おかげさまで、この職業で糊口をしのげるようになって3年余り、
いよいよ「次のステップ」へ進んでみようと考えています。
もちろん、国内で唯一(?)の法律ネタ専門ライターとして、3歩進んで2歩下がりながらも、着々と仕事を頂戴していますし、決して限界を感じているわけではないのですが、
思えば、法や裁判について、一般の方々向けにわかりやすく説明することなんて、
じつは弁護士さんたちが、本業の片手間にチョチョイのチョイとこなせてしまう雑務でもあります。
弁護士人口は、まもなく3万人時代を迎えます。
しかも、法律問題という限られたパイを必死に奪い合う3万人です。
懸命に生き残ろうとする賢明な3万の頭脳に、私ひとりで立ち向かう。
とすれば、ただ単に「法律ネタをわかりやすく」というスタンスの一本軸だけでは、今までは多少通用したとしても、近いうちに行き詰まってしまうだろうと自己分析します。
ふつうの弁護士さんではそう簡単に参入できない領域へ足を踏み入れるべき時期に来ているのです。
……ずいぶんな大風呂敷を広げたもんだと、自分でもあきれますが、
先日、新宿の「ルミネ・ザ・よしもと」で、とあるお笑いライブの開演を待つ間、第1回MONO-KAKI大賞のチラシを見かけて手にしました。
よしもと(クリエイティブエージェンシー)と、小学館(ビッグコミックスピリッツ)と、ニッポン放送(AMラジオ局)の強力タッグで、新時代のコメディ脚本家を募集しているとのこと。
大賞の受賞作は、よしもと神保町花月にて実際に若手芸人によって舞台化され、しかも受賞者には副賞として200万円が贈られます。 でかい!
これは狙わにゃいかんでしょう。 いちおう、著述のプロヘッソナルとして。
今回が第1回ということで、受賞作の傾向はわかりませんが、舞台で実演するわけですから、あんまりコロコロと場面転換させちゃいかんでしょうし、派手な爆破やカーチェイスのシーンを入れるのも無理がありますし、よしもと若手芸人
(&外部から若手女優を若干名招聘)が演じるわけですから、配役の年齢もおのずと限定されますよね。
老け役なら、付けひげや特殊メイクなどのオプションをくっつけりゃ可能ですが、子役を置くのはたぶんNGでしょうね。 せいぜい高校生役ぐらいまでかな?
当方の(職業上の)命綱でもある法律知識をうまく絡めることができれば、ありきたりでないコメディも生まれそうです。
どの新人賞でも、二番煎じ三番煎じが嫌われるのは周知の事実。
でもねぇ……
お笑いに関しては、DVDやライブも含めて、日々さまざま観ているので、当然に心得ている事実ですが、
やっぱり人を笑わせる筋書きをつくるのは難しい……!!
それに原稿用紙30枚ってことですから、あんまり凝った伏線みたいなもんも張りづらい。
また、物語のパターンって、多くの先人が遺した偉業の数々により、ことごとく出尽くしていることを再確認させられます。
せっかく斬新な設定を思いついたと喜んでも、よくよく分析してみたら、たとえば「がんばれロボコン」の変形だったり、「デスノート」の亜流だったり、どこからともなく「ラヂオの時間」のニオイがしてくることに気づいたりして……、そのぬか喜びっぷりに愕然としますね。
美人やイケメンの顔がどこか似ているように、面白い物語には何らかの共通点があるもので、結果として既存の作品と重なる部分が生じてしまうのは仕方がないとしても、「なんとかして新しさを打ち出して、爪痕を残したい」という姿勢や意欲は決して諦めてはならないと考えます。
慣れないながらも、ストーリーを組んでは捨て、組んでは捨てを繰り返し、こないだ、なんとか筋書きの骨組み(プロット)を絞り出しました。
それどころか、1つプロットができた副産物として、まったく別のプロットもできちゃいました。
ぜひ欲しいシーンがいくつかあるも、この流れで載せるのは設定と矛盾、あるいは根拠が薄弱だと気づいて、いったん切り離した傍流が、それはそれで単独で物語としてつながったのです。 これには自分で勝手にビックリしました。
つまり、現時点で、コメディのプロットが手元に2本あるのです。 完成度はともかく。
「MONO-KAKI大賞」とやらが好む作品の傾向がハッキリ見えませんし、ためしに2本とも送ってみるという手もありますかね。
ただ、「応募後2年間は応募作品に関する全ての権利は事務局に帰属します」とあるのは、落選した脚本も将来2年間は、別の賞に応募したり、他ルートで出版したりする手が封じられるってコト? だとしたら若干イヤだな。
〆切りは8月末と、まだ先ですし、これから登場人物のセリフや展開を細かく練っているうちに、また派生してもう1本できちゃったりして……。
でも、今のレベルでは、大賞をいただくなんて畏れ多い。 100%無理。
もっともっと容赦なく、物語の質を磨き上げなければ。
今までも十分な辛さだったのですが、これからが、きっと地獄の苦しみです。
形の無いところから物語を紡ぎ出す、産みの苦しみなのか。
『お言葉集』『条例集』のような、膨大な資料の中からあてもなくオモシロネタを探し続ける作業とはまったく別種の苦しみでしょう。
ま、司法試験なんかで自分を追い込むよりは、こっちのほうが100倍楽しいか。
「あっち」は要領のよさで合格できても、「こっち」は要領で切り抜けようとしたら、ロクでもない結果にしか結びつかなさそうですし。
でも、私は「こっち」のほうが明らかに向いてます。
最近、ネタ物のエントリばかりお送りしてきましたので、たまにはこういう、書き手の感情が露わになるような、いかにもブログっぽいことを書いてみるのもいいかなと。
※ もちろん、法律ライターとしての書き仕事のご用命は、これまで通り大歓迎でございます。 各出版社のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
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