2008年2月11日 (月)

「キモイ恋ごころ」を、法はどこまで規制できるか?

>>> ドイツの男、性器の画像を携帯で送信して有罪に

 ドイツで自身の性器を写した画像を携帯電話で知らない女性に送りつけた男(21)が、裁判で有罪判決を受けた。当局者らが6日に明らかにした。

 同国東部ゾンデルスハウゼンの法廷で、裁判長は「それを見たときは全員が少し笑った」と語った。

 裁判所によると、被害女性は、画像が添付されたメッセージの送り主を警察に通報。当局は、男が別の複数の女性にも同様の画像を送った可能性を示す証拠を確認した。

 男には150ユーロ(約2万3000円)の罰金が科せられた。男は動機について明らかにしていないが、反省を示しているという。

 [ベルリン 2008年2月6日 ロイター]


 

 このお言葉は、有罪判決より、だいぶキツいっすねぇ。

 さらに… 女性の裁判長が言うと、より効果的といえましょう。

 さらに「全員があざ笑った」「物笑いにした」などの感想を浴びせると、さらに再犯のおそれは低下するかね?

 いや! それで逆に興奮するタイプの人もいるのか……。 難しいのぉ。 そのへんは被告人質問などを工夫して見極めないといけませんかねー。 わたしゃ、ブログになに書いとんだ。

 

 うーむ…… ところで、こういう類の事件が日本で起こると、どうなるんでしょうか?

 

◆ 刑法 第174条(公然わいせつ)
 公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

 

 ここにいう「公然と」とは、不特定多数の人たちを相手にする場合をいいますから、特定の人に対して、わいせつ画像を送った場合は該当しないことになります。

 「それはおかしい!」と思う人もいるかもしれませんが、国民の代表者である国会議員たちが、話し合いの結果として可決した条文にそう書いてあるんですから、仕方がないのです。 法治国家って、そういうモンなんです。

 どうしても問題が生じる場合には、裁判所や刑事法学者が、条文に書いてある意味の拡張について考えていく「法解釈」の出番なんですけどね。

 では、ストーカー規制法ですとか、各都道府県等の迷惑防止条例による規制はどうでしょうか。

 いずれも「懲役6カ月~1カ月」または「罰金50万円~1万円」の範囲が法定刑です。 迷惑防止条例の法定刑に関しては、東京都のモノしか調べてませんが(手抜き)。

 法定刑は同じなんですけども、ただ、両者は機能がビミョーに違うんですね。

 迷惑防止条例における、つきまといの構成要件は「専ら、特定の者に対するねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的で」という始まりとなっています。

 一方、ストーカー規制法のつきまとい行為は「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で」とありますね。

 迷惑防止条例は「いやがらせ目的」、ストーカー規制法は「恋愛がらみ目的」というふうに、使い分けられているのです。

 そして、(詳しい説明は、またの機会にさせてもらいますが) 恋愛がらみのストーカー規制法のほうが、犯罪として取り締まるための条件が、より厳しくなっているといえます。

 なぜなら、プライバシーのなかへ、国家がモロに踏み込む場面だからです。

 

子曰く、

人の恋路をジャマするヤツは、馬に蹴られて死んじまえ。


 

 ……おなじみ「論語」より引用させていただきましたが、今に孔子のバチが当たりますが、私たちの恋愛感情に対して国家の規制を発動させる場面は、できるだけ抑制してもらわなければ困ります。

 だって、憧れの女の子が住んでるマンションがね、見える公園に寄ってね、なんとなくボーッと座ってるとか。 暗くなっても部屋の明かりが付かないので、懲りて帰るとか。 留守電に「あのー、今度おもしろそうな映画があるので…… 今度時間があれば観に行かないかなと、思って電話しました」って身勝手に吹き込むとか。

 ……やったことないスか? 皆さん! わたしゃ、キモイっスか?

 いーや! オレは誰にも謝らん。 たしかに極めてヘタクソだったのは認めるが。

 異性の目から見て、ちょっと「キモイ」言動があったからといって、いちいち110番に通報するような風潮がはびこれば、まぁ、潔癖な人々にとってはキレイキレイな理想郷なんでしょうが、そんなもん、究極につまらん、生き甲斐の欠落した社会だと断言します。

 そのことを前提に、条文をご覧ください。

 

 

◆ ストーカー行為等の規制等に関する法律 第2条(定義)
1 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
  一  つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
  二  その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  三  面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
  四  著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
  五  電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
  六  汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
  七  その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  八  その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。
2  この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(前項第一号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。

 

◆ 東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例 第5条の2 (つきまとい行為等の禁止)
 何人も、正当な理由なく、専ら、特定の者に対するねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、不安を覚えさせるような行為であつて、次の各号のいずれかに掲げるもの(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第二条第一項に規定するつきまとい等及び同条第二項に規定するストーカー行為を除く。)を反復して行つてはならない。この場合において、第一号及び第二号に掲げる行為については、身体の安全、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下この項において「住居等」という。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限るものとする。
  一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居等の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
  二 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
  三 連続して電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
  四 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
2 警視総監又は警察署長は、前項の規定に違反する行為により被害を受けた者又はその保護者から、当該違反行為の再発の防止を図るため、援助を受けたい旨の申出があつたときは、東京都公安委員会規則で定めるところにより、当該申出をした者に対し、必要な援助を行うことができる。
3 本条の規定の適用に当たつては、都民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。

 


 いずれも「電話をかけて」とか「ファクシミリ」としか書かれてませんねぇ。 メールはどうよ。

 もし、「『電話をかけて』には、メールを出す行為をも含むんだぜ」などという勝手な類推解釈をほどこして取り締まることが起これば、ふつうに生活している国民にとって不意打ちとなり、気軽にメールなんて出せなくなります。

 「じゃあ、チャットは? 手旗信号は? 気になるあのコに毎晩送ってる熱いテレパシーは?(←キモイ) どれぐらいの頻度までゆるされるの?」と、余計な心配をさせられ、日常生活が萎縮させられる可能性が無きにしもあらず、なのです。

 この熱い想いを強権的に取り締まりたければ、あらかじめ、ちゃんと書いとけ。

 というより、条文に書けるもんなら書いてみろ、コラ。

 ……これを難しいコトバで「罪刑法定主義」と呼びます。

 

 

◆ 奈良県 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例 第10条 (電話等による嫌がらせ行為等の禁止)
 何人も、正当な理由がないのに、電話その他の電気通信の手段、文書又は図画により、他人に対し、反復して、虚偽の事項、卑わいな事項等を告げ、粗野若しくは乱暴な言語を用いて、又は電話で何も告げず、著しく不安又は迷惑を覚えさせるような行為をしてはならない。

 

 あっ、しまったぁ! 奈良県には、まんまと書かれてしまったぁぁ!

 この条文にいう「電気通信の手段」の文言は、まさしく電子メールの添付ファイルも含む!

 一方で、手旗信号やテレパシーは含まないと読み取れます。

 また、添付されたわいせつ画像は、「卑猥な事項等」に含む趣旨なのでしょう。 で、それを送信するのは「告げ」に含むってことでOKなんですかね? そうなんですかね?

 ただ、「反復して」という要件も付いてますね。 1回のみの送信だった場合、「間違いメールだった」という言い訳がありうるのを考慮してのことでしょうか?

 ともかく、失笑しまうような下半身の写メを1回送られただけじゃ、警察は動いてくれないみたいですけど、いちおう交番で相談しておくのは構わないかも。

 こういう条文が備えてある迷惑防止条例って、奈良以外の都道府県にもあるんですかねぇ? だれか、し・ら・べ・てkissmark

 

 

 そんな他力本願はともかくとして、本日、東京よりもずっと寒かろう、日本海側の豪雪地帯、富山市に向かいます。snow

 こないだ「来週、富山に行くけん。さむそー!」と、実家の母にメールしたら、いきなり電話かかってきて、「あんた富士山行くと? ちょっと大丈夫ね?」と……。

 相変わらずお元気そうで、なによりでございます。母上さま。

 

 シロートが、真冬の富士山に登ったら、fuji

  ……いくら楽観的に見積もっても、死にます。ng

 

 わたしゃ、肉親すらネタにしてますぜ。 ふふふふふthunder

 

 この母親の遺伝子を受け継いでいるので、きっと私が弁護士になってたら……、つまらんミスを連発してたんでしょうなぁ。 それを思えば、結果オーライだったのかも。

 半面、このオッチョコチョイの女性から育てられて影響を受けているからこそ、少しは他人様に「おもしろいですね」と言ってもらえるコトが書けるのかなぁ……とも思ってます。pen

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2008年2月 1日 (金)

オーストラリアの大地が育んだ、トホホな強盗 (裁判官のお言葉つき)

 えー、恥ずかしながら、わたくしは先日、朝日新聞の記者の方から、最高裁の本に関連してインタビュー取材を受けまして、その記事を、あさって2月3日(日曜日)の読書面『著者に会いたい』のコーナーに載せていただく運びとなりました。

 なんと、担当してくださった記者の方は熊本出身で、出身高校が同じ。 20年先輩でした。

 ゆるゆるフリーライターの分際で、かっちりスーツ姿で肖像写真を撮っていただきましたので、ナガミネの魅せるそういうパターンを見たいぞ、というマニアの方は、ぜひご覧ください。

 自慢じゃありませんが、スーツは、それ1着しか持ってないんですよ。

 

>>> 強盗が盗んだ「現金袋」、中身はパンの山 豪州

 オーストラリア南部メルボルン市内の飲食店に昨年4月1日、銃を持った2人組の強盗が押し入り、店にあった袋を奪って逃走した。

 ベンジャミン・ジョルゲンセン被告(38)とドンナ・ヘイズ被告(36)は、袋の中身が3万オーストラリアドル(約270万円)の現金だと思い込んでいた。しかし犯行後に袋を開けてみたところ、中には大量のロールパンが詰まっていた。

 事件の公判は22日にビクトリアン郡裁判所で開かれ、被告2人は罪状を認めた。ジョルゲンセン被告が犯行の最中、誤ってヘイズ被告のでん部を銃撃したことも明るみになった。(メルボルン発AP 2008/01/22)


 

 す、すごすぎる……! 超一流のオッチョコチョイが、ここにいました。 さすがに世界は広いぜ。

 さらに、オーストラリアのAAP通信が伝えたところによると、彼らは犯行後、逃走用に準備していた車とは別の車両に乗り込んだといいます。 慌てすぎですよ。

 いやぁ、そんじょそこらのドジ野郎とはワケが違いますね。 まさしく、プロ仕様のドジ。

 犯行において首尾一貫して、自らの性格を存分に発露させるという、ドジ界におけるプロフェッショナルの流儀を見せつけられ、私たちは寒気がします。

 彼らが問われた罪は、オーストラリア刑法の「武装強盗罪」。

 そして、特にジョルゲンゼン被告については、相棒・ヘイズ被告のお尻に全治1カ月の重傷を負わせたことに関して「過失傷害罪」でも起訴されている模様です。

 ……もう、あんまり笑わせないでくれますかね。

 

 ジョルゲンセン被告には実刑8年、ヘイズ被告には実刑7年が言い渡された。判事は事件がエイプリルフールに発生したことにちなみ、被告2人を「フール(愚か者)と呼んではばらからなかった。 (同上)

 

 惜しいなぁ~。 この判事のお名前がわかってたら、次回のお言葉集に収録させていただきたいのに、いくら調べても出てきません。 無念。

 ところで、エイプリルフールって、バカを実行する日でしたっけ?

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2007年3月 1日 (木)

裁判官の 爆笑お言葉集

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 えー、私のデビュー作が、今月末に幻冬舎新書として出ます。 ありがとうございます。 ありがとうございます。

 して、そのタイトル…… なんと「裁判官の 爆笑お言葉集」に決まったそうです。

 なんでも、社内で一番タイトル付けのお上手な方が命名してくださったとのこと。

 もうねぇ…… 最初それを見たときは、原稿が書きあがって嬉しい気持ちとか、ホッとした感情とか、すべて消し飛んで、みるみる全身から力が抜けていきました。

 「『爆笑』だけはやめてください!」と先方に泣きつきましたが、けんもほろろでしたね。 幻冬舎の皆さんには、本当に感謝していますが、タイトルだけが残念です。 たしかにインパクトは抜群だけども、笑えるもんも笑えなくなるでしょう。
 

 もう、自分の手から離れちゃったんだなぁ、と実感しましたね。

 せめて、ここで釈明させてください。

 私は、「ひとこと裁判官」の説諭や補充質問などを、「面白くて魅力的!」だと思ったから、皆さんにご紹介しようと思い立ったわけで、笑い飛ばしていただこうという目的で書いたつもりは、まるで無いんです。

 私は収録した裁判官の言葉で、読者の爆笑をとらなきゃいかんのですか。 そんな大それたミッションは、インポッシブルですよ。 どえらいプレッシャーがのしかかったもんです。

 人が大勢亡くなって、傷ついているような事件も収録したというのに、いいのかね。これで。

 プロ野球の珍プレー集とかあるじゃないですか。 真剣に戦っている人を、安全圏から指さして笑う感覚が、私には1ナノメートルも理解できません。 法壇の上からひとことを発する裁判官だって、同じように真剣なんですよ。

 スーパーの青果コーナーから105円のバナナを脅し取った強盗とか、盗んだタケノコを自宅でゆでてる最中に緊急逮捕された竹やぶ泥棒とかね、そういうのなら、私だってさんざんネタにしてますよ。

 ネタにした上で、「なぜそんなことになったのか」いろいろ調べたり深読みしたりして、ドロボーさんにとっての「精神的な逃げ道」も少し確保しながらですけど。
 

 
 親や友人らには「まだタイトル決まっとらんのよねー」って、もったいぶって言い続けてきたけど、いざタイトルを教えるとなると、こりゃかなり恥ずかしいぞ。 どの口が言うかね。 少なくとも、しらふじゃ不可能だな。

 「おっぱい都市宣言」なら、しらふでも連呼できるのに。

 「『爆笑お言葉集』って、じつに恥ずかしげもなく思い切ったタイトルですが」

 「どういう気持ちで、どんな顔しながら名づけたんですか?」

 「ひょっとして、裁判官がキラいなんですかぁ?」

 「『爆笑』っていわれてもなぁ、つまらんかったよ」
 

 ……だとか、ニヤニヤ誰かに訊かれるんだとしたら、うっとうしいなぁ。 「知らんよ」って、そんなの。
 

 誰よりも、命名の「真犯人」であるかのように見えるのは、他でもない著者の私で、きっとツッコミ集中放火の矢面に立たされるんでしょうが、断固として容疑を否認しつづけたいもん。 「それでもボクはやってない!」って。

 それとも、このツッコミはオイシイのかね。 自分のボケじゃないけども。 

 「そんなふうに、皆さんから一斉にツッコミを入れていただけるよう、いわば『ツッコミじろ』を組みこんだタイトルにしてみました」 「ボケ役の物書きとしての本能がそうさせました」とか答えておきましょうか。

 こんなもん、完全にウソ回答ですけど、いつの間にか「ウソから出たまこと」になってたりして。

 「新書は装丁がどれも同じ。 しかも著者は、どこの馬の骨とも知れん無名ライター。 したがって、客はタイトルを見て判断するしかない」 「また、おおげさなタイトルや帯文に惹かれて新書を買う人が増えている」というマーケティング結果が出ているのかもしれません。

 ただ、売り文句に「ウソ・おおげさ・まぎらわしい」記載がある本を、間違えて掴まされてしまったら、私は立ち読みでも後悔します。 そんな本は買いませんから。 読者の皆さんにも、そんな思いをしてほしくはありません。

 繰り返しますが、裁判官の言ったことや書いたことにツッコミを入れて、笑ってやりましょ ワッハッハ、というテーマの本ではないのです。 そうするならそうするで、他に説諭や判決理由のストックがありましたし、別の書き方もできました。

 弱ったなぁ~。 こんなことになるなら、オレもパオロ・マッツァリーノさんみたいに「ナゾの男」として執筆するんだった。 智恵が無いなぁ。

 そういえばパオロさん、こないだのTBSラジオ「ストリーム」に出てられましたね。ビックリしましたよ。 ケンドーコバヤシ氏ばりの重低音ボイスで「参議院なんか早くつぶして、健康ランドにすればいい」とおっしゃってました。 あいかわらずお元気そうで何よりです。

 初版を何部刷ってくれるのかわかりませんが、幻冬舎さんは、私の原稿を新書にするために、数百万円(もっとかも)注ぎ込んでくださるはずです。 それを考えると、そのぶん、著者の裁量、自由度が低くなるのはムリもない…… のでしょう。 さすがに。

 
 今回の件のおかげで、かえって「よぉし、絶対に裁判官語録の第2弾を出してやろう」と強く思えるようになりましたね。

 『爆笑』の2文字は、株式会社 幻冬舎から私にかけられた、いい意味での「呪術」だと思うことにしました。 これは乗り越えないといけないものでしょう。

 また「本来は小難しいジャンルである、法律や裁判に関する本を、一般の人々の手に取ってもらう」という私の目的を実現するためには、この『爆笑』という強力な呪術を、本屋のお客さんに向けてもかけていくことが、どうしても必要なのだと今は思います。 それで、世間さまから求められるなら、いつの日か第2弾をと。

 でも、しばらくの間は「語録」から離れてみるつもりです。 「ニッポンなんじゃこりゃ条例」とか「正義の法律用語辞典」とか「あんぽんたんニュースJAPAN」とか「あなたの知らない疑問票の世界」とか、他に温めている企画はありますから。

 正義の法律用語辞典は、受験生時代に少しずつ項目を付け加えていて、万一、何かの間違いで司法試験に受かった暁には本にしようと思っていたものです。 いちおう、今も発展途上なんですけどね。

 ただ、売りこんでもなかなか受けつけてもらえないんですよねぇ。 ちゃんと詳しい解説を入れたら、一般の人でも楽しめると思うのに。 「毒」が強すぎるのかね。

 ある編集者には「弁護士になれなかったひがみが出てる」とか言われたり……。 そんなつもりありませんって。 でも、そういうふうに読めるということは、まだまだ改善の余地ありなのか。

 ここだけの話、小学5・6年生ぐらいでもわかるような、物語仕立ての「刑事手続き解説本」の構成も、骨組みだけは出来ています。 裁判員制度の開始を見越して。

 「裁判官語録」の第2弾を出すタイミングとしては、やはり裁判員制度が始まる2009年に狙いを定めています。 まぁ、どこかの出版社がGOサインを出してくれなければ、こんなのは単なる寝言ですが。

 「うわー、あいつ、絵に描いたモチ食ってるよ。ヤギかあいつ」((C)伊集院光)みたいな話ですから。

 再来年、今度こそ必ず、自前で付けたタイトルを正式に通せるように精進するぞぉぉ…… と言っていながら、いざ第2弾が書きあがったとき、自分で「爆泣!裁判官語録」とか名づけてたら悲しいですけどね。

 だいたい、なんて読むんだ、その2文字。

 「ばっきゅう」か?
 

 そう考えたら、「爆笑問題」のおふたりって、すごいですよね。 どうしようもないほど重たいものを背負いながら、テレビ芸の道をひた走っておられます。 その意味では「キングオブコメディ」のおふたりもですけど。

 自分は…… 原稿を書きながら、そこまでの覚悟はしてなかったですね。

 このブログやメールマガジン等にしても「法律や裁判について書いているわりには、ちょびっと、おもしろおかしいやろ?」ぐらいのスタンスで、かろうじて成立してましたから。 でも、これから本格的にプロとして動き出すことになる以上、そんなぬるい姿勢じゃ通用しませんよね。

 たぶん、岡本太郎さんなら「他人になんか期待するな。 望むところだ、と。 他人から求められたとおりに爆笑させてやればいいじゃないか。誤解されたっていいじゃないか」と励ましてくださるんでしょうか。

 「出る釘になれ」と。 太郎さんほど、強くなれないっすよ。……あたしゃ。
 

 というわけで、「裁判官は、しゃべり好き」……じゃなかった「裁判官の 爆笑お言葉集」 どうかよろしくお願いします。 黄色い表紙の幻冬舎新書、3月のラインナップに混じって店頭に並ぶそうですので。

 1月のラインナップは、27日に私は店頭で見かけましたから、今回も末日よりは早まるのかも。

 幻冬舎さんの本を「食わず嫌い」されている方こそ、「爆笑」という色気のある誘いにだまされたと思って、一度お手に取ってみてくださいね。

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2007年2月16日 (金)

法の番人、おさえきれない義憤

 面白かったですよ!

 ただいま公開中の映画「バブルへGO! ―― タイムマシンはドラム式」を観てきました。

 先月「それでもボクはやってない」を観に行ったときに、予告編を目にしまして、ずっと気になっていたのです。

 バブル絶頂の時代、私は中学生で、しかも九州の熊本平野に生息していたもので、大都市圏での大騒ぎについては実感がまるでありゃしないのです。 それで、物語の中で描かれていた「バブル」の、どこまでが本当で、どこまでがツッコミどころなのか、いまいち掴みきれませんでした。

 それでも、すごく気持ちよく楽しめましたよ。 こういう世界観は好きだなぁと思いながら、エンドロールを眺めていると…… 君塚良一脚本作品でした。 納得。

 登場人物がひとりも死ななくても、十分にドラマチックな展開は創れるのだ、ということがわかりましたね。 その点は「それでもボクはやってない」と通じるものがあります。

 ちょっと精神的に疲れぎみで、重たい作品はやめとこうかな、という日にはオススメです。「バブルへGO!」

 ……ということは、私はアノ日、疲れてたのか?

 ま、なんだかんだいって、広末涼子はカワイイ。 それが結論ですよ。

 さすが、常人には味わえない類の修羅場の数々をくぐりぬけてきただけのことはありますね。 クレアラシルのCMに出てたころとは、彼女から放たれる輝きが違う気がします。 ところどころサービスカットもありましたし。

 今年は映画を観に行くのもそうですが、もっと有料のエンターテインメントを、ケチらず身銭を切って、純粋に楽しみたいものです。 上京して2年半になりますが、まだ、お笑いライブにも岡本太郎美術館にも行けてないので、そういった楽しみに時間を割く余裕をつくれるよう、励んでまいります。

 ネットでのB級ニュース収集とか、裁判傍聴とか、とりとめのないトークとか、本屋での立ち読みとか、そういった0円娯楽もいいけども、最近、なにが面白くて、なにがつまらないのか、ちょっとだけ迷いが生じはじめてますので、世の中に散らばる「楽しさのシャワー」を、より積極的に浴びていこうと決めました。今。

 

>>> 判事 腹立てながら「有罪」 高齢被爆者詐欺公判

 「20年以上判決文を読んでいるが、これだけ腹を立てながら判決文を読むことはめったにない」‐。6日、高齢の被爆者の女性から現金などをだまし取ったとして詐欺と窃盗の罪に問われた長崎市の無職の男(37)に対する判決公判で、長崎地裁の林秀文裁判官が感情もあらわに、男の行為を指弾した。
 判決によると男は、昨年8月、介護士と称して市内の80代女性宅を訪れ「被爆者の医療手当がもっともらえる。手続きに費用が必要」などとうそをつきキャッシュカードをだまし取り、口座から2回にわたり現金計約20万円を引き出した。判決は懲役1年、執行猶予4年(求刑懲役1年)。
 林裁判官は「高齢で被爆者。本来助けないといけない人を食い物にした犯行で極めて悪質」と判決を言い渡し、「裁判官が非常に腹を立てていたことをゆめゆめ忘れないように」と付け加えた。
=2007/02/07付 西日本新聞朝刊= 

 

 去る2月14日はバレンタインデーでした。 そう。世の女性たちが、気になる殿方に熱い想いを伝えるため、きれいにラッピングされた全裁判官経歴総覧をプレゼントする日です。

 しかし、私には案の定「本命総覧」も「義理総覧」ももらえませんでしたので、裁判傍聴の帰りに日比谷図書館まで寄って、林判事の情報をチェックしてまいりました。

 モテるライターなら、家の本棚から全裁判官経歴総覧を引っ張りだして簡単に調べられることなのですが、その点、箸にも棒にもかからんような、しょーもない野郎の場合、よけいな手間を強いられるわけです。 つらいです。

 

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■ 長崎地裁 部総括判事 林 秀文裁判官

 はやし・ひでふみ

 1953年7月14日生まれ(満53歳)

 佐賀県出身 京都大学卒

1979.4(25歳) 高松地裁 判事補
1982.4(28歳) 熊本地家裁 判事補
1985.4(31歳) 東京地裁 判事補
1988.4(34歳) 福岡地家裁 判事補
1989.4(35歳) 同 判事に昇進
1991.4(37歳) 函館地家裁 判事
1994.4(40歳) 福岡高裁 職務代行判事
1996.4(42歳) 福岡高裁 判事
1997.4(43歳) 那覇地家裁 部総括判事
2000.4(46歳) 福岡地裁 部総括判事

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 佐賀出身の九州男児で、しかもバブル時代には福岡に赴任されていたようですね。 ふるさとの九州を中心にまわっておられることから、裁判官の中でも幸せな境遇にいる方といえるかもしれません。

 そして、長崎市という土地柄、「被爆者」というデリケートな存在をねらった犯行ということで、林判事のお怒りも理解できます。

 ただ、それでも執行猶予が出されてるんですよね。 詐欺事犯としては少ない20万円という被害額がネックだったのでしょうか。

 ネットでさらに調べてみたんですが、どうやら被告人には同種の余罪があった模様ですし、しかも現場は大浦署の管轄ですから、まさに爆心地付近ですよ。

 どうやら、裁判官というのは、執行猶予など軽めの主文を言いわたすときほど、強烈な言葉を使って被告人を叱りつけがちのようです。

 世間から「甘い」と批判されそうな結論について、少しでも穴埋めしうる説諭をして、なんとか処罰感情にこたえておきたい、という気持ちの表れなのでしょうか。

 じつは近々出る予定のデビュー作「裁判官語録(仮)」の中でも同じようなことを書いたんですけど……。 ここでネタばらししてどうする。

 ちなみに林判事は、その翌日、別の判決公判でも、判決理由らしからぬ印象的な言及をなさってます。 妊娠中の女性ら4人と胎児(※事故から1週間後に死亡)に重軽傷を負わせたという交通事故の刑事裁判です。
 

 林裁判官は「事故当時に胎児だった男児が出生後に死亡した場合も業務上過失致死が成立する」と認定。「男児は出生後ほどなく死亡し、母親から抱かれることは一度もなかった」と指摘し、「末永く冥福を祈るように」と説諭した。(2007/02/07 長崎新聞)

 

 なるほど。 林判事にとって、何かひとこと付け加えたくなる時期だったのでしょうか。 バイオリズム的に。

 

>>>>>>> みそしるオススメ本 <<<<<<<
 

 脊椎動物や節足動物は、皆さんもご存知でしょう。

 この世には「緩歩動物」というのもいるのです。そのジャンルに唯一分類されているのが、「地球上最強」「キング・オブ・へんないきもの」の称号を持つ微生物、クマムシくん。

 霊長類ヒト科最強といえば、マーク・ケアーですが(懐)、クマムシは、彼に踏みつぶされようとも、靴の裏のわずかな隙間に入りこんで回避するでしょう。 なにしろ体長は50ミクロンから1ミリ程度ですから。 アリンコよりも小さい。

 それどころか、「タン」と呼ばれる防御モードにトランスフォームすれば、マイナス272 ℃の超低温から 151 ℃の高温まで耐えぬき、真空状態すら切り抜けます。 カッコイイ!! そんな環境下では、さすがのビックリ人間 ケアーも、ひとたまりもありません。

クマムシ?! ― 小さな怪物
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2006年9月25日 (月)

にわかに高まる「飲酒運転叩き」の論調、司法判断にも影響か

>>>「1人1人意識変えないと」  危険運転判決 裁判官が説諭
 飲酒運転の発覚を恐れてパトカーから逃走、事故を起こしたとして、危険運転致傷と道交法違反(酒気帯び運転など)の罪に問われた福岡県大牟田市三池の会社員の男(22)の判決公判が14日、福岡地裁久留米支部であり、沢村智子裁判官は「飲酒運転をはじめ、交通規範順守の意識が非常に低い」として懲役1年6月、執行猶予4年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
 沢村裁判官は、被告人に「(過去にも飲酒運転の経験があり)一歩間違えば大事故になるところだった。(最近)報道されていて分かるように1人1人が意識を変えなければならない」と言い聞かせた。
 判決によると、被告人は昨年5月8日未明、同県久留米市国分町で乗用車を飲酒運転し、赤信号を無視。パトカーに追われたが、飲酒運転の発覚を恐れて逃走、同市諏訪野町でも赤信号にもかかわらず車5台を追い越して時速約70キロで交差点に進入し、同市内の女性=当時(21)=の軽乗用車に衝突、女性に軽傷を負わせた。被告人からは呼気1リットル当たり0.15ミリグラムのアルコールが検出された。 =2006/09/14付 西日本新聞夕刊=

 

 ニュースで裁判の判決について報じられるとき、裁判官の名前や訓戒に注目する人はいても、その裁判官の年齢まで気にしている人は、あまりいないのではないでしょうか。

 ま、私も気にしてこなかったんですが。 マスコミも情報として報じませんし。

 私、先週の金曜日に、国会図書館の開館から閉館ギリギリまで、裁判官の経歴総覧や、新聞の縮刷版など、細かい文字ばっかりみっちり読みこんでおりました。 ひさびさに図書館の中で一日じゅう引きこもれて、とても幸せでした。

 それで、この沢村智子裁判官についても、なんとなく調べてみたんですが、そしたらビックリ。

 昭和48年7月2日生まれ。33歳ですよね。私の2コ上ってことですか。

 51期ですから、平成8年、ちょうど10年前の司法試験合格組(のはず)です。 まだ判事補の身分じゃないでしょうか。たぶん。

 そういう方でも、遠慮なく説諭をしたりするんですね。 もちろん、変に肩ひじを張って人生を語ったりしているわけではありません。 無理に背伸びせず、「意識を変えねば」という一般論を、11歳年下の男に忠告しているわけです。 結構なことだと思います。
 

 考えてみたら、裁判官が、自分の親ぐらい年上の被告人に説諭する場面だってありうるんですよね。 あらためて、大変な仕事だなと心中お察しします。

 

 平成8年11月、京都地裁(当時)の藤田清臣裁判官が、ある飲酒運転の交通死亡事故で、「交通事故被害者の命の重みは、駅前で配られるポケットティッシュのように軽い」と宣言し、当時、日本の刑事司法史上初になるという、求刑超えの判決(懲役3年)を言い渡したことがありました。

 

 また、平成11年11月、東名高速で泥酔トラックドライバーが引き起こした、幼い女児2人の死亡事故。 理論上は、業務上過失致死罪と道路交通法違反(酒酔い運転罪)の合わせ技(併合罪加重)で、めいっぱい懲役7年まで言い渡せるはずです。 しかし、当時の量刑相場では、懲役4年を告げるのが精一杯でした。

 遺族の無念は、民事で十分な損害賠償を命じる判決が出されることにより、なんとか晴らされた感がありますが、刑事面では課題が残る結果となりました。

 この事故・裁判をきっかけに平成13年、刑法で危険運転罪が新設されまして、量刑上限のリミッターが外されることになったのです。 翌年には道路交通法でも、飲酒運転の基準がより厳格なものに変更されましたね。

 
 そういう話題が届いてくるたびに、マスコミの論調は沸騰していたはずなのに。 世論も繰り返し覚醒していたはずなのに。 悲劇も相変わらず繰り返されなければならないのでしょうか。

 そして、今年8月、福岡・海の中道で、男児3人の命が強引に踏みにじられました。

 

 「酔ってないから大丈夫」 「すぐ近くだから大丈夫」
 

 運転免許が、自動車という『危険物』の取り扱い資格だという、当たり前の自覚すら欠落しているのでしょうか。 公務員のクセに。

 

>>>酒気帯び死亡事故:「時節柄、刑軽すぎ」 1審より半年重く
 酒気帯び運転で死亡事故を起こし、業務上過失致死と道交法違反の罪に問われた大阪府内の内装業の男(35)に対し、大阪高裁は14日、懲役1年とした1審・大阪地裁判決を破棄して懲役1年6月を言い渡した。白井万久裁判長は「やはり時節柄というか、そう簡単には済まされない。1審の刑期は軽すぎると言わざるを得ない」と付言した。被告側は、福岡市で幼児3人が死亡した飲酒運転事故後の厳罰化の流れが量刑に影響したとみており、弁護人は「世論に左右されるのはおかしい」と話している。
 判決によると、男は05年10月21日午前7時10分ごろ、同府豊中市内を軽トラックで走行中、安全確認を怠ったまま車線を変更。後続のバイクを転倒させ、男性(当時45歳)を死亡させた。未明に500ミリリットル缶の発泡酒を3本飲み、3時間ほど寝た後、運転していた。
 白井裁判長は量刑理由で、男に違反歴があることなどを挙げ、判決理由に続いて「(飲酒運転は)最近、非常にやかましく取り上げられており、厳しく責任を問われる」と述べた。(毎日新聞)2006/09/16

 

 この白井判事の言いまわし、どうなのかなぁ。 ご本人にしてみたら、あんまり深い意味を込めてらっしゃらないのかもしれませんが。

 ちなみに、お名前は「しらいかずひさ」とお読みします。 兵庫県出身。京都大学卒。 昭和16年9月26日生まれ。明日、65歳のお誕生日ですね。

……あれ? 今気づきましたが、ひょっとして今日で定年退官なのでは?
 

◆ 裁判所法 第50条(定年)
 最高裁判所の裁判官は、年齢70年、高等裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所の裁判官は、年齢65年、簡易裁判所の裁判官は、年齢70年に達した時に退官する。

 

 どうも長い間、お疲れさまでした。

 白井判事は、和歌山カレー事件に続き、奈良の騒音おばさん事件でも控訴審を担当してこられ、面倒な個性を持つ中年女性たちの世話で大変でした。

 ほんの気持ちですが、私から、白井判事に花束をお送りしたいと思います。 心の花束を。

 

 

 

 いやぁ、『心の』という枕詞をくっつけると、何でも有りがたい代物のように聞こえてきますから便利ですよね。
 

 民主的手続きにのっとって制定された、それぞれの犯罪の法定刑と違い、「こういう状況の事件では、こういう刑が言い渡されるもんだ」という量刑相場は、裁判所内部での不文律です。 時の民意には基づいていません。

 ただ、似たような事件を起こした被告人の間で、言い渡される刑罰の内容に、格段の開きがあるというのでは考え物です。

 裁判官同士が互いに空気を読み合って形成されてきた量刑相場なのですが、これだって、憲法14条1項「法の下の平等」の問題として、尊重されるべきなのです。

 できれば、「時節柄」だとかで変えていただきたいものではありません。 司法は独立してるんですから、「マスコミの論調に影響された」という誤解を与えるような表現は、裁判所にとっても損でしょう。

 

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 私も、つい間違えて、パソコンが変換したとおりに書いてしまうんですが、「減刑」と「(刑の)減軽」は、意味が違います。

 どんなに良いことを書いてみても、専門用語の使い方を間違えてしまえば台無しですからね。 電話回線や光ファイバーの向こう側にいる読み手・専門家に、鼻で笑われてしまうのがオチ。 「誰かが注意してくれるだろう」なんて、期待すべきではありません。 

 歴代の法令エリートたちが、自らの優位性を醸成するために積み重ねてきた、面倒なジャーゴン群……、と、腹立ちまかせに批判してみても仕方がありません。 微妙に使い分けなければならない法律用語というものが数多く存在する。それは、厳然たる事実。 不安な方は必携です。

 

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2006年7月15日 (土)

日本全国 裁判官語録4 (まだまだあるよ編)

『そういう態度が、遺族をさらに苦しめているのが分かりますか』

佐賀県内のゲームソフト店主が刃物で刺殺された事件。 被告人質問で、犯行状況について聞かれても「憶えていない。わからない」とばかり繰り返す被告人に対して。

(佐賀地裁 若宮利信裁判長)2006/07/13

 

『痛ましい事故であり、深い同情を禁じえない。 誰も刑事上の責任を問われないことに素朴な疑問が生じることは容易に想像できる。 金月美帆さんのご冥福を心からお祈りします』

 兵庫県明石市の人工海浜(大蔵海岸)で、当時5歳の女の子が陥没した砂浜に生き埋めとなり、5ヶ月後に死亡した事故。 砂浜の一部をバリケード封鎖しただけで、全面立ち入り禁止にするなどの安全対策を怠ったとして、業務上過失致死罪の容疑で、国土交通省や明石市の職員4人が起訴されたが、全員に無罪判決を言い渡して。

(神戸地裁 佐野哲生裁判長)2006/07/07

 

『尊い一命を奪った罪は、被告の一生をもって償わせるのが相当で、仮釈放については可能な限り、慎重な運用がなされるよう希望する』

 広島市の自宅アパートやその付近で、7歳の女児の首を絞めて殺害。遺体を段ボール箱に入れて近くの空き地に放置した疑いで、検察側に死刑を求刑された被告人に、「犯行に計画性がない」と無期懲役を言い渡したうえで、さらに付け加えて。

(広島地裁 岩倉広修裁判長)2006/07/04

 

『いい加減、これっきりにして下さい』

 1年以上にわたって、ブランド品を万引きしつづけた親子に対し、有罪判決を言い渡して。

(名古屋地裁 池田信彦裁判官)2006/06/29

 

『ベンチャーを起業する夢に向かって、重い教訓として肝に銘じ、身の丈にあった起業を身につけていただきたい』

 宮城県にウソの事業実績報告書などを提出して、事業補助金1000万円をだましとり、それを見せ金に、新規リサイクル事業を不正に登記した被告人に対し、有罪判決を言い渡して。

(仙台地裁 山内昭善裁判官)2006/06/23

 

『あなたたちにも子どもがいるのなら、人の子を奪うひどさが分かるでしょう。 自分の子のことをよく考えて更生するように』

 新年早々に起こった、新生児の身代金誘拐事件。 「光ケ丘スペルマン病院」(仙台市宮城野区)3階病室から、母親(23)の横で寝ていた生後11日の男児を誘拐し、同院の院長に身代金6150万円を要求した。 夫が誘拐を担当し、妻は、自宅で男児の世話をしていた。 男児は事件から約50時間ぶりに無事保護された。 被告人らにともに実刑判決を言い渡して。

(仙台地裁 卯木誠裁判長)2006/06/09

 

『今年のゴールデンウイークは、家族と平穏な気持ちで過ごしてください』

 妻子を乗せて帰宅途中、改造オートバイで集団走行していた男性らに取り囲まれ、恐怖心などから車を発進させ相手を負傷させた傷害事件で、被告人の正当防衛を認めて無罪判決を言い渡して。

(甲府地裁 矢野直邦裁判官)2006/05/02

 

『プロレスでは、打ち合わせなしに相手を攻撃するのは許されないこと。 顔面を力任せに蹴るのはプロレスではなく、正当化する根拠がない』

 プロレスの試合終了後、場外乱闘で、大仁田厚選手サイドのセコンドに顔面をけられて大けがをしたとして、相手のプロレスラーが大仁田選手らに損害賠償を求めた民事訴訟で、大仁田選手らに78万円の支払い命令を言い渡した判決理由中。

(東京地裁 野村高弘裁判官)2006/04/28

 

『本来なら、政治資金規正法のプロであり、政治活動をサポートすべき立場にありながら、政治の現状をただそうとすることなく法を曲げた。 ここで表明した約束と本来目指そうとしていた政治のあり方に向け、これを更生の出発にしてほしい』

 広島県知事後援会 元事務局長の政治資金規正法違反事件。 不明朗な会計支出にメスを入れ、有罪判決を言い渡して。

(広島地裁 岩倉広修裁判官)2006/04/27

 

『佐世保では、軍人・軍属が何回も犯罪を起こし検挙されている。 知らなかったのか。 横須賀でも佐世保でも犯罪が起きている。 なぜ基地の指導に従わないのか』

 米軍の佐世保基地に勤務する兵士による万引き事件。 被告人質問で、審理されていいる事件以外の同種事件にまで言及して。

(長崎地裁 佐世保支部 小松平内裁判官)2006/04/06

 

『無期懲役も仕方がないよね』

 お年寄りを狙った7件の路上強盗により、死者2名を出し、計17万円を盗んだ強盗致死事件の判決で、求刑どおり無期懲役を言い渡して。 被告人は「はい」とだけ答えた。

(前橋地裁 久我泰博裁判長)2006/03/09

 

『本当のことを言ってくれているのですか。 疑問がぬぐい去れない』

 旧橋本派の1億円ヤミ献金事件で、政治資金規正法違反に問われた元 官房長官 村岡兼造氏に関する第19回公判で、いよいよ橋本元首相が証言台に立つ。しかし、証人は「記憶にない」を連発しつつ、「領収書を出さないことを幹部会で決めるなんて、きょとんとするお話だ」などと証言したことを受けて。

(東京地裁 川口政明裁判長)2005/10/11

 

『つましく暮らす高齢者をだますようなことは二度とやるな。 被害額を弁済せよ』

 横須賀市の95歳と87歳の姉妹を狙った悪質リフォーム詐欺事件で、「"自分の財布代わり"に金をだまし取る悪質な犯行」として、有罪判決を言い渡し。

(横浜地裁 横須賀支部 福島節男裁判官)2005/10/11

 

『吸いたくなったとき、家族を取るか大麻を取るか、よく考えなさい』

 自室で大麻48鉢を栽培したとして大麻取締法違反の罪に問われた被告人に、有罪判決を言い渡し。

(横浜地裁 横須賀支部 福島節男裁判官)2004/10/28

 

『そういう線引きが出来ない人は公務員をやってはいけない。 分かってもらいたいと言っているということは、いまだにそれが分かっていないということでしょう』

 川越市発注の公共工事を巡り、市内の空調設備会社社長などに入札情報を漏らしたとして、偽計入札妨害罪に問われた前助役が、被告人質問で「後援者の頼みをむげに断れなかった事情などを、皆に分かってもらいたい」と話したことに対し。

(さいたま地裁 山口裕之裁判官)2003/02/25

 

『本当に謝るべきは、県民に対してではないですか』

 山梨県 南アルプス林道管理事務所を巡る談合・贈収賄事件で、「(現金を贈与した)県職員や警察のみなさんに迷惑をかけた」と述べた被告人に対し。

(甲府地裁 某裁判官)2002 ※調査中

 

『林大貴くんは、生き物や自然が大好きで、命を大切にする少年だった』

『谷中孝寿さんは、事件前、香港で暮らしている二女から遊びに来るよう誘われており、夏祭りが終わってから旅行に行く約束をし、楽しみにしていたが、かなわなかった』

『田中孝昭さんは、金物店を営み、どんな小さい物でも注文があれば配達、取引先の信用が厚かった。 二人の娘の花嫁姿を楽しみにしていた』

『鳥居幸さんは、心優しくさっぱりした性格で、先輩からも後輩からも慕われる存在。 本がとても好きで将来は本を出版するような仕事をするのが夢だった』

 和歌山市の夏祭りで発生し、4名の犠牲者を出した毒物カレー事件。 現場近くに住む主婦の被告人に対して死刑判決を言い渡した際、判決理由の中で読み上げられた一節。 被害者感情に配慮した、過去に例のない対応。

(和歌山地裁 小川育央裁判長)2002/12/11

 

『ずっと長くまじめにやってきて、わずか20万円で失職するとは残念ですね。 一罰百戒ということで、市の綱紀が引き締まれば幸いです』

 前橋工業団地造成組合が発注した住宅団地の測量業務で、前橋市内の測量会社を入札指名業者に選定した謝礼として、同社社長から2回にわけ、仕立て券つき紳士服地2着分(計約18万円相当)を受け取ったとして、前橋市の都市計画課主幹に有罪判決を言い渡して。

(前橋地裁 長谷川憲一裁判官)2002/09/18

 

『いい息子さんとお嫁さんなんだから、二人の面目をつぶすようなことは二度としてはいけないよ。 奥さんは、すぐ追ってきてほしいとは思っていない。 めい福を祈りながら穏やかに余生を送って下さい』

 心中を図り、妻を死亡させたとして殺人罪に問われた84歳の被告人に、情状を最大限考慮して執行猶予を付ける判決を言い渡し、その後に傍聴席の長男を法廷に呼び寄せ、被告人と握手させながら。

(佐賀地裁 坂主勉裁判長)2002/09/12

 

『一生かけて、被害者の供養に努めてほしい。 そして、その供養の中で、人生の導きが見えてくるように祈っています』

 明治大学の学生を金属バットなどで撲殺された事件で、当時18-19歳だった3少年に無期懲役を言い渡して。

(千葉地裁 小池洋吉裁判長)2002/06/20

 

『強盗殺人だけじゃなく、単純な殺人でも死刑はあるんだよ。 あなたが償うとしたら、あなたの命と体しかないんでしょう』

 交際相手を殺害してキャッシュカードから金を引き出したとして、強盗殺人罪に問われた被告人への質問。 強盗目的での殺害を否定し、「社会に出たら、医療や福祉の仕事で働きたい」と話す被告人に、「遺族がこういう話を聞いて、どう思うと思うかね」と切り出した後に。

(札幌地裁 遠藤和正裁判長)2002/06/12

 

『つまり、本意に基づくということですね』

 成田市内のホテルでミイラ化した遺体で発見された事件の弁護側最終弁論の期日。 自己啓発セミナー「ライフスペース」代表であった被告人が、「小池裁判長は重罪で極刑に値する」などと列記した約60通の補充意見書を千葉地裁に提出した理由について、法廷で問いただすも、的はずれの発言を続けるのに対し。

(千葉地裁 小池洋吉裁判長)2001/11/27

 

『家族の愛情を求めながら、その家族から虐待を受ける日々を、どんな思いで耐えていたのか、何を感じながら人生の幕を閉じていったのか。 願わくば、その人生が悲しみばかりでなかったことを祈る』

 3歳の男児を虐待の末に死亡させたとして、傷害致死罪に問われた義母と祖父に、懲役5年6月の実刑判決を言い渡して。

(千葉地裁 小池洋吉裁判長)2001/11/20

 

『極刑を望んでいる被害者の前で、あなた自身の将来を語るのは、気持ちを考えていないのでは』

 愛知県知多市で起きた女子大生ストーカー殺人事件(自宅に上がりこみ、母親にも重傷を負わせる)で、一審で無期懲役判決を受けた被告人が、控訴した理由について「刑に服した後、司法書士や税理士になり社会に貢献したいが、無期懲役では資格を取るのに制限がある」と話したことを受けて。

(名古屋高裁 某裁判官)2001/04/24 ※調査中

   

『真相を教えて下さい』

 自宅の階段から突き落として、1歳の長男を殺害、妻に重傷を負わせたとして、殺人と殺人未遂の罪に問われた会社員の男に関する公判。 動機についての供述が、何度も移り変わり、裁判長からさらに詳しい話を聞かれても、「深く考えていなかった」と繰り返すばかりの被告人に対して。 第4回公判で。

(横浜地裁 岩垂正起裁判長)2000/06/22

 

『罪は万死に値する』

 神奈川県警が組織ぐるみで現職警部補の覚せい剤使用をもみ消したとされる事件で、犯人隠避罪などに問われた元県警本部長に有罪判決を言い渡して。

(横浜地裁 岩垂正起裁判長)2000/05/29

 

『11年余りという長期の裁判となって亡くなられた原告もいる。 ようやく判決を言い渡せました。 一日も早く健康被害をもたらすような大気汚染がなくなることを願って、終わります』

 尼崎公害訴訟で、住民側全面勝訴の判決を言い渡して。

(神戸地裁 竹中省吾裁判長)2000/01/30

 

『馴れ合いでやってきた首長やその候補者、ベテラン業者にはもはや期待できないのではないか。 (被告人のような)事件を反省している若い人に新しいルールを作って欲しい。 このままでは時代に取り残され、県全体が軽蔑の目で見られかねない』

 山梨県玉穂町発注の下水道工事を巡る談合事件で、町側から不正に予定価格の情報を入手したとして、競売入札妨害(偽計)罪に問われた土建業者役員(31)に対し、執行猶予つき有罪判決を言い渡して。

(甲府地裁 沼里豊滋裁判官)1999/03/16

 

『刑務所に入りたいのなら、放火のような重大な犯行でなくて、窃盗とかほかにも……』

 刑務所に入ることを志願して、国の重要文化財である神社の拝殿に火をつけ、非現住建造物放火の罪に問われた無職男性に対する論告求刑公判で。 裁判長も思わず「そう言いたくもなる」とフォロー。

(静岡地裁 某陪席裁判官)1993/03/10

 

『正義ならざる、漫画的といえるほどの論告で、検察官は自らの墓穴を掘った。 調書は珍妙なストーリー。 (そのストーリーに出てくる)犯人は、涙なくして語れないような、労多くして無駄な作業をしたことになる。 いやしくも検察官がこんな主張をしなければならないとは、同じ法律家として深く悲しむ』

 東京・新宿のビル放火事件で無罪を言い渡した判決理由中で、異例ともいえるほどの容赦ない捜査批判。

(東京地裁 反町宏裁判長)1988/11/29

 

 

東京地裁 刑事第7部
【 阿部文洋裁判長 VS オウムの最終解脱者 】

 

『裁判所としても、事件に関連する範囲で尋問してほしいと思うが。 みなさんベテランだからわかると思いますが』

 オウム真理教 教祖 松本智津夫被告 第12回公判にて。
 証人に細かな被告人の印象や、核心から外れた宗教教義など、明らかに訴訟遅延を意図している質問を続ける弁護団に対して。 1996/10/17
 

『気合入れて、もう少しがまんして下さい』

 オウム真理教 教祖 松本ちづお被告 第13回公判にて。
 「エネルギーがですね、体の中で……」と、体調不良を理由にする休廷を申し出る被告人に対して。 1996/10/18
 

『日本語で話しなさい。 英語でしゃべっちゃいけないんだ』

 オウム真理教 教祖 松本ちづお被告 第63回公判にて。
 地下鉄サリン事件につき検察官の訴因変更請求書が読み上げられる途中でも、意味不明の不規則発言を延々と続け、しまいには「えー、ザ・コート・ジャッジメント・ミスターフミオアベ……」とあやしげな英語(しかも裁判長の名前を間違える)を話し始めて。1998/01/16
 

『被告人、口を開けて寝てるんじゃないよ!』

 オウム真理教 教祖 松本ちづお被告 第78回公判 午後の昼下がりにて。 1998/05/08
 

『いらんこと、しゃべってるんじゃないよ!』

 オウム真理教 教祖 松本ちづお被告 第84回公判  「無罪を言い渡されている、96年12月に」など、妄想ばかりの不規則発言をブツブツ繰り返す被告人に対して。 1998/06/19
 

『しっかり起きてなさい。 また、机の所で頭打つぞ』

 オウム真理教 教祖 松本ちづお被告 第95回公判 あくびする被告人に対して。 1998/10/16
 

『そんなに細かいところまで必要なの?』

 オウム真理教 松本被告 第168回公判にて。 自動小銃密造事件の審理で、教団施設を検証した警察官に対し、反対尋問で、現場見取り図の記載や1センチの数値の違いを問いただすなどしていた弁護団に対し。 2000/09/21

 

 
 ※ みなさんがご存知の、興味深い、感動的な、おちゃめな「裁判官語録」を、広く募集しております。 このエントリのコメントとして書きこんでいただけるとうれしいです。

 
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 「裁判官は弁明せず」が理想なのかもしれませんが、世間に誤解され、一人歩きしているような世論に対しては、やはりひとこと言っておきたいのがホンネでしょう。

 新たに危険運転罪ができるきっかけとなった東名高速の交通死亡事故から、パソコン教室の受講料をめぐる少額訴訟まで……  判決文だけで言いきれないことは、山ほどあるようです。

 日本全国の賢い人たちから選び抜かれた方々ですが、今日もまた悩み、苦しみながら、ひとつの結論に手をかけようとしておられます。

 夫婦そろって裁判官。 あの少女売春裁判官。 過労自殺に追いこまれた裁判官などの特集も組まれ、充実の内容です。
 

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2006年6月 8日 (木)

日本全国 裁判官語録3 (裁判官は冷たくない!編)

『相手の気持ちを考えるように。 長い人生、今の気持ちを忘れずにいれば社会的に有用な人物になると思うから、教訓にしてほしい』

 店内で女性を脅し、額面300万円の借用書を書かせたとして、強要罪に問われた、大阪大学工学部4回生のホストクラブ経営者に有罪判決を言い渡して。
 (大阪地裁 水島和男裁判官)2006/06/08

 

『君は能力がある。 このままでは巨大な悪を行わないか心配だ。 自分がしたことをよく考えなさい』

 店内で女性を脅し、額面300万円の借用書を書かせたとして、強要罪に問われた、大阪大学工学部4回生のホストクラブ経営者に対して。※被告人質問で
 (大阪地裁 水島和男裁判官)2006/05/26

 

『何とかして当選したいと思ったのは当然ですが、その手段を誤ったのは残念です』

 有権者に飲食接待などをしたとして、公職選挙法違反に問われた前 南丹市長に有罪判決を言い渡して。
 (京都地裁 上垣猛裁判官)2006/05/23

 

『親友は真の友ではなく、愛する妻は良い妻ではなかった、ということですか。 十分に理解はできるが、殺害は許されない』

 幼なじみでもあった妻の不倫相手を刺殺したとして、殺人罪に問われた被告人に対して、「結果は重大だが、同情を禁じ得ない」として、求刑より5年軽い懲役8年を言い渡して。

 (札幌地裁 遠藤和正裁判長)2006/02/28

 

『あなたは獣の道に踏み込んだ。 早く人の道に戻って更生しなさい』

 自宅で、13歳と14歳の養女(当時)に対し、暴力で従属させ、抵抗されないのを知りながらそれぞれに性的虐待を繰り返したとして、準強姦罪に問われた男に、懲役9年の実刑判決を言い渡して。

 (札幌地裁 遠藤和正裁判長)2005/12/27

 

『警察のツラ汚しであり、職務に励む大多数の警察官の名誉を傷付けたことを反省してください』

 覚せい剤事件の取り調べ中、女性の被告人との性交渉に及んだ元警察官に有罪判決を言い渡して。
 (東京地裁 大西達夫裁判官)2005/12/05

 

『裁判所としても、いろいろ考えました』

 兵庫労働局裏金事件で、当時の上司の指示のもと、裏金作りを担当していた経理係の労働局職員に、実刑判決を言い渡して。

 (神戸地裁 的場純男裁判長)2005/10/26

 

『勉強のために来た日本でなぜ事件を起こしたのか。 もう一度正面から考えてほしいです。 後輩が同じ間違いを犯さないために自分に何ができるかを考えていってほしい』 ※涙声で

 30人以上の留学生の身元保証人となり、彼らの世話をしていた建設会社会長夫婦を殺傷したとして、強盗殺人罪などに問われ、死刑を求刑された中国人留学生と韓国人留学生に「殺意が認められない」として無期懲役、もうひとりの中国人留学生に懲役14年を言い渡して。

 (大分地裁 鈴木浩美裁判長)2005/04/15

 

『社会経験を積みながら、なぜ罪の意識が薄いまま犯行に及んだのか。 組織の論理に流されたのかもしれないが、それでは済まされないことを自覚して下さい』

 自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件などで、政治資金規正法違反や贈賄などの罪に問われた、元 日本歯科医師会の常務理事・内田裕丈被告に有罪判決を言い渡して。

 (東京地裁 岡田雄一裁判長)2005/03/29

 

『今回の件で刑事責任は問いませんが、3人に重軽傷を負わせたことは事実です。 おわびの気持ちを持ち続けてほしいと思います』

 乗用車を運転中に対向車と衝突し、3人に重軽傷を負わせたとして業務上過失傷害罪に問われた50代の男性に対し、当時あまり知られていなかった「睡眠時無呼吸症候群」で、予兆なく眠気が襲ってきたことが事故の原因として、被告人に過失がなかったことを理由に無罪判決を言い渡して。

 (大阪地裁 杉田宗久裁判長)2005/02/09

 

『子どもは、あなたの所有物ですか? 社会全体の宝でしょ』

 長男(※のちに死亡)をクローゼットに閉じこめ、その扉を冷蔵庫でふさいで監禁した母親に対して。 ※被告人質問で

 (大阪地裁 堺支部 坪井祐子裁判官)2005/02/08

 

『会社に残る道を選んだことを悪いとは思いません。 会社を変えるため、あなたの役割は小さくないので、活躍してほしいと願います』

 国産牛肉買い上げ事業をめぐる牛肉偽装事件で、対象外肉の取引に関するパソコンのデータを削除したなどとして、証拠隠滅罪に問われたハンナングループコーディネート(HGC)元取締役に有罪判決を言い渡して。

 (大阪地裁 佐藤建裁判官)2004/11/09

 

『農業を営んでいるご家族も、肩身の狭い思いをしているに違いない。 二度とこんな事件を起こさず、刑務所に入るような生活はここで断ち切ってください』

 大量の米や農作物など、食料品の盗みを約250件重ねていた被告人に対し、実刑判決を言い渡して。
 (水戸簡裁 高橋敏郎裁判官)2004/08/12

 

『あなたを応援してくれる大勢の人のためにも、死ぬまで薬物に手を出さないことを固く決意して下さい』

 4度目の検挙で、覚せい剤取締法と麻薬取締法違反の罪に問われた俳優の清水健太郎氏に対して、懲役2年4月の実刑判決を言い渡して。
 (東京地裁 高山光明裁判官)2004/08/09

 

『息子が憎くて殺したとは思わないが、ひと一人を殺した重みを噛みしめてください』

 10年以上にわたる家庭内暴力に耐えかねて長男を殺害したとして、殺人罪などに問われた父親に対して、懲役5年の実刑判決を言い渡して。

 (東京地裁 栃木力裁判長)2004/05/26

 

『あなたにも、いろいろな感慨があることと思う。 過去を清算し、これからは堂々と健全な社会生活を送ることを期待します』

 1970、71年に沖縄返還協定反対などのデモに参加して凶器準備集合などの罪に問われた元中核派活動家に対して。この被告人は、保釈中に姿をくらまし、29年間にわたる逃亡生活を続けていた。

 (東京地裁 中谷雄二郎裁判長)2003/11/21