>>> <民法772条>法務省 実態把握のため調査に乗り出す
「離婚から300日以内に誕生した子は前夫の子」とする民法772条の規定について、法務省は26日、実態把握のため自治体などを通じた初の調査に乗り出すことを決めた。長勢甚遠法相が同日午前の閣議後の記者会見で明らかにした。同省は、結果を受けて、規定の改正や運用の見直しなどの検討に入る。
規定を巡っては、前夫の子となるのを拒んだことによる無戸籍の子供の存在や、今の夫の子とするために前夫を巻き込んだ裁判などの法的手続きが必要――などの問題点が明らかになっている。
長勢法相は「(1898年の法律施行)当時とは、家族についての意識も変わってきているかもしれないし、医療技術も発達したことが影響している」との見方を示し、「(子が無戸籍になるような)問題が比較的多く見られることは考えなければならない」と述べた。調査の結果を受けて、「裁判などを要する手続きがどの程度必要なのかや、(運用について)工夫する余地があるか検討したい」と語った。(毎日新聞)2007年1月26日11時34分配信
民法の家族法の施行は、1898年ですか。 歴史は苦手ですけど、日清戦争とか日露戦争のころですよね。
いくらレトロな条文がお好きな法律業界とはいえ、さすがに耐用年数が切れているとお気づきになったようですね。
でも、長勢法務大臣、ナイス判断には違いないですよ。 これからも期待を持って見守ることにいたします。 今の内閣がどれだけ続くのか知りませんが。
◆ 民法 第772条(嫡出の推定)
1 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
もうねぇ…… こんなもん、時代が違いすぎるんですよ。
あーあーあー またオムツかえなくっちゃ。
あの人…… 今日も朝帰り。 ホンットに…… どういうこと?
あたしほっといて、遊んでばっかり。
……弱ったわねぇ。 今月も赤字だわ。
でも、この子がいるんじゃ、パートになんて行けっこないし。
えー? 今度はミルクが欲しいの?
もう、わかった、わかったから。ちょっと待っててねぇ~。
そんなとき、玄関に訪ねてきたのはクリーニング屋さん。
クリ「ちわーっス」
人妻「あ…… ごくろうさま。 そうねぇ。 今週もワイシャツがたまってて……」
クリ「お、奥さん。 どうしたんですか」
人妻「え? なにが?」
クリ「目が真っ赤ですよ。 ひょっとして……泣いてらしたんですか」
人妻「……あぁっ! クリーニング屋さん!」
クリ「お、奥さんっ! いやっ、やばいですよ。今は仕事中……」
人妻「ちょっとだけでいいの」
クリ「……えっ?」
人妻「少しだけ、今だけはクリーニング屋さんの胸の中で…… 泣かせてください」
……ということも、日常茶飯事なわけですよ。 今の時代は。 えぇ。
それはさておき、たび重なる浮気などでダンナに愛想を尽かした奥様たちが、心を癒してくれる他の男に身を委ねていくのも、まぁねぇ……。 仕方ないですよ。 そりゃ、オスの本能が悪い。
100歩譲って、そんな「ふしだら」な営みが人倫的に責められうるとしても、そんな親の「ふしだらさ」に対するペナルティが、「無戸籍」という形で子どもに科せられるのは、なんとも理不尽です。
だいたい、離婚時からの日数で計算するとなると、どうしても無理が出てくるんですよ。前の夫と別れて、ある程度の時期を離して再婚していても、子どもが未熟児で産まれたばかりに「離婚後300日」の条件を満たさず無戸籍…… という例も実際にあるようです。
わが子が法律上、前の夫の子になっている状態を修正するためには、現行法上、裁判(※細かいことは省略します)を起こすしかありません。
しかし、特にDV(夫婦間暴力)で別れるなどした関係の場合、「あの男には二度と会いたくない。顔も見たくない」という状況になっていることも考えられます。
そりゃ、DNA鑑定という技術もありますが、遺伝子的なつながりだけを手がかりに法律上の父親を強引に確定するのでは、離婚からの日数を数えて定量的に決めてしまう民法772条2項と発想は変わらないでしょう。
「生物学上DNAがつながっている、その男を父親にすることが、本当に子どもの喜びになるのか」を考える場として、家庭裁判所も必要です。 場合によっては、女性が前夫と顔を合わせずに審理をすすめていく方法も採り入れるべきでしょう。
もうすでに採り入れているかもしれませんが。
戸籍を持たない人は、就職活動などで厳しい扱いを受ける場合が無きにしもあらずでしょうし、法律婚(入籍)もできません。 なぜかプロボクサーのライセンスも取れないようです。 しかし、生活の上で一番の不利益は、パスポートが発行されないことでしょうか。
(※【業務連絡】 戸籍謄本や抄本を提出しなければ、社会的に受けつけてもらえないことって、他にありますか? ネットで探してみましたがあまり見つかりませんので、詳しい方、ご教示をお願いいたします!)
◆ 旅券法 第3条(一般旅券の発給の申請)
一般旅券の発給を受けようとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる書類及び写真を、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館(領事館が設置されていない場合には、大使館又は公使館。以下同じ。)に出頭の上領事官(領事館の長をいう。以下同じ。)に提出して、一般旅券の発給を申請しなければならない。ただし、国内において申請する場合において、急を要し、かつ、都道府県知事又は外務大臣がその必要を認めるときは、直接外務省に出頭の上外務大臣に提出することができる。
1.一般旅券発給申請書
2.戸籍謄本又は戸籍抄本
3.申請者の写真
4.渡航先の官憲が発給した入国に関する許可証、証明書、通知書等を申請書に添付することを必要とされる者にあつては、その書類
5.前各号に掲げるものを除くほか、渡航先及び渡航目的によつて特に必要とされる書類
6.その他参考となる書類を有する者にあつては、その書類
すっかり引き出しの奥でホコリをかぶっていた私のパスポート。
その1ページ目には「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。 日本国外務大臣」と書かれています。
どうやら日本国のパスポートは、「日本国民」に発行されるもののようですね。 当たり前ですが、だって最近じゃあ、北朝鮮お手製の偽……
あぁ、危ない危ない。 危うく工作員の方々に連れていかれるところでした。
では、ある人が「日本国民(日本国籍を持っている人)」だといえる条件とは?
◆ 国籍法 第2条(出生による国籍の取得)
子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき
産まれた時点で、父親か母親のどちらかが日本国民なら、その人も日本国民です。 戸籍があるかどうかは、なんら条件に入っていません。 戸籍法にもありません。
それはそうです。 もし、戸籍がなければ日本国籍もないのなら、皇族の皆さんは全員が日本国籍を持ってらっしゃらないことになります。
戸籍は、その人が日本国民であることを最も雄弁に証明する手段ですが、無ければ無いで、そのほかの有効な手段で証明できるのなら、それでもかまわないはずです。
この問題、解決方法として一番わかりやすいのは、この種の産まれながらのトラブルに巻き込まれたことが原因で無戸籍状態になっている人たちに対して、国や自治体が積極的に「特例」を認めてパスポートなどを発行するよう努めることではないでしょうか。
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戦後の高度経済成長を支えてきた「官僚統制型経済」ですが、その副産物として「法令の目指すところと懸け離れた実態」が生じてしまいました。
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