2010年10月13日 (水)

旅行者や転居者は注意!? 意外な行動を罰する「地方ルール」

○群馬県みなかみ町 猿の餌付け禁止条例

 野生のニホンザルにエサをやった者に『最高1万円の過料』、さらに町長が悪質と認めた者の『氏名を公表』

 

○大阪府箕面市 サル餌やり禁止条例

 野生のニホンザルにエサをやり、市から改善命令が出たのに従わない者へ『最高1万円の過料』

 

○東京都荒川区 良好な生活環境の確保に関する条例

 野生動物全般(カラスやハトなども含む)にエサをやり、周辺環境に騒音や汚物飛散などの悪影響を与え、区から勧告や改善命令を受けても従わない者に『最高5万円の過料』

 自分の家を散らかし「ゴミ屋敷」と化して、周辺環境に悪影響を与え、区から勧告や改善命令を受けても従わない者に『最高5万円の過料』

 

○神奈川県横浜市 廃棄物等の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例

 横浜市が定めたゴミ分別の方法などに従わずに家庭ゴミを捨て、市から改善命令を受けたのに、それから1年以内に分別せず家庭ゴミを捨てた者に、『最高2000円の過料』 (※この種の罰則を科すのは、政令指定都市では初だそうです。しかも、威嚇効果を狙うだけでなく、実際の罰則適用もあります)

 

>>>全国初、ごみ分別違犯で過料/横浜市

ごみの分別回収に協力しない市民や事業者への罰則を条例で定めている横浜市は19日、戸塚区のアパートに住む一人暮らしの男性に2千円の過料を科すことを決めた。ごみの分別違犯者への罰則を 規定した条例は群馬県富岡市にもあるが運用実績はなく、分別ルールに従わなかったことを理由に 「一罰百戒」が適用されるケースは、今回が全国初とみられる。
 

市によると、男性は今年2月、燃やすごみの収集日に、再利用が可能なペットボトルなどの資源ごみと 家庭ごみなどを分別せずに出していたことが市のごみ袋開封調査で判明。市は2月以降、「市廃棄物等の 減量化、資源化及び適正処理等に関する条例」に基づき、男性に対して計3回にわたって分別のルールに 従うよう「指導」「勧告」「命令」の順に改善を求めた。
 

しかし、今年7月の命令後の9月にも同様のルール違反が確認されたため、市では「命令後1年以内に 分別をしないでごみを出した場合は過料徴収する」との規定に該当すると判断し、過料処分を決めた。 決定に先立ち、男性には書面による弁明の機会があることが市側から説明されたが、男性から弁明はなかったという。 (2009年10月19日・神奈川新聞)
 
 

 

○山梨県 富士五湖水上安全条例

 富士五湖でモーターボートなどを操縦していて、衝突事故を起こし、いわゆる『ひき逃げ』をした者に『最高3カ月の懲役』、この場合、他の乗務員も『最高2カ月の懲役』

 富士五湖でモーターボートなどを酒に酔った状態で操縦した者、航行禁止区域へ侵入した者に『最高2カ月の懲役』

 

○岐阜県飛騨市 ギフチョウ保護条例

 保護区域内でギフチョウを採取した者は、1羽~4羽なら『最高1万円の過料』、5~10羽なら『最高2万5千円の過料』、10羽以上、または卵・幼虫・さなぎ・幼虫の食料となるカンアオイを採取した者は『最高5万円の過料』

 

○奈良県 子どもを犯罪の被害から守る条例

 「公共の場所又は公共の乗物において、保護監督者が直ちに危害を排除できない状態にある子どもに対し、正当な理由なく、言い掛かりをつけ、すごみ、又は卑わいな事項を告げ」または「身体又は衣服等を捕らえ、進路に立ちふさがり、又はつきまとう」者に『最高30万円の罰金』

 「正当な理由なく、子どもポルノ(その種の電磁的記録を含む)を所持した者に『最高30万円の罰金』

 

○兵庫県芦屋市 清潔で安全・快適な生活環境の確保に関する条例

 「タバコの投げ捨て」「空き缶のポイ捨て」「犬の放し飼い」「犬のフンの放置」「夜間の花火(午後9時~午前6時)」「花火禁止区域内・禁止時間帯での花火」「落書き」をして、市の改善命令になおも従わない者に『最高10万円の罰金』

 「喫煙禁止区域内での路上喫煙」には、市の意気込みを見せるため『最高5万円の過料』  (※実際は、別に施行規則があり、一律2000円の過料というノーマルな罰則)

 

○鳥取県 日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例

 みだりに、鳥取砂丘の砂の上に、表面積10平方メートルを超える大規模な落書きをし、消すように命令を受けたのに従わない者に『最高5万円の過料』

 

○山口県下関市豊田町 ほたる保護条例

 保護区域での「ホタルの捕獲」「ホタルの幼虫の捕獲」「カワニナの捕獲」について、『最高5万円の過料』

(※営利目的だけでなく、一般人の捕獲まで罰則で規制するのは珍しいようです。しかし、下関市全体で統一されたほたる保護条例を近く制定するらしく、ここまで厳しい罰則は消える可能性も)

 

○宮崎県 ウナギ稚魚の取り扱いに関する条例

 県の許可なく、25センチ以下のウナギ稚魚を所持・譲り受け・譲り渡しをした者に『最高1年の懲役』

 

○沖縄県多良間村 ヤシガニ(マクガン)保護条例

 絶滅危惧種であるヤシガニを「保護区内で採取した者」、たとえ保護区外でも「産卵時期である7月1日~8月31日に採取した者」、それ以外の時期でも「甲羅の大きさが8センチ以下の個体を採取した者」、8センチ以上でも「卵を抱えたメスを採取した者」に、『最高10万円の罰金』
 (※この種の規制は日本初とみられます)

 

○沖縄県宮古島市 観賞用樹木及び草花等並びに文化的物品等の市外移出(持ち出し)禁止に関する規則

 市内の保護区域に生えた琉球コクタン・ソテツ・テンノウメ・ハマシタンなどの観賞植物、自然の岩石、文化財的な価値のある物品を許可なく、市外(宮古島の外)に持ち出した者に『最高で2000円の過料』

 
 

■ 今後、規制が予定されているもの

 
○福岡県芦屋町 芦屋橋等魚釣り禁止に関する条例

 町内の遠賀川とその支流にかかる「芦屋橋」「なみかけ大橋」「西祇園橋」の上からの、あらゆる釣り行為を禁止。 中止命令に従わない場合は『最高2万円の罰金』
(※11月1日から施行)

 

○長野県野沢温泉村 スキーヤー条例案

 スキー禁止区域で事故を起こしたとき、救助や捜索にかかった費用を、そのスキーヤーの全額自己負担とする。 (※これから議会に条例案を提出予定)

 

○大阪府箕面市 カラスによる被害の防止及び生活環境を守る条例案

 カラスに継続的に餌をやって周辺に被害を与え、市の是正命令に従わない者に『最高5万円の罰金』、市の調査を拒んだ者に『最高10万円の罰金』 (※これから議会に条例案を提出予定)

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2008年10月13日 (月)

なんじゃこりゃ都市宣言

 今日、本屋で買い物をして、出たときに、ある親子とすれ違いました。

 すれ違う瞬間、その女の子…… 小学校低学年ぐらいですかね。 手をつないでいるお父さんを見上げて、こう言っていたのです。

 

 「ねぇ、この本屋さんに 『夢をかなえるゾウ』あるかなぁ?」

 

 ……んーと、

 あれって、そういう本なの?

 
 絵本とか童話あつかいなんでしょうか。

 でも、こういった類の誤解がチラホラ見受けられるのも、ベストセラーである証拠であり、面白さといえるでしょうね。

 著者によるコントロールなどまったく効かない、巨大なウネリのような広まり方をしない限り、著者の意図しない解釈もされないのです。 誤解されているうちが華というか。

 それにしても、子どもが読んでくれるというのは、うらやましいですね。

 「ねぇ、パパ! 本屋さんで『裁判官の人情お言葉集』買ってよ~」

 

 ……無いですね、それは。

 それを言ったら「どれほどのマセガキなんじゃ?」と、むしろ心配します。




>>> 「おっぱい体操」貸し出し開始

 光市は今月から、母乳が出やすくなる効果をうたった市独自の「おっぱい体操」を収録したCD・DVDセットの一般貸し出しを始めた。市立図書館など3か所の公共施設で借りることができ、市は「誰でも気軽にできる運動なので、お母さんだけでなく、男性や高齢者もDVDを見ながら体操し、健康に役立ててほしい」としている。

(中略)

 市は、子育てしやすいまちづくりを進めようと、2005年度に「おっぱい都市宣言」を発表。翌年度には、母乳栄養率が68・8%から75・1%に上昇し、全国的にもトップクラスになった。問い合わせは健康増進課(番号略)へ。

(読売新聞/山口)2008年4月17日

 
 

 似たり寄ったりの政策しかできない自治体が溢れる中、あいかわらず独自の道を突き進んでいますね。

 好きです。光市。

 今年は、8月10日に光市主催の「おっぱいまつり」が開かれましたので、去年に続いて2度目、行ってきましたよ。

 去年の「はしご車体験」に代わり、今回は「地震車体験」だったかな、実施されていましたねぇ。

 また、おそらく手作りの「トトロ」や「猫バス」も、アトラクションとして子どもたちを楽しませていました。

 

Photo

  そして、光市の光ファイバー…… まぁ、これはどっちでもイイです。

 

Photo_2

 

 それはともかく、たとえば「暴力追放」とか「核廃絶・平和」とか「男女共同参画」だとか、そういう都市宣言はよく見かけますけどね。

 ただ、少し気合いを入れて世の中を眺め回すと、おっぱい都市宣言のほかにも、「えっ? それを宣言しちゃう?」という都市は散見されます。

 隣町のマネじゃない!美しい理念の横並びでない! 全国各地に存在する独自のポリシーを、とくとご覧アレ↓

 
 
 

○福島県 郡山市 音楽都市宣言

美しいメロディー
心おどるリズム
音楽がまちにあふれ
人の輪が広がり心をつなぐ

私たちは音楽を愛し
人と人が織りなすハーモニーを奏で
明るい笑顔が輝く
魅力あるまち
“こおりやま”を創ります

明日につなごう こころのハーモニー」

郡山市は、
ここに「音楽都市」を宣言します。

平成20年3月24日
郡山市

 

 

○兵庫県芦屋市 芦屋庭園都市宣言

わたしたちのまち芦屋は、山・川・海に恵まれた自然環境のもと、文化性にあふれたまちとして発展してきました。
 21世紀を生きるわたしたちは、この歴史あるまちの美しいまちづくりをさらに進めて、世界中の人々が一度は芦屋を訪れてみたいと思うまちを目指すため、次のとおり「芦屋庭園都市」を宣言します。

わたしたちは
1     今ある自然を大切に守り育て、人と緑の調和を目指します。
1     花と緑いっぱいの美しい潤いのあるまちにします。
1     四季折々の花や緑に囲まれたいのちの躍動感あふれるまちにします。
1     花と緑が絶えないまちづくりをみんなで続けます。
1     一人ひとりの心の中にも花を咲かせます。
1     花や緑を愛する子どもたちを育てます。

平成16年1月1日
芦屋市

 

 

○東京都 東村山市 無火災都市宣言
昭和46年11月30日
人間の生命及び財産は、等しくこれを保障されねばならないが、年々多くの尊い人命と莫大な財産が火災の悲劇により、一瞬のうちに失われていることは、真に憂慮すべき事態である。
特に、今日、技術革新の目覚ましい発展により、都市の過密化が進み、危険物の需要が拡大し、消防力の強化にもかかわらず、火災の規模、態様は、益々複雑多様化している。瞬時にして、全てのものを灰燼に帰し、我々の生活の安定を破壊し、生命身体を損傷する火災の脅威は、いわば我々が不断に対決してゆかねばならぬ最も困難な敵である。
よつて、市民の防火意識を高め、市民の生命と財産を保持し健康で明るい生活を営めるよう、全市民一体となって積極的に火災の悲劇を撲滅することを決意して、ここに東村山市を無火災都市とすることを宣言する。

 

 

○東京都 東村山市 助け合い命を守る安心都市宣言
平成14年9月9日
人の命は、何よりも大切であり、かけがえなく尊いものである。
人の命は、何よりも重く、いかなる場合でも守られなければならない。
私たち東村山市民は、誰もが互いの命を尊重し、緊急時には救いの手を差し伸べることができるよう、救急・救命法などの知識、技術を習得し、市民の命は市民が守り、安心して暮らせるまちづくりを推進するため、助け合い命を守る安心都市を宣言する。
平成14年9月9日
東京都 東村山市

 

 

○長崎県松浦市 ほんもの体験日本一のまちづくり宣言

 松浦市民は、豊かな自然の中で多様な生業を営みながら築いてきた独自の文化を大切に守り、貴重な財産として後世に引き継がなければなりません。

 私たちは、体験交流で松浦市を訪れた人々に、ありのままの「ほんもの」の地域文化に触れる機会を提供することで、食べる喜び、心が通じ合う喜び、自然に囲まれて働く喜びを実感していただきたいと願っています。

 私たち松浦市民は、誇りを持ってこれらの地域文化を提供し、体験交流を新たな産業として育て、魅力あるまちづくりをすすめるために、ここに「ほんもの体験日本一のまちづくり」を宣言します。

 

 

○福岡県大野城市 節水都市宣言

“水は生命の根源であり動植物の生存上欠くことができない貴重な資源である。
 私たちにとって水は、天が与えてくれた恵みであり、生活の一部であった。蛇口を捻れば何時でも必要なときに必要なだけ出てくる為に、水は無尽蔵にあるものと錯覚しがちである。しかし、水は限りある資源である。
 水道の高普及時代を迎え、水道が国民生活を支える基盤となった今日、水道水源の不足は社会問題となってきている。節水のイラスト
 大野城市においても、人口の増加、生活水準の向上による水使用機器の普及、水道普及率の向上、第3次産業の活動の増大等、水需要は年々増加しているが、 それに伴う水源の確保は思うに任せぬ状況にあるといえる。
 しかし、行政は市民に安全で良質な水を安定的に供給する為に、長期的、広域的に水源の確保と水源の保全涵養に鋭意努力し続けていかなければならない。
 また、市民の日常での節水意識の浸透、節水型水使用機器の普及、雨水や井 戸水の利用等、水使用の合理化の促進が急務である。
 大野城市が、人・街・緑が調和、共生するコミュニティ都市を目指す為に、行政と市民、事業所が一体となって節水意識の高揚をはかると共に、水の適正かつ合理的な使用に不断の努力を行い、ここに本市を『節水都市』とすることを宣言する。”

平成7年12月20日 大野城市

 

 

○兵庫県神戸市 ファッション都市宣言

 

○東京都八王子市 八王子ファッション都市宣言

活力ある産業と特色ある地域文化が高度に融合した美しく、魅力溢れる八王子をつくろう。
○私たちは、産・官・学・市民の連携により、<産業> <くらし> <まちづくり>を一体的にとらえた、新しい 都市の活性化運動に取り組みます。
○私たちは、産・官・学・市民の中に、それぞれ個性的なクリエーション・マインドを育み、感性豊かで活力み富んだ新しい都市文化の発展に挑戦します。
○ 私たちは、世界の中の八王子であることを自覚し、人・モノ・コト・情報の幅広い交流と連携を促進し、生活者と直結した新しいファッション産業の発展を追及します。

 

 

○名古屋市 デザイン都市宣言

私たち名古屋市民は、何よりも平和で人間的な暮らし、まちづくりを希求してきた。
そして名古屋市は、世界デザイン博覧会を契機に、平和な時代の永続を願い、新たな生活文化の創造と今世紀までに蓄積された知恵と技術を結びつけるデザインというヒューマニズムに支えられた創造的な都市への発展を世界に呼びかけてきた。
デザインは、単なる装飾や意匠にとどまらず、生活文化の一つとして、その果たす役割は、ますます重要になるものと考えられる。
都市は、人間が生活し、活動する場であって、一人ひとりの市民を大切にする、人間性豊かな個性と魅力にあふれたまちづくりを進めるためにも、デザインを大切にする風土づくりが求められている。
よって、名古屋市は、世界デザイン博覧会の開催を踏まえ世界に開かれたデザインに関する情報発信基地を目指すとともに、デザインを大切にする世界に誇り得るまちづくりを進め、平和を願う感性あふれるデザイン都市を創造することをここに宣言する。
右決議する。  平成元年6月30日

名古屋市会

  

 

○三重県鈴鹿市 モータースポーツ都市宣言

 私たちの住むまち鈴鹿は,国内はもとより,広く世界の人々に,モータースポーツのまちとして知られています。
 私たち鈴鹿市民は,四季折々の美しい自然や,長い歳月をかけて培った伝統文化とともに,躍動感あふれるモータースポーツを愛することによって,生き生きとした夢や未来を語ることのできるまちをつくるため,次の目標をかかげ,ここに鈴鹿市を「モータースポーツ都市」とすることを宣言します。

1 モータースポーツを通じて,鈴鹿市民であることに誇りを持ち,活気と希望に満ちた、光り輝くまちをつくります。
1 モータースポーツを通じて,国際人としての自覚を持ち,国際社会の和平と友好に貢献します。
1 モータースポーツを通じて,自らの道を創造的に切り開くことのできる子どもたちを育てます。
1 モータースポーツを通じて,国内外から訪れる人々をおもてなしの心でお迎えし,友情とふれあいの輪を世界に広げます。
1 モータースポーツを通じて,住む人にも,訪れる人にも快適で美しい街並みをつくり,事故のない安心で安全なまちをつくります。

鈴鹿市
(平成16年12月24日 鈴鹿市告示第180号)

 

 

○沖縄県 浦添市 ハンドボール王国都市宣言

 私たち浦添市は、青い空と輝く太陽のもと国際性豊かな都市にあって、ハンドボールに親しむとともにすべての生涯スポーツを推進し、青少年と市民に夢と希望を与え明るく活力に満ちた浦添市を築いていくために次の目標を掲げ、ここに浦添市ハンドボール王国都市を宣言します。

一 ハンドボールを通じて、次代をになう青少年を育成します。

一 ハンドボールを通じて、健康な心とからだをつくります。

一 ハンドボールを通じて、交流の輪を広げ広く世界の人々と手をつなぎます。

一 ハンドボールを通じて、想像力あふれる活力に満ちた浦添市をつくります。

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2008年7月13日 (日)

たいくつなイメージを一新!? 地方条例の「前文劇場」

○岡山県井原市(旧:美星町) 美しい星空を守る井原市光害防止条例

<前文>
 井原市美星町には、流れ星の伝説と、その名にふさわしい美しい星空がある。天球には星座が雄大な象形文字を描き、その中を天の川が流れている。さらに、地平線から天の川と競うように黄道光が伸び、頻繁に流れ星がみられる。また、夜空の宝石ともいえる星雲や星団は、何千年、何万年以上もかかってその姿を地上に届けている。これら宇宙の神秘をかいま見ることができる環境は、井原市民のみならず全人類にとってかけがえのない財産となっている。
 しかし、宇宙は今、光害によってさえぎられ、視界から遠ざかって行こうとしている。人工光による光害の影響は、半径100キロメートル以上にも及び、人々から星空の美と神秘に触れる機会を奪うだけでなく、過剰な照明は資源エネルギーの浪費を伴い、そのことが地球をとりまく環境にも影響を与えている。また、過剰な照明により、夜の安全を守るという照明本来の目的に反するのみならず、動植物の生態系にも悪影響を与えることも指摘されている。
 近隣には主要な天文台が設置されているとおり、井原市美星町の周辺は天体観測に最も適した環境にあり、これまで『星の郷づくり』に取り組み、天文台も建設してきた。そして、今後も多くの人々がそれぞれに感動をもって遥かなる星空に親しむよう宇宙探索の機会と交流の場を提供することが井原市及び井原市民へ与えられた使命と考える。
 このため、わが井原市民は、井原市美星町の名に象徴される美しい星空を誇りとして、これを守る権利を有し、義務を負うことをここに宣言し、この条例を制定する。

  

○長野県 ふるさとの森林づくり条例

<前文>
 うさぎおいし かのやま こぶなつりし かのかわ
 かつて、豊かな森林が広がる信州の風景は、作詞家高野辰之が綴った唱歌ふるさとでこのようにうたわれ、信州に暮らした人々は、この森林からさまざまな恵みを受け、そのことへの感謝として、森林を守り、育てながら、森林と人との歴史を創り出してきた。
 しかしながら、今日に至る社会経済情勢の変化の中で、地域における森林と人との関わりが薄れてきたことにより、森林を守り、育てる人間の営みが十分には行われなくなり、放置され荒廃した森林が増加するなど、森林の多面的な機能を持続的に発揮させていくうえで憂慮すべき状況が発生している。
 県土の8割を占める森林は、多様な生態系を支えるとともに、清らかな水と空気をはぐくみ、災害から県民の生命と暮らしを守り、木材をはじめとした林産物を産み出し、さらには地球温暖化防止の上での重要な役割を果たしているなど、持続可能な社会を支えるかけがえのない基盤であり、世代を越えて利用される貴重な社会全体の共通の財産である。
 先人達が培ってきたこの森林を健全な姿で次世代に引き継いでいくためには、地域に暮らす人々の自律的な思いと意欲的な活動の下で、森林と人との新たな関わりを創り出し、多くの県民の参加を得て森林を守り、育てていくことが必要となっている。
 広大な県土が今以上の美しさに彩られ、豊かな森林によって子や孫たちが安心して誇りを持って暮らしていける百年先の長野県、そうした未来のふるさと長野県の姿を目指し、県民の主体的な参加の下で森林づくりを進めるため、この条例を制定する。

 

○長野県茅野市 パートナーシップのまちづくり基本条例

<前文>
 はじめにそれぞれの思いがあった。
 「誰もが充実した人生を送りたい。お互いに思いやり支え合いながら、いつまでも元気で長生きしたい」
 「きれいな空気や水を贈ってくれる緑の山や川、心を和ませてくれる恵まれた自然をいつまでも残していこう」
 「このまちの将来を担う子どもたちと、子どもたちを育む家庭を、地域の明るい笑顔で包んであげたい」
 こんな思いを、かたちにしたい、とそれぞれ得意分野、興味のある分野でまちづくりを考える仲間ができた。
 行政の意識も変わり、「21世紀のまちづくりは市民と一緒になって取り組んでいこう」と、同じ仲間になった。
 仲間の輪は徐々に広がり、新しい分野にも新しい輪ができた。
 ひとりひとりの思いが形になってくると、楽しさもふくらんできた。
 「ごしたいけどおもしろいな」。こんな言葉があちこちで交わされ、「みんなで知恵を出し合い、ずくを出し、汗を流そう」を合い言葉に、茅野市のパートナーシップのまちづくりは広がっていく。
 *「ごしたい」 この地域で使われる方言で「疲れた」を意味します。
 *「ずく」 この地域で使われる方言で「ものごとに立ち向かう気力や活力など」を意味します。

 

○岐阜県御嵩町 環境基本条例

<前文>
 21世紀は「環境の世紀」です。
 20世紀を振り返ってみれば、人類はひたすら物質的な豊かさ、生活の利便を求めて、さまざまな開発を進めるとともに、大量生産、大量消費、大量廃棄の果てしないシステムを拡大してきました。その結果、日本をふくむ先進国の人々は確実に豊かさと利便性を手に入れることができました。
 その反面、環境の破壊が地球規模で進行し、20世紀末には環境破壊が誰の目にも明らかになってきました。過去の世紀のような人間活動を続けていくと、やがて近い将来、取り返しのつかない事態になる必然性を深く認識しなければなりません。
 21世紀初頭のいま、私たちは人類共通の最優先テーマである環境問題に真しに、かつ着実に取り組まねばなりません。
 木曽と飛騨の山々と濃尾平野が接するところに位置する御嵩町は、里山の町です。里山は自然と人間がせめぎあうところであり、自然と人間がいかに折り合いをつけていくか試されている「環境前線」の町であります。
 御嵩町では20世紀末、産業廃棄物処理場の建設をめぐり全国初の住民投票を実施した結果、町民の大多数が「大量生産・大量消費・大量廃棄のシステム」より「健康に生きていける環境」を選択しました。「カネ」より「命」の選択でした。
 地球環境破壊の世紀から地球環境保護の世紀へ、時代の転換点にあたり、御嵩町では町の特性である自然と人間の資源を活かしつつ、先人たちから受け継いだ豊かな環境を後世の人たちに引き継いでいくよう努めなければなりません。
 このような認識のもと、町、事業者と町民が一体となって、良好な環境の保全と快適な環
境の創造に取り組むことにより、「安心して暮らせる町」を目指すために、この条例を制定します。


○名古屋市 なごや子ども条例

 子どもは、生まれながらにして一人一人がかけがえのない存在であり、周りの人に大切にされ、愛され、信頼されることによって、自分に自信を持ち、安心して健やかに育つことができます。
 子どもは、自分の価値が尊重されることによって、他者の価値を尊重することを知ることができます。
 子どもは、子ども同士のふれあいや、様々な人、自然、社会そして文化との適切なかかわりを通じて、他を思いやる心を持ち、ルールを守るなどの社会性を身につけ、豊かな人間性と創造性を備えるとともに、自分の行動に責任を持ち、他者と共生し、社会の責任ある一員として自立することができます。
 子どもは、年齢や発達に応じて、物事を考え、意見を言うことができます。名古屋のすべての子どもが、自分自身の持っているこのような力を信じることで、その力を伸ばすとともに発揮して、未来の名古屋を担う存在になっていくことが、すべての市民の願いです。
 そのために、大人は、子どもの未来の視点を大切にするとともに、子どもの年齢や発達に応じた支援をし、子どもが自立した若者に成長するまでを見守ることが必要です。
 さらに、大人は、自分の言動が子どもに大きな影響を与えることを認識したうえで、子どもの手本となり、子どもから信頼される存在であることが求められます。
 ここに、わたしたちは、児童の権利に関する条約を基本とし、民族、性別、障害などにかかわらず、子どもにとって大切な権利を保障するとともに、子どもの視点に立ち、子どもとともに最善の方法は何かを考え、子どもの健やかな育ちを社会全体で支援するなごやのまちを、市民が一体となってつくることを決意し、この条例を制定します。

 

○宮城県 文化芸術振興条例

<前文>
 古来、洋の東西を問わず、自然と風土に根ざした人々の営みの中から多様な文化が培われ、多彩な芸術の花々が咲き競ってきた。文化芸術との深い関わりや志向は、原始の時代から連綿と引き継がれてきたいわば人類普遍の心だとも言える。
 縄文時代の日本列島は、鮮やかな四季の自然に支えられ、歴史的にまれにみる独創的で豊かな文化を展開していた。その中にあって、実り多い森と良好な漁場に恵まれた北東日本は、世界に誇るべき縄文文化の中心的役割を担っていた。宮城県に受け継がれ育まれてきた伝統的な文化芸術の源流もまたここにある。豊かな自然と歴史に恵まれた宮城県には、古くから先人たちが情熱を注いで磨き上げてきた数々の伝統と地域個性に彩られた文化芸術や美しい風土がある。
 同時に、明治以来、欧米からもたらされた近代の表現芸術のジャンルにおいても、熱心な芸術家、愛好家たちの手によってまかれた種が芽を出し生長して、県民に潤いと感動、生きがいと活力を提供している。
 文化芸術は県民にとって自信と誇りを汲み上げる源泉であり、文化芸術に対する理解と関心を深めると同時に、文化芸術を鑑賞し、これを創造するための気運を醸成することが必要である。
 今こそ、県民一人一人が文化芸術を自ら実践し、これに親しみ、支え、香り高い文化芸術の恵沢を等しく享受するとともに、新しい地域文化の創造に取り組み、活力に満ちたライフスタイルの実現に向けて大きく踏み出すことが重要である。
 ここに、「文化芸術の香り高いみやぎ」を目指すことを宣言するとともに、文化芸術の承継と新たな創造に向けて力強く取り組むことを決意し、この条例を制定する。

 

○島根県出雲市 安全で安心なまちづくり条例

<前文>
 出雲国風土記には「出雲郡(いずものこほり)土地豊にこえて民のうるおいの薗(その)なり」と記され、この地は、古来から豊かな自然に恵まれ、今も語り 継がれる出雲神話など和やかな地域文化と平穏な暮らしを悠久の歴史の中で育んできた。時として、ヤマタノオロチ神話で暗示されるように、豪雨災害等に見舞 われることはあったが、我々の先人はお互いに助け合い、絶え間ない努力と英知を結集して立ち向かい、神々のふるさとと讃えられる豊穣(ほうじょう)な出雲 の國つくりにいそしみ、その鼓動は今日まで綿々と受け継がれてきた。
 しかしながら、現代の文化・文明の複雑多様化と価値観やライフスタイルの変化など、激変する社会背景の中で、太古以来の豪雨等の自然災害に加え、多様 化・凶悪化する犯罪、頻発する交通事故や火災等事故、更には、健康侵害、教育現場におけるいじめ・不登校などの問題、幼児や高齢者などの弱者への虐待、家 庭内暴力、そして環境破壊などの新たな脅威が頭をもたげ、我々の平穏な日常の中で大きな悩みとなり不安な影をおとしている。
 今こそ、すべての市民が、自助、互助、公助の精神をもって、市、市民、地域活動団体、事業者及び関係行政機関等が協働し、思いやりと相互扶助の行動による安全安心な地域社会を構築し、これを次世代に継承していかなければならない。
 我々は、21 世紀のヤマタノオロチ退治の気概をもって、ここにあらゆる脅威から市民を守る出雲市安全で安心なまちづくり条例を制定する。

  

○島根県出雲市 21世紀出雲「神在月」文化振興条例

<前文>
 日本書紀には、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)が天照大御神(あまてらすおおみかみ)に国譲りをしたとき、「現世(うつしよ)の政事(まつりごと)はあなたがお治めください。私は、幽(かく)れたる神事(かみごと)を治めましょう」と申された、との出雲神話のロマンの世界が記されている。「幽れたる神事」とは目に見えない縁を結ぶことであり、それを「治める」とは全国から神々を迎え、和の心をもって仲良く会議を催すことだ、と考えられている。大国主大神をまつる出雲大社(いずもおおやしろ)では、毎年陰暦 10 月 10 日には神迎祭(かみむかえさい)、翌11 日から 17 日までは神在祭(かみありさい)が執り行われている。全国各地で「神無月(かんなづき)」と呼ばれる陰暦10 月が、八百万(やおよろず)の神々が集まる出雲の地では「神在月(かみありづき)」と呼ばれてきた由縁である。
 他方、出雲市は、西谷墳墓群など古代出雲の文化遺産に源を発し、全国津々浦々の民衆の崇敬を集めてきたこの出雲大社をはじめ、日御碕神社、須佐神社、長浜神社、鰐淵寺、一畑薬師、大寺薬師など全国屈指の歴史文化資源に恵まれている。
 今日、若い世代を中心に、わが国の古代文化への関心や思いが希薄になるなか、ギリシャ、ローマ神話に匹敵するこうした出雲神話のロマンの世界と豊かな歴史文化資源が並存する出雲の地において、次代を担う青少年はもとより全市民が、今こそ「バック・トゥー・ベーシック(Back To Basic)」すなわち「基本に返れ」の教えに則り、古代から綿々と続く出雲の歴史・文化を学び、出雲文化を継承・発展させ、ひいては和の心をもって平和な世界を希求することにより、21 世紀出雲の発展の道を切り開いていくことが極めて重要な課題となっている。
 この際、「神在月」という全国に輝く古代出雲の壮大なロマンを奏でる節目に、教育・芸術文化・スポーツ・産業・観光等さまざまな分野で、古代出雲文化をめぐる学習・交流の場や賑わいの場を市民総参加で創造し、心豊かな出雲文化と躍進する出雲の活力を全国に、さらに全世界に発信していくことを決意し、この条例を制定する。

 

○琵琶湖の富栄養化を防止するための条例 (通称:みずすまし条例)

<前文>
 水は、大気、土などとともに人間生存の基盤である。
 この水を満々とたたえた琵琶湖は、日本最大の湖として、われわれに大きな試練を与えながらも、限りない恵みをもたらしてきた。
 この琵琶湖が、近年、急激な都市化の進展などによって水質の悪化、とりわけ富栄養化の進行という異常な事態に直面している。
 しかもそれは、琵琶湖自身の自然の営みによるものではなく、琵琶湖流域に住む人々の生活や生産活動によって引き起こされている。
 悠久の歴史をつづりながら、さまざまな人間活動を支えてくれた琵琶湖を、今、われわれの世代によって汚すことは許されない。
 水は有限の資源であり、琵琶湖はまさにその恩恵に浴する人々にとっての生命源であり、深い心のよりどころである。
 われわれは、幾多の困難を克服して、この水と人間との新しい共存関係を確立していかなければならない。
 いまこそ、われわれは、豊かさや便利さを追求してきた生活観に反省を加え、琵琶湖のもつ多面的な価値と人間生活のあり方に思いをめぐらし、勇気と決断を持って、琵琶湖の環境を保全するため総合的な施策を展開することが必要である。
 琵琶湖とともに生き、琵琶湖を愛し、琵琶湖の恵みに感謝する県民が環境保全の意識に目ざめ、今、ひたむきに創造的な活動を繰りひろげている。
 われわれは、この自治と連帯の芽を育てながら、県、市町村、県民、および事業者のそれぞれの責務を明確にし、一体となって琵琶湖を守り、美しい琵琶湖を次代に引き継ぐことを決意し、その第一歩として、ここに琵琶湖の富栄養化を防止するための条例を制定する。


 

○東京都西東京市 人にやさしいまちづくり条例

<前文>
 住んでみたい、住みつづけたい、住んでいてよかった、そんな西東京市にします。私たちは、高齢者も若者も、障害をもつ人ももたない人も、大人も子どもも すべての人が自由に行動し、安心・安全に暮らしていくためにさまざまな障壁を取り除き、地域に対する理解を深め、市民が相互に支えあうまちを形成すること を旨とします。
 人にやさしいまちづくりは、そのようなまちを築き上げていくために物心両面にわたる不断の努力によって成し遂げられるものであり、市は、市民の声を十分に聞き、人にやさしい施設を整備し理念の普及に努めるものです。
 さらに、使う人の視点に立ったバリアフリー等の取り組みを充実させることはもちろんのこと、あらゆる立場の市民一人ひとりが主体となり、心優しく、支えあっていけるようなまちの実現を、市が率先して進めます。
 私たちは、このような認識のもと、市民、事業者、市が協力し、すべての人にとってやさしいまちづくりを推進していくために、この条例を制定します。

 

○東京都 台東区民憲章

<あしたへ>

 江戸の昔、「花の雲鐘は上野か浅草か」と詠まれたわたくしたちのまち台東区には、磨き抜かれた匠の技や気さくで人情あふれる暮らしが、今もあちらこちら に息づいています。わたくしたちは、先人が築いてきた文化や環境を大切にして、伸びゆく住みよいまちを目指し、この憲章を定めます。

みどりを いつくしみ さわやかな まちにします
おもいやり ささえあい あたたかな まちにします
おもてなしの えがおで にぎやかな まちにします
たからものを うけつぎ こころゆたかな まちにします
いきがいを はぐくんで すこやかな まちにします

 

○東京都千代田区 地球温暖化対策条例

<前文>

 「千代田区は日本の経済の中心、だけど比較的緑が多くて、産業と自然の調和がとれた、過ごしやすい区だよね。」
 「今よりもっと千代田区を緑でいっぱいにして『緑の区、千代田』と呼ばれるようにしたいね。」
 「そうだね。経済だけでなく環境対策でも中心地となる千代田区になったらいいな。」
 「環境問題といってもいろいろあるよね。」
 「うん、なかでも今は地球温暖化が深刻になってきているよ。」
 「そうか。地球温暖化か。地球温暖化は大きな気候変動をもたらし、大規模な自然災害の原因となって、生活や経済に大きな影響を与えるという問題があるよ。」
 「ねえ、千代田区は、昼と夜の人口が大きく違うよね。」
 「そう、住んでいる人よりも、仕事や勉強に来る人のほうが多いんだ。だから、区外から来る人にも地球温暖化防止を呼びかけなくてはならないよね。」
 「千代田区で地球温暖化対策が進んでいけば、きっと他の地域にも、地球温暖化への意識が広がっていくよ。」
 「千代田区を、地球温暖化対策で一歩先を行く発信地にしていこう。」
 「みなさん、地球の中の日本、日本の中の東京、東京の中の千代田区として地球温暖化防止への取り組みを進めましょう。」
 「千代田区が動いて、周辺の地域に、全国に、環境への取り組みを働きかけていこう。」
 「世界中にこの取り組みを伝え、次の世代の人々に美しい地球を残しましょう。」

 区内の中学生より


>>>『インパクトある』 環境条例前文中学生が起草 千代田区長に提出

 千代田区立九段中等教育学校(高木克校長、六百二人)の生徒らが十一日、自分たちで起案した地球温暖化対策条例の前文案を石川雅己区長に提出した。法規 のイメージとは異なる会話形式の平易な文章で、地域に温暖化防止の取り組みを訴える内容。石川区長は「大人では考えられないインパクトある前文」と絶賛 し、子どもたちの思いを受け止めた。 (東京新聞 2007年9月12日)

 
 

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2008年2月 7日 (木)

オバマ市がオバマ氏支持 (早口言葉)

>>>選挙権ないのに…福井県小浜市がオバマ支持のナゼ
米大統領候補者争い大注目

 黒人初の米国大統領を目指すバラク・オバマ上院議員(46)の民主党候補者指名争いでの戦いぶりを、福井県小浜市の人々が注目している。名前の発音が同じで、オバマ氏が来日した際に「小浜市から来ました~」とギャグを飛ばしたという都市伝説めいた噂も広まり、市民の間で“支持率”が急上昇中なのだ。単なるダジャレではなく、「オバマ大統領」が実現すれば「宣伝効果は計り知れない」(大手広告代理店関係者)だけに期待が高まっている。(夕刊フジ) 2008.02.04


 なんだ? このニュース?  すごく、ワタシ好み

 えーと……最近、この@niftyのブログで絵文字が使えるようになったということで、さっそく使わせていただいております。

 たしかに「OBAMA」の文字が、テレビ画面に何度も露出すれば、OBAMA市民としては、素朴に嬉しいでしょうねぇ。

 そういえば、鳥取に「羽合(ハワイ)温泉」ってありましたっけ。 

 もっと言うなら、大分には宇佐市があります。

 あの水曜どうでしょう陣も、「サイコロの旅3」(だったっけ?)で一瞬目撃した、JR宇佐駅の看板「USA」の文字……。

 ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメーリカー!!

 USAの3文字は、OBAMAよりもはるか昔から露出度は極めて高いはずですよ。

 そうそう、例の同時多発テロ直後にだって、ミサイル使った報復攻撃を正当化すべく、みんなで連呼して盛り上がってたじゃないですか。 USA! USA!って。

 そういうことを考えに入れますと、仮に「OBAMA」の連日露出に経済効果・宣伝効果があるとすれば、いまごろ大分のUSA市民はウハウハのはずですな。

 

 

 市にメールを送ったという十一面観音菩薩立像で有名な羽賀寺(同市羽賀)の玉川正隆住職に聞いてみると、事情は少し違っていたようだ。

 「オバマさんが日本のテレビの取材に応じ、過去に来日したとき空港の税関職員から『私は福井県の小浜という市の出身です』と声をかけられ、そのこともあって日本に親しみを感じる、と話していたんです。いくらなんでもオバマ氏がそんなことを言うわけがない」と苦笑する。(同)


 そりゃそうですよねぇ。 そんなデーブ・スペクター(埼玉出身)みたいな調子のいいこと、OBAMA氏が言うわけないでしょう。 いくらなんでも。

 由緒正しきお寺の住職さんがおっしゃっているんですから、間違いありません。

 そんな古い歴史のある街、福井県オバマ市は、1000年以上前より宮廷に食材を供給した「御食国(みけつくに)」としての伝統とプライドから、2001年に「食のまちづくり条例」を制定しました。

 

 

○福井県小浜市 食のまちづくり条例
平成13年9月26日

条例第30号

<前文>

 小浜市に暮らす私たちは、先人が守り育ててきた優れた自然環境と伝統文化に感謝し、さらに磨きをかけ、未来につなげていくことが必要です。
 若狭おばまには、古く、飛鳥・奈良の時代から、宮廷に食材を供給した、全国でも数少ない「御食国(みけつくに)」としての歴史があります。平安時代以降は、「若狭もの」という呼称のもとに、京都の食卓をも支えました。その歴史と伝統は、今も脈々と受け継がれており、若狭おばまは、食に豊かなまちとして発展してきています。
 地方分権時代の中で、特色あるまちづくりが求められていますが、小浜にないものを外から取り入れたり、急進的にまちづくりを行うのではなく、もともとある資源を活用し、市民意識の高揚の中で持続的に進めていくことが必要です。
 小浜市がまちづくりを推進する上で活用すべき資源は、歴史と伝統を誇る「食」です。持続可能な「食のまちづくり」を創造し、展開していくことが小浜市の将来にとって最も価値の高いものとなります。
 私たちは、若狭おばまの歴史や風土を理解し、たぐいまれな「御食国みけつくに」としての伝統を重んじるとともに、「食のまちづくり」を共通した認識のもとに、自由な発想と絶え間ない学習の中で推進していかなければなりません。
 市、市民および事業者が主体的に参画し、協働して「食のまちづくり」に取り組むことによって、さらにいきいきとした市民意識をはぐくみ、個性的で表情豊かな小浜市を形成することを目標に、この条例を制定します。

 

◆ 第2条(定義)
 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 食   食材の生産、加工および流通に始まり、料理、食事に至るまでの広範な食に関わる様相ならびに食に関連して代々受け継がれてきた物心両面での習俗である食文化および食に関する歴史、伝統をいう。
(2) 食のまちづくり   食を守り、はぐくみ、および活かすまちづくりをいう。
(3) 身土不二(しんどふじ)   人は、生まれ育った土地および環境と密接なつながりを持っており、その土地で生産されたものを食することが最も身体に良いということをいう。
(4) 地産地消(ちさんちしょう)   地元で生産されたものを食することをいう。

 
 

 熱い定義だな~。

 国が食育基本法を制定したのが2005年ですので、ずっと早くから食育教育を推進してきたわけです。

 ……あのー、「食育教育」っていうコトバ、違和感ありません?

 「育」がしつこいんですよね。 「市川市」「四日市市」みたいな。 「御御御付け」みたいな。

 こういう取って付けたような感じのモノ、法律用語でも何かあったような気もしますね。 パッとは思い出せないですが。

 たとえば、「名前みたいな苗字」の人を見たときのような……「由美かおる」とか「奈美悦子」とか「真弓明信(阪神タイガース)」とか。

 どーでもいいわ。オレのほうがしつこい

 それはともかく、OBAMA市の食育で特徴的なのは、市内のすべての幼稚園・保育園児を対象とした幼児料理教室「キッズ・キッチン」。

 たしかに、実際に食材を扱って料理をつくれば、子どもたちの好き嫌いも減りそうですね。

 おととしから内閣府が始めた「食育推進全国大会」。2006年の第1回は大阪で開催されたそうですが、昨年の第2回大会は、OBAMAを擁する福井県で開かれました。

 群馬も第2回大会の開催地に名乗りをあげていて、最後まで候補に残っていた模様ですが、結局は福井に敗れています。 しかし、今年の第3回開催県になって、群馬はリベンジを果たしたかたちですね。

 群馬県は、食育をテーマにした幼児向けのカルタ・絵本・紙芝居・替え歌CDなどを積極的に制作しているという話でして、いまに、福井・オバマ市ぐらい気合いの入った「食育」自治体が出現することも期待されています。 両者はライバル関係なんですねぇ。

 

 つまり! 小浜がオバマだとすると、群馬は、ヒラリー・クリントンだと!

 ……今日は、単にそれが書きたかっただけです。 すいません。お許しください。

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2007年12月24日 (月)

日本の役人にゃあマネできぬ!? 小粋なロマンティック地方条例

アメリカ・ユタ州 ソルトレイクシティ条例 2-3-8(e)


  ALTITUDE EXEMPTION FOR FLYING REINDEER ON CHRISTMAS EVE

  On Christmas Eve only, flying reindeer and any cargo they may be towing shall be exempt from the 2,000-foot height restriction and other provisions of Section 2-3-8 of the Revised Ordinances of Salt Lake City, Utah, 1965.

 
 

 クリスマスイブに限り、空を飛ぶトナカイと、それらが引いている貨物については、高度制限(上空600メートルより高いところを飛行すべきとする規制)の適用から外す。

 
 〔 NHK総合「びっくり法律旅行社」 2007.12.21放送分より 〕

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2007年8月31日 (金)

山口県光市「おっぱいまつり」をナメんなよ

 最近、「著書がベストセラーになったという実感はありますか?」と尋ねられる機会がえらく増えてますけど、実感なんかありゃしないですよ。

 だって、本屋で「お言葉集」をレジに持ってってる人、私は今まで1人も目撃したことがありませんから。

 立ち読み中のお客さんなら何人か見かけたことがありまして、そのたびに私はお客さんをマークし、自らも立ち読み客を装いつつ、背後から「お買いなさ~~い さぁお買いなさ~い 『爆笑』げなでけんばってん、つまらんこたぁなかけんがよ~」と、ことごとく著者の呪いをかけてきたのですが、その試みはことごとく失敗しています。

 各種接客業のバイトを長くやっていたせいもあるのでしょうが、ものを対価と引き換えに売っている体感性がないのに、周囲から「売れてる売れてる」と数値でいわれるのは、正直申し上げて違和感があります。 むしろ「物書きって、不思議な商売だなー」ということを実感するのみです。

 その不思議な商売を支えているのが、他でもない出版社の皆さんでして、その努力と才覚に敬意を表しております。

 そりゃあ、今や冗談みたいな額の印税が口座に入ってきてますがね。 ありがたいことですが、各種インタビューで「暮らしぶりは変わりましたか?」と聞かれても、カネの使い方を知りませんから変わりゃしないですよ。 3年ぶりにハーゲンダッツ食ったぐらいです。

 もし「うなるほどのマネーパワーで、ハタチの可愛い女の子と付き合えました」というなら、わが暮らしの革命的変化でしょうが、むしろ、カネのニオイに寄ってくる女どもを、こっぴどく懲らしめていく営みに今後の余生を捧げたいと思ってますので。 そのミッションを全うすべく、もっともっと、カネのニオイを身につけていく所存です。

 いきなり銀行から電話がかかってきて、家に投資信託のパンフレットが送られてきたりもしましたからね。 そのチャンスを見逃さず、おかげさまで投資の面でも成功をおさめ、このたびコムスンの介護事業を買い取ることもできました。

 先日は、ふとした拍子に、ついガソリンの値段を釣り上げてしまったみたいで、全世界の皆さまには、私のマネーゲームのせいで多大なるご迷惑をおかけしております。

 来る日も来る日も葉巻をくべらせ、金髪美女を3,4人はべらせ、ペルシャ猫を5,6匹ひざに乗せてたら、猫アレルギーにかかりましてね。 あまりに身体じゅうがかゆくなったんで、もぞもぞしていたら、手に持っていたブランデーを思いっきし愛猫の頭にこぼしてしまったんです。 それであっという間に屋敷の外へ逃げられて、あれから3日間戻ってきません。

 おーい! ミケやーい!

 ……あわててフェラーリで探し回ったんですが、見つからないんですよ。ダンディズムを貫くのも楽じゃありませんね。 「レイバンの向こうは少年の瞳」でおなじみ、ナガミネでございます。

 

■ 「長嶺超輝」の脳内イメージ (※うそこメーカーさま)

 ……久しぶりに、パソコンの前で手ぇたたいて笑わされました。 くっそー、ひとのことバカにしおって。

 わたしゃ別に「休」んでばっかじゃないんですよ。 次回作の原稿が煮つまってて、書いては消し、書いては消し、3歩進んで5歩下がっているため、傍からは休んでるように見えるだけなんです。

 ただ、パソコンの前にいるだけじゃ、その煮つまりはなかなか解消されません。

 いいネタを求めて、図書館や裁判所などに出かけたり、あるいは暑い中あてもなく知らない街を散歩したり、どーでもいいことを悪友としゃべり散らかしたり、今まで縁のなかった高額商品の売り場を冷やかしてみたり、それでせっかく面白いことをひらめいたのにメモするのを忘れて、後々自己嫌悪に陥ったり、その繰り返しです。 こんな「働き者」、なかなかいませんよ。

 世の中には「印税生活」に漠然と憧れてる人がいますよね。 「世のシガラミから解放され、海外で悠々自適に」などとテキトーにのたまってますけど、そんな勝ち逃げみたいなマネ、実際には不可能ですよ。

 このところ痛感してますが、印税というのは、皆さんから寄せられた「次回作への期待」なんですよね。 あくまで、次の一手を打つための資金として大切に使わなければなりません。

 

■ 「長嶺超輝」の脳内フェチイメージ (※うそこメーカーさま)

 「唇」に囲まれた「耳」って…… どんだけマニアックな趣味の持ち主ですか。 もっと男としてストレートに生きていたい。 ここは基本に立ち返るべきです。

 先日、ビーチバレーの試合会場で、浅尾美和ちゃんのおっぱいを触りに行った大馬鹿がおったそうですが、本当に腹立たしい限りですね。 美和を守ってやれなかった自分の無力さ、不甲斐なさに腹が立ちます。

 あぁ、許してくれ、美和。 ……そんな切ない想いを胸に、小生は「罪滅ぼしの旅」へと向かいました。

 その行く先は、このブログでもたびたびご紹介してきました、山口県光市。 そう、夢にまで見た「魅惑のおっぱいシティ」です。

 
 

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 JR光駅の、すぐ近くには瀬戸内海が広がっています。 海岸には「虹が浜海水浴場」がありまして、かなり賑わっていました。 でも、写真はありません。 だって、盗撮魔と間違われたら悲しいでしょ。

 

 この光市におかれましては、同自治体が打ち出した、ご存じ「おっぱい都市宣言」の一環で、毎年8月上旬に「おっぱいまつり」というのが開催されています。 その現場を、おっぱい愛好家として知られる私が、この目で覗いてきたのです。
 
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 一時期は赤字続きで存続の危機にもさらされたという、お役所が主催のイベント。 朝の9時半から始まって、早々と正午に終わるそうだし、「まぁ、それなりのモンかなぁ」と思って、とりあえず会場に入ったんですけど…… 

 ビックリしましたよ。 大盛況じゃないですか。 身動きに困るほどです。
 
 

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 8月5日 日曜日に行われた、第15回おっぱいまつり。 実行委員の方のお話によると、どうやら第1回は、おっぱい都市宣言の制定前の段階にして、すでに行われていたようです。

 当時は「光市制50年記念」という位置づけだったとのこと。

 

【 第1回おっぱいまつり 】 1994.3

・ 育児相談
・ 手づくりおも ちゃ
・ ちびっこレストラン
・ キャシー中島氏の講演

など


 

 

 しかし、今年度は、ものすごい数の企画が動いています。

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↑ おっぱい育児モニュメント「ふれ愛いっぱい」

 … 光市に飛来するユリカモメをモチーフに、父親鳥の胸(おっぱい)で家族を抱き、母親鳥の胸(おっぱい)で、子供を抱くイメージを表現。 羽のパーツ製作には、1000人の市民が参加したという。

 


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↑ かわいさいっぱい 赤ちゃんハイハイ競走

 … おそらく一番の盛り上がりを見せていたイベント。 コース上に座りこんだり、突然逆走を開始するなど、赤ちゃんたちの予測不能の動きが楽しい。 大人たちは、出走中の赤ちゃんに触れることが禁止されており、おもちゃ等で誘導するなどのテクを駆使しながら、悪戦苦闘していた。

 

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↑ 「食育シアター」の紙芝居

 … 朝ごはんは、ちゃんと食べないと元気が出ないよ、という内容。 現代っ子(死語)も、紙芝居にはちゃんと食いつくのだ。

 
  

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↑ 消防はしご車を体験

 … はしごを延ばして上に乗せたりはしてないが、子供たちはじゅうぶんに喜んでいる。 いい思い出だ。 消防隊員の漢(オトコ)たちは、着るだけでも蒸し暑くて耐えられなさそうな防火装備を身にまとい、炎の中へ果敢に飛び込むのだ。

 
 

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046

↑ お魚タッチングプール

 … タコとヒラメだ! うまそう!  私の世代でも、魚はスーパーで切り身になってパックされてるもののほうが、むしろ馴染みがある。 泳いでいる魚介類にじかに触れるのは、子どもたちにとって貴重な体験といえよう。
 

 

049

↑ 見つめあって、ビデオ発表

 … 巨大スクリーンを装備した宣伝カー! いったい光市はいくら費用をかけとるのか!? それとも、業者サイドの善意で寄せられたのだろうか。 市内の保育園・幼稚園。小中高校・自治会・サークルなど22団体から届いたという、踊りや歌などのビデオ映像が発表されている。 「おっぱいの歌」の歌詞、♪おっぱい おっぱぁ~い…… が、あまりにキャッチーすぎて耳から離れない。

 

 

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↑ ふれあいステージ

 … 子どもの歌や踊りなどの発表や、演劇などが催されている。 私がのぞいた時間帯では、ブラスバンド演奏が披露されていた。 かぶりものを装着しているが、じつに本格的。

 

 

 以上に掲げたのは、ほんの一部です。 イベントの半分くらいしか回れませんでしたし。 まだ「おっぱいまつり」の全貌を体感しきれていないのが現状です。

 いやぁ、すごい。 手づくりイベントの持つ温かさもさることながら、おっぱい都市宣言の「本気(マジ)」を見た思いです。 大したものだ。

 ボランティア要員が647名(うち子ども309名)いるとはいえ、これだけ大掛かりなら、設置や撤収の作業も大変でしょう。 場所は「あいぱーく光」という、市の福祉施設で、月曜には通常業務が行われなければならないことを考えると、「日曜の午前中だけ」に限られるのもうなずけます。

 そういう「はかなさ」も、祭りに欠かせない一要素ですしね。 来年は、もっとゆっくりと「おっぱいまつり」の雰囲気に触れてみたいと思います。

 I Shall Return!!

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2007年4月 7日 (土)

山口県光市「おっぱい都市宣言」をめぐる熱き議論

 木曜日に更新すると「予告」までしておいて、どうも失礼いたしました。 すっかり遅れてしまいました。
 

◆ 著作権法 第40条(政治上の演説等の利用)
1 公開して行なわれた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行なう審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人において行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送することができる。
(※3項略)

 

 著作物とは、人の思想または感情を創作的に表現したものをいいますが、地方公共団体の議会の会議録に関しても、その内容について著作権の問題は生じます。 いわゆる「職務著作」の一環みたいです。

 どうやら、著作権法にいう「創作」の意味は、私たちの一般的なイメージよりもはるかに広く設定されているようですね。

 なので、公共的な色彩が濃いであろう光市議会の会議録も、ネット上では引用の範囲内にとどめ、いろいろ気をつかいながらご紹介しなくてはなりません。 ルールですので。

 

 まず、世界で唯一だという「おっぱい都市宣言」の誕生の瞬間を見てみましょう。

1995.03.24 : 平成7年第1回定例会(第4日目)
 

◯15番(中本 和行君) お手元に配付いたしております決議案第1号及び2号の2件につきまして一括で御提案申し上げます。
 まず、決議案第1号は、光市における震災対策推進に関する決議で、今回の阪神・淡路大震災の経験を教訓とし、市民の生命と財産を守るため、従来からの防災対策を早急に見直し、これまでの火災、風水害対策に加え、地震対策にも重点を置いた地域防災計画の策定と震災対策の意識高揚のため本決議をしようとするものであります。
 次に、決議案第2号は、「おっぱい都市宣言」に関する決議で、WHO世界保健機構とユニセフの後援のもと、世界母乳連盟が毎年8月1日を世界母乳の日、また8月の第1週を世界母乳週間と定め、母乳による育児の啓発に努められたところでありますが、当市におきましては、母乳育児率において全国的にも高水準にあるやに聞き及んでおります。母乳を通して養われる母から子への触れ合いは、育児にとって最も重要であることは申し上げるまでもございません。そのため、当市議会としては、さらなる母乳育児の推進及び母と子、父、そして人に優しい光市のまちづくりを図るため、ここに宣言しようとするものであります。
 以上、2件を御提案申し上げますので、よろしく御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(田中 虎男君) 説明は終わりました。本件に対する質疑がありましたらお願いいたします。
          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

◯議長(田中 虎男君) なければ質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。本件は、委員会付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
         〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

◯議長(田中 虎男君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員会付託を省略いたすことに決しました。
 続いて、討論に入ります。討論がありましたらお願いいたします。
          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

◯議長(田中 虎男君) なければ討論を終結いたします。
 これより採決いたします。お諮りいたします。決議案第1号及び決議案第2号の2件は、それぞれ原案のとおり決することに御異議ございませんか。
         〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

◯議長(田中 虎男君) 御異議なしと認めます。よって、決議案第1号及び決議案第2号は、それぞれ原案のとおり可決されました。
 ──────────・────・──────────
  閉  会

 

 何のドラマもない、じつにアッサリした可決、成立の模様です。 地方自治体名物「シャンシャン議会」は、この「おっぱい都市宣言」をめぐっても例外ではなかったんですね。

 たしか98%は「シャンシャン」で終わるとかいうことです。 私にとって、その情報ソースが、TBSラジオ「伊集院光 日曜日の秘密基地」だってとこがミソですが。

 これは、執行部(行政府)と、議会(立法府)とが、とてもアッチッチな関係(←今年の流行語大賞候補)にある現実が横たわっているからです。 馴れ合いと言っても言い過ぎではないのかもしれません。

 モンテスキューの三権分立の精神からは本来、牽制しあう関係性にあってほしいところなんでしょうけど。

 国の場合は「議院内閣制」ということで、国会と内閣の蜜月関係は制度的にも裏付けられているのかもしれませんが、地方はどうなんでしょう?

 
 えーと、世界母乳連盟? 母乳の日?

 母乳が止まらなくて、練習中に疲れやすくなったという、柔道のヤワラちゃん(谷亮子選手)の話が先日報道されていましたっけ。

 なんでも、ヤワラちゃんは欧米では「ソフティーちゃん」と呼ばれているとのこと。 柔道の「柔」って、ソフトって意味なんだっけ?

 
 母乳は血液からできるそうで、子どもを母乳で育てている母親は、貧血状態になることが多いようです。 スポーツ選手にとっては厳しいでしょうね。 あいにく私は母乳を出した経験がないのでわかりませんけど。

 わが子を母乳で丈夫に育てたいが、お乳がなかなか出ないとお悩みのお母さんも少なくないようです。ただ、本当に体質として出ない人は1%以下とのこと。 おっぱい都市の手にかかれば、いろいろ対策はあるようです。
 

 あと、先日みかけたニュースでは、某アンケートによると、新婚カップルの3分の1は、ダンナが奥さんの乳を吸……

 これ以上書いたら「18禁法律学」のカテゴリに回さなきゃいけなくなるので、やめときます。 まぁ、書いたも同然ですけど。
 

 現に、光市の母乳育児率は、全国平均と比べてもかなり高い水準にあるとのことで、周辺の街に住む妊婦さんも、わざわざ光市内の産婦人科を選んでやってくることも多いのだそう。 母子の存在に配慮した施設が充実しているんでしょうね。さすがです。

 一方で、「おっぱい都市宣言」の認知率は、光市民へのアンケートでもかなり低いことが判明しています。 せっかくの思い切ったユニーク宣言なのに、その宣言が聞こえていたのはわずかだった、という寂しい現実があるようです。

 

1996.03.05 : 平成8年第1回定例会(第1日目)
 
◯市長(末岡 泰義君)

(略)
 保健予防対策につきましては、引き続き母乳育児の推進、40歳以上を対象とした基本健康審査、癌検診などの受診率の向上及び骨量検査など女性の健康づくりに努めるほか、市議会において「おっぱい都市宣言」が行われ全国へ情報発進されましたが、この趣旨を踏まえ、「安心して子供を産み、健やかに育てる環境づくり」をさらに推進するため、「おっぱいまつり」を8月1日の世界母乳の日に開催するなど、啓発活動に力を入れてまいりたいと考えております。

 

 世界母乳の日は、「おっぱいまつりの日」でもあったのですね。

 しかし、光市も借金がかさみ、緊縮財政のもとで開催しているので、おっぱいまつりも存続の危機にさらされている…… という悲しい話も会議録を読んでいると出てきます。 そういうギリギリの攻防、せめぎあいがあるのだとしたら、これも取材のテーマにしてみたいです。

 現在、おっぱいまつりは「あいぱーく光」という公共施設内で、毎年8月上旬に開催され、「あなたの子ども大丈夫? チャイルドシート体験」や「はしが上手に持てるかな(碁石遊び)」などのコーナーが設けられるとのことですけど……。

 どうなんでしょうか。 小さい子どもがいる家族だけでなく、もっと幅広い人々が「行ってみようか」と思えるようなイベントを盛り込んでいかないと、率直に言って生き残りは難しいような気もします。

 役所主導の「祭り」には限界がある、とは思いたくないのですが。

 

2006.03.07 : 平成18年第1回定例会(第3日目)【以下同じ】
 
◯6番(磯部 登志恵君)

 (略)
 1点目、おっぱいプロジェクト構想についてですが、旧おっぱい都市宣言から約12年間にわたる様々な取組みは、あいぱーく光内の健康増進課を中心に、社会課、そして教育委員会の一部の部署で、地道な活動として進められてまいりました。しかし、現状から考えると、おっぱい都市宣言の取組みというのはもっと大きな視点でとらえるべきであり、今後は、光市全所管が関わりながら、まちづくりの一環として進めるべきではないかと思っています。
 3月議会で自然敬愛都市宣言が決議いたしましたが、このときは既に基本構想ができ上がっておりました。私は、これを拝見して、おっぱい都市基本構想がぜひ必要であると考えました。議員提出の都市宣言にもこういう基本構想を付けて提出すべきであるという人もおられますが、私は、これは執行権の範疇に大きく踏み込むおそれが出てくると思っています。そこで、このような構想が、できるだけ早く、多くの人の思いを勘案されて、ぜひ策定していただきたいと思っております。総合計画との関係もあると思いますし、昨年12月議会での私の質問に市長がおっぱいプロジェクト構想について発言をされたことがありますので、このあたりを含めて、お考えをお聞かせいただけたらと思います。

 

 いろんなキーワードが出てきましたよ。

 光市は最近「自然敬愛都市」も宣言しているのですね。これも全国的にみて非常に珍しいもののようです。

 人づくりに欠かすことの出来ない自然との関わりを謳っています。 ただ「自然環境を大切に」と、ボンヤリ言いっぱなしにするのではなく、森や草花、動物たちとふれ合うことが人の心を育てる、という考え方を採用している(ようにみえる)のが特徴的です。

 他方、「おっぱい都市基本構想」「おっぱいプロジェクト構想」とは具体的に何なのか、ネットでこれ以上探すのは限界です。 どっちが上位概念なのかすら不明ですしね……。「総合計画」というキーワードもありますし、現時点では、なかなか全体構造が見えてきません。

 しかし、磯部議員のこの発言から、おっぱいまつりの会場である「あいぱーく光」は、健康増進課が入っているようですから、市役所の一施設(出張所?)だということはわかりました。

 また、あいぱーく光の中には「チャイベビステーション」というところがあるようです。 まぁ、「チャイルド」と「ベビー」ってことなんでしょうね。

 そこは、いろんなイベントの会場として利用されているようで、2002年度には「おもちゃライブラリー」が開設されたそうな。

……続々と出てきますよ。専門用語が。 なんだか、「おっぱい都市用語集」でもつくらないと、混乱してきそうなほどですが。
 

 市議会議員で基本構想を立てることは「執行権の範疇に踏みこむ」ことになりかねない、との言及もあります。 この、いわば「立法と行政のなわばり関係」みたいなものにも興味がわいてきますね。

 

◯市長(末岡 泰義君) それでは、磯部議員さんのおっぱいプロジェクト構想についてお尋ねをいただきましたので、お答えを申し上げたいと思います。
 御承知のように、わが国はいよいよ人口減少社会に突入しておりまして、また、最近の新聞報道等にもありますように、2005年の合計特殊出生率が1.25へと低下するなど、少子・高齢化は加速度的に進行しているのは、ただいま御紹介いただいたとおりであります。このことは、若い世代が高齢者を支えるという従来の社会保障制度の枠組みからの転換を余儀なくされているものであり、少子化対策は、国、地方を挙げて取り組むべき最重要の課題の一つとなっておるところであります。
 そうした中、本市では、子育て支援対策の柱として、母乳育児を通して、子供の健康面のみならず、母と子のふれあいや家族の絆を深めていくため、いわゆるおっぱい育児による総合的な子育て支援策を展開してきたところであります。合併後の昨年6月には、議会におきましても、全国に例のない新たなおっぱい都市宣言が採択されたところでございます。私といたしましても、議員同様、このおっぱい都市宣言の理念の下、母乳育児にとどまらず、恵まれた環境や温かいふるさとの人情に育まれ、健やかな子供を生み育て、人に優しいまちづくりに向けて、地域社会と一体となった取組みを進める必要があるものと考えておるところであります。
 このおっぱい都市宣言は、本市で生まれ育ち、学び、働き、憩い、長寿を全うするという、人の誕生から人生を終えるまで、まさに人の営みを象徴するものであると考えておりまして、議員仰せのように、福祉や教育といった分野に限らず、全庁的な、また横断的な取組みが必要であると思っておるところであります。
 現在、本市では、平成17年3月、社会全体で子供と子育てを支えられる優しいまちづくりを目指した光市次世代育成支援行動計画を策定し、主として福祉、教育の分野を中心に、ライフスタイル全体に係る子育て支援策に取り組んでおりますが、子育て支援や少子化対策は本市のまちづくりにおいても最重要課題の一つであることから、こうした取組みをさらに進めるため、新おっぱい都市宣言の趣旨を踏まえ、総合的な子育て支援対策を展開してまいらなければならないと思います。このため、今後、庁内関係各課による連絡調整会議、名称等は別にしても、そのようなものを設置しまして、御提言のありました基本的構想について検討を進めるとともに、現在策定中の総合計画におきましても、おっぱい都市宣言の趣旨を十分踏まえた戦略的プロジェクトの立案に向けて取り組んでまいりたいと、このように考えておりますし、そのようなことを進めておるところでございます。御理解を賜りますようお願い申し上げます。

 

 「おっぱい」の響きと、「戦略的プロジェクト」という言葉のアグレッシブさとのギャップがたまりませんが、ここでも新発見がありました。

 おっぱい都市宣言の目的は、ただ単に「子育て先進都市を目指す」というだけではないのです。 市長による「人の誕生から人生を終えるまで」という発言がポイントですよね。

 もともと、おっぱい都市宣言にいう「おっぱい」の意味も、通常よりだいぶ広いようです。 第2項には『私たちは、おっぱいという胸のぬくもりの中で、子どもをしっかりと抱き』とありますから。

 おっぱいはともかく、「胸」は男にだってありますから、別に父親が抱いたって、いちおう意味は、通るといえば通るわけです。

 それに、「母乳による育児」は、その後の第3項で謳われているのです。 それよりも、光市としては子どもの抱擁行為の奨励に重点を置いている、とみることだってできます。

 だったらなおのこと、おっぱいまつりは「幼い子どもの育て方」一辺倒でなく、狙うターゲットをもっと広くとらえていく必要があるんじゃないかと思います。

 光市には、あの「母子殺害事件」の痛ましい記憶がまだ残っているかと思います。 そんな自治体だからこそ、幼少期だけでなく、思春期における親と子の関係の重要性にだって、もっとスポットライトを当てていいかもしれません。

 まだ「戦略的プロジェクト」の全貌が明らかになってない段階ですが、今後の展開には目が離せませんね。

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2006年12月21日 (木)

私の知らない「火薬類取締法」の世界

>>> 深夜花火禁止条例が成立へ = 神奈川
 

 海岸で深夜に花火をしたり、大声で騒いだりすることを禁じる全国初の迷惑防止条例改正案が18日、神奈川県議会の防災警察委員会で全会一致により可決された。21日の本会議でも可決、成立の見込み。夏の湘南海岸で深夜に騒ぐ若者らを想定したもので、来年4月の施行を目指している。 (時事通信)2006年12月19日0時0分配信

 

 もともとは、2000年に兵庫県明石市で制定された「夜間花火の規制にかかる条例」が元祖です。

 そこから、兵庫県西宮市や岡山県倉敷市・笠岡市、島根県出雲市などに広がり、神奈川県内でも茅ヶ崎市や鎌倉市で同様の条例ができています。

 ただ、違反による罰金の定めの有る無しは、まちまちのようですね。 しかも、「市」という水準での規制にとどまっていました。

 この「夜間花火禁止」という方針を、あらためて都道府県レベルの迷惑防止条例に組みこもうとするのが、神奈川県の試みのようです。 松沢成文知事の話では、罰則は設けない方向だそうですが。

 たしかに、花火や大音量音楽の禁止を条例の上でアピールするだけでも、かなりの効果が期待できるでしょう。 花火が近所迷惑だという事実に気づいていない、あまり深く考えずに遊んでいる連中は、口頭の注意だけで素直に謝罪してやめてくれるはずです。

 しかし、やはり懲りない悪質な輩はいるものです。

 地元のボランティアがパトロールに動いても、罰則がなければ現行犯での検挙もできないどころか、実力行使が許されないわけで、そういった輩に対して強く出にくく、ナメられてしまうことも懸念されます。

 次々に飛び交うロケット花火の弾道を背にして、無力感を噛み締めつつその場を後にするのでは、ボランティアの方も辛いですよ。

 でも、こういった深夜のロケット花火に興じる若者たちも、「ストレス社会の被害者」だという見かただってできますけどね。

 窮屈で余裕の欠けた現代社会で居場所を失い、その行き場の無いウップンを、粗暴犯罪や万引きなどで発散したりしないだけ、まだ彼ら彼女らはマシなのかもしれません。

 以前も書きましたが、現代の日本には「祭り」が圧倒的に足りません。 サッカーや野球など、プロスポーツがらみの勝った負けたを除いて、パワーを有り余らせた若者が心置きなく大騒ぎできる場があるでしょうか。

 悪いことは悪いと取り締まる一方で、「祭り」を温かい目で見守る寛容さも必要です。 ただ……、具体的に何が彼らにとっての「祭り」になりうるのか。 価値観が多様化した世の中ですから、地域でひとつに決めるのが難しくなっているのは確かですよね。

 

 一般的にいう花火は、法律上「がん具煙火」と呼ばれます。 と、エラそうに書いてますが、私も今日知りました。

 

◆ 火薬類取締法 第2条(定義)
2  この法律において「がん具煙火」とは、がん具として用いられる煙火その他のこれに類する煙火であつて、経済産業省令で定めるものをいう。

◆ 火薬類取締法施行規則(※経済産業省令) 第1条の5
 法第2条第2項 に規定するがん具煙火は、次の各号に掲げるものとする。
  一  がん具として用いられる煙火
 
   イ 炎、火の粉又は火花を出すことを主とするもの
    (1) 吹出し、スモールトーチ、噴火山その他の筒物、すすきその他柄付きの筒物又は球物であつて、火薬15グラム以下のもの
    (2) 朝顔その他の炎を出す柄付きのより物であつて、火薬10グラム以下のもの
    (3) 銀波その他のひも付きのより物であつて、火薬10グラム以下のもの
    (4) スパークラーその他の光輝のある火の粉を出す柄付きのねり物であつて、火薬が露出しているもののうち、火薬10グラム(鉄粉を30パーセント以上含んでいるものにあつては、火薬15グラム)以下のもの
    (5) サーチライト、コメットその他の柄付きのねり物であつて、紙に包まれたもののうち、火薬10グラム以下のもの
    (6) 線香花火その他の火花を出す柄付きのより物又は火薬が露出しているねり物であつて、火薬0.5グラム以下のもの
 
   ロ 回転することを主とするもの
    (1) ピンホイールその他の円盤の周囲に火薬を紙で包んだ管を巻き付けたものであつて、火薬4グラム(爆発音を出すものにあつては、火薬3.9グラム)以下、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.1グラム以下のもの
    (2) サキソンその他の筒又は板の端に筒物を装着したものであつて、火薬4グラム(爆発音を出すものにあつては、火薬3.9グラム)以下、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.1グラム以下のもの
    (3) ヨーヨーその他の円盤又は板に輪形のより物をはり付けたものであつて、火薬1グラム(爆発音を出すものにあつては、火薬0.9グラム)以下、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.1グラム以下のもの
 
   ハ 走行することを主とするもの
    (1) 金魚その他の水上を走行する筒物であつて、火薬2グラム以下のもの
    (2) 小笛その他の笛音を出す筒物であつて、火薬0.5グラム以下、爆薬(笛音を出すためのものに限る。)1.5グラム以下のもの
    (3) ケーブルカーその他の糸を通す筒等を装着した筒物であつて、火薬1.5グラム以下のもの
    (4) 花車その他の紡錘形又は輪形のより物であつて、火薬1グラム(爆発音を出すものにあつては、火薬0.9グラム)以下、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.1グラム以下のもの
    (5) 爆龍その他の火薬を紙で包んで折りたたんだものであつて、火薬1グラム以下のもの
 
   ニ 飛しようすることを主とするもの
    (1) 笛ロケットその他の笛音を出す尾つきの筒物であつて、火薬0.5グラム以下、爆薬(笛音を出すためのものに限る。)2グラム以下のもの
    (2) 流星その他の尾付きの筒物であつて、火薬2グラム(爆発音を出すものにあつては、火薬1.9グラム)以下、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.3グラム(硫化ひ素を含むものにあつては、爆薬0.1グラム)以下のもの
    (3) 人工衛星その他の板に筒物を装着し、回転上昇するものであつて、火薬1.5グラム以下のもの
 
   ホ 打ち揚げることを主とするもの
    (1) 乱玉その他の星を打ち揚げる筒物であつて、単発式のもののうち、火薬10グラム以下のもの又は筒の内径が1センチメートル以下の連発式のもののうち、火薬15グラム以下のもの
    (2) パラシュートその他の内筒に入れた放出物を打ち揚げる筒物であつて、火薬10グラム以下のもの
 
   ヘ 爆発音を出すことを主とするもの
    (1) スモーククラッカーであつて、火薬1グラム以下、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.1グラム以下のもの(マッチの側薬又は頭薬との摩擦によつて発火するものを除く。)及びファイヤークラッカーその他の点火によつて爆発音を出す筒物(スモーククラッカーを除く。)であつて、その筒の外径が4ミリメートル以下のもののうち、火薬1グラム以下、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.05グラム以下のもの(マッチの側薬又は頭薬との摩擦によつて発火するものを除く。)
    (2) クラッカーボールであつて、直径1センチメートル以下、重量1グラム以下のもののうち、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.08グラム以下のもの
    (3) クリスマスクラッカーその他の摩擦によつて爆発音を出す小形の筒物を内部に装着し、その爆発により軽量の紙テープ等を放出するものであつて、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.05グラム以下のもの
    (4) 平玉であつて、その一粒が直径4.5ミリメートル以下、高さ1ミリメートル以下のもののうち、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.01グラム以下のもの及び巻玉であつて、その一粒が直径3.5ミリメートル以下、高さ0.7ミリメートル以下のもののうち、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.004グラム以下のもの
    (5) 爆竹(点火によつて爆発音を出す筒物であつて筒の外径が4ミリメートル以下のものを連結したもののうち、その本数が20本以下のものに限る。)であつて、その一本が火薬1グラム以下、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.05グラム以下のもの
 
   ト 煙を出すことを主とするもの
     煙幕その他の筒物又は球物であつて、火薬15グラム以下のもの
 
   チ その他
     へび玉であつて、火薬5グラム以下のもの
 
 二  削除
 三  始発筒であつて、火薬15グラム以下のもの
 四  火災警報用又は盗難防止用として用いられる煙火であつて、爆薬(爆発音を出すためのものに限る。)0.18グラム以下のもの
 五  気密試験用として用いられる発煙火工品であつて、火薬15グラム以下のもの
 六  経済産業大臣が告示で定める緊急保安炎筒であつて、火薬150グラム以下のもの
 七  経済産業大臣が告示で定める模型ロケットに用いられる噴射推進器(経済産業大臣が告示で定めるものに限る。)であつて、火薬20グラム以下のもの
 八  前号に定める模型ロケットに用いられる点火具であつて、火薬0.1グラム以下のもののうち、経済産業大臣が告示で定めるもの
 九  経済産業大臣が告示で定める内容物盗用防止装置付きかばんに用いられる発煙火工品(経済産業大臣が告示で定めるものに限る。)であつて、爆薬125グラム以下のもの

 

 ……オモシロォォーい! これ、面白くないっスか?

 よくもまぁ、これだけ厳密に花火を分類したもんだと感心します。 ロケット花火から線香花火まで、具体的な数値を出してピッチリ定義されてるんですね。 素人としては、「火薬」と「爆薬」が別のものとは、いちいち意識しません。

 ヘビ花火も懐かしいな。 あの花火らしからぬ華の無さ。 地味すぎるほど地味だけど、味わい深い褐色のモコモコが、私のツボにハマっていました。 あれは夜にやっても、果たして何が起こっているのかわからぬ、まるっきり昼用の花火でして、しかも特別、音も鳴りませんので近所迷惑になりえません。 ヘビ花火については、条例が規制する意図はないでしょうね。

 一号ハ(4)の「輪形のより物」って、ネズミ花火ですかね? こんな、文字で書かれてもイメージしにくいから、すべてを画像で紹介していただきたいですよね。

 いささか季節はずれの話題かなぁとも思いましたが、一号ヘ(3)で、クリスマスクラッカーまで「がん具煙火」に含まれるとされています。

 六号の「緊急保安円筒」は、クルマに積み込んでおいて、故障などで路上に停車せざるをえないときなどに焚いて、煙で他のドライバーに存在を知らせるやつです。自動車学校の学科で習ったような。

 気になるのは九号です。「内容物盗用防止装置付きかばんに用いられる発煙火工品」って何なんだ? 125グラムの爆薬で中身の機密情報を盗もうとした泥棒に攻撃を仕掛ける、産業スパイのシークレットかばんなのか?

 「このカバンは、自動的に消滅する」とか何とか。

……もはや「がん具」の域を超えているような気もしますが。

 

 火薬類というのは危険物ですので、取り扱いの国家資格を持っている人でないと、一切手にできないのが原則です。

 一方で例外として、「がん具煙火」については、そのへんの規制が大幅に緩和されているようですね。

 

◆ 火薬類取締法 第51条(適用除外)

3  煙火については、第17条(※譲渡または譲受の許可)、第20条第2項(※運搬許可証の内容遵守)(第19条第1項ただし書の内閣府令で定める数量以下のものを運搬する場合に限る。)、第21条(※所持者の範囲)、第22条(※残火薬類の措置)、第27条、第27条の2(※廃棄)、第36条(※安定度試験)及び第45条の2(※警察官の緊急措置)(第19条第1項ただし書の内閣府令で定める数量以下のものを運搬する場合に限る。)の規定は、適用しない。
4  がん具煙火については、前項に規定するもののほか、第5条(※販売営業の許可)、第18条(※行商及び屋外販売の禁止)、第25条及び第26条(※消費)の規定は、適用しない。
5  前2項に規定するもののほか、第3条、第4条(※製造の許可)、第11条第2項及び第3項(※貯蔵の条件)、第13条(※製造業者・販売業者の火薬庫所有義務)、第29条(※保安教育)、第30条第1項及び第2項(※保安責任者)、第35条(※保安検査)、第35条の2(※定期自主検査)、第38条(※火薬類の混包禁止)、第41条(※帳簿)並びに第46条第1項第2号(※証明書喪失の事故届提出)の規定は、各規定ごとに経済産業省令で定める数量以下のがん具煙火については、適用しない。

 

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 A型の血液と、B型の血液が混ざれば、それはAB型!?

 「教科書ではともかく、裁判所では“疑わしきは罰する”だよ」
 

 ……全体のごく一部には違いありませんが、現に裁判官が出した「問題判決」「問題発言」の例が挙げられています。 こんな現状の中で、「冤罪」「誤判」を減らそう、無くそうというほうがムチャなのでしょうか。

 うちの「裁判官語録」のコーナーを気に入ってくださっている方に、特に読んでいただきたいと思います。 私が一度書いてみたい媒体のひとつ、 “別冊宝島Real”から。
 

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2006年7月31日 (月)

東京のしゃれた街並みづくり推進条例

 過去4回にわたってお送りした「裁判官語録」も、さすがに一通りは洗い出せたかなぁ、というところですので、また次の気まぐれ新企画を打ち出すことにいたします。
 

 とりあえず仰々しく「条例で見る“地方の時代”」などと題してみましたが、もちろん難しく構える必要はございません。 この法律系おちゃらけブログがやることですんで。

 まずは、東京都の条例に、なにか面白そうなものがないか調査してまいりました。 当たり前ですが、都立の図書館では、東京の資料が一番探しやすいわけでして。

 

◆ 東京のしゃれた街並みづくり推進条例 第1条(目的)
 この条例は、都市計画法(昭和43年法律第100号)等の適切な運用を図りながら、東京都民(以下「都民」という。)、事業者及びまちづくり団体(以下「都民等」という。)の意欲と創意工夫をいかして、個性豊かで魅力のあるしゃれた街並みを形成するための制度を整備することにより、都民等による主体的な都市づくりを推進し、もって都市の再生を進め、東京の魅力の向上に資することを目的とする。

 

 平成15年3月14日 東京都条例第30号です。

 自分たちで「しゃれた街並みをつくろう」「みんなから魅力ある街だと言われたい」と意気込んでおられる、その態度も、なかなかオシャレであります。

 一説には、石原慎太郎 都知事おんみずからが命名なさった条例だともいわれておりますが、未確認情報です。

 
 
 
■ 文京区議会 建設委員会会議録  (平成15年7月4日)

【 小野孝道 計画調整課長 】
 『例えば、“東京のしゃれた街並みづくり推進条例”が、今度東京都でできましたけれども、略して「しゃれまち」と呼んでいるんですが、……(※以下略)』

 

 やっぱり、しゃれた条例は一味違いますねぇ。 略して「しゃれまち」とな。 万が一、「ごきげんよう」のサイコロトークで出てきたとしても、観客が戸惑うことはありません。

 

■ 『街並み再生地区』に指定されたところ

第1号 : 武蔵小山駅東(平成16年)

第2号 : 南池袋(平成16年)

 
 ネットでは、これだけしか見つかりませんでしたが、まさか、以上で「打ち止め」ってことはないですよね。

 武蔵小山は、うんざりするほど長いアーケード商店街があったり、南池袋はオフィス街、少し離れれば、庶民が息づく古くからの住宅街…… といった興味深い風情をかもし出しています。

 しかし、そこに突然、リンク先のような「オシャレ」な景観を創出しようというんですか? ほぉ。
 

 武蔵小山の「整備イメージ図」なんて、こういう、いかにも合理的パッケージ設計の箱モノは、どこにだってありますよね。 あんな理屈抜きでダダ長い商店街を擁する、いい意味でエネルギッシュな地域には似合わないんじゃないでしょうか。

 南池袋の「広場状空地の整備イメージ」も、残念ながら個人的には何の興味もわきません。 排ガスで薄汚れた灰色のテーブルセットに腰掛けて、しこたま排ガス吸いながら美味しい食事を楽しむ施設を、これ以上つくって面白いのでしょうか。 こんな類のは、広尾か表参道に任せておけばいいんです。 

 時代の蓄積を追いやり、地域住人たちの営みを無視して、真っ白な画用紙の上で、優秀なデザイナーのやりたいようにやらせる街づくり。

 過去から連綿と引き継がれた「魅力」を、なんの躊躇なく捨て去ったうえで、土台なきマイナスから立ち上げる街づくりです。 「魅力」というものが何なのか、少しでも思うところがある人ならば、決してやらない取り引きに違いありません。

 電車から降りて、自分がどこの街に来たのかピンと来ないような景観を、これ以上増やすだけなら、何のための、誰のための条例なのでしょう。 「個性豊かで魅力のあるしゃれた街並み」が聞いてあきれます。

 この「しゃれまち」は、都民のためを考えて制定したのか、それとも建設業界のお偉方を喜ばせるために作ったのか、早めにハッキリさせてくださいね。

 

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