうかは別として。


憲法の常識常識の憲法
百地 章

おすすめ平均
憲法が分かる1冊

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 今は無きサイト「司法試験に呑まれるな!」に、「人権にモノ申す!」という長文を公開したことがありました。当時は「人が人であるゆえに当然に……」なる、あの決まり文句から漂うスカスカした違和感を、受験生時代の私なりに、なんとかして拭い去りたかったんです。今では、あんな論理的に破綻しきっている文章を大々的に書いて、心底恥ずかしいという気持ちしか残ってませんが。

 いわゆる「人権論」の虚しさは、権力の行きすぎを防ぐためのシステムや法技術を、「人間性」という定義不明の抽象論から導こうとしている点にあると思います。別に抽象論が問題なのではありません。歴史の積み重ねでできている現代社会を、そこから人工的に切り離された実体の見えない概念で動かそうとする姿勢を問題にしているんです。

 もちろん、王が民を支配し搾取し……という時代は、そういった抽象的スローガンを連呼することにも、それなりの意味があったのかもしれませんけどね。
 憲法とは、国民と公権力の関係を規律する法であり、その関係にトラブルが生じた場合に、裁判所が裁定するための基準です。にもかかわらず、『個人の尊重』という重みづけばかりを強調して、国民という一方当事者ばかりに肩入れしては、そんな人権スローガンそのものが『法の下の平等』に反するといわれても仕方がないでしょう。
 公的機関は、国民の基本的人権という目的を達成するための手段なんでしょうか。私はそんな主張を聞くたびに、「人権も手段じゃないのか」とツッコミを入れたくなります。

 行政訴訟で、公権力側ばっかりが勝つのは、『個人の尊重』が浸透していないというよりも、裁判所の『事なかれ主義』体質のせい。つまり、憲法以前の問題だと私は考えています。


憲法とはなにか
櫻井 よしこ

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わかりやすい!

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 当の安部英氏は、先日お亡くなりになりましたが、法律上、損害賠償請求権は相続の対象ですので、故人のご遺族に引き継がれて、名誉毀損裁判はまだ続くはずです。

 それで、“櫻井よしこさん逆転勝訴祈願”……というわけでもないのですが、発売当時、某司法試験塾の塾長が内容を批判なさって話題となった、この本をご紹介。国民の権利と同列に、義務も憲法上に列挙すべきという意見には、私も「うーん」と考え込んでしまいます。そういう義務は、法律でさんざん規定してあるから、それでいいんじゃないの?というのが私の「憲法感覚」です。
 とはいえ、難しいはずのことを歯切れよく、明快に書きつづってある、お勧めの憲法本です。

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2005年3月28日 (月)

安易にアンケートを採りたがる人たちへ

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
谷岡 一郎

おすすめ平均
ないものねだりかも知れませんが・・・
世界が広がる
マスコミ・学者のいい加減さを次々に暴く
方法論を学ぶ必要性
「ゴミ」社会調査への痛烈な批判と、判断能力向上への貢献

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 私も、ある原稿を書くときに、世間でアンケートを採ってみようかと思ったことがあったんですが、この本を読んで「やっぱりやめとこう」と考え直しました。素人が統計に手を出すのは危険かもしれません。

 「反社会学講座」のマッツァリーノ氏も、「この本をヒントにして書いた」とおっしゃるほどの、社会学スピリッツあふれる作品。これを読んだ後は、マスコミの世論調査をますます信用できなくなります。「これは、どうイジってあるのかな?」と考えながら、アンケート結果を話半分に聞いてしまうようになる副作用も。マスコミを疑いたくない方は、服用をお控えください。

 文章の端々に、著者の知的誠実さが垣間見え、電車に揺られながら楽しく読みとおせる逸品。

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2005年2月14日 (月)

僭越ながら、方向性が私と似ている2冊

日本の裁判史を読む事典
野村 二郎


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 後で知ったんですが、たまたま発売日に手にとって買った本です。歴代最高裁判事のプロフィールに、ほぼ半分を割いている本なんて初めてです。
 残り半分は、戦前の大審院時代も含めた日本裁判史で埋められているんですが、とにかく資料としての素晴らしさは一級品ですね。著者は喜寿を迎えられた司法ジャーナリストとのことで、まさに年の功、「積み重ね型」の面白さがあります。

 ただ、文字の絶対数が多いからなのか、誤植も多い…。「才口『千春』」とか、「体重1000『キロ』の未熟児」だとか。もちろん、そういう欠点を差し引いてもおすすめなんですけどね。

 
 一方で、「ひらめき型」の面白さが尽きないのは、やっぱりこの本。

反社会学講座
パオロ・マッツァリーノ

おすすめ平均
お笑い風味の鋭い風刺本。笑いながら、あなたの「常識」を再点検しましょう。
まず、表紙が笑える!
マッツァリーノは本名!??
明るい社会学の提案
笑いながら自分で考える事の重要性を学ぶ

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 「おい、2回目かい」と言われそうですが、他にグッとくる本が見当たらないんですよね。「こういうタイプの本が売れるんなら、オレが書いて出しても、そこそこイケるんじゃないか」と勘違いさせてくれる傑作です。

 たぶん、このマッツァリーノ氏とは、イヤミの書き方や笑いの方向性は若干違うものの、志が似ているような気はいたします。とにかく、簡単なことをわざわざ難しく退屈に語りたがる、もったいぶった連中を徹底的にボコボコにしたいんですよ。それだけに、「反社会学講座」が売れれば売れるほど、いっそう私は悔しいんです。(笑)
 
 
  反抗期の大人にもおすすめ 『スタンダード 反社会学講座


 

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2004年9月26日 (日)

オススメ本(4) お前ら、何なんだ

 ただいま、遅々として進まない上京準備の合間を縫いながら、PL(製造物責任)法について少しずつ突っ込んで図書館で調べております。前回の「U字ロック事件」を題材にした私の法律構成に、ウソが無いかどうか確認するためですけども、早くもクリプトナイト社による無償交換が始まったとのご指摘を頂戴し、正直、若干モチベーションが下がってしまいました。
 しかし、言い出しっぺは、この私に違いありませんので、なんとかU字ロック製造会社への請求権だけでもキッチリ検討していこうと思っております。どうか、期待しないでお待ちくださいませ。


へんないきもの
早川 いくを

発売日 2004/07
売り上げランキング 193

おすすめ平均
小中生の良い子にはPG?
残念!! 折角の好企画を生かしきれていない。
文章がね・・・

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 いやぁ~、「へんな いきもの」のチョイスが素晴らしいですね。よくここまで調べ上げたな、と感心しながら一気に読めてしまいます。続編として「へんな くさばな」という企画もアリかもしれませんね。

 ただ、この愛すべき生物たちの魅力を、解説文がまったく引き出せていない。というより、むしろ台無しにしてしまっています。この本の主役は、どう考えても「へんな いきもの」のはずなんですが、その主役を小馬鹿にしながら蹴散らして、書き手が前へ前へ出ようとしている。これはいただけません。

 説明文というのは「もともと退屈なものはなるだけ面白く、もともと面白いものは抑えて淡々と」というのが基本です。その基本を、この文筆家はご存じないはずは無いと思うんですが、そこだけが惜しまれますね。ひょっとしたら、文筆担当の早川氏は、バラエティに富んだ生き物たちの存在を「退屈なもの」として捉えてらっしゃるのかもしれません。それならば、全てがつながってきます。
 これが例えば「へんな さいばんかん」の紹介でしたら、早川氏のようなノリでも問題ないでしょうけども。
 
 しかし、そういう気になる部分を差し引いても、私は皆さんに一度ご覧いただきたい本です。


 


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